再び君に出会うために

naomikoryo

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再最終章

幼い思い出

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あれは、小学校3年生の夏休み。
台所で見つけた可愛いカブトムシの女の子。
急いで小さなオルゴールの中に捕まえて部屋に持ち帰ったわ。
そして玄さんに夏休みの宿題で虫の観察をしたいからと、飼育道具一式を買ってきてもらった。
その後、こっそりとクローゼットでお世話しながら観察日記を書いた。
お手伝いさんたちには一切話さずに、自分だけの力で虫を育ててみたかったの。
勿論、夏休みの間だけだと自分では決めていた。
だから、最後は月の綺麗な夜に、こっそり元の場所に逃がしてあげたの。
その正体が・・・・・
分かったのは、観察日記を学校に提出したとき・・・・・
あの後、1週間ほど別荘での生活を余儀なくされたのを忘れもしない・・・・・
屋敷中から、バルサンの煙が上がっていたらしいわ。

そういえば、こんなこともあったわね。

小学校に入ってすぐに仲良くなった薫ちゃん。
私は幼稚園だったけど、あの子は保育園だったから初めて出会ったのだけど、何故かすぐに心が通ったわ。
体も小さく華奢で運動が苦手だけど、本が大好きで。
よくお昼は一緒に図書館で過ごした。
あの子のお母さんが作るキャラ弁も毎回見事な出来栄えで、食べちゃうのもったいないねっていつも言ってた。
その年のクリスマスだったわ。
私の家でパーティーを開いたときに、ちょうど薫ちゃんのお母様が出産で入院していて・・・
それならうちでお泊りすればいいわよってことになって・・・
初めて夜も一緒で・・・
二人で私の部屋でお布団を敷いて・・・
寝る前に一緒にお風呂に入って・・・

でもそこで・・・
分かってしまったの・・・
だって・・・
薫ちゃんは私にはないものを持っているって・・・
薫ちゃんは、そのうち麻友ちゃんにも生えてくるよって言ってくれたけど・・・
うらやましかったわ・・・・・
でも、次の日知ってしまったの・・・・・
薫ちゃんは男の子だったってことを・・・・・
苦味顔の玄さんが教えてくれたわ。
あれはショックだったわ。
みんな知っていたのに、私だけ知らなかったことを知って、更にショックを受けたわ。
その後・・・・・
すぐに妹が生まれて大きな家に引っ越すんだって言って、嬉しそうに遠くに引っ越してしまったけど。

そうね・・・
そんなことばかりね、私って。
何でも思い込んで・・・
後になって、気付くのよ。
・・・・・
でも・・・・・
優也を見つけたのわ、私なんだから!
今更、他の人なんて考えられないわ!
「行動あるのみよ!」
長々と自分の世界にいた麻友だったが、ようやく決心がついた。

「何を行動するの?」
ハッと隣を見ると、優也が爽やかな笑顔で焼きそばの入ったパックを差し出していた。
その向こうでは、智が春美に、
「はい、あ~~~~ん」
と焼きそばを食べさせられているようだ。
(そ・・・それは無理だけど・・・・・)
麻友の頬は赤く染まった。
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