年上の許嫁女教師は大胆な帰国子女

naomikoryo

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邪魔な来訪者

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保健室で美咲は、僕に唐揚げを
「あ~ん」
して食べさせようとする。
「ほら、これ美味しいから!」
と、嬉しそうに言いながら自分の箸で唐揚げを差し出す。



しかし、僕はその行為に恥ずかしさを感じてしまい、
「い、いや、そんなのいいよ」
と断ってしまった。
「そんな事言わないで、ね?」
尚も食い下がってくる美咲。
ちょっと上目遣いに斜め下から持ってくる唐揚げに目をやると、
「!!」
僕はとっさに目を泳がせる。
このアングルって、
「超マズイじゃん!」
つい、言葉に出る。
「失礼ね、おいしいってば!
私だって、唐揚げぐらいなら作れるんだから!
味付けなんかは京さんだけど…」
美咲がちょっと膨れた頬で、顔を横に背けた僕の口元に無理やり唐揚げをくっつけた。
「おうっ!」
僕は拍子の抜けた声を出してしまった。
その隙を見て、美咲がねじ込んできた。
「あっ、ん、うんうん…」
仕方なく噛み始めるが、勿論、これは母親の味で何の文句もない。
「ふふ。」
と満足げに自分の箸を舐める美咲。

その時、保健室の入り口をガンガンと叩く音が響いた。
「亨?
いないの?
ちょっと~、なんで鍵が…」
と優愛の声が聞こえてくる。
亨は急に緊張が走り、思わずドアを見る。
「あ、優愛だ…」とつぶやく。

「鍵閉めたの?」
と聞くと、美咲は少し困った顔をしながら、
「食事が終わったら開けるつもりでいたわよ。」
と軽く笑顔で返す。
だがその一方で、亨には分からないように小さく舌打ちをして、ドアに近づく美咲。

優愛がドアを叩き続ける音が、保健室内の静けさをかき消していた。
「どうするの?
開けないとまずいんじゃないか?」
と焦り始める。
美咲は少し考えた後、
「ちょっと待って、私が開けてくるから。」
と優しい声で言い、ドアに向かった。
「はいはい、今開けるわよ。
おかしいわね、鍵なんかかけた覚えはないのに。」
わざとらしく大きめの声を出す。

美咲がドアを開けると、優愛が驚いた表情で彼女と僕を交互にを見る。
「え、何してるの?」
と優愛が尋ねると、美咲は微笑みながら
「亨のお母さんに頼まれて、彼にお弁当を食べさせていたのよ。」
と軽くごまかす。

優愛は亨の様子を見て、
「そうなの?」
と心配そうに言った。
僕は
「うん、そうだよ。
何か用?」
と答えたが、心の中では美咲との親密な瞬間が台無しになってしまったことに少しがっかりしていた。
「…別に」
優愛は怪訝そうに弁当箱を覗き込む。

すると美咲が優愛の肩を掴んでドアの方に連れていく。
「私たち食事中だから、もう戻っていいわよ?」
とにっこりと微笑んだ。
優愛は少し戸惑いながらも、
「わかりましたわ…」
と言い、優しく微笑んだ。

僕は安堵の息を吐いたが、心の中では、優愛の存在と美咲との関係が交錯し続けていた。
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