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『上原蓮 〜二人の体育祭〜』第1話:「名前しか知らない君」
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1. 女子とは話せるけど
「なあ、上原ってさ、やっぱ服とかこだわってんの?」
昼休み、友人の坂本がパンをかじりながら聞いてきた。
「まあな。姉貴が3人いるから、小さい頃から色々影響受けてたし。」
「すげーよな。俺なんか、朝適当にTシャツ選んで終わりだぜ。」
「そういうのも別にいいんじゃね?」
「いやいや、上原みたいにオシャレに気を使ってると、女子にモテそうでいいよな。」
「……うーん、どうだろ。」
確かに、俺はそれなりに女子と話せるし、それなりに「カッコいい」って言われることもある。
でも、「本気の恋」ってやつはしたことがない。
なんというか、どれも「軽いノリの会話」で終わる。
「好きなやつとかいないの?」
「別に。まだそういうの考えてないだけ。」
そんな話をしていると、近くの机で誰かが体育祭実行委員の話をしているのが耳に入った。
2. 体育祭実行委員に立候補
「おー、今年の体育祭実行委員、募集中だってさ。」
「めんどくさそう。」
「でも、実行委員ってなんか青春っぽくね?」
「……それはある。」
体育祭実行委員。
なんか響きがいい。
「どうせなら、やってみるか。」
軽いノリで手を挙げた。
「え、お前が?」
「まあな。面白そうじゃん。」
「意外~! お前、運動そんなガチるタイプだっけ?」
「別にガチるとは言ってねぇし。」
そんな感じで、俺は気づけば実行委員に立候補していた。
3. 4組の長谷川茜
次の日、実行委員の初会議が開かれた。
「よし、じゃあ自己紹介しようか。」
3年生の先輩が進行を務め、委員たちは順番に自己紹介していく。
「2年2組の上原蓮です。」
適当に挨拶を済ませた後、向かいの席にいる女子が自己紹介を始めた。
「4組の長谷川茜です。よろしくお願いします!」
元気のいい声。
「……長谷川茜?」
どこかで聞いたことがある名前だと思った。
ちらっと見ると、ポニーテールが似合う活発そうな子だった。
「あー、陸上部の子か。」
クラスが違うから、話したことはないけど、確かに存在は知っていた。
そして、その長谷川茜が、俺のことをじっと見てきた。
「……?」
「上原って、オシャレだよな。」
「え?」
「……てか、普通にかっこいい。」
「……。」
一瞬、言葉が出なかった。
他の女子から「オシャレ」や「かっこいい」と言われたことはあった。
でも、彼女の言葉はなんか……妙にストレートすぎた。
「な、なんだよ急に。」
「いや、なんか思ったこと言っただけ。」
茜はサラッと言い、そのまま話を聞く態勢に戻った。
俺は、妙に落ち着かない気持ちになった。
(なんだこれ……なんか変な感じ。)
4. それから気になる存在に
「おい、上原、さっきの何?」
「……何が?」
会議が終わった後、坂本がニヤニヤしながら近寄ってきた。
「長谷川、お前のこと褒めてたじゃん? てか、めっちゃストレートにな!」
「別に……ただの感想だろ。」
「でも、お前さ、ちょっと気にしてね?」
「……気にしてねぇし。」
そう言いながら、頭の中にはさっきの言葉がずっと残っていた。
「普通にかっこいい。」
普段は適当に受け流せるのに、何でこんなに気になるんだ?
「あー、もう。」
自分でもわからないけど、妙にソワソワしていた。
5. 体育祭に向けて、二人の関係が動き出す
その日から、俺は無意識のうちに長谷川茜を目で追うようになっていた。
実行委員の活動で話す機会は増えたけど、そのたびに妙に緊張する。
(俺、こんなキャラじゃねぇのに……)
そんなことを考えていたら——
「上原!」
茜が笑顔で近づいてきた。
「今度、体育祭のポスター作り、一緒にやることになったからよろしくな!」
「……あ、あぁ。」
俺は、なぜか目を逸らしながら答えた。
なんか、俺……今までと違う。
「なあ、上原ってさ、やっぱ服とかこだわってんの?」
昼休み、友人の坂本がパンをかじりながら聞いてきた。
「まあな。姉貴が3人いるから、小さい頃から色々影響受けてたし。」
「すげーよな。俺なんか、朝適当にTシャツ選んで終わりだぜ。」
「そういうのも別にいいんじゃね?」
「いやいや、上原みたいにオシャレに気を使ってると、女子にモテそうでいいよな。」
「……うーん、どうだろ。」
確かに、俺はそれなりに女子と話せるし、それなりに「カッコいい」って言われることもある。
でも、「本気の恋」ってやつはしたことがない。
なんというか、どれも「軽いノリの会話」で終わる。
「好きなやつとかいないの?」
「別に。まだそういうの考えてないだけ。」
そんな話をしていると、近くの机で誰かが体育祭実行委員の話をしているのが耳に入った。
2. 体育祭実行委員に立候補
「おー、今年の体育祭実行委員、募集中だってさ。」
「めんどくさそう。」
「でも、実行委員ってなんか青春っぽくね?」
「……それはある。」
体育祭実行委員。
なんか響きがいい。
「どうせなら、やってみるか。」
軽いノリで手を挙げた。
「え、お前が?」
「まあな。面白そうじゃん。」
「意外~! お前、運動そんなガチるタイプだっけ?」
「別にガチるとは言ってねぇし。」
そんな感じで、俺は気づけば実行委員に立候補していた。
3. 4組の長谷川茜
次の日、実行委員の初会議が開かれた。
「よし、じゃあ自己紹介しようか。」
3年生の先輩が進行を務め、委員たちは順番に自己紹介していく。
「2年2組の上原蓮です。」
適当に挨拶を済ませた後、向かいの席にいる女子が自己紹介を始めた。
「4組の長谷川茜です。よろしくお願いします!」
元気のいい声。
「……長谷川茜?」
どこかで聞いたことがある名前だと思った。
ちらっと見ると、ポニーテールが似合う活発そうな子だった。
「あー、陸上部の子か。」
クラスが違うから、話したことはないけど、確かに存在は知っていた。
そして、その長谷川茜が、俺のことをじっと見てきた。
「……?」
「上原って、オシャレだよな。」
「え?」
「……てか、普通にかっこいい。」
「……。」
一瞬、言葉が出なかった。
他の女子から「オシャレ」や「かっこいい」と言われたことはあった。
でも、彼女の言葉はなんか……妙にストレートすぎた。
「な、なんだよ急に。」
「いや、なんか思ったこと言っただけ。」
茜はサラッと言い、そのまま話を聞く態勢に戻った。
俺は、妙に落ち着かない気持ちになった。
(なんだこれ……なんか変な感じ。)
4. それから気になる存在に
「おい、上原、さっきの何?」
「……何が?」
会議が終わった後、坂本がニヤニヤしながら近寄ってきた。
「長谷川、お前のこと褒めてたじゃん? てか、めっちゃストレートにな!」
「別に……ただの感想だろ。」
「でも、お前さ、ちょっと気にしてね?」
「……気にしてねぇし。」
そう言いながら、頭の中にはさっきの言葉がずっと残っていた。
「普通にかっこいい。」
普段は適当に受け流せるのに、何でこんなに気になるんだ?
「あー、もう。」
自分でもわからないけど、妙にソワソワしていた。
5. 体育祭に向けて、二人の関係が動き出す
その日から、俺は無意識のうちに長谷川茜を目で追うようになっていた。
実行委員の活動で話す機会は増えたけど、そのたびに妙に緊張する。
(俺、こんなキャラじゃねぇのに……)
そんなことを考えていたら——
「上原!」
茜が笑顔で近づいてきた。
「今度、体育祭のポスター作り、一緒にやることになったからよろしくな!」
「……あ、あぁ。」
俺は、なぜか目を逸らしながら答えた。
なんか、俺……今までと違う。
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