16 / 69
本編
夕暮れ
しおりを挟む
少し早めではあるが、身の危険を感じた貴子は今日の解散を申し出た。
どうせ太一の回復は数時間でというわけには行きそうも無く、自分の疲労感も割と半端ではない。
それに、そうあの目だ。
「もう~つれないなぁ~!・・・・・・・・・こっちにおいでよ~!!」
向かいの席に座って駄々をこねたように言っている、どう見ても口元に笑いを隠せていないちょっと釣り目の顔。
「い~や、あんたは太一じゃない!!」
貴子はフンっという感じでふんぞり返って座っている。
さっきまでは足を組んでいたが、何か見られている感じになったのでそれは止めた。
「も~、本まやって!」
「立ち上がるな!!」
太一が立ちそうに動いたので少し大きな声でそれを制した。
「まぁ、それでも、うさぎの事はありがとうございました。」
貴子は軽くお辞儀をしながら言った。
「そんな、え~って!」
(っていうか何で関西なまり?)
貴子はじ~と見つめて、
「あの力はいつでも使えるんですか?」
ちょっと前のめりになって尋ねた。
三車両編成の一番先頭のここにはまばらにしか人はいない。
「まぁ、使お~思ったら、そりゃいけるけど・・・」
「あの~・・・・・・・いいかげん太一の顔でその関西弁みたいなのやめてもらえます?」
「あぁ~、これ?・・・・・・・・昨日の深夜に見てたテレビで移ってもうたかも・・・・・・」
「それって、お笑いかなんかですか?」
「そうそう!・・・・・・・なんか、ボンっなね~ちゃんがゴーさん出てたよ~な・・・」
「太一も見てたんですか?」
貴子がちょっと怒った顔になったので、
「いやいや、太一は寝とった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・九時くらいに」
「はぁ~。」
「お子さんかっちゅうねん。・・・・・・・・・いや、お子さんか!!」
太一?・・・スサは両手で両膝をバンバンはたいて喜んでいる。
貴子は安心感もあり、呆れた顔に戻った。
「それは楽しそうで良かったですね。」
真顔で言ったまま元の体勢に戻った。
そうして外の景色を眺めた。
(あっ!!綺麗な夕日)
そのうちにいつしか眠りに入ってしまった。
「貴子、起きろよ!!」
太一に身体を揺さ振られて貴子は慌てて起きた。
「あれ?・・・・・いつの間に・・・・・・」
向かいの窓から見える景色は普段見覚えのある駅前に程近い景色だ。
それに、気が付けばしっかり太一に寄りかかっていたように感じられた。
「あっ、ごめんね。」
体勢を整えてしっかり座りなおした。
「だいぶ疲れちゃったよな~。帰ったらゆっくり休めよ。」
「うん。・・・・・・・・・・・・・で、いつから太一?」
「あ~・・・・二分前くらいにこいつに起こされて・・・・・」
「その時は・・・・・ここにいた?」
「あ・・・・・あぁ。」
「わたし・・・寄りかかってた?」
「あぁ。」
「太一、なんか触ってた?」
「い、いや・・・・・・そ、それは、ないんじゃないんかな~・・・・・・・ハハッ。」
その慌てぶりは嫌な予感がするが、
「まぁ、いいわ。」
と貴子もこの際、開き直った。
そして、電車は太一たちの町に着いた。
改札を出て、二人はゆっくりロータリーに向かった。
貴子はここからはバスで帰ると言ったからだ。
疲れている状態だからその方が良い、と太一も言い、ついてきたのだ。
「明日は図書館にしない?」
「図書館かぁ・・・・・」
「あんた、もうすぐ中間試験だけど・・・勉強は大丈夫なの?」
「いいんだよ!」
「何が?」
「男は運動だ!!」
「いや・・・・・ある程度の勉強が必要よ。・・・・・・将来どうするの?」
「ユーチューバー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・勉強見てあげるから、苦手な科目の教科書とノートも持っておいで。」
「え~~~~~~~」
「じゃあ、今日はゆっくり休んで、明日は図書館集合ね。」
「何時?」
「お昼食べてからでいいんじゃない。・・・・・・・・二時頃は?」
「お~け~!!」
「あっ、バスが来た。・・・・・じゃあ、明日ね。」
「お~、じゃあな。」
太一は手を振って又、駅前方向に歩きだした。
貴子も太一が背中を向くと、やっとの感じでバスのステップを登った。
(もう体中が筋肉痛みたい!!)
そして、神社前のバス停で降り、自分の家を遥か階段の先に見て、
「も~!!・・・・・・・・・なんでうちは神社なのよ~!!」
と叫んでしまった。
どうせ太一の回復は数時間でというわけには行きそうも無く、自分の疲労感も割と半端ではない。
それに、そうあの目だ。
「もう~つれないなぁ~!・・・・・・・・・こっちにおいでよ~!!」
向かいの席に座って駄々をこねたように言っている、どう見ても口元に笑いを隠せていないちょっと釣り目の顔。
「い~や、あんたは太一じゃない!!」
貴子はフンっという感じでふんぞり返って座っている。
さっきまでは足を組んでいたが、何か見られている感じになったのでそれは止めた。
「も~、本まやって!」
「立ち上がるな!!」
太一が立ちそうに動いたので少し大きな声でそれを制した。
「まぁ、それでも、うさぎの事はありがとうございました。」
貴子は軽くお辞儀をしながら言った。
「そんな、え~って!」
(っていうか何で関西なまり?)
貴子はじ~と見つめて、
「あの力はいつでも使えるんですか?」
ちょっと前のめりになって尋ねた。
三車両編成の一番先頭のここにはまばらにしか人はいない。
「まぁ、使お~思ったら、そりゃいけるけど・・・」
「あの~・・・・・・・いいかげん太一の顔でその関西弁みたいなのやめてもらえます?」
「あぁ~、これ?・・・・・・・・昨日の深夜に見てたテレビで移ってもうたかも・・・・・・」
「それって、お笑いかなんかですか?」
「そうそう!・・・・・・・なんか、ボンっなね~ちゃんがゴーさん出てたよ~な・・・」
「太一も見てたんですか?」
貴子がちょっと怒った顔になったので、
「いやいや、太一は寝とった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・九時くらいに」
「はぁ~。」
「お子さんかっちゅうねん。・・・・・・・・・いや、お子さんか!!」
太一?・・・スサは両手で両膝をバンバンはたいて喜んでいる。
貴子は安心感もあり、呆れた顔に戻った。
「それは楽しそうで良かったですね。」
真顔で言ったまま元の体勢に戻った。
そうして外の景色を眺めた。
(あっ!!綺麗な夕日)
そのうちにいつしか眠りに入ってしまった。
「貴子、起きろよ!!」
太一に身体を揺さ振られて貴子は慌てて起きた。
「あれ?・・・・・いつの間に・・・・・・」
向かいの窓から見える景色は普段見覚えのある駅前に程近い景色だ。
それに、気が付けばしっかり太一に寄りかかっていたように感じられた。
「あっ、ごめんね。」
体勢を整えてしっかり座りなおした。
「だいぶ疲れちゃったよな~。帰ったらゆっくり休めよ。」
「うん。・・・・・・・・・・・・・で、いつから太一?」
「あ~・・・・二分前くらいにこいつに起こされて・・・・・」
「その時は・・・・・ここにいた?」
「あ・・・・・あぁ。」
「わたし・・・寄りかかってた?」
「あぁ。」
「太一、なんか触ってた?」
「い、いや・・・・・・そ、それは、ないんじゃないんかな~・・・・・・・ハハッ。」
その慌てぶりは嫌な予感がするが、
「まぁ、いいわ。」
と貴子もこの際、開き直った。
そして、電車は太一たちの町に着いた。
改札を出て、二人はゆっくりロータリーに向かった。
貴子はここからはバスで帰ると言ったからだ。
疲れている状態だからその方が良い、と太一も言い、ついてきたのだ。
「明日は図書館にしない?」
「図書館かぁ・・・・・」
「あんた、もうすぐ中間試験だけど・・・勉強は大丈夫なの?」
「いいんだよ!」
「何が?」
「男は運動だ!!」
「いや・・・・・ある程度の勉強が必要よ。・・・・・・将来どうするの?」
「ユーチューバー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・勉強見てあげるから、苦手な科目の教科書とノートも持っておいで。」
「え~~~~~~~」
「じゃあ、今日はゆっくり休んで、明日は図書館集合ね。」
「何時?」
「お昼食べてからでいいんじゃない。・・・・・・・・二時頃は?」
「お~け~!!」
「あっ、バスが来た。・・・・・じゃあ、明日ね。」
「お~、じゃあな。」
太一は手を振って又、駅前方向に歩きだした。
貴子も太一が背中を向くと、やっとの感じでバスのステップを登った。
(もう体中が筋肉痛みたい!!)
そして、神社前のバス停で降り、自分の家を遥か階段の先に見て、
「も~!!・・・・・・・・・なんでうちは神社なのよ~!!」
と叫んでしまった。
3
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる