再び君に出会うために

naomikoryo

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最終章

懐かしの中学校

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太一    :「神山太一と申します。今日から3週間、教育実習でお世話になります。6年前にこの学校を卒業しましたので皆さんの先輩になります。まだ先生で

はありませんので先輩に接する感じで気軽に何でも相談してください。」
太一はゆっくりと全校生徒を見渡しながら、そう挨拶をした。
あちこちで女生徒たちの黄色い声が聞こえる中、白衣を着た美智子がこっそり太一に手を振った。
それを見逃さずに、
男子生徒  :「あ~!・・・今、美智子先生とアイコンしやがった~。」
と騒ぎ出す男子生徒たち。
太一    :「あ~、ごめんごめん。君達の美智子先生とは家が隣同士で同級生で幼馴染なんだ。・・・でも、お互い恋愛対象ではないから安心して!」
太一は最後は右手グー握りで親指を立てて茶目っ気たっぷりに笑って言った。
女子生徒  :「か~わい~!」
女子生徒  :「カワボ半端ない~!」
今度は更にも増して女生徒たちの声が響いた。

パンパンパン
小南教頭先生:「ほらほら、静かに!・・・神山先生も挨拶は要点だけを手短に!」
喋り声が一斉に止まった。
小南静香教頭先生が手を叩きながらきつめの口調でその場を制したのだ。
太一    :「すいません。」
太一はきちんと先生にお辞儀をして朝礼台を降りた。
そして、そそくさと美智子の隣へ小走りに行った。

美智子   :「も~、相変わらず馬鹿ねぇ。」
太一    :「わりぃ~わりぃ~。」
二人は前を向いたまま小声で話し始めた。
小南教頭先生:「では、次に校長先生の・・・・・」
校長先生の話が始まった。
美智子   :「だいたい、教育実習生のくせに初日に遅刻って・・・」
太一    :「昨日、健と夜中まで飲んで盛り上がっちゃってよ。」
美智子   :「昨日の夕方に帰ってきたんだっけ?」
太一    :「そ~、電車乗りす・・・・・」
小南教頭先生:「そこウルサイ!」
太一&美智子:「!」
太一と美智子は一瞬自分達かと思って固まって教頭先生の方を向いたが、どうやら生徒を注意していたようだ。
太一    :「昼休みに保健室に行くよ。」
美智子   :「はいはい。」
そうして、9月新学期早々の朝礼は終了した。

太一は今、体育大学の3年生で体育教師の免許を取る為、母校の中学校に教育実習としてやってきた。
本来は1週間も前には実家に戻り、準備万全で今日を迎えるはずだった。
寮で相部屋の高崎涼さえ風邪をひかなければ・・・・・

太一は職員室で人通りの挨拶を終えると小南先生に連れられて2年2組の教室へやってきた。
休憩時間中の教室は急な来訪に固まってしまった。
担任の小笠原先生も、そのまま英語の授業の準備をしていたが、慌てて教頭先生の元へ走り寄った。
小笠原先生 :「ど、どうされましたか?」
小南教頭先生:「今朝は彼が遅刻してきた為伝えられませんでしたが・・・」
太一を一睨みすると、
小南教頭先生:「彼をこのクラスの副担任として扱ってください。」
小笠原先生 :「えっ?・・・彼は保健体育の・・・」
小南教頭先生:「それだけではなく、バスケットボール部の副顧問として放課後も指導してください。」
小笠原先生 :「は・・・は・い。」
小南教頭先生:「いいですね?」
太一を見て確認した。
太一    :「はい!頑張ります。」
それを聞いて安心した様子で、
小南教頭先生:「では小笠原さん・・・頼みましたよ。」
ガヤガヤガヤ
クラス中が騒ぎ始めた。
太一は、
太一    :「よろしくお願いします。」
と小笠原先生にお辞儀をした。
小笠原先生は華奢ではあるがバスケットボールをしていたという170cmほどの30歳前後ぐらいの女性だ。
太一は高校生までは175cmぐらいだったのだが、大学に行って一気に伸びて今は185cmという恵まれた身長だ。
ただ、大学2年生の夏の大会で膝を壊してしまいプロの道は諦め体育教師を目指すことに決めたのだ。
常にムードメーカーだった太一なので、コーチ兼マネージャーということで大学側は推薦をそのまま継続してくれている。
何より頭を使うのは苦手だが、身体ならばその怪我以外には大した病気にもならないほど丈夫だった。
風邪を引いているルームメートの世話をしても絶対に自分はうつされない自信もあり、結果も伴うのだ。
小笠原先生は教頭先生が出て行くと太一を見上げて、
小笠原先生 :「じゃあ、折角なので・・・又、自己紹介してください。」
と言った。
太一は良い返事をした後に教壇に立ち、10分くらい面白おかしく自己紹介を述べた。
途中、生徒達の幾つかの質問にもきちんと答えた。

女子生徒  :「好きな人とか、彼女はいるんですか?」
太一    :「ん~・・・・・とりあえず、彼女は今までいませんでした。」
女子生徒  :「え~?」
男子生徒  :「そマ?・・・・・イケメンじゃん?」
太一    :「それと・・・・・・・・・・・好きな人は、多分・・・・・います。」
男子生徒  :「たぶん?」
太一    :「う~ん・・・・・・・多分・・・・・」
太一は改めて言い直した。
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