風の世界の童話|ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

風の世界

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ママは ぼくを おこるけど【連作短編】

しおりを挟む
ぼくは、いつもママにおこられる。

「わるいことしちゃったなぁ」と おもうときもあれば、なんでおこられたのかなと、おもうときもあるんだよ。

ママは「なんども、おなじことをいわせないで」とおこるけど、こないだときょうはちがうのにな。

なにが「おなじこと」なんだろう…。

ママ、
ぼくが、おともだちとけんかしたのは、さきに おともだちが いやなことを したからなんだよ。

ママ、
ぼくが、どうろのまんなかで、とまっちゃったのは、どうろの まんなかに いるときに、ママがどこにいるか しんぱいに、なったからなんだよ。

でもぼくは、「ママ、きいて」っていえないから、ママにおこられたら、ごめんなさいって いうだけだけど。

もしかしたら、ママは ぼくのことがきらいで、だから なんでも おこるのかもしれない。


あるひ、ぼくはそうおもって、よるのほしにきいてみたんだ。



よるのほしは、キラッとひかり、そのひ、ぼくにゆめをみせてくれた。


ママのおなかに、ぼくがやってきた"ひ"のこと。

ママはびっくりして、とてもよろこんで、パパにぼくがうまれることを、つたえていた。


うまれた"ひ"のこと。

ママは、いっしょうけんめい、がんばって、ぼくをうんだ。うまれたときから、ずっと、ママはぼくがあるけるようになるまで、だっこしたり、ベビーカーにのせて、いつも、ぼくといっしょに あるいてくれた。

おおきくなって、あるいた"ひ"のこと。

ママは、しんぱいそうに、いつもぼくをみていた。
あれ、このおかお、ぼくしってるよ。

ママはいまも、ぼくをこのかおでみてるよ。
そうか、いまも、しんぱいなんだ。

ほしは、もうひとつ、みせてくれた。
ぼくが、ねたあとのママも。

ぼくがねたあと、ママは「おこっちゃった」ってかなしいきもちになることもあるみたい。
どうしてかなしいきもちになるんだろうと、ぼくはかんがえた。

ほしは、キラッとまたたいて、ぼくはまぶしくなった。

めを、あけるとぼくはママのきもちになった。

ママは、いつもぼくのことをかんがえていて
こんなことをしたら、ぼくが、けがをするんじゃないか、こんなことをしたら、おともだちが、いやなきもちになるから、おともだちに きらわれて、ひとりぼっちになっちゃうんじゃないか、そうかんがえているんだ。

だからママは、「しんぱいのおかお」をするんだね。

それから、ママも、「いいすぎちゃったな」っておもうことがあるみたい。

ぼくもあるよ、いいすぎちゃうこと。

ママは、ぼくのことが きらいじゃなくて だいすきなんだね。

すると、またほしがうなずくように、またたいて

ぼくとてもとても、まぶしくなった。

きがつくと、あさだった。

ぼくは、ママにいったんだ。

「ママ、だいすきだよ。」

「ママも、だいすきよ。」
とママはこたえた。

「うん、しってるよ!」

ママはふしぎそうだったけど、おしえてあげないよ。
きょうからぼく、ママがおこっても、ちゃんということ、きくからね。

もし、ちがうよっておもうときは おはなしするからね。



おほしさま、ありがとう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

アンナのぬいぐるみ

蒼河颯人
児童書・童話
突然消えてしまったぬいぐるみの行く先とは? アンナは五歳の女の子。 彼女のお気に入りのくまのぬいぐるみが、突然姿を消してしまい、大変なことに! さて、彼女の宝物は一体どこに行ったのでしょうか? 表紙画像は花音様に企画で描いて頂きました。

ありがとうのお話

古式亜矢
児童書・童話
くまのみらいちゃんのために、うさぎのひなちゃんががんばります。 大事な大事な「言葉」と「色」のお話。

ドラゴンの愛

かわの みくた
児童書・童話
一話完結の短編集です。 おやすみなさいのその前に、一話ずつ読んで夢の中。目を閉じて、幸せな続きを空想しましょ。 たとえ種族は違っても、大切に思う気持ちは変わらない。そんなドラゴンたちの愛や恋の物語です。

キコのおつかい

紅粉 藍
児童書・童話
絵本風のやさしい文体で、主人公の女の子・キコのおつかいが描かれています。冬支度のために木の実をとってくるようにお母さんに言いつけられたキコ。初めてのひとりでのおつかいはきちんとできるのでしょうか?秋という季節特有の寒さと温かさと彩りを感じながら、キコといっしょにドキドキしたりほんわかしたりしてみてください。

シャルル・ド・ラングとピエールのおはなし

ねこうさぎしゃ
児童書・童話
ノルウェジアン・フォレスト・キャットのシャルル・ド・ラングはちょっと変わった猫です。人間のように二本足で歩き、タキシードを着てシルクハットを被り、猫目石のついたステッキまで持っています。 以前シャルル・ド・ラングが住んでいた世界では、動物たちはみな、二本足で立ち歩くのが普通なのでしたが……。 不思議な力で出会った者を助ける謎の猫、シャルル・ド・ラングのお話です。

タツマキにのまれて……

いっき
児童書・童話
その日。タツマキにのまれたぼく達は……

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

桃岡駅の忘れ物センターは、今日も皆さん騒がしい。

桜乃
児童書・童話
桃岡駅(とうおかえき)の忘れ物センターに連れてこられたピンクの傘の物語。 ※この物語に出てくる、駅、路線などはフィクションです。 ※7000文字程度の短編です。1ページの文字数は少な目です。   2/8に完結予定です。 お読みいただきありがとうございました。

処理中です...