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最終章
日記?小説?
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「お・・お邪魔しま~す。」
太一は恐る恐る後ろ向きに玄関で靴を脱いだ。
貴子はさっさと廊下を歩いて、一番奥の部屋のドアを開けた。
「この部屋で待ってて。」
「・・・はい。」
途中のドアを見てると、
「そこは寝室で、こっちは洗面兼お風呂なの。・・・・・・あっ、トイレならここよ。」
とトイレの電気を点けて見せた。
「あっ・・・・・うん・・・・・大丈夫。」
奥の部屋は居間で奥には対面式のキッチンがあった。
「すごい部屋だな。」
「そう?」
貴子は大きな冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターのペットボトルを二つ取り出して、居間の真ん中に置かれている小さなガラステーブルの上に置いた。
「適当に座っててね。」
そう言われてソファに一旦腰掛けたもののあまりのふわふわ感に、
「うわ!・・・・・これ起きらんなくなっちゃう・・・」
とすぐにガラステーブルの前に移動した。
「ウフフ、私もいつもはそうしてるの。」
貴子はその様子を見て言うと、
「ちょっと待っててね。」
と部屋を出た。
太一はペットボトルを開けごくごくと飲みながら部屋を見回した。
太一の8畳の部屋より明らかに広いであろう居間部分の黒と白で統一された家具や、飾り物の無い感じが大人の女を思わせた。
それに、普段貴子からも漂う、軽く甘い良い匂いに過剰に刺激された。
「いかん、いかん。」
とどこかのじいさんのような独り言を言いながらペットボトルを飲み干した。
貴子は数枚の紙を持って戻ってきた。
「ちょっと恥ずかしいんだけど、これを読んでて。」
太一に手渡すとまた貴子はどこかに行こうとしたので、その様子をじっと見ると、
「ちょっとシャワーしてきてもいい?」
と尋ねてきた。
「汗流したいし・・・・・・・・恥ずかしいから・・・・・・」
「何が?」
と聞いてすぐ、
「あっ・・・・・・・・うん・・・・・・そ、そうだね。」
と勘違いをして言った。
あまりにもどもった口調に首をかしげながらも、
「う、うん。すぐ来るから。」
と貴子も急いで部屋を出た。
扉を閉め洗面所に駆け込むと、
「ついに・・・・・・」
と独り言を言いながら急いでシャワーを浴びた。
太一は渡された紙を1枚だけ持ち、他のはテーブルに置いた。
「どれどれ。」
日付が書いてある。
日記のようだ。
コピーしたものに所々塗り潰されて分からない部分も多い。
何でこんなものを、と読み始めたが自分の名前が出て来る。
「えっ?」
自分の記憶には無い出来事だ。
「はは~ん。・・・・・・日記系の小説でも書いてるのか?」
そうして、2枚、3枚と読み進めていく。
「ファンタジーなのか?」
少し特殊な力、という表現が出て来る。
塗り潰された内容が気になるが、それよりもかなりリアルに町のことや公園の事、自分達の名前が使われていることに不安を感じた。
「いくら中学生時代のことでも空想でも、こんなの投稿したら個人情報駄々漏れだろ?」
そのうち”うさぎ”の話が出て来た。
『ふれあい広場』で出会った、交通事故で保護された子うさぎ。
右足が動かせない為引きずって、餌が上手く食べられず痩せていた。
可哀想に思った二人は力を使うことでその子うさぎの足を治すことが出来た。
凄く喜んでいる貴子の感情が書かれている。
「実在した?」
さっき貴子が言っていた、いたの、という言葉が気にかかる。
(偶然そんな境遇のうさぎを見つけて、自分はエスパーなんじゃないかと興奮してるってことなのか?)
まぁ、本来なら恥ずかしい自作小説をこうして読ませるぐらいだからそんな感じだろう。
そう思いながら最後の1枚を手に取り読み始めた。
「えっ?」
まさしくこれはあの病院騒動のことだ。
何の脈略も無くこれまでの事は全く覚えが無い、と書かれている。
「これじゃ、小説として成り立たないんじゃ・・・・・」
あの階段のことも少し書かれているが、かなりその周りは塗り潰されている。
「・・・・・・・・・・・・・」
訳が分かんなくなった。
これは小説なのか?日記なのか?そして、妄想日記?
そんな疑問が頭を回って、また1枚目から読み返し始めた。
「あ~さっぱりした。」
貴子がパジャマ姿で戻ってきた。
縛られていない長い髪をタオルで挟み込むようにして水分を取りながら、
「太一もシャワーする?」
と何の迷いも無く聞いてきた。
貴子の姿にドキッとした太一は、とりあえず読んでいた紙もまばらに集めてテーブルに置いた。
「あっ・・・・・・う、うん。」
前を歩いて案内する貴子の匂いに釣られるように後をついて洗面へ行った。
タオルやらシャンプーやらの説明を聞いて、
「う、うん・・・・・分かった。」
半ばボーっとしながら服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと待って!私が出てからにしてよ!」
貴子は慌てて洗面のドアを閉めた。
太一は恐る恐る後ろ向きに玄関で靴を脱いだ。
貴子はさっさと廊下を歩いて、一番奥の部屋のドアを開けた。
「この部屋で待ってて。」
「・・・はい。」
途中のドアを見てると、
「そこは寝室で、こっちは洗面兼お風呂なの。・・・・・・あっ、トイレならここよ。」
とトイレの電気を点けて見せた。
「あっ・・・・・うん・・・・・大丈夫。」
奥の部屋は居間で奥には対面式のキッチンがあった。
「すごい部屋だな。」
「そう?」
貴子は大きな冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターのペットボトルを二つ取り出して、居間の真ん中に置かれている小さなガラステーブルの上に置いた。
「適当に座っててね。」
そう言われてソファに一旦腰掛けたもののあまりのふわふわ感に、
「うわ!・・・・・これ起きらんなくなっちゃう・・・」
とすぐにガラステーブルの前に移動した。
「ウフフ、私もいつもはそうしてるの。」
貴子はその様子を見て言うと、
「ちょっと待っててね。」
と部屋を出た。
太一はペットボトルを開けごくごくと飲みながら部屋を見回した。
太一の8畳の部屋より明らかに広いであろう居間部分の黒と白で統一された家具や、飾り物の無い感じが大人の女を思わせた。
それに、普段貴子からも漂う、軽く甘い良い匂いに過剰に刺激された。
「いかん、いかん。」
とどこかのじいさんのような独り言を言いながらペットボトルを飲み干した。
貴子は数枚の紙を持って戻ってきた。
「ちょっと恥ずかしいんだけど、これを読んでて。」
太一に手渡すとまた貴子はどこかに行こうとしたので、その様子をじっと見ると、
「ちょっとシャワーしてきてもいい?」
と尋ねてきた。
「汗流したいし・・・・・・・・恥ずかしいから・・・・・・」
「何が?」
と聞いてすぐ、
「あっ・・・・・・・・うん・・・・・・そ、そうだね。」
と勘違いをして言った。
あまりにもどもった口調に首をかしげながらも、
「う、うん。すぐ来るから。」
と貴子も急いで部屋を出た。
扉を閉め洗面所に駆け込むと、
「ついに・・・・・・」
と独り言を言いながら急いでシャワーを浴びた。
太一は渡された紙を1枚だけ持ち、他のはテーブルに置いた。
「どれどれ。」
日付が書いてある。
日記のようだ。
コピーしたものに所々塗り潰されて分からない部分も多い。
何でこんなものを、と読み始めたが自分の名前が出て来る。
「えっ?」
自分の記憶には無い出来事だ。
「はは~ん。・・・・・・日記系の小説でも書いてるのか?」
そうして、2枚、3枚と読み進めていく。
「ファンタジーなのか?」
少し特殊な力、という表現が出て来る。
塗り潰された内容が気になるが、それよりもかなりリアルに町のことや公園の事、自分達の名前が使われていることに不安を感じた。
「いくら中学生時代のことでも空想でも、こんなの投稿したら個人情報駄々漏れだろ?」
そのうち”うさぎ”の話が出て来た。
『ふれあい広場』で出会った、交通事故で保護された子うさぎ。
右足が動かせない為引きずって、餌が上手く食べられず痩せていた。
可哀想に思った二人は力を使うことでその子うさぎの足を治すことが出来た。
凄く喜んでいる貴子の感情が書かれている。
「実在した?」
さっき貴子が言っていた、いたの、という言葉が気にかかる。
(偶然そんな境遇のうさぎを見つけて、自分はエスパーなんじゃないかと興奮してるってことなのか?)
まぁ、本来なら恥ずかしい自作小説をこうして読ませるぐらいだからそんな感じだろう。
そう思いながら最後の1枚を手に取り読み始めた。
「えっ?」
まさしくこれはあの病院騒動のことだ。
何の脈略も無くこれまでの事は全く覚えが無い、と書かれている。
「これじゃ、小説として成り立たないんじゃ・・・・・」
あの階段のことも少し書かれているが、かなりその周りは塗り潰されている。
「・・・・・・・・・・・・・」
訳が分かんなくなった。
これは小説なのか?日記なのか?そして、妄想日記?
そんな疑問が頭を回って、また1枚目から読み返し始めた。
「あ~さっぱりした。」
貴子がパジャマ姿で戻ってきた。
縛られていない長い髪をタオルで挟み込むようにして水分を取りながら、
「太一もシャワーする?」
と何の迷いも無く聞いてきた。
貴子の姿にドキッとした太一は、とりあえず読んでいた紙もまばらに集めてテーブルに置いた。
「あっ・・・・・・う、うん。」
前を歩いて案内する貴子の匂いに釣られるように後をついて洗面へ行った。
タオルやらシャンプーやらの説明を聞いて、
「う、うん・・・・・分かった。」
半ばボーっとしながら服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと待って!私が出てからにしてよ!」
貴子は慌てて洗面のドアを閉めた。
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