面白ミステリー『名探偵マコトの事件簿2』

naomikoryo

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第29話『反省文と先生と、意味不明なカオスの結末』

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次の日の朝――教室。

青木真人と美穂は、机を並べて縮こまっていた。
なぜかというと――昨日の“校内シュシュ爆走事件”、どう考えても怒られる案件だったからである。
 

「……ねぇ、あたしたち、ほんとに“先生呼び出し”あるかな……」

「……90%であるな。いや98%だな。むしろ100%と言っていい」

「てかさ、先生、昨日“走っちゃだめよ~♡”って軽く言ってたけど、アレ絶対“次会ったとき叱る”って顔だったよね?」

「うむ、あれは“嵐の前のスマイル”……油断させて落とすタイプ……」

「こっっっっわッ!!!!」

早紀が後ろから、アイスティー飲みながらボソッと言う。

「ていうかさぁ……そもそもお前らさ、騒いだ原因、“リュックにあったシュシュ”だよね?」

「やめて!!その事実が一番刺さるからやめて!!」
 

ことりも静かに加わる。

「騒いだあげく、“他人のシュシュ”を勝手に持ってこようとして、未遂で終わったっていうのがもう……」

「ちょ、ことりちゃん、静かに刺すのやめて!?!?」

 
そして。

チャイムが鳴ったその数分後――
やってきました。満を持して。

 
「おっはよ~~~~~っ♡」

笑顔のまま颯爽と入室する、我らが担任・増渕由美子先生。

一瞬、クラス全体が凍る。
美穂とマコトは顔面蒼白。
 

「え、でも昨日のこと……先生覚えてる……? 怒ってない……?」

「いやわからん。“天然すぎて本気で忘れてる”の可能性もある……」

「それ逆に怖くない!? 一番怖いやつじゃん!!」

すると、増渕先生、笑顔のまま言った。

 
「マコトくん、美穂ちゃん、ちょっと職員室までおいで~~♡」

 
「でたあああああああああああ!!!!!」
「終わったあああああああああああ!!!!」

◆職員室・増渕ゾーン(やたら観葉植物が多い)

 
増渕先生、椅子にちょこんと座りながら二人に言った。

 
「ねえねえ、昨日の事件だけどね?」

 
「ひぃぃぃっっ……」
「先生、処分はやめてください! 謹慎とか停学とか退学とかっ!!」

「えっ!? そこまでの想像してたの!?」
 

「ほら、昨日さ~~、廊下すごい勢いで走ってたでしょ?」

「す、すみません!!反省してますッ!!この通りでございます!!」

「反省文でも何でも書きますううううう!!!」

 
「うん! 書いて♡」
 

「出たあああああああああ!!!!!!!」

 
「いやね~、“反省する姿勢がある”って大事だと思うの~~。
でも、ただの反省文じゃつまらないから、“未来の自分に向けたポエム調”でお願いね♡」

 
「ポエム調!?!?!?」

 
マコト:「それって“反省文”のカテゴリーに入れていいんですか先生!?」

 
「うん♡ タイトルはね~、“シュシュが教えてくれたこと”でお願い♡」

 
「なにそれ地獄なの!?!?!?!?」

◆数分後、教室・席に戻ってきたふたり

 
美穂:「……ヤバい……今、ポエム風反省文を出されようとしてる世界線にいる……」

マコト:「俺、いま文章の構成考えてるけど、“ありがとうシュシュ”から始まるしかない気がしてる……」

 
早紀:「ほんと、よく生きて帰ってきたね」

ことり:「……事件の終わり方が、どんどんシュールになっていってます」

◆放課後:提出の儀(!?)

先生:「はーい♡ 楽しみにしてたよ~~♡」

マコト(提出用紙):

『ありがとうシュシュ』

君がいなくなったことで僕たちは走り、叫び、そして恥をかいた。
でも、君がいたことで、僕たちはちょっとだけ青春した。
ありがとう。次はちゃんと持ち歩くね。

青木真人・反省度:70%(あと30%は自分の熱意に感謝)

美穂(提出用紙):

『ラメのきらめき、私のバカさ』

推し色に恋してた。
でも、その輝きは……リュックの奥にいた。
ごめん、あたしが一番の犯人だった。
これからは、探す前に、まず中を見る。

反省と共に。
美穂

先生:「さいっこう~~~~~♡♡♡」

 
「先生、満足しちゃった……!」

「むしろ喜んでたよね……?」

◆ラスト:名探偵ノート・番外編更新!
【事件名】
シュシュ騒動・完結編

【処分】
・反省文(ポエム)
・でもめっちゃ褒められた

【教訓】
・走るときは廊下じゃなくてグラウンド
・先生はだいたい味方
・ラメのシュシュは人を狂わせる

そして美穂は、最後に宣言した。

「よーし、次はちゃんとした“ガチ事件”起こすわ。
次のターゲットは給食のプリン……フフフ……」

「やめろォォォ!!今度こそ本当に怒られる!!」

(完)

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