青春高校2年A組:それぞれの未来

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出席番号32番:藤井 美羽(ふじい みう)

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私は藤井美羽(ふじい みう)。

2年A組、出席番号32番。小さい頃から、美容やファッションに興味があって、今はメイクやスキンケアの研究に夢中になっている。

「美羽って、いつもオシャレだよね!」

「どこのコスメ使ってるの?」

友達にそう聞かれるたびに、私は笑って答える。

「秘密……って言いたいけど、ちゃんと教えてあげる!」

みんなが興味を持ってくれるのが嬉しいし、相談されるのも楽しい。

でも——最近、私は**「私らしさ」ってなんだろう?**と思うようになった。

◆「かわいいね」と言われ続けた幼少期
私の母は、昔モデルをしていた。

だから、小さい頃から母の影響でファッションやメイクに触れる機会が多かった。

母の撮影現場についていくこともあったし、メイク道具が並ぶドレッサーを見るのが好きだった。

「美羽はかわいいね」

親戚や母の友人から、そう言われることが多かった。

「かわいいね」と言われると、なんだか嬉しかった。

だから私は、どうすればもっとかわいくなれるのか、無意識のうちに考えるようになった。

◆メイクの楽しさと「見られる自分」
中学生になって、私は本格的にメイクをするようになった。

「似合う色って人によって違うんだ!」

「このファンデーションなら、肌が自然にきれいに見える!」

研究すればするほど、メイクは奥が深くて、どんどん楽しくなった。

だけど——ふと、考えてしまうことがある。

「私は、本当に"かわいい"自分が好きなの?」

それとも、「かわいいね」と言われる自分が好きなだけ?

◆石田悠斗の一言
そんなことを考え始めた頃、クラスメイトの**石田悠斗(いしだ ゆうと)**が、意外なことを言った。

「作り込んだ美しさじゃなくて、そのままのお前を撮る。」

「え?」

「いや、メイクしてる時はキレイだけど、すっぴんの時は雰囲気が違うっていうか……素の感じがいい」

私は、言葉に詰まった。

すっぴんの自分を褒められるなんて、思ってもみなかったから。

「すっぴんのほうがいいってこと?」

「いや、そうじゃなくて……どっちも美羽なんじゃね?」

私は、メイクをした「かわいい自分」ばかりを大事にしていた気がする。

でも——悠斗の言葉を聞いて、**「私自身」って何なんだろう?**と考えるようになった。

◆私の「今」
私は、メイクやファッションが大好きだ。

でも、それは「私が好きだから」なのか、それとも「周りにそう見られたいから」なのか、まだわからない。

石田悠斗の言葉が、私の中に小さな疑問を生んだ。

「どっちも美羽なんじゃね?」

私らしさって、どこにあるんだろう?

答えはまだ見つからないけど——私は今日も、鏡の前で新しいメイクを試してみる。

「自分のために」メイクをする感覚を、少しずつ見つけていくために。
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