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記憶なき女Ⅳ 傀儡
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湯気がリビングに舞っている。どこの家でもあるありきたりな食卓。夕食はいつもに増して豪華だ。
「どお? おいしい? あなたの大好きなタンシチューなの」
詩織の笑みにも慣れてきた。何をどうすればずっと笑っているのかも正直どうでもいいが、もうすこしだけ付き合う必要が理佐にはあった。
「おいしいわ。私はこれをいつも食べていたのね」
「だって大好物ですもの」
「色々記憶を思い出すためにありがとう。でもこうして生活を続けていると、やっぱり本当に自分は尾坂理佐なのか
悩んでしまうのよ」
「理佐ちゃんの記憶のことだけどね。もう無理に思い出さなくていいわ。あなたがこうして生きているだけで私たちは満足している」
「アルバムの写真も何度も見返したわ。でも何度見ても思い出せないの。それに思い出そうとすると、頭がくらくら
するわ」
「無理にしないの。私たちも酷なことはしたくないから」
「つらい過去とは向き合いたいの。引き出しの中を漁ったら、昔、書いていた日記が見つかったわ。読んだら自分がいかに出来損ないだったことがよくわかったの。前にも自分にちゃんとテストの点が取れなければ養子でも取るって言っていたわよね」
「私、理佐ちゃんが何を言っているのか全く……」
「覚えていないの? たとえ、私の昔の写真をつなぎ合わせて理佐に仕立て上げても偽れないものはあるわ」
詩織の笑顔がずいぶんと引きつっていた。
「色々と理佐の思い出を植え付けようとした細工は至る所にあったわね。アルバムの写真は本物の理佐とすり替えて張り付けたのよ。ちなみに言うと私はコーヒーをブラックで飲まないの」
「苦手になったのかしら。昔は好んで飲んでいたのに」
「本物の理佐はそうだった。あの子は学校へポットにホットコーヒーを持ってくるぐらいだから。親譲りなのね」
理佐は違う。いや、理佐と名乗らされていた自分はブラックが苦手なのだ。入院していたとき、間違えてブラック
コーヒーを買ってしまったとき、苦い思い出が蘇った。
ブラックは嫌い。
返事がない。
「続きを話しましょうか」
理佐は話を続ける。早いところ尾坂理佐という役から降りたくて仕方なかった。
「あなたたちは私を理佐に偽装して連れ帰ったわけだけど、いつ私が記憶を取りもどして出ていくか分からない。だから部屋に盗聴器が仕込んだのね。勉強机の下のコンセントを調べたら見つかったわ」
二人は俯いたまま何も言わなかった。
「まあ、誰かしらこんなもの。怖いわ……」
「とぼけなくてもいいでしょ。お母さんがやったのよ。万が一、どこかに逃げ出さないように私の行動を把握するた
めよ。手の込んだ芸を仕込んだわね」
「芸だなんて」
「茶番劇は終わりにしましょう。私はあなたたちの娘じゃないから。私はもう自分の名前を取り戻した」
「突然、何を言い出す。先生だって君を尾坂理佐だと言っていたじゃないか」
「香西沙良が本当の名前よ。病院では風井空として入院させたのね。夜中に歩いていたら私を空と呼ぶ看護婦がいたのよ。だから変だと思ったの」
「君は尾坂理佐だ。何を急に言い出す? それに名前が二つあるわけないだろう」
「本物の理佐は死んでいるから理佐の名前で診断書は書けない。だから担当の医師と看護婦をお金で買収したのよ。
担当じゃない看護婦には風井空だと思っていたみたいね」
医師の畠山と看護婦の森本は話しかけるときは理佐と呼んだ。恐らくカルテ上は風井空だ。
「ずいぶんと言うじゃないの。でも証拠がないわね。先生が嘘をつくなんて変な話じゃない」
「お金でも積まれて買収されたのよ。証拠を見せてほしいのかしら。いいわよ。決定的な証拠教えてあげる。私が理
佐ではない証拠を」
四つ折りにされた用紙のタイトルに「血液型証明書」と書かれていた。用紙には名前の他に、生年月日、住所などともに血液型が記されていた。「Rh+のA型」。
「先生のカルテを見たらB型。私、気になってあなたたちが物置部屋にあったスーツケースを処分しに出かけたときに、寝室を調べたの」
詩織と誠の顔が青ざめていく。理佐は自分をだました二人のそんな表情を見て楽しんでいた。
「びっくりしたわ。母子手帳には尾坂詩織はB型。尾坂誠はO型と書いてあったんですもの」
これ以上言うまでもないことだろう。
「どうして。あなた、こんな何で。PCからこの子がどこに行くか確認していたって言っていたわよね」
詩織の顔は笑っていなかった。モナリザの気高くも敬虔な母の面影はどこにもなかった。あるのは憤怒のみだ。
「いや違う。でも、どうして?」
ダンとテーブルが叩かれて皿が揺れた。
「スマホで私の位置情報をPCから確認していたようね。お生憎様、喫茶店のトイレにおいて駅前に献血バスで調べ
てもらったの。難しい話じゃないわ」
理佐はにっこりとほほ笑んだ。ここしばらく笑ったことがなく、久しぶりに気分が晴れた。
ダン!
激しくテーブルを揺らした。
「この役立たず! どうしてあなたが見張っていないの!」
詩織は小皿に持ったサラダを誠に投げつけた。誠は間一髪避けた。床に叩きつけられた皿はパリンと割れる音を立
てた。
「もう終わりだ。いずれこうなるはずだよ。この子は賢い娘だ。小細工は通用しない」
うるさいと、詩織は叫んだ。
話は終わっていなかったが、横にいる女が騒々しい。
「うるさいのはあなたの方よ。続きを聞かせて」
理佐はドンと詩織の胸元を突いた。
「大丈夫。気絶しているだけ」
誠は椅子から転げ落ちていた。娘として扱っていた
「静かになったわ。本当の理佐は死んでいますもの。こんな手の込んだ偽装をするには病院側を買収したのね。主治
医と看護婦を」
「君の推理通りだ。個人情報は風井空のものを使わせてもらった。医者が診断書やカルテを作った。看護婦は見張り
役だ」
「あのスーツケースの中には、まさか……あなたたち、空をどうしたの」
沈黙は肯定を意味する。
「出来損ないの娘が私の前にもいたのね、理佐の代理が」
「詩織は理佐の代わりを欲しがっていた。最初に僕らは里親になって養子をもらったのさ。でも……」
詩織は教育熱心な母親だった。実の娘を立派な女性にするために勤勉さを叩きこんだ。理佐が死んだ後も養子に同
じことをやったのだろう。結果は見えているが。
なるほど。ただ二人が自分を娘に仕立て上げるためにはここまでやるだろうか。
「あなたたちは誰と組んでいるの? まさかあなたたちの力でここまでできるわけがないわ」
誠をじっと見る。何か隠しているようだ。
「そうなのね」
「なぜわかる?」
「記憶を失くす前から、私は命を狙われているのよ。誰が狙っているのかもわかっている。その人があなたたちを操っている」
やらねばならぬこと。自身の目的を遂げるための障害は取り払う必要がある。
「自分が何者かもわかっているのか?」
理佐がうなずいたときだった。自身の横をつむじ風のように通り過ぎる。
「役立たず! 役立たず! ああ、忌々しいわ! 全く!」
詩織はいつの間にか手に持った出刃包丁で夫を衝動のままにグサグサと刺していた。
誠は動かなくなった。まるで波打ち際に打ち上げられた魚のようだった。
「どいつもこいつも、まるでハエね。私たちの家族関係を邪魔しようとする」
ハアハア。
母と呼んでいた女の激しい鼓動を聞こえる。振り返るといつもの満面の笑みを理佐に見せた。詩織は散らばってい
た皿を拾い片づける。奇妙な光景だった。
「邪魔者はいなくなったわ。食事の続きにしましょう」
理佐は分からない。詩織が母を続ける動機が見えなかった。
「あなたは何がしたいの?」
「私は続きがしたいだけよ。理佐ちゃんが卒業して、大学に行って、社会で活躍している姿を想像するだけでは忍びないでしょ。あなたは他の娘とは違う。さすが仲が良いだけはあったわ。あなたの伯父さんからの提案は素晴らしかったわ」
「そこら辺にしといたら? あなたの娘だった理佐は十年も前に死んだわ。私もこの目で見たのよ」
沙良は記憶の扉を開ける鍵を見つけ出し、その扉を開けた。
「どお? おいしい? あなたの大好きなタンシチューなの」
詩織の笑みにも慣れてきた。何をどうすればずっと笑っているのかも正直どうでもいいが、もうすこしだけ付き合う必要が理佐にはあった。
「おいしいわ。私はこれをいつも食べていたのね」
「だって大好物ですもの」
「色々記憶を思い出すためにありがとう。でもこうして生活を続けていると、やっぱり本当に自分は尾坂理佐なのか
悩んでしまうのよ」
「理佐ちゃんの記憶のことだけどね。もう無理に思い出さなくていいわ。あなたがこうして生きているだけで私たちは満足している」
「アルバムの写真も何度も見返したわ。でも何度見ても思い出せないの。それに思い出そうとすると、頭がくらくら
するわ」
「無理にしないの。私たちも酷なことはしたくないから」
「つらい過去とは向き合いたいの。引き出しの中を漁ったら、昔、書いていた日記が見つかったわ。読んだら自分がいかに出来損ないだったことがよくわかったの。前にも自分にちゃんとテストの点が取れなければ養子でも取るって言っていたわよね」
「私、理佐ちゃんが何を言っているのか全く……」
「覚えていないの? たとえ、私の昔の写真をつなぎ合わせて理佐に仕立て上げても偽れないものはあるわ」
詩織の笑顔がずいぶんと引きつっていた。
「色々と理佐の思い出を植え付けようとした細工は至る所にあったわね。アルバムの写真は本物の理佐とすり替えて張り付けたのよ。ちなみに言うと私はコーヒーをブラックで飲まないの」
「苦手になったのかしら。昔は好んで飲んでいたのに」
「本物の理佐はそうだった。あの子は学校へポットにホットコーヒーを持ってくるぐらいだから。親譲りなのね」
理佐は違う。いや、理佐と名乗らされていた自分はブラックが苦手なのだ。入院していたとき、間違えてブラック
コーヒーを買ってしまったとき、苦い思い出が蘇った。
ブラックは嫌い。
返事がない。
「続きを話しましょうか」
理佐は話を続ける。早いところ尾坂理佐という役から降りたくて仕方なかった。
「あなたたちは私を理佐に偽装して連れ帰ったわけだけど、いつ私が記憶を取りもどして出ていくか分からない。だから部屋に盗聴器が仕込んだのね。勉強机の下のコンセントを調べたら見つかったわ」
二人は俯いたまま何も言わなかった。
「まあ、誰かしらこんなもの。怖いわ……」
「とぼけなくてもいいでしょ。お母さんがやったのよ。万が一、どこかに逃げ出さないように私の行動を把握するた
めよ。手の込んだ芸を仕込んだわね」
「芸だなんて」
「茶番劇は終わりにしましょう。私はあなたたちの娘じゃないから。私はもう自分の名前を取り戻した」
「突然、何を言い出す。先生だって君を尾坂理佐だと言っていたじゃないか」
「香西沙良が本当の名前よ。病院では風井空として入院させたのね。夜中に歩いていたら私を空と呼ぶ看護婦がいたのよ。だから変だと思ったの」
「君は尾坂理佐だ。何を急に言い出す? それに名前が二つあるわけないだろう」
「本物の理佐は死んでいるから理佐の名前で診断書は書けない。だから担当の医師と看護婦をお金で買収したのよ。
担当じゃない看護婦には風井空だと思っていたみたいね」
医師の畠山と看護婦の森本は話しかけるときは理佐と呼んだ。恐らくカルテ上は風井空だ。
「ずいぶんと言うじゃないの。でも証拠がないわね。先生が嘘をつくなんて変な話じゃない」
「お金でも積まれて買収されたのよ。証拠を見せてほしいのかしら。いいわよ。決定的な証拠教えてあげる。私が理
佐ではない証拠を」
四つ折りにされた用紙のタイトルに「血液型証明書」と書かれていた。用紙には名前の他に、生年月日、住所などともに血液型が記されていた。「Rh+のA型」。
「先生のカルテを見たらB型。私、気になってあなたたちが物置部屋にあったスーツケースを処分しに出かけたときに、寝室を調べたの」
詩織と誠の顔が青ざめていく。理佐は自分をだました二人のそんな表情を見て楽しんでいた。
「びっくりしたわ。母子手帳には尾坂詩織はB型。尾坂誠はO型と書いてあったんですもの」
これ以上言うまでもないことだろう。
「どうして。あなた、こんな何で。PCからこの子がどこに行くか確認していたって言っていたわよね」
詩織の顔は笑っていなかった。モナリザの気高くも敬虔な母の面影はどこにもなかった。あるのは憤怒のみだ。
「いや違う。でも、どうして?」
ダンとテーブルが叩かれて皿が揺れた。
「スマホで私の位置情報をPCから確認していたようね。お生憎様、喫茶店のトイレにおいて駅前に献血バスで調べ
てもらったの。難しい話じゃないわ」
理佐はにっこりとほほ笑んだ。ここしばらく笑ったことがなく、久しぶりに気分が晴れた。
ダン!
激しくテーブルを揺らした。
「この役立たず! どうしてあなたが見張っていないの!」
詩織は小皿に持ったサラダを誠に投げつけた。誠は間一髪避けた。床に叩きつけられた皿はパリンと割れる音を立
てた。
「もう終わりだ。いずれこうなるはずだよ。この子は賢い娘だ。小細工は通用しない」
うるさいと、詩織は叫んだ。
話は終わっていなかったが、横にいる女が騒々しい。
「うるさいのはあなたの方よ。続きを聞かせて」
理佐はドンと詩織の胸元を突いた。
「大丈夫。気絶しているだけ」
誠は椅子から転げ落ちていた。娘として扱っていた
「静かになったわ。本当の理佐は死んでいますもの。こんな手の込んだ偽装をするには病院側を買収したのね。主治
医と看護婦を」
「君の推理通りだ。個人情報は風井空のものを使わせてもらった。医者が診断書やカルテを作った。看護婦は見張り
役だ」
「あのスーツケースの中には、まさか……あなたたち、空をどうしたの」
沈黙は肯定を意味する。
「出来損ないの娘が私の前にもいたのね、理佐の代理が」
「詩織は理佐の代わりを欲しがっていた。最初に僕らは里親になって養子をもらったのさ。でも……」
詩織は教育熱心な母親だった。実の娘を立派な女性にするために勤勉さを叩きこんだ。理佐が死んだ後も養子に同
じことをやったのだろう。結果は見えているが。
なるほど。ただ二人が自分を娘に仕立て上げるためにはここまでやるだろうか。
「あなたたちは誰と組んでいるの? まさかあなたたちの力でここまでできるわけがないわ」
誠をじっと見る。何か隠しているようだ。
「そうなのね」
「なぜわかる?」
「記憶を失くす前から、私は命を狙われているのよ。誰が狙っているのかもわかっている。その人があなたたちを操っている」
やらねばならぬこと。自身の目的を遂げるための障害は取り払う必要がある。
「自分が何者かもわかっているのか?」
理佐がうなずいたときだった。自身の横をつむじ風のように通り過ぎる。
「役立たず! 役立たず! ああ、忌々しいわ! 全く!」
詩織はいつの間にか手に持った出刃包丁で夫を衝動のままにグサグサと刺していた。
誠は動かなくなった。まるで波打ち際に打ち上げられた魚のようだった。
「どいつもこいつも、まるでハエね。私たちの家族関係を邪魔しようとする」
ハアハア。
母と呼んでいた女の激しい鼓動を聞こえる。振り返るといつもの満面の笑みを理佐に見せた。詩織は散らばってい
た皿を拾い片づける。奇妙な光景だった。
「邪魔者はいなくなったわ。食事の続きにしましょう」
理佐は分からない。詩織が母を続ける動機が見えなかった。
「あなたは何がしたいの?」
「私は続きがしたいだけよ。理佐ちゃんが卒業して、大学に行って、社会で活躍している姿を想像するだけでは忍びないでしょ。あなたは他の娘とは違う。さすが仲が良いだけはあったわ。あなたの伯父さんからの提案は素晴らしかったわ」
「そこら辺にしといたら? あなたの娘だった理佐は十年も前に死んだわ。私もこの目で見たのよ」
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