女子高生探偵:千影&柚葉

naomikoryo

文字の大きさ
37 / 39
第1章:開かずのアパート

第37話:「静かなる日常」

しおりを挟む
——松風荘事件から三日後。

 千影の屋敷の広々としたリビング。

 事件の混乱が収まり、美咲は母・美沙と再会を果たし、ようやくまともな休息を取ることができた。

 柚葉はソファに寝転びながら、疲れた様子で伸びをする。

「ふぁぁ……やっと、普通の生活に戻れるって感じ……」

「そうね。警察の聴取も終わったし、一旦落ち着いたわ」

 千影は、紅茶をゆっくりと口に運びながら答えた。

「でもさぁ……本当に、杉田が"先生の代理人"だったなんてね……」

「ええ。正直、私も驚いたわ」

「っていうか、アイツ今どこにいるの?」

「警察が全国指名手配をかけたけど、まだ行方は掴めていないわ」

「……逃げられた、ってことか」

「でも、それだけじゃないわ」

 千影は、テーブルに置かれたスマートフォンの画面を見つめた。

 三日前に届いた、"先生"からのメッセージ——

『ゲームはまだ続く。次の幕が上がるのは、君たち次第だ。』

「"先生"はまだ動いている」

 千影の瞳に、冷静な光が宿る。

「これは、"終わった事件"じゃないわ。まだ"続いている"のよ」


 ——午後2時、都内の喫茶店「ル・シエル」。

「千影、お待たせ」

 透真がカウンター席で待っていた。

 千影は椅子に腰掛け、すぐに本題に入った。

「警察の捜査はどうなっているの?」

「"松風荘事件"としては、一応"違法監禁の疑い"で捜査が進んでいる。だが、杉田の行方が分からない以上、決定的な証拠が足りないんだ」

「やっぱり、簡単には掴めないのね」

「……正直なところ、"先生"の影響力が思ったより大きいんじゃないかと思っている」

「どういうこと?」

 透真はコーヒーを一口飲んでから、静かに言った。

「警察の内部に"先生"の息がかかっている可能性がある」

「……!」

「杉田の情報が、警察のデータベースから一時的に"消えていた"ことが判明した」

「消えていた……?」

「データの改ざんが行われた痕跡がある。つまり、誰かが意図的に杉田を"逃がした"んだ」

 千影はテーブルの上で指を組み、考え込んだ。

「つまり、"先生"は警察にも影響を持つ存在……?」

「可能性は高い。松風荘の地下にあった"取引データ"が決め手になれば、もっと大々的に動けるんだが……」

「……データ、ね」

 千影はスマートフォンを取り出し、事件の最中に回収したUSBメモリを確認する。

「これに"先生"の秘密が詰まっているはずよ」

 透真は少し目を細めた。

「お前、まだこれを解析してなかったのか?」

「ええ。でも、今すぐ確認するわ」


 ——午後5時、千影の屋敷・書斎。

「さて……このUSBの中身、確認するわよ」

 千影はパソコンを立ち上げ、USBを挿し込む。

 画面には、いくつかのフォルダが表示される。

・松風荘_取引データ
・警察関連資料
・"先生"のメモ

「……これは……!」

「マジで"先生"の秘密が詰まってるじゃん!!」

 柚葉が身を乗り出す。

 千影は慎重にフォルダを開き、**"先生のメモ"**を確認する。

『杉田の役目は終わった。
 次の駒を動かす。
 ターゲットは"美咲"だ。』

「なっ……!?」

 美咲の顔が青ざめる。

「わ、私……?」

「……やはり"先生"は、次の一手を打ってきたわね」

 千影はスマートフォンを手に取り、透真にメッセージを送った。

『USBのデータ解析完了。"先生"は次のターゲットとして美咲を狙っている可能性が高い。
 警戒を強める必要あり。』

「もう、私たちが"先生"から逃れられることはないわ」

 千影は静かに微笑む。

「なら——こちらから"先生"を追うしかないわね」

——"先生"との戦いは、まだ始まったばかり。
 次なる舞台が、すぐそこに待っている——。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純七
ミステリー
高校生の田中健太と隣の席の山本咲良の体が入れ替わる話

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ツルギの剣

Narrative Works
青春
 室戸岬沖に建設された海上研究都市、深水島。  舞台はそこに立つ女子校、深水女子高等学校から始まる。  ある日、深水女子高等学校の野球部に超野球少女が入部した。  『阿倍野真希』と呼ばれる少女は、ささいなことから本を抱えた少女と野球勝負をすることになった。  勝負は真希が勝つものと思われていたが、勝利したのは本の少女。  名前を『深水剣』と言った。  そして深水剣もまた、超野球少女だった。  少女が血と汗を流して戦う、超能力野球バトル百合小説、開幕。 ※この作品は複数のサイトにて投稿しています。

【完結】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』

M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。 舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。 80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。 「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。 「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。 日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。 過去、一番真面目に書いた作品となりました。 ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。 全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは「よろひこー」! (⋈◍>◡<◍)。✧💖 追伸 まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。 (。-人-。)

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

処理中です...