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本編
謎の女
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教室に入り日直の仕事を終え、貴子は一息ついた。
誰も居ない教室で窓を開け換気をすると、少し冷たい風をスーッと吸い込んだ。
「誰か来たら閉めれば良いわね。」
そんな独り言を言った。
基本的にワタは夜型で、午前中は休みの日でもなければほとんど眠っている。
貴子は昨日の夕方のことを思い出していた。
とてもあのままあの場には居られず、そそくさと買い物のせいにして逃げ帰ったのだ。
家に帰ってから確かめておきたかった事を書き出した。
<高橋と美智子の関係は?>
<太一も二人が居たことに自然だったのはなぜ?>
<っていうか3人は知り合い?>
<太一の言ったプロポーズって、口裏会わせで言っただけ?>
<幼稚園のとき?>
<いつ?>
<何て言った?>
後半は太一だが流石にそれは聞けそうもないので、とにかく高橋に美智子との関係を聞けばいいと思ったのだ。
貴子は、心の中では太一と美智子の関係性がやはり不安なのだ。
いくら家族だからって言ってもそれは今だけのことで、いつ気持ちが変わるか分からない。
それなら、少なくとも美智子に他に好きな人が居て上手くいけば安心なのだ。
(情けないけど、自信がない)
というのが本音なのだ。
これでも結構あっちこっちから声を掛けられ、真面目な告白も何度もされてきた。
勿論、貴子にはその気がないので丁寧にお断りしているのだが。
太一とは昔から気心は知れていた。
まぁ、わんぱくな弟と言った感じではあったが。
中学生になってかなり疎遠になってからは、色んなイベントで活躍する太一を取り巻きを気にしながらいつも視線で応援していた。
あの昼休みのブランコだって、久しぶりに太一を見つけ、ついつい足を運んでしまったのだ。
それから・・・・・
でも、カラオケボックスでも観覧車の時も太一の対応は素っ気なく感じた。
付き合うことにした途端、恐らくドラマの真似をしてあんなセリフを吐いてみたりしてるが本心ではないだろう。
まだ中2というのもあるが、でもこんなボン・キュッ・キュッな私に何か感じてもいいんじゃないか。
まぁ、とりあえずは美智子の問題を片付けよう。
・・・でも、今色んなことになっても、結局は何も無かった事になるんだよね。
もし、このまま上手くいった所で、きっとあのブランコで私が見ていただけの関係に戻るんだな。
まぁ、でも・・・今、背一杯のことはしよう。
・・・所詮、臆病で意気地なしの自分に出来る範囲で・・・
そんな訳で、貴子の今の気持ちはとりあえず高橋待ち状態なのだ。
ところが・・・
ガラガラガラッ
教室の前の引き戸が勢い良く開いた。
謎の女:「フゥ~。」
見た事のない女性がブロンドの髪を揺らしながら吐息混じりに教室に入ってきた。
貴子 :「??」
貴子は教室で起こった非日常的な出来事と、その女性の身なりにびっくりして固まってしまった。
その女はゆっくりと教壇に進みながら、
謎の女:「あなただけ随分早いのね?」
170cmはゆうに超え、黒皮のミニスカートにVネックのサマーセーターで中の紫の下着が薄く見えるその女は貴子を見ることなくそう言った。
貴子 :「み・・・峰不二子?」
そう呟いてしまうぐらいにお色気ムンムンでグラマラスなのだ。
謎の女:「まさか、あなた・・・・・・・」
彼女はゆっくり座っている貴子に近付き顎に人差し指を当ててくいっと少し持ち上げた。
謎の女:「眠っているの?」
貴子 :「はい?」
貴子は挑発的な目になって立ち上がり机をバンっと叩いた。
貴子 :「起きてますけど!」
謎の女:「そういう意味ではないわ・・・・・・・・」
ワタ :(・・・・ちょっと・・・・もしかして・・・・・)
貴子 :「えっ?・・・・・何?」
謎の女:「私のこと、分かるかしら?」
貴子 :「え~と、どこかでお会いし・・・」
謎の女:「あなたじゃなくて!」
そう言いながら貴子の胸元の中心をつついた。
貴子 :「はぁ?」
貴子は慌てて胸を両手で覆い隠した。
瞬間、ワタが出て来た。
ワタ :「ちょっと!何挑発してくれてんのよ!」
ワタはすかさず両手を腰に当てて怒り始めた。
謎の女:「あら?あなたって、やっぱり間の抜けた顔になるのね、ウフフ。」
ワタ :「どういう意味よ!」
謎の女:「さっきの子の方がキリッと精悍な顔つきだって・こ・と。」
そう言いながらワタに顔を近づけ、息を吹きかけた。
ワタ :「ハッ!ようやくのこのこ現れて何言ってんのかしら。」
ワタはその息を振り払うようにしながら言った。
ワタ :「そもそもその女・・・・・・あれ?」
手を止めて前を向くとその女はいなかった。
ワタ :「え?」
とキョロキョロすると、貴子の列の一番後ろの机に腰を置いていた。
スラリと伸ばした足を組みその上で頬杖をついた。
謎の女:「ようやく良いベースを見つけたから来てあげたのよ。」
ワタ :「・・・・・・・・」
謎の女:「あなたたちが私を探していた事なんて、とっくに気付いてたわ。」
ワタ :「だったら・・・・・」
謎の女:「だから、これっていうベースを見つけるのに時間がかかったのよ。」
そう言いながら両手を一旦広げて、自分の胸を艶かしく揉んで見せた。
ワタ :「・・・・・・・・」
謎の女:「あれ?ひょっとして忘れた?」
ワタ :「・・・・・・・い~え。」
謎の女:「そう、それならいいけど。」
女はわざと腰をくねくねさせるように教壇まで歩いてみせた。
謎の女:「でも、あんな若い男の子とは思わなかったけど・・・まぁ、いいわ。」
そう言いながら廊下の方へ戻って行った。
去り際に貴子に振り返り、
謎の女:「これなら勝負にもならないわね、ウフフ。」
と勝ち誇ったような顔をして見せた。
貴子 :(え?・・・・・え?・・・・・・・)
ワタ :「やっぱり・・・・・・・・」
ワタは大きく溜息をついた。
誰も居ない教室で窓を開け換気をすると、少し冷たい風をスーッと吸い込んだ。
「誰か来たら閉めれば良いわね。」
そんな独り言を言った。
基本的にワタは夜型で、午前中は休みの日でもなければほとんど眠っている。
貴子は昨日の夕方のことを思い出していた。
とてもあのままあの場には居られず、そそくさと買い物のせいにして逃げ帰ったのだ。
家に帰ってから確かめておきたかった事を書き出した。
<高橋と美智子の関係は?>
<太一も二人が居たことに自然だったのはなぜ?>
<っていうか3人は知り合い?>
<太一の言ったプロポーズって、口裏会わせで言っただけ?>
<幼稚園のとき?>
<いつ?>
<何て言った?>
後半は太一だが流石にそれは聞けそうもないので、とにかく高橋に美智子との関係を聞けばいいと思ったのだ。
貴子は、心の中では太一と美智子の関係性がやはり不安なのだ。
いくら家族だからって言ってもそれは今だけのことで、いつ気持ちが変わるか分からない。
それなら、少なくとも美智子に他に好きな人が居て上手くいけば安心なのだ。
(情けないけど、自信がない)
というのが本音なのだ。
これでも結構あっちこっちから声を掛けられ、真面目な告白も何度もされてきた。
勿論、貴子にはその気がないので丁寧にお断りしているのだが。
太一とは昔から気心は知れていた。
まぁ、わんぱくな弟と言った感じではあったが。
中学生になってかなり疎遠になってからは、色んなイベントで活躍する太一を取り巻きを気にしながらいつも視線で応援していた。
あの昼休みのブランコだって、久しぶりに太一を見つけ、ついつい足を運んでしまったのだ。
それから・・・・・
でも、カラオケボックスでも観覧車の時も太一の対応は素っ気なく感じた。
付き合うことにした途端、恐らくドラマの真似をしてあんなセリフを吐いてみたりしてるが本心ではないだろう。
まだ中2というのもあるが、でもこんなボン・キュッ・キュッな私に何か感じてもいいんじゃないか。
まぁ、とりあえずは美智子の問題を片付けよう。
・・・でも、今色んなことになっても、結局は何も無かった事になるんだよね。
もし、このまま上手くいった所で、きっとあのブランコで私が見ていただけの関係に戻るんだな。
まぁ、でも・・・今、背一杯のことはしよう。
・・・所詮、臆病で意気地なしの自分に出来る範囲で・・・
そんな訳で、貴子の今の気持ちはとりあえず高橋待ち状態なのだ。
ところが・・・
ガラガラガラッ
教室の前の引き戸が勢い良く開いた。
謎の女:「フゥ~。」
見た事のない女性がブロンドの髪を揺らしながら吐息混じりに教室に入ってきた。
貴子 :「??」
貴子は教室で起こった非日常的な出来事と、その女性の身なりにびっくりして固まってしまった。
その女はゆっくりと教壇に進みながら、
謎の女:「あなただけ随分早いのね?」
170cmはゆうに超え、黒皮のミニスカートにVネックのサマーセーターで中の紫の下着が薄く見えるその女は貴子を見ることなくそう言った。
貴子 :「み・・・峰不二子?」
そう呟いてしまうぐらいにお色気ムンムンでグラマラスなのだ。
謎の女:「まさか、あなた・・・・・・・」
彼女はゆっくり座っている貴子に近付き顎に人差し指を当ててくいっと少し持ち上げた。
謎の女:「眠っているの?」
貴子 :「はい?」
貴子は挑発的な目になって立ち上がり机をバンっと叩いた。
貴子 :「起きてますけど!」
謎の女:「そういう意味ではないわ・・・・・・・・」
ワタ :(・・・・ちょっと・・・・もしかして・・・・・)
貴子 :「えっ?・・・・・何?」
謎の女:「私のこと、分かるかしら?」
貴子 :「え~と、どこかでお会いし・・・」
謎の女:「あなたじゃなくて!」
そう言いながら貴子の胸元の中心をつついた。
貴子 :「はぁ?」
貴子は慌てて胸を両手で覆い隠した。
瞬間、ワタが出て来た。
ワタ :「ちょっと!何挑発してくれてんのよ!」
ワタはすかさず両手を腰に当てて怒り始めた。
謎の女:「あら?あなたって、やっぱり間の抜けた顔になるのね、ウフフ。」
ワタ :「どういう意味よ!」
謎の女:「さっきの子の方がキリッと精悍な顔つきだって・こ・と。」
そう言いながらワタに顔を近づけ、息を吹きかけた。
ワタ :「ハッ!ようやくのこのこ現れて何言ってんのかしら。」
ワタはその息を振り払うようにしながら言った。
ワタ :「そもそもその女・・・・・・あれ?」
手を止めて前を向くとその女はいなかった。
ワタ :「え?」
とキョロキョロすると、貴子の列の一番後ろの机に腰を置いていた。
スラリと伸ばした足を組みその上で頬杖をついた。
謎の女:「ようやく良いベースを見つけたから来てあげたのよ。」
ワタ :「・・・・・・・・」
謎の女:「あなたたちが私を探していた事なんて、とっくに気付いてたわ。」
ワタ :「だったら・・・・・」
謎の女:「だから、これっていうベースを見つけるのに時間がかかったのよ。」
そう言いながら両手を一旦広げて、自分の胸を艶かしく揉んで見せた。
ワタ :「・・・・・・・・」
謎の女:「あれ?ひょっとして忘れた?」
ワタ :「・・・・・・・い~え。」
謎の女:「そう、それならいいけど。」
女はわざと腰をくねくねさせるように教壇まで歩いてみせた。
謎の女:「でも、あんな若い男の子とは思わなかったけど・・・まぁ、いいわ。」
そう言いながら廊下の方へ戻って行った。
去り際に貴子に振り返り、
謎の女:「これなら勝負にもならないわね、ウフフ。」
と勝ち誇ったような顔をして見せた。
貴子 :(え?・・・・・え?・・・・・・・)
ワタ :「やっぱり・・・・・・・・」
ワタは大きく溜息をついた。
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