年上の許嫁女教師は大胆な帰国子女

naomikoryo

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優愛の決意

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日曜日も、優愛たちは図書館に来ていた。
優愛は静かに自分の本に目を落としていたが、実際にはまったく内容が頭に入ってこなかった。
彼女の心は、美咲と亨のことを考えることでいっぱいだった。
亨が美咲に優しく接している姿や、彼女が甘えている様子が頭の中を何度も巡っている。

(どうして亨はあんなに美咲に優しいの?)
優愛は心の中で自問する。
美咲がまるで色仕掛けのように亨に接しているのは、優愛には何となく分かっていた。
彼女の可愛らしい仕草や笑顔に、亨が心を奪われていく様子が目に浮かぶ。



優愛は自分の気持ちを思い返す。
亨に対する感情がどこから始まったのか、いつの間にか彼に特別な想いを抱くようになっていた。
初めての出会いは小学校の頃だった。
無邪気に遊ぶ中で、亨の頼もしい姿や、優しい笑顔に心を奪われたのだ。
その時から、彼のそばにいることが何よりも嬉しかった。

中学生になって、優愛と亨は同じクラスになった。
優愛は
「もう、これは運命だ。」
と思った。
その後の中学生活でも、亨はいつも優愛の側にいてくれた。
体育の授業では、亨がいつも一緒にサッカーをやってくれたり、文化祭の準備で協力し合ったりして、彼との思い出はどんどん増えていった。
特に、文化祭での出し物の準備では、二人で一緒に過ごす時間が多く、自然と心が近づいていくのを感じた。

ある日、放課後に図書館で勉強していた時、亨が近くに座ってきた。
「優愛、これ手伝ってもいい?」
と彼が言ってくれた瞬間、優愛の心臓はドキドキし始めた。
彼と一緒にいることが嬉しくて、思わず頬が赤くなってしまった。

中学の最後の頃、優愛は自分の気持ちに気づき始めた。
「亨のことが好きかもしれない…」
そう感じるようになっていたが、まだその思いを口にする勇気は持てなかった。
彼女は友達に相談することもなく、一人で葛藤していた。

高校受験の時、亨と同じ高校を目指すことを決めた時、優愛の心には期待と不安が入り混じっていた。
彼が同じ学校に入ることで、もっと近くにいられるかもしれないという思いがあった一方で、彼の目が他の女の子に向いてしまうのではないかという不安も抱えていた。

高校に入学した日、優愛はドキドキしながら教室に入った。
亨の姿を見つけた瞬間、安心感が心を包み込んだ。
彼が周りの友達と笑っている姿は、彼女にとって何よりも心強いものだった。
新しい環境の中で、二人は再び友達として過ごすことになった。
その後、優愛は亨に対する思いを秘めながら、彼との関係を大切にしようと決意した。

だが、美咲の登場によってその気持ちは複雑になっていった。
美咲はいつも自信に満ち溢れ、周囲を惹きつける存在だった。
彼女が亨に寄り添う姿を見るたびに、優愛は胸が苦しくなり、
「私も、もっと亨のそばにいたい…」
という思いが高まった。
彼との関係をどう深めていくか、優愛は真剣に考えるようになった。
彼女の思い出は、亨への愛情の一歩一歩を刻み込んでいく。

(どうすれば亨に振り向いてもらえるの?)
優愛は心の中で悩み続けた。
昨日、思い切って告白まがいのことをしてしまい、自分がどれほど彼に惹かれているのかを再認識した。
「私、亨のことが好きだよ」
と言った瞬間、彼の驚いた顔を見て、自分の行動を後悔したのだ。
恥ずかしさとドキドキが混ざり合い、亨の反応が怖かった。
彼が
「優愛、ありがとう。
でも…」
と曖昧な返事をしたことで、優愛は自分の気持ちが一方通行であることを痛感した。

(どうして美咲がいると、こんなにも不安になるの?)
優愛は心の中で思い悩む。
彼女が亨のそばにいると、どれだけ素敵で魅力的であっても、どうしても比較してしまう。
美咲の存在が、彼女自身の心に重くのしかかっていた。

優愛はふと周りを見渡す。
友達たちが楽しそうに談笑している姿を見て、自分だけが取り残されているような気持ちになった。
「亨にしかできない特別なことが、美咲には簡単にできてしまうの?」
そんな思いが心の奥でざわめいていた。

(やっぱり、私はどうすればいいの?)
優愛は思い悩む。
亨の気持ちを引き寄せるためには、自分がもっと強くならなければならないのか、あるいは、美咲と同じように自信を持つことが必要なのか。
それとも、今のままの自分でいることが、亨にとっての「特別」になれるのか。

優愛は自分の心を整理しながら、再び本に目を戻そうとするが、どうしても集中できなかった。
美咲が亨に接している姿が浮かんでくるたびに、嫉妬や不安が心の中で渦巻いていた。

(このままじゃダメだ。
私、もっと自分を大切にしなきゃ。)
優愛は心に決意を固めた。
美咲と同じように振る舞うことはできなくても、自分にしかない魅力を見つけて、亨にその魅力を伝える方法を考えることが必要だと感じた。

図書館の静寂の中で、優愛は新たな決意を胸に秘めながら、自分自身を見つめ直していた。
亨との関係をどう深めていくか、その答えを見つけるために、自分自身を変えていく覚悟を決めた。
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