再び君に出会うために

naomikoryo

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本編

真相

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放課後の図書館で、貴子はいつもの窓際のテーブルに座っていた。
割と大き目の昆虫図鑑を開きながら立て、その陰に隠れるようにして頬杖をついている。
周りに分からないよう小声でワタと喋っていた。
「で、どういうことなの?」
休み時間中も煮えきれない返事をして、放課後になったらゆっくり説明する、と言ったのはワタだった。
それで我慢していた貴子も少し口調が荒かった。
(ん~・・・・・まぁ、かなり太一に影響してくることだから、早めに言っておくべきなんだろうけど・・・・・)
「うん・・・で?」
(ただ、この事は太一には言わないで欲しいの)
「・・・内緒なの?・・・・・見つかったって事も?」
(それはどうせ・・あれが自分から仕掛けるから分かるわよ)
「仕掛ける?」
(・・・・・・・・・・・・)
「・・・・・ちょっと~・・・いいかげん・・」
(はいはい、分かったから・・・・・・・)
「・・・・・太一、来ちゃうわよ?」
(そうね・・・・・・・・じゃあ)
ワタは一呼吸ついたようだ。

(まずは、私たちのことね)
「私達?」
(宇宙から来たって言ったでしょ?)
「そこから?・・・・・・・・・まぁ、いいわ。宇宙の生命体でしょ?」
(えぇ、そうね・・・もっと高尚な言い方をすれば・・・あらゆる生命体の始まり、と言ってもいいわ)
「また凄いことを言い出したわねぇ・・・・・・・・・え~と・・・・・・・アダムとイブみたいな?」
(あら、それいいわね!・・・・・でも、アダムと双子のイブ・・・かな?)
「・・・・・三角関係ね?」
(そう。私たちは基本的に男だ女だっていう概念はないんだけど、一度だけそれに似たようなことが起きたの)
「似たようなこと?」
(どこの惑星だったか覚えてないんだけど・・・・・)
「うんうん、それで。」
貴子は太一が来る前にと思い、せっついた。
(うん。そこの住民に仲間がそれぞれ寄生していたことで・・・・・分かりやすく寄生って言っちゃうけど・・・・・自分達の核を生まれてくる子供の中に作り出せたらしいの)
「・・・あなた達のことじゃないの?」
(そう聞いたことがあるだけ)
「いつぐらいに?」
(う~ん・・・・・・・・・ず~と前かしら)
「そうしたら、あなた達は色んな星に大勢いるの?」
(・・・・・・いえ、残念ながら、もうそんなには残っていないわ)
「どうして?」
(私たちが寄生することでみんなは特殊な能力を身につけられるの)
「太一のあんな感じの?」
(そう。・・・もっと色々あるんだけど・・・・・)
「それで?」
(そのために彼らの中で争いが起きてしまい、共に滅んでしまうのがほとんどね)
「そう・・・・・」
(この星のように重力が物凄い星は初めてだから無理なようだけど、本当は宇宙空間にいれば仲間を探す事はたやすいの)
「どれぐらいの範囲で?」
(全域よ!・・・・・それで遠くにいる仲間達とテレパシーで会話することも出来たのだけど・・・・・)
「うん?」
(この星に落ちる前には・・・・・もう他に仲間がいない状態だったの・・・・・)
「何年ぐらい?」
(そうねぇ・・・・・多分・・・・・・200年くらいかな)
「そんなに!?」
(うん、それぐらい3人でしかいなかったのだけど・・・・・)
「うんうん。」
ついに本題に来たかと、貴子は身を乗り出した。
(思い出したのよ、そのことを)
「・・・・・・・仲間を増やすって事?」
(そう!)
「あ~、それで・・・・・」
(さすが察しが良いわね)
「私たちで仲間を増やしていくって事ね?」
(えぇ・・・・・・・・この星に落ちる少し前に話し合ったの)
「3人で?」
(いえ、アダム・・・っていうかスサは抜きで)
「そんなこと出来るの?」
(えぇ・・・・・私たちも意識化を閉ざして眠る・・・ていうのに近い事はするのよ)
「ふぅ~ん。・・・・・・・・って!・・じゃあ、あの女性は太一と・・・・その・・・・・何を?」
(確実に何する気でしょうね!)
「だ、だめよ!私達まだ中学生なんだし!」
貴子は思わず大声を出して立ち上がってしまった。
「貴子・・・しっ!・・・・・図書室で大声出さないで!」
受付にいた同級生に注意されてしまった。
「ごめんなさい。」
周りに軽くお辞儀しながら恥ずかしそうに座った。
(馬鹿ね、大声出して)
「あんたねぇ・・・・・」
(私にはあなた達が大人か子供かなんて関係ないけど・・・・・あれは確実に子孫を増やす上で必要な要素を調べたようね)
まるで感心してるかの言い方だった。
(それに・・・・・)
「それに?」
(早い者勝ちねって約束をしたし・・・)
「何ですって!?」
(いやいや、私は忘れてたわよ、とっくに)
「本当に?」
(・・・・・・・・・・)
「まさか!・・・・・この星に落ちたのも」
(・・・・・私たちの策略なの・・・・・・)
「それは言えないわね・・・・・」
(・・・ありがとう・・・・・・そうして・・)
「・・・・・・まぁ、とにかくもう一人が見つかったって言えば、太一たちの方で取り込む算段をしてくれるでしょうから・・・」
(・・・・・どうかな・・・・・・)
「えっ?」
(あれは、何とかして自分に手を出させるように、っていうか襲う気マンマンって感じだったわよね?)
朝の様子を思い出した。

「それにしても、どこの何者なのかしら?」
あれから休み時間や昼休みに、職員室に行ったり、聞き込みをしたりしたがそれらしい人は見つからなかった。
最近新しく入ったのはせいぜい保健の先生ぐらいということで見に行ったが、言ってはなんだが真面目で地味な感じのお姉さんだった。
更に失礼だが、太ってはいないが胸も賓租だし、何より髪が真っ黒でショートだ。
それともすぐに学校を出た部外者なんだろうか、とも考えた。
とにかく、見つかった事は太一に報告しようと。
「ん??」
何やら廊下が騒がしい。
ガラガラッ
勢い良くドアが開けられ、美智子が飛び込んできた。
「貴子ネェ!」
「どうしたの?」
貴子も驚いて立ち上がった。
美智子は貴子の元へ走り寄り、一度深呼吸をして、
「ハァハァ・・・・・・・た、太一が・・・・・・・階段から落ちて・・・・・・」
「えぇ!?」
「ハァハァ・・・・・・・ほ、ほ、保健室に運ばれたの・・・・・・・」
「本当?大変!」
貴子は急いで荷物を持つと走り出した。

「教えてくれてありがとう!」
「うん、早く行ってあげて!」
美智子に声をかけ図書室を後にした。
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