40 / 69
再最終章
集団デート
しおりを挟む
国立総合運動公園前で麻友は腕を組んで右足のつま先を軽く動かしながら駅の方向を見つめていた。
入り口前の大きな時計は10時を回っていた。
この公園自体に開園時刻はないが、遊ぶ予定の遊園地エリアは9時開園である。
この入り口を入れば左側が運動公園、まっすぐ行くと図書館、右側に歩いて10分程歩くと遊園地エリアとなっている。
(もしかして、遊園地エリアの前にいるのかしら?)
麻友はふっとそんな事を考えたが、
(いやいや、私は20分前からいるんだから、それならここで会っているはずよね)
と思い、もう少し待つことにした。
着いた当初から休日だといっても珍しく、かなりの人が訪れては運動公園の方へ流れていった。
(何かあるのかしら?)
麻友が運動公園側を見つめていると、10mほど進んだテニスコート側と公園側に分かれる道の真ん中に何やら看板が立っていた。
よく目を凝らしながら、
「しみん・・・こう、りゅう、かい、じょう??」
と読めた。
(市民交流会場という事は、市のイベントってことね。まぁ、私たちには関係ないわね。)
あくまで麻友たちはこの総合公園に遊びに来ていた。
昨晩の電話で陽子とは念入りの打ち合わせをしたことだし・・・
(今日は優也から告白されてもOKなんだから!)
と意気揚々としているのも事実だった。
勿論、新調したこのピンクのワンピースも可愛いバケットハットも、優也を意識させるためのアイテムだった。
(みんなとは違い私は車で来たのだから、電車も遅れてるのかもしれないし)
普段なら決して気が長いわけではない麻友だが、今日という日はまるで別者だった。
夕べも10時を過ぎてもまだ眠れなかったし、朝も7時には目が覚めてしまった。
「お休みの日だというのに、何てこと!」
とお母様に驚かれたぐらいだ。
ただ、そのあと上機嫌で朝食をとる麻友を見て、思う所はあったようだ。
「ちょっと出掛けてきたいのですが。」
麻友がそう口に出すと、待ってましたとばかりに運転手の玄さんが帽子を胸元で握りながら、
「お車の準備は完ぺきに出来ております。いつでもお声をお掛けください!」
と意気込んだ。
「まぁ、さすが玄さんね。」
麻友がそう声をかけると、玄さんは恍惚の笑みを浮かべた。
「暗くならないうちに帰ってくるんだよ。」
右手で電子新聞を読みながら左手でコーヒーを飲んでいるお父様がそう言った。
麻友はずっと、激しい胸の鼓動を感じながら、何かといえばニヤニヤしてしまう自分を一生懸命制していた。
ここに立ってからは更に期待ばかりが増えていく。
通りすがりに麻友に見惚れていくような視線も感じながら、それでも優也との楽しい一時を想像せずにはいられなかった。
「すごく可愛いよ、麻友」
どう見ても他の人からはそんな風に見えない、ちょっと大人びた感じの優也が麻友に囁く。
(キャ~~!!も~~~!)
時折腰をくねくねさせている麻友を好奇心の目で見る子供たちがいた。
そんなことは全く気にもせず、大きなガラスの掲示板に写る自分をチラチラと眺めては、
(ウンウン、カワイイ!カワイイ!)
と自己暗示にかけている麻友だった。
入り口前の大きな時計は10時を回っていた。
この公園自体に開園時刻はないが、遊ぶ予定の遊園地エリアは9時開園である。
この入り口を入れば左側が運動公園、まっすぐ行くと図書館、右側に歩いて10分程歩くと遊園地エリアとなっている。
(もしかして、遊園地エリアの前にいるのかしら?)
麻友はふっとそんな事を考えたが、
(いやいや、私は20分前からいるんだから、それならここで会っているはずよね)
と思い、もう少し待つことにした。
着いた当初から休日だといっても珍しく、かなりの人が訪れては運動公園の方へ流れていった。
(何かあるのかしら?)
麻友が運動公園側を見つめていると、10mほど進んだテニスコート側と公園側に分かれる道の真ん中に何やら看板が立っていた。
よく目を凝らしながら、
「しみん・・・こう、りゅう、かい、じょう??」
と読めた。
(市民交流会場という事は、市のイベントってことね。まぁ、私たちには関係ないわね。)
あくまで麻友たちはこの総合公園に遊びに来ていた。
昨晩の電話で陽子とは念入りの打ち合わせをしたことだし・・・
(今日は優也から告白されてもOKなんだから!)
と意気揚々としているのも事実だった。
勿論、新調したこのピンクのワンピースも可愛いバケットハットも、優也を意識させるためのアイテムだった。
(みんなとは違い私は車で来たのだから、電車も遅れてるのかもしれないし)
普段なら決して気が長いわけではない麻友だが、今日という日はまるで別者だった。
夕べも10時を過ぎてもまだ眠れなかったし、朝も7時には目が覚めてしまった。
「お休みの日だというのに、何てこと!」
とお母様に驚かれたぐらいだ。
ただ、そのあと上機嫌で朝食をとる麻友を見て、思う所はあったようだ。
「ちょっと出掛けてきたいのですが。」
麻友がそう口に出すと、待ってましたとばかりに運転手の玄さんが帽子を胸元で握りながら、
「お車の準備は完ぺきに出来ております。いつでもお声をお掛けください!」
と意気込んだ。
「まぁ、さすが玄さんね。」
麻友がそう声をかけると、玄さんは恍惚の笑みを浮かべた。
「暗くならないうちに帰ってくるんだよ。」
右手で電子新聞を読みながら左手でコーヒーを飲んでいるお父様がそう言った。
麻友はずっと、激しい胸の鼓動を感じながら、何かといえばニヤニヤしてしまう自分を一生懸命制していた。
ここに立ってからは更に期待ばかりが増えていく。
通りすがりに麻友に見惚れていくような視線も感じながら、それでも優也との楽しい一時を想像せずにはいられなかった。
「すごく可愛いよ、麻友」
どう見ても他の人からはそんな風に見えない、ちょっと大人びた感じの優也が麻友に囁く。
(キャ~~!!も~~~!)
時折腰をくねくねさせている麻友を好奇心の目で見る子供たちがいた。
そんなことは全く気にもせず、大きなガラスの掲示板に写る自分をチラチラと眺めては、
(ウンウン、カワイイ!カワイイ!)
と自己暗示にかけている麻友だった。
6
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる