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再最終章
優也?
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(こんなことならさっさと優也と連絡先を交換しておくんだったわ・・・)
スマホを見つめながら麻友は思った。
陽子たちが遊園地に入っていくのを見届けてから15分程経っていた。
この遊園地は入園料はなく、それぞれ乗り物に乗る際に自動販売機で切符を買ってそれを入場口に立っている担当さんに渡すのだった。
自動販売機と言っても昔の駅の券売機のような、超レトロな機械を使用している。
ちなみに、観覧車もジェットコースターも200円で、これでも数年前に50円値上がりしたらしい。
(まぁ、優也もいないのにあんなお子様たちが喜ぶような乗り物に乗ってもねぇ・・・・・)
遠くから聞こえてくる誰かたちのはしゃぎ声を聞きながら麻友は、フッと少し鼻で笑ってみた。
その時、
「ごめん麻友さん、遅くなって。」
と背中から肩をちょんと叩かれながら誰かが言った。
「えっ!」
麻友が振り返ると爽やかな笑顔で上から見下ろしている男が立っていた。
「ゆう、・・・あ・・・え~と・・・・・佐々木くん?」
確認するぐらい雰囲気がいつもと違っていた。
「やだな~!他に誰が君を待たせてるんだよ。」
又も爽やかな笑顔で優也が言った。
(あれ??優也君てこんな顔だっけ?)
麻友はキョトンとした表情を変えられずに、
「みんなが待ってるんだろ?さぁ、行こう。」
と手を繋いで引っ張られていった。
みんなと合流するまでも麻友はじ~っと優也の横顔を見上げていた。
頭の上のハテナマークは一向に消えないままだ。
(おめかししたらこんなに格好良くなるの??)
これは絶対に物凄いテクニックを駆使してめかしこんだに違いない。
(きっと、ファッションセンスの高いお姉さんがいて、今日の朝に腕を振るってもらったのね。それで遅れて来たのね。)
ところが、合流しても麻友以外の誰もそのことには何も触れない。
普段通り、いや普段通りのように会話をしているのだが、麻友には違和感しかなかった。
「全く、いきなり今朝になって遅れるとかないだろ~!」
智が優也の背中を軽く触りながら言うと、
「ごめん、トモ~!ちょっと野暮用だったんだよ。」
「野暮用ってなんだよ?」
正樹が言うと、
「詳しくはまた後で話すよ。お前らはもう遊び始めてるからいいけど、麻友さんは退屈してたんだから、早くみんなで遊ぼうぜ。」
と、優也らしからぬ普通のイケメンが仲間たちと喋ってるようにしか見えなかった。
(あれ?優也って普段おっとりした口調で、しかも、~ぜ、みたいな話し方はしないのに・・・)
やはり麻友には別人にしか見えない。
(もしかして!・・・・・双子の兄弟で、みんなはそちらも知ってるから平気なんだわ!)
と麻友は急に頷きながら勝手に納得した。
「ちょっと陽子!こっちに来て。」
麻友は陽子の袖を引っ張りながらみんなの輪から少し離れた。
「何?」
陽子が怪訝そうな顔で麻友を見たが、
「彼はいったい誰なの?」
と突拍子もない質問をされ、
「はぁ~?」
と少し呆れたように言った。
「何を言ってるの、あんたは?」
「・・・・・だって、どう見ても優也じゃないじゃない。」
「どこが?」
「優也はあんなに流暢に喋らないし、あんなにきりっと目尻も上がってないし・・・・・何より・・・」
「何より?」
「私のことを麻友さんって呼んで、私の手を掴んでここまで来たのよ!」
「まぁ、良かったじゃない!」
「あ・・・・・・」
あんたねぇと言いかけた口があんぐりしたまま動かなくなってしまった。
(え???わたしがおかしいの???)
スマホを見つめながら麻友は思った。
陽子たちが遊園地に入っていくのを見届けてから15分程経っていた。
この遊園地は入園料はなく、それぞれ乗り物に乗る際に自動販売機で切符を買ってそれを入場口に立っている担当さんに渡すのだった。
自動販売機と言っても昔の駅の券売機のような、超レトロな機械を使用している。
ちなみに、観覧車もジェットコースターも200円で、これでも数年前に50円値上がりしたらしい。
(まぁ、優也もいないのにあんなお子様たちが喜ぶような乗り物に乗ってもねぇ・・・・・)
遠くから聞こえてくる誰かたちのはしゃぎ声を聞きながら麻友は、フッと少し鼻で笑ってみた。
その時、
「ごめん麻友さん、遅くなって。」
と背中から肩をちょんと叩かれながら誰かが言った。
「えっ!」
麻友が振り返ると爽やかな笑顔で上から見下ろしている男が立っていた。
「ゆう、・・・あ・・・え~と・・・・・佐々木くん?」
確認するぐらい雰囲気がいつもと違っていた。
「やだな~!他に誰が君を待たせてるんだよ。」
又も爽やかな笑顔で優也が言った。
(あれ??優也君てこんな顔だっけ?)
麻友はキョトンとした表情を変えられずに、
「みんなが待ってるんだろ?さぁ、行こう。」
と手を繋いで引っ張られていった。
みんなと合流するまでも麻友はじ~っと優也の横顔を見上げていた。
頭の上のハテナマークは一向に消えないままだ。
(おめかししたらこんなに格好良くなるの??)
これは絶対に物凄いテクニックを駆使してめかしこんだに違いない。
(きっと、ファッションセンスの高いお姉さんがいて、今日の朝に腕を振るってもらったのね。それで遅れて来たのね。)
ところが、合流しても麻友以外の誰もそのことには何も触れない。
普段通り、いや普段通りのように会話をしているのだが、麻友には違和感しかなかった。
「全く、いきなり今朝になって遅れるとかないだろ~!」
智が優也の背中を軽く触りながら言うと、
「ごめん、トモ~!ちょっと野暮用だったんだよ。」
「野暮用ってなんだよ?」
正樹が言うと、
「詳しくはまた後で話すよ。お前らはもう遊び始めてるからいいけど、麻友さんは退屈してたんだから、早くみんなで遊ぼうぜ。」
と、優也らしからぬ普通のイケメンが仲間たちと喋ってるようにしか見えなかった。
(あれ?優也って普段おっとりした口調で、しかも、~ぜ、みたいな話し方はしないのに・・・)
やはり麻友には別人にしか見えない。
(もしかして!・・・・・双子の兄弟で、みんなはそちらも知ってるから平気なんだわ!)
と麻友は急に頷きながら勝手に納得した。
「ちょっと陽子!こっちに来て。」
麻友は陽子の袖を引っ張りながらみんなの輪から少し離れた。
「何?」
陽子が怪訝そうな顔で麻友を見たが、
「彼はいったい誰なの?」
と突拍子もない質問をされ、
「はぁ~?」
と少し呆れたように言った。
「何を言ってるの、あんたは?」
「・・・・・だって、どう見ても優也じゃないじゃない。」
「どこが?」
「優也はあんなに流暢に喋らないし、あんなにきりっと目尻も上がってないし・・・・・何より・・・」
「何より?」
「私のことを麻友さんって呼んで、私の手を掴んでここまで来たのよ!」
「まぁ、良かったじゃない!」
「あ・・・・・・」
あんたねぇと言いかけた口があんぐりしたまま動かなくなってしまった。
(え???わたしがおかしいの???)
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