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初めての友達と#1

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初登校から約二週間。その間は特に体調を崩すこともなく、安定した日々を送っていた。
そんなある日の夜だった。

「柊ーーーーーー!!うわあああん!!どうしよう!!!」

祥吾が部活から帰ってくると、何故か早々に泣き付かれた。

「なんだ?どうした!?なんかあったのか!?」
「オレ、明日から一週間遠征行くことになっちゃったああああ!!」
「ああなんだ……そんなことか。頑張れよ」
「そんなことじゃないでしょ!?オレ明日から一週間も居ないんだよ!?一週間離れ離れなんだよ!?」
「いや……部活の遠征なら仕方ないだろ?」
「イヤだよぉぉ!!片時も柊と離れたくないいいい!!」

本当に……いつからコイツこんなべったりになっちゃったんだろうか……
昔はもっと距離があった気がするんだけど……

「我儘言うなよ……お前スポーツ推薦でここ入ったんだから、いかないと学校追い出されるぞ」
「わかってるけど、わかってるけどイヤなんだよおお!!だってオレ、この学校入ったの柊と二人きりのラブラブ寮生活するためだもん!!陸上したくて入ったわけじゃないもぉぉん!」
「お前今陸上部の連中全員敵に回したぞ」

全国行くレベルの陸上選手のくせに、なんちゅう奴だ……

「俺と寮生活したいにしても、部活はしないと退学なのは変わんねえんだから、諦めて行ってこい」
「……遠征終わった後にデートしてくれるなら、行く……」
「デート!?」

何言ってんだこいつ!?

「兄弟同士で何がデートだよ……」
「デートしてくれないなら行かない!!行かなくてもここに残れるように理事長脅す!」
「理事長脅すな!わかった、デートしてやるから行ってこい!」
「やったー!約束だよ!?」
「わかったわかった……」

理事長を脅されては困るので、仕方なくデートをすることを条件に遠征に行ってもらうことになった。
……何故俺が遠征に行ってもらうように頼んでるのか……

こうして俺は明日から一週間の間、一人で過ごすこととなった。

しかしこうなると、昼休みの間が暇になる。
昼休みはいつも祥吾と一緒に医務室まで行って飯を食べて、診察をしてもらった後は祥吾と終わりまで時間を潰す流れになっていた。
その祥吾が居ないとなると……診察が終わってからが暇になってしまう。

「どうしようかな……あ、そうだ!ハルと一緒に居られたら……」

できるなら、俺の初めての友達となったハルと過ごしたい。
ハルは授業はサボっていることが多いけど、昼休みからは必ず学校に来ている。
その間、ハルと一緒に過ごせたら、暇も潰せる。

早速明日誘ってみようと心に決めた。


そして次の日の昼休み。
ハルは午前の授業の間はサボっているのか、教室に居なかった。
でも、多分昼からはどこかにいる筈だ。

俺は早めに医務室に行き、昼食を取った。
昼食はいつもは祥吾が弁当を作ってくれていたが、今はいないので購買部で買ったおにぎり一つだ。
俺の胃の大きさでは、おにぎり一つが限界だ。
おにぎりを食べ終えて、篠北先生にいつもの診察をしてもらったあと、俺はすぐさま校舎内を回り始めた。

中庭や空き教室等、よくハルがサボりに使っている場所を探したが、見つからなかった。

「う~ん……居ないなあ」

今日は諦めて教室に戻るか、と思った矢先、俺はこんな会話を聞いた。

「なあこれから屋上いかね?」
「ああ、いいね。天気もいいしな」

……そうか、屋上!
屋上はてっきりいけないと思っていたので、探していなかった。
もしかしたら屋上になら、居るかもしれない。
俺は早速屋上へ向かった。

屋上に出ると、びゅう、と途端に風が吹き抜けた。

「うわ、屋上って意外と風強いな……」

風に押されながらも、なんとか屋上のフェンスまで歩いて行った。

「へえ……結構見晴らしいいなあ……風強いけど」

日を遮るものがないので暖かいが、風を遮るものもないのでかなり風も強い。
このままずっと居たら体を冷やしそうだ。

「……へ、へくしょんっ!……ずずっ」

と思ったら早速くしゃみが出て、その拍子に鼻水も飛び出した。

「うわ、鼻水が……ティッシュ……ない!?」

ポケットを漁ったがティッシュが一枚もなかった。いつもは切らさないように常備しているのに……

「やば……どうしよう!?」
「……何してんだよ」
「!?」

すると頭上から声がした。
そして、スタッと軽やかな音を立てて誰かが側に降り立った。

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