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第2章 前夜
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いい夢と悪い夢を同時に見ていた気がした。目が覚めた先は、当たり前だが、現実だった。だが、何かが自分の中に入り込んできたようだ。それで中を見られた。
「よかった。帰ってきた」
目の前にいる女は、弐の王夕美。そうだ。この女に連れてこられたのだ。西王が呼んでいるからと言われ。
「おめでとう。流星」
西王。この世の最高権力者。
「あなたは王の儀を乗り切ったわ。これであなたは王よ。第五の宝を手にした」
彼女は淡々とした喋りをした。
「なんだ? あれはいったい?」
「宝に巣くう悪霊が、あなたを見定めた。で、あなたは認められたの」
王だと? 私がなぜだ?
床に仰向けになった自分の体の横に紫のステッキが置かれていた。これが宝なのか?
彼は自然とそれをつかみ取った。なんだ、何の変哲もない杖じゃないか?
笑った。どうやら夢を見ていたらしい。
『もう、わしを忘れたのか?』
突然、声がした。流星は、はっとなった。忘れもしない声だ。
「お前……」
『さあなすべきことをなそうではないか? お前の使命とやらを果たせ。そして奪い返せ。己の者を取り返し、今度は根こそぎ奪い取れ!』
彼の心は一瞬目まぐるしく変わる情景に追い付かなくなっていた。
だが彼はすぐに思い出し、フッと笑った。これまでにないほど満足していた。体中からみなぎるものを感じる。欲しかった力だ。
「終わったようね。6人になっていた王がこれで7人になったわ。みんなにあなたのことを紹介するわ」
西王は手をパンとたたき、その場を仕切りなおした。
「誰か私を待っているのか?」
「今日は私の館に王が集うのよ。烈王打倒に向けての作戦会議よ」
彼女はクスリと笑う。
烈王。あのゆがんだ者に今度こそ鉄槌を下すことができる。手にしたステッキをぎゅっと握りしめて、彼は己のうちに燃え盛る復讐の炎をたぎらせた。
「よかった。帰ってきた」
目の前にいる女は、弐の王夕美。そうだ。この女に連れてこられたのだ。西王が呼んでいるからと言われ。
「おめでとう。流星」
西王。この世の最高権力者。
「あなたは王の儀を乗り切ったわ。これであなたは王よ。第五の宝を手にした」
彼女は淡々とした喋りをした。
「なんだ? あれはいったい?」
「宝に巣くう悪霊が、あなたを見定めた。で、あなたは認められたの」
王だと? 私がなぜだ?
床に仰向けになった自分の体の横に紫のステッキが置かれていた。これが宝なのか?
彼は自然とそれをつかみ取った。なんだ、何の変哲もない杖じゃないか?
笑った。どうやら夢を見ていたらしい。
『もう、わしを忘れたのか?』
突然、声がした。流星は、はっとなった。忘れもしない声だ。
「お前……」
『さあなすべきことをなそうではないか? お前の使命とやらを果たせ。そして奪い返せ。己の者を取り返し、今度は根こそぎ奪い取れ!』
彼の心は一瞬目まぐるしく変わる情景に追い付かなくなっていた。
だが彼はすぐに思い出し、フッと笑った。これまでにないほど満足していた。体中からみなぎるものを感じる。欲しかった力だ。
「終わったようね。6人になっていた王がこれで7人になったわ。みんなにあなたのことを紹介するわ」
西王は手をパンとたたき、その場を仕切りなおした。
「誰か私を待っているのか?」
「今日は私の館に王が集うのよ。烈王打倒に向けての作戦会議よ」
彼女はクスリと笑う。
烈王。あのゆがんだ者に今度こそ鉄槌を下すことができる。手にしたステッキをぎゅっと握りしめて、彼は己のうちに燃え盛る復讐の炎をたぎらせた。
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