29 / 85
第29話『反省文と先生と、意味不明なカオスの結末』
しおりを挟む
次の日の朝――教室。
青木真人と美穂は、机を並べて縮こまっていた。
なぜかというと――昨日の“校内シュシュ爆走事件”、どう考えても怒られる案件だったからである。
「……ねぇ、あたしたち、ほんとに“先生呼び出し”あるかな……」
「……90%であるな。いや98%だな。むしろ100%と言っていい」
「てかさ、先生、昨日“走っちゃだめよ~♡”って軽く言ってたけど、アレ絶対“次会ったとき叱る”って顔だったよね?」
「うむ、あれは“嵐の前のスマイル”……油断させて落とすタイプ……」
「こっっっっわッ!!!!」
早紀が後ろから、アイスティー飲みながらボソッと言う。
「ていうかさぁ……そもそもお前らさ、騒いだ原因、“リュックにあったシュシュ”だよね?」
「やめて!!その事実が一番刺さるからやめて!!」
ことりも静かに加わる。
「騒いだあげく、“他人のシュシュ”を勝手に持ってこようとして、未遂で終わったっていうのがもう……」
「ちょ、ことりちゃん、静かに刺すのやめて!?!?」
そして。
チャイムが鳴ったその数分後――
やってきました。満を持して。
「おっはよ~~~~~っ♡」
笑顔のまま颯爽と入室する、我らが担任・増渕由美子先生。
一瞬、クラス全体が凍る。
美穂とマコトは顔面蒼白。
「え、でも昨日のこと……先生覚えてる……? 怒ってない……?」
「いやわからん。“天然すぎて本気で忘れてる”の可能性もある……」
「それ逆に怖くない!? 一番怖いやつじゃん!!」
すると、増渕先生、笑顔のまま言った。
「マコトくん、美穂ちゃん、ちょっと職員室までおいで~~♡」
「でたあああああああああああ!!!!!」
「終わったあああああああああああ!!!!」
◆職員室・増渕ゾーン(やたら観葉植物が多い)
増渕先生、椅子にちょこんと座りながら二人に言った。
「ねえねえ、昨日の事件だけどね?」
「ひぃぃぃっっ……」
「先生、処分はやめてください! 謹慎とか停学とか退学とかっ!!」
「えっ!? そこまでの想像してたの!?」
「ほら、昨日さ~~、廊下すごい勢いで走ってたでしょ?」
「す、すみません!!反省してますッ!!この通りでございます!!」
「反省文でも何でも書きますううううう!!!」
「うん! 書いて♡」
「出たあああああああああ!!!!!!!」
「いやね~、“反省する姿勢がある”って大事だと思うの~~。
でも、ただの反省文じゃつまらないから、“未来の自分に向けたポエム調”でお願いね♡」
「ポエム調!?!?!?」
マコト:「それって“反省文”のカテゴリーに入れていいんですか先生!?」
「うん♡ タイトルはね~、“シュシュが教えてくれたこと”でお願い♡」
「なにそれ地獄なの!?!?!?!?」
◆数分後、教室・席に戻ってきたふたり
美穂:「……ヤバい……今、ポエム風反省文を出されようとしてる世界線にいる……」
マコト:「俺、いま文章の構成考えてるけど、“ありがとうシュシュ”から始まるしかない気がしてる……」
早紀:「ほんと、よく生きて帰ってきたね」
ことり:「……事件の終わり方が、どんどんシュールになっていってます」
◆放課後:提出の儀(!?)
先生:「はーい♡ 楽しみにしてたよ~~♡」
マコト(提出用紙):
『ありがとうシュシュ』
君がいなくなったことで僕たちは走り、叫び、そして恥をかいた。
でも、君がいたことで、僕たちはちょっとだけ青春した。
ありがとう。次はちゃんと持ち歩くね。
青木真人・反省度:70%(あと30%は自分の熱意に感謝)
美穂(提出用紙):
『ラメのきらめき、私のバカさ』
推し色に恋してた。
でも、その輝きは……リュックの奥にいた。
ごめん、あたしが一番の犯人だった。
これからは、探す前に、まず中を見る。
反省と共に。
美穂
先生:「さいっこう~~~~~♡♡♡」
「先生、満足しちゃった……!」
「むしろ喜んでたよね……?」
◆ラスト:名探偵ノート・番外編更新!
【事件名】
シュシュ騒動・完結編
【処分】
・反省文(ポエム)
・でもめっちゃ褒められた
【教訓】
・走るときは廊下じゃなくてグラウンド
・先生はだいたい味方
・ラメのシュシュは人を狂わせる
そして美穂は、最後に宣言した。
「よーし、次はちゃんとした“ガチ事件”起こすわ。
次のターゲットは給食のプリン……フフフ……」
「やめろォォォ!!今度こそ本当に怒られる!!」
(完)
青木真人と美穂は、机を並べて縮こまっていた。
なぜかというと――昨日の“校内シュシュ爆走事件”、どう考えても怒られる案件だったからである。
「……ねぇ、あたしたち、ほんとに“先生呼び出し”あるかな……」
「……90%であるな。いや98%だな。むしろ100%と言っていい」
「てかさ、先生、昨日“走っちゃだめよ~♡”って軽く言ってたけど、アレ絶対“次会ったとき叱る”って顔だったよね?」
「うむ、あれは“嵐の前のスマイル”……油断させて落とすタイプ……」
「こっっっっわッ!!!!」
早紀が後ろから、アイスティー飲みながらボソッと言う。
「ていうかさぁ……そもそもお前らさ、騒いだ原因、“リュックにあったシュシュ”だよね?」
「やめて!!その事実が一番刺さるからやめて!!」
ことりも静かに加わる。
「騒いだあげく、“他人のシュシュ”を勝手に持ってこようとして、未遂で終わったっていうのがもう……」
「ちょ、ことりちゃん、静かに刺すのやめて!?!?」
そして。
チャイムが鳴ったその数分後――
やってきました。満を持して。
「おっはよ~~~~~っ♡」
笑顔のまま颯爽と入室する、我らが担任・増渕由美子先生。
一瞬、クラス全体が凍る。
美穂とマコトは顔面蒼白。
「え、でも昨日のこと……先生覚えてる……? 怒ってない……?」
「いやわからん。“天然すぎて本気で忘れてる”の可能性もある……」
「それ逆に怖くない!? 一番怖いやつじゃん!!」
すると、増渕先生、笑顔のまま言った。
「マコトくん、美穂ちゃん、ちょっと職員室までおいで~~♡」
「でたあああああああああああ!!!!!」
「終わったあああああああああああ!!!!」
◆職員室・増渕ゾーン(やたら観葉植物が多い)
増渕先生、椅子にちょこんと座りながら二人に言った。
「ねえねえ、昨日の事件だけどね?」
「ひぃぃぃっっ……」
「先生、処分はやめてください! 謹慎とか停学とか退学とかっ!!」
「えっ!? そこまでの想像してたの!?」
「ほら、昨日さ~~、廊下すごい勢いで走ってたでしょ?」
「す、すみません!!反省してますッ!!この通りでございます!!」
「反省文でも何でも書きますううううう!!!」
「うん! 書いて♡」
「出たあああああああああ!!!!!!!」
「いやね~、“反省する姿勢がある”って大事だと思うの~~。
でも、ただの反省文じゃつまらないから、“未来の自分に向けたポエム調”でお願いね♡」
「ポエム調!?!?!?」
マコト:「それって“反省文”のカテゴリーに入れていいんですか先生!?」
「うん♡ タイトルはね~、“シュシュが教えてくれたこと”でお願い♡」
「なにそれ地獄なの!?!?!?!?」
◆数分後、教室・席に戻ってきたふたり
美穂:「……ヤバい……今、ポエム風反省文を出されようとしてる世界線にいる……」
マコト:「俺、いま文章の構成考えてるけど、“ありがとうシュシュ”から始まるしかない気がしてる……」
早紀:「ほんと、よく生きて帰ってきたね」
ことり:「……事件の終わり方が、どんどんシュールになっていってます」
◆放課後:提出の儀(!?)
先生:「はーい♡ 楽しみにしてたよ~~♡」
マコト(提出用紙):
『ありがとうシュシュ』
君がいなくなったことで僕たちは走り、叫び、そして恥をかいた。
でも、君がいたことで、僕たちはちょっとだけ青春した。
ありがとう。次はちゃんと持ち歩くね。
青木真人・反省度:70%(あと30%は自分の熱意に感謝)
美穂(提出用紙):
『ラメのきらめき、私のバカさ』
推し色に恋してた。
でも、その輝きは……リュックの奥にいた。
ごめん、あたしが一番の犯人だった。
これからは、探す前に、まず中を見る。
反省と共に。
美穂
先生:「さいっこう~~~~~♡♡♡」
「先生、満足しちゃった……!」
「むしろ喜んでたよね……?」
◆ラスト:名探偵ノート・番外編更新!
【事件名】
シュシュ騒動・完結編
【処分】
・反省文(ポエム)
・でもめっちゃ褒められた
【教訓】
・走るときは廊下じゃなくてグラウンド
・先生はだいたい味方
・ラメのシュシュは人を狂わせる
そして美穂は、最後に宣言した。
「よーし、次はちゃんとした“ガチ事件”起こすわ。
次のターゲットは給食のプリン……フフフ……」
「やめろォォォ!!今度こそ本当に怒られる!!」
(完)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる