再び君に出会うために

naomikoryo

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本編

観覧車で密着?

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あむあむあむっ
「どお?」
「ん~・・・・・」
モグモグモグ
「どお?」
「ん~・・・・・・・・・・・」
ゴクゴクゴク
「ねぇ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ハァ~・・・。ご馳走様でした。」
ガサガサガサ
「どうなの~?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメだ・・・・・・」
「そお・・・・・」
貴子がおにぎり三個を食べ終わるニ週と三週の間、太一は一人で探索を試みたが・・・・・ダメだった。

貴子はトートバッグに全てを片付けて自分の横に置いた。
「どうする?・・・・・二人でしてみる?」
「あっ・・・・・あぁ。」
太一は体制を低くしたまま滑るように貴子の横に座った。
二人の間にトートバッグがある形になったが、カラオケボックスの時も、恥ずかしさもあり間に鞄を置いてその上で手を重ねていたのが実情だった。
座って手を触れて探索するときはいつもそうだった。
特に、今日の貴子の私服は膝丈ぐらいのスカートで素足にお洒落サンダル。
片や、太一もちょっと早めだがハーフパンツでスニーカーである。
この状態で間に何も置かないものなら、もろに肌が密着してしまいそうだった。
お互いにそれは感じていて、よりいつも以上に間にあるバッグを意識してしまった。

(そろそろ交換しようよ!!太一は少し休んでれば良いよ!!)
「・・・・・・・・・・」
(まだ、今日はこれから長いんだから私に代わりなさい!!・・・・・援護する、とはどういうことか教えてあげるわ!!)
「・・・・・・・・・・」
電車の中からずっとこの二人はしきりに交換を主張している。
太一と貴子の脳裏には先日の様子が浮かんでいる。
(こんな所で二人にしたら、また何をしだすことか・・・・・)
貴子は特に心配している。
(ただでさえ人に見られたら誤解されるのに・・・・・・・やっぱり、こんな格好で来るんじゃなかった・・・・・)

家を出る十分前に突然母が部屋に入ってきて貴子の服装に物言いを付けた。
「折角のお出掛けなんだから、もっと可愛い格好をしなさい!!」
半ば強制のように、
「上はこれでスカートはこれを履いてポシェットはこれにしなさい。・・・・・あと、お弁当の入ったバッグはいかにも重いわ、という風にして男の子に持ってもらうのよ。」
「う・・・うん・・・・・」
「勿論その時に思いっきりの笑顔で、ありがとう!って言うのよ。」
と、わざわざ上目遣いで目をパチクリとさせて見せた。
「はいはい。」
と二つ返事をして部屋から二人で玄関に向かうと、
「何だ、その露出したスカートは!!!」
と居間を通る際に見た父が叫んだ。
「はっ?・・・・・可愛い娘が可愛さを全開にしていくのに何の文句があるのかしら?」
と睨み一線でそれ以上黙らせたのは言うまでもない。
やれやれと思いながらも家を出て駅に向かう途中、
(お洒落して出掛けるのって・・・なんか楽しいかも・・・・・・・・。でも・・・結局のところ、太一には私の格好なんてどうでもいいんだろうけど・・・・・)
と貴子は思った。

(なぁいいだろう?・・・・・少し休みなよ!!)
「ん~・・・・・・・・なぁ、貴子・・・」
「な・・何?」
貴子は身体が硬直しているようだ。
「スサノオが少し変われって言ってるんだけど・・・・・」
「・・・・・こっちも・・・・・・」
「変わって動いてくれるのはいいんだけど・・・・・変なことするなよ!!」
(変なこと?)
「だから・・・・・・・・」
「過剰に密着したりしないでよ!!」
今度は貴子がオオワタツミに言っている。
(あら?・・・・・あなたの本心はそれを望んでるんじゃ・)
「あ~~~~~~~~!!」
「なんだ?貴子、どうした?」
「いえ・・・・・何でも・・・・・」
貴子は真っ赤な顔をしている。
「とにかく、人目もあることだから、ちゃんと探索に専念するなら変わっても良いですよ。」
(わかったわ!)
「そうそう・・・・・いいな?」
(はいはい。)
二人はすっと目を閉じた。
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