8 / 85
第8話『名探偵、プリンに泣く ~最終推理ショータイム~』
しおりを挟む
舞台は放課後の教室。
窓から差し込む夕日が、まるで探偵ドラマのラストシーンを演出しているかのようだった――
そんな中、教壇の前には、堂々と立ち尽くす自称・名探偵、青木真人(14)。
彼の手には、なぜか虫眼鏡と自作の“証拠ファイル”(※ルーズリーフに手描き)。
「さて、諸君。今日の“事件”――『消えたプリン事件』の全容を、名探偵・青木真人が説明しよう。」
後ろでプリン食べてるみたいな顔のクラスメートたちを背に、真人は真剣な眼差しで語り出す。
◆【真人の推理ショータイム】
「この事件の始まりは、俺のプリンが消えていたこと。そこから俺は、**“犯人は教室にいる”**と推理した」
「配膳ミス、給食室の陰謀、そしてまさかの“先生犯人説”まで浮上したが……」
(後ろの増渕先生が「うふふ、あったね~♡」と笑ってる)
「……真相は、もっとシンプルだった」
バンッと証拠ファイルを掲げる。
「“今日のプリンは希望者のみ配布”!!」
「つまり!!
俺は! そもそも! 申込んでなかっただけだった!!」
ざわめく教室。
そして――
「ばっっっっっっっかじゃないの!!!!」
早紀の一喝が炸裂した。
真人は咳払いして、なおも続ける。
「しかし! この事件の本質は、プリンがなかったことではない!」
「……また始まった」
「俺が学んだのは、**“真実はひとつじゃない”**ってことだ!!」
「いや、今回は“ひとつ”だったけど?」
「いいや! 俺の中には“幻のプリン”が、確かに存在していた!
俺はそれを信じ、追い求めた! その情熱こそが名探偵の証明だ!!」
(しーん……)
「……というわけで、以上が事件の真相です」
そしてそのあと――
静かに立ち上がったのは、園田早紀だった。
◆【早紀によるまとめとツッコミ】
「えー、まとめます。
この“事件”は、以下の事実によって構成されていました」
今日のプリンはアレルギー配慮のため事前申込み制だった
真人はそのお知らせを完全に読んでいなかった
にもかかわらず、自分のプリンが“消えた”と思い込んで大騒ぎ
ついには先生を犯人扱いし、クラス全員を巻き込み、アンケートを配布
でも最終的に“最初からもらえる予定すらなかった”ことが判明
「つまり……これは事件ではなく、ただの読み飛ばし事故です!!」
(全員納得)
「じゃあおまえの推理は……」
「うるせぇ!!! 名探偵は心の中で勝手に推理するもんなんだよッ!!!」
そして最後、締めくくりは――この人しかいない。
◆【増渕先生の感想】
「え~! でもでも、今日すっごく楽しかったですぅ~♡
先生、途中で“先生がプリン食べちゃった説”が出たとき、ちょっと信じちゃったし!」
「自白!?!?!?」
「それに、“プリンって心の中にある”っていうの、なんか深くないですかぁ?
青春って感じ~~♡」
「え、そう?」「いや、全然そうじゃない」
教室中から微妙なリアクション。
「でも……先生、実は冷蔵庫にプリンもう1個あるんです♡
明日、ちゃんと申込んだ真人くんにあげるね!」
「先生……!!!」
真人、泣く(ガチで)。
こうして――
“消えたプリン事件”は、「申込み制です」の六文字で幕を閉じた。
名探偵の名にふさわしくなかったかもしれないけど、
“名騒動”として、しっかり記憶には残った……はずである。
そして真人は、こう締めくくる。
「……名探偵、まだまだここにいます!!(※たぶん次も何かしら騒ぎます)」
(完)
窓から差し込む夕日が、まるで探偵ドラマのラストシーンを演出しているかのようだった――
そんな中、教壇の前には、堂々と立ち尽くす自称・名探偵、青木真人(14)。
彼の手には、なぜか虫眼鏡と自作の“証拠ファイル”(※ルーズリーフに手描き)。
「さて、諸君。今日の“事件”――『消えたプリン事件』の全容を、名探偵・青木真人が説明しよう。」
後ろでプリン食べてるみたいな顔のクラスメートたちを背に、真人は真剣な眼差しで語り出す。
◆【真人の推理ショータイム】
「この事件の始まりは、俺のプリンが消えていたこと。そこから俺は、**“犯人は教室にいる”**と推理した」
「配膳ミス、給食室の陰謀、そしてまさかの“先生犯人説”まで浮上したが……」
(後ろの増渕先生が「うふふ、あったね~♡」と笑ってる)
「……真相は、もっとシンプルだった」
バンッと証拠ファイルを掲げる。
「“今日のプリンは希望者のみ配布”!!」
「つまり!!
俺は! そもそも! 申込んでなかっただけだった!!」
ざわめく教室。
そして――
「ばっっっっっっっかじゃないの!!!!」
早紀の一喝が炸裂した。
真人は咳払いして、なおも続ける。
「しかし! この事件の本質は、プリンがなかったことではない!」
「……また始まった」
「俺が学んだのは、**“真実はひとつじゃない”**ってことだ!!」
「いや、今回は“ひとつ”だったけど?」
「いいや! 俺の中には“幻のプリン”が、確かに存在していた!
俺はそれを信じ、追い求めた! その情熱こそが名探偵の証明だ!!」
(しーん……)
「……というわけで、以上が事件の真相です」
そしてそのあと――
静かに立ち上がったのは、園田早紀だった。
◆【早紀によるまとめとツッコミ】
「えー、まとめます。
この“事件”は、以下の事実によって構成されていました」
今日のプリンはアレルギー配慮のため事前申込み制だった
真人はそのお知らせを完全に読んでいなかった
にもかかわらず、自分のプリンが“消えた”と思い込んで大騒ぎ
ついには先生を犯人扱いし、クラス全員を巻き込み、アンケートを配布
でも最終的に“最初からもらえる予定すらなかった”ことが判明
「つまり……これは事件ではなく、ただの読み飛ばし事故です!!」
(全員納得)
「じゃあおまえの推理は……」
「うるせぇ!!! 名探偵は心の中で勝手に推理するもんなんだよッ!!!」
そして最後、締めくくりは――この人しかいない。
◆【増渕先生の感想】
「え~! でもでも、今日すっごく楽しかったですぅ~♡
先生、途中で“先生がプリン食べちゃった説”が出たとき、ちょっと信じちゃったし!」
「自白!?!?!?」
「それに、“プリンって心の中にある”っていうの、なんか深くないですかぁ?
青春って感じ~~♡」
「え、そう?」「いや、全然そうじゃない」
教室中から微妙なリアクション。
「でも……先生、実は冷蔵庫にプリンもう1個あるんです♡
明日、ちゃんと申込んだ真人くんにあげるね!」
「先生……!!!」
真人、泣く(ガチで)。
こうして――
“消えたプリン事件”は、「申込み制です」の六文字で幕を閉じた。
名探偵の名にふさわしくなかったかもしれないけど、
“名騒動”として、しっかり記憶には残った……はずである。
そして真人は、こう締めくくる。
「……名探偵、まだまだここにいます!!(※たぶん次も何かしら騒ぎます)」
(完)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる