虚弱体質の俺が全寮制学園に入った結果

めがてん

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プロローグ

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満員とまではいかないが、座席はすべて埋まっている電車の車内。
その中に、顔のよく似た男子が二人乗っていた。
二人は大きなスポーツバッグを持っていた。

「――しゅう、空いてる席ないけど……立ったままで平気?」
「大丈夫だって。心配しすぎ」
「でも……」

二人のうちの、少し背が高く短髪の方が、髪が少し長めで華奢な体をしている方を心配そうに見ていた。

「じゃあせめてバッグ持つから貸して」
「いいって。それじゃしょうが大変だろ」
「それくらいなんともないから。それより柊に倒れられる方が大変」
「……う……、わかったよ」

不承不承、といった形で、柊と呼ばれた背の低い方が祥と呼ばれた背の高い方にバッグを渡した。

「これからは絶対に無理しないでよ。今日から実家離れて寮生活になるんだから、少しでもつらくなったら絶対にオレに言うこと!」
「わかってるって」
「わかってない!そういっていっつも柊は無理するんだから……」
「だから、これからはしないよ。具合悪くなったらすぐお前に言うから」
「絶対だよ!?絶対守ってよ!せっかく二人だけで住めるようになったのに、即連れ戻されるとか嫌だからねオレ!」
「いや寮だから二人だけじゃないし……」

そのとき、電車がガタンと大きく揺れた。

「う、うわっ!」
「柊!」

柊がその揺れに耐えられずに祥の方へ倒れこんだ。
二人は抱き合うような形になった。

「わ、悪い……大丈夫か?……祥!?」
「……え?何?」
「鼻血出てるけど!?どっかぶつけたのか!?」
「え?別にどこもぶつけてないよ?」
「じゃあなんだよそれ!」
「柊に抱き付かれたのが嬉しくて、つい……」
「ああなんだ……いつものか……。ほらティッシュ」
「うん」

柊から渡されたティッシュを恍惚そうな顔で詰める祥。
そのあと、やけに密着度の高い二人は、『北斗学園前』駅で降りて行った。

二人が降りた後、数名の女子がぷるぷると肩を震わせていたことは、もちろん二人が知る由もなかった。

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