風の世界の童話|ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

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ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

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ぼくは、いつもママにおこられる。

「わるいことしちゃったなぁ」と おもうときもあれば、なんでおこられたのかなと、おもうときもあるんだよ。

ママは「なんども、おなじことをいわせないで」とおこるけど、こないだときょうはちがうのにな。

なにが「おなじこと」なんだろう…。

ママ、
ぼくが、おともだちとけんかしたのは、さきに おともだちが いやなことを したからなんだよ。

ママ、
ぼくが、どうろのまんなかで、とまっちゃったのは、どうろの まんなかに いるときに、ママがどこにいるか しんぱいに、なったからなんだよ。

でもぼくは、「ママ、きいて」っていえないから、ママにおこられたら、ごめんなさいって いうだけだけど。

もしかしたら、ママは ぼくのことがきらいで、だから なんでも おこるのかもしれない。


あるひ、ぼくはそうおもって、よるのほしにきいてみたんだ。



よるのほしは、キラッとひかり、そのひ、ぼくにゆめをみせてくれた。


ママのおなかに、ぼくがやってきた"ひ"のこと。

ママはびっくりして、とてもよろこんで、パパにぼくがうまれることを、つたえていた。


うまれた"ひ"のこと。

ママは、いっしょうけんめい、がんばって、ぼくをうんだ。うまれたときから、ずっと、ママはぼくがあるけるようになるまで、だっこしたり、ベビーカーにのせて、いつも、ぼくといっしょに あるいてくれた。

おおきくなって、あるいた"ひ"のこと。

ママは、しんぱいそうに、いつもぼくをみていた。
あれ、このおかお、ぼくしってるよ。

ママはいまも、ぼくをこのかおでみてるよ。
そうか、いまも、しんぱいなんだ。

ほしは、もうひとつ、みせてくれた。
ぼくが、ねたあとのママも。

ぼくがねたあと、ママは「おこっちゃった」ってかなしいきもちになることもあるみたい。
どうしてかなしいきもちになるんだろうと、ぼくはかんがえた。

ほしは、キラッとまたたいて、ぼくはまぶしくなった。

めを、あけるとぼくはママのきもちになった。

ママは、いつもぼくのことをかんがえていて
こんなことをしたら、ぼくが、けがをするんじゃないか、こんなことをしたら、おともだちが、いやなきもちになるから、おともだちに きらわれて、ひとりぼっちになっちゃうんじゃないか、そうかんがえているんだ。

だからママは、「しんぱいのおかお」をするんだね。

それから、ママも、「いいすぎちゃったな」っておもうことがあるみたい。

ぼくもあるよ、いいすぎちゃうこと。

ママは、ぼくのことが きらいじゃなくて だいすきなんだね。

すると、またほしがうなずくように、またたいて

ぼくとてもとても、まぶしくなった。

きがつくと、あさだった。

ぼくは、ママにいったんだ。

「ママ、だいすきだよ。」

「ママも、だいすきよ。」
とママはこたえた。

「うん、しってるよ!」

ママはふしぎそうだったけど、おしえてあげないよ。
きょうからぼく、ママがおこっても、ちゃんということ、きくからね。

もし、ちがうよっておもうときは おはなしするからね。



おほしさま、ありがとう。
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