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第6章 逃避行
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流星
久しぶりの戦。この躍動、俺の軍勢が響かす音。いよいよ始まる。大いなる戦だ。敵は無謀にも火都の目の前に現れ、挑もうとしている。
いいだろう。相手になってやろう。ちまちました策略や、くどい作戦は要らない。戦に必要なのは力だ。相手を圧倒する絶対的な力だ。
軍勢は一万弱。黒門の前に集結した。
「開門!」
猛留は高らかに叫んだ。外に出れば、俺は烈王として敵に見せつける。荒ぶる王の恐ろしさ、皆がおののくだろう。黒門はギイイと歯車が擦れる音を当てゆっくりと開いていく。
すきま風が顔に吹き付ける。やがて隙間から敵兵の姿が見えてきた。
敵はこちらの倍はいるようだ。しかし、連合軍など烏合の衆に過ぎない。敵から王気を感じない。なるほど数を重んじれば大した戦いにはならないか。
猛留は落胆する。火都へ差し向けられた軍勢はただの人の集まりで、本気で火都を攻め落とすつもりはないと。
そうか陽動か。浅はかだ。俺を門の外にひきつけ、内部の警護を緩めさせ、聖女を取り返す算段なのだろう。だが読まれている。西王ともあろう者が、貧弱な策を練るとは堕ちたものだ。
まずは目の前の軍勢を一蹴しよう。彼の心には闘争しか頭になかった。高鳴る鼓動。猛留にとって全てだった。
彼は持っていた愛用の戟を振り回した。
夕美
火門。火都へ通ずるもう一つの門前で繰り広げられていた戦いは佳境に突入している。
「やあ姉さん、腕の傷みが相当響いているようだね?」
うるさい、と夕美は言う。
「ここは一先ず引きなよ。そうすれば見逃してあげるよ?」
「黙れ」
夕美は、火の鞭の猛攻に耐え続けた。機能しなくなった左腕をかばいながら、変幻自在に鞭をふるう攻撃を避けていたが、疲労のせいか動きが鈍くなり、捕捉された。
バンと弾き飛ばされた夕美は、地にへばりついた。
「はー。しぶといし、厄介だねえ。おい、もういいよ、とどめの一撃を食らわせて」
火の鞭は動きを止め、天高く鞭を付き上げ狙いを一転に絞った。
夕美はやっとのことで起き上がる。こんなところで力を使いたくなかったが、仕方がない。多少の本気を出すことにした。彼女はもう機能しない左腕を犠牲にした。王は、自らの肉体の一部を王の宝に巣食う悪霊に差し出すことでより強い力を引き出せる。
いつか肉体も、魂も、食われる身だ。ここで左腕を失っても後悔はない。
火炎に彩られた鞭が夕美を捉える。鞭は、彼女の体を木っ端微塵に吹き飛ばす、つもりだった。しかし逆に鞭が弾き飛ばされた。夕美の左手から青い巨大な腕が伸びて、一瞬のうちに火の鞭を捕まえる。
彼は怯える間もなく、謎の腕にひねりつぶされた。後には白煙が立ち込め、あとにガラクタだけが残った。火の鞭の遺骸はどこにもない。こいつは鬼ではなく幻術だ。
「ああ、苦心して作ったのに」
「相変わらず下らないものを作るわね。鬼と戦ったけど、あんたが作ったただの木偶。ちっともたいしたことがない」
「ひどい言い草だね」
「どいて」
面倒なので夕美は、聡士を問答無用に吹っ飛ばした。彼はどことなく消えた。逃げ足だけ早い。
あとは追わなければ。先に行ったせっかちで、後先考えず突っ走る白馬の騎士を探さないといけない。恐らく追われている最中だろう。仮に宮殿にたどり着けても、門には魔法がかけられていて、中には入れず困っているはずだ。
流星
老人の指し示さした道を駆け抜けた。入り組んだ裏道から裏道へ。行けども、行けども真っ赤に染まった建物と間に伸びる道。やがて道は終わり、目の前に巨大な煉瓦の塀に覆われた邸宅が広がった。
火炉宮。ついにたどり着いた。流星は悪の元凶とは何なのかを理解した。切り立った崖のように立つ宮殿。赤く塗り染められた屋根は人を威圧する。
ここだ……
すべてはここを起点に始まっている。正門の番人は、黒い甲冑に身を鎮め直立不動でいる。
暑さを体が感じている。汗が吹き出し、蒸発した。
もう時間がない。先ほど受けた火の洗礼の効果が切れかかっている。今ここで、どうやって宮殿の中に侵入するか考えている時間はほとんどない。
前のみを歩め。立ち止まっている場合ではない。
番人は、近づいてくる怪しげな者に不信感を見出し、手にした槍を突き出す。
「とまれ」
流星は止まった。番人たちが近づいてくるのを待った。弱点を見つけようと思っていた。そこを一瞬にして突き、まずは一人を倒す。
「何者だ?」
敵は近衛兵だろうか。訓練された者さながら、隙を見せない。二人はじりじりと詰め寄ってくる。
カランカランと、缶が転がるような音がした。番兵の注意が逸れた。
今だ!
何かが味方をしてくれた。流星はシュッと剣を抜き放った。
「であっ!」
目を一瞬でも背けたら命とりだ。門番は絶命した。
「貴様!」
もう一人がすかさず反撃に転じ、剣と槍が交差した。
「ええい!」
数度烈しい打ち合いが続いた。
負けるわけにはいかない。
両者必死に打ち合い烈しい火花が散らされる。やがて相手に懐に入った流星が次第に相手を追い詰めた。距離を詰
めれば、槍は不利だ。
彼は相手の槍を切り捨てる。番兵は武器を失い、地べたに手を付く。
「お助けあれ……」
わが身は、王に指示あって守る者、決して邪心ありませんと言う。
いまさら何をいうかと流星は思う。
「無念の内に祖国を焼かれ灰にされた父母、朋輩、大勢の命の仇だ」
そう言い放ち、男を一刀両断した。首筋からドクドクと血が吹きこぼれ、彼の体はぴくぴくと痙攣するが、そのう
ち動かなくなった。流星は事が済み、付着した血を拭うと剣をパチンとしまう。
番兵なら門を開く鍵を持っているはずだ。流星は、ごそごそと絶命した番兵の腰回りを探った。しかし何も出てこ
ない。
馬鹿な。鍵を持っていないのか。どうやって中に入る?
仕方がない。正門の近くまで行って、開け方を考えよう。
門は奇妙だ。本来ならあるはずの取手もなく、ただ分厚い一枚の壁があるだけのようだ。どのように開け、内部に
入ればいい?
そっと掌を門に当てる。とたんにジュウと焦げたような臭いがした。すかさず彼は手を放す。見ると赤くただれ、
鈍い痛みを伴う。
くそ、そういうことか。
魔法がかけられている。灼熱の扉を開くには、多分火の洗礼を受けた者でないと開けられない仕組みになっている。
「そこまでよ」
しまった。まだ敵が……
背後を振り返る。
「やっぱり困っていたわね?」
「殿下……」
弐ノ国王夕美がいた。
「馬鹿ねえ。あなた私が来なかったら、まごまごしているうちに敵に囲まれて犬死にだったわよ?」
「そのような野良犬と一緒にされては困る」
「あら、帰る当てもなくほっつき歩いていた人生でしょう。なら野良犬と大して変わらないじゃない?」
「何を!」
「うるさい男ね。些細なことで切れているようじゃ、烈王と大して変わらない。いい加減単身突っ込もうとするの
は、やめなさい」夕美はぴしゃりと言った。
「では、どうせよと?」
「自分の頭で考えることね」
夕美は冷たく言い切る。彼女を見た流星はある異変に気付いた。
「殿下、腕は? 左腕はどうされたのです?」
「大した傷じゃないわ。腕の一本ぐらい。別になくしたわけじゃないし」
彼女は平然言う。
「何? そんなことを心配して。腕なら、ほら」
とたんに片腕を失いダランと垂れていた袖に、腕が現れる。しかし変だ。何だか影が薄い。そこに確かに左腕はあ
る。しかしあるだけで、実際に腕を使って何かをつかみ取ったり、離したりすることはできない。
「でもこの手で、何かすることはできないわ」
「先ほどの門外で、傷を?」
「いいわよ。とにかく中に入りたいでしょ?」
「ええ、ですが火の呪いがかけられていて」
「あらそう」
夕美は残っていた片手を門の扉に当てた。
「火の呪い――」
どうするというのだ。流星は、都に潜入してから彼女に頼りっきりだ。できれば自身の力で、と思うが、無力にも
自分だけは門の向こう側に行けないのだ。
ここまで来て……なんということだ。
「少し待って」
夕美は、掌を暑さで離すどころか逆に押し当てた。
「殿下?」
彼女は目を閉じていた。何をやろうというのだろう。王の力はつぶさに見せつけられていたがあまりにも絶大だ。
西王にしろ、弐ノ国王にしろ、そう。彼らは力を持たざる者を『ただ人』と言った。まさしくその通りだった。
自分は、無力で、儚い、ただ人だ。なのに、単身で仇を討とうとしたのか。この日の国の覇者を一人で。愚か
しいにも程がある。
「ねえ、なにしているの?」
「はい?」
「入れるわよ」
流星の目には、目前の門に何も変わっている印象はない。
「どうやったのです?」
「見なかった?」
「え?」
「火の街道を登っている時見たでしょう。私が大量の水を魔法で集めて、火の魔物を蹴散らしたのを。火には水をっ
て話」
確かに、水をかければ火は自ずと消えてなくなる。
「私の王の宝は、あらゆるところで水を召喚できる。かの王とはつくづく相性がいいの」
夕美は笑い、門を蹴り飛ばして壊した。門は無残に壊れて原型をとどめてない。
「さあ行きましょう。あなたの姫は、きっと聖なる腕輪が指し示してくれる」
久しぶりの戦。この躍動、俺の軍勢が響かす音。いよいよ始まる。大いなる戦だ。敵は無謀にも火都の目の前に現れ、挑もうとしている。
いいだろう。相手になってやろう。ちまちました策略や、くどい作戦は要らない。戦に必要なのは力だ。相手を圧倒する絶対的な力だ。
軍勢は一万弱。黒門の前に集結した。
「開門!」
猛留は高らかに叫んだ。外に出れば、俺は烈王として敵に見せつける。荒ぶる王の恐ろしさ、皆がおののくだろう。黒門はギイイと歯車が擦れる音を当てゆっくりと開いていく。
すきま風が顔に吹き付ける。やがて隙間から敵兵の姿が見えてきた。
敵はこちらの倍はいるようだ。しかし、連合軍など烏合の衆に過ぎない。敵から王気を感じない。なるほど数を重んじれば大した戦いにはならないか。
猛留は落胆する。火都へ差し向けられた軍勢はただの人の集まりで、本気で火都を攻め落とすつもりはないと。
そうか陽動か。浅はかだ。俺を門の外にひきつけ、内部の警護を緩めさせ、聖女を取り返す算段なのだろう。だが読まれている。西王ともあろう者が、貧弱な策を練るとは堕ちたものだ。
まずは目の前の軍勢を一蹴しよう。彼の心には闘争しか頭になかった。高鳴る鼓動。猛留にとって全てだった。
彼は持っていた愛用の戟を振り回した。
夕美
火門。火都へ通ずるもう一つの門前で繰り広げられていた戦いは佳境に突入している。
「やあ姉さん、腕の傷みが相当響いているようだね?」
うるさい、と夕美は言う。
「ここは一先ず引きなよ。そうすれば見逃してあげるよ?」
「黙れ」
夕美は、火の鞭の猛攻に耐え続けた。機能しなくなった左腕をかばいながら、変幻自在に鞭をふるう攻撃を避けていたが、疲労のせいか動きが鈍くなり、捕捉された。
バンと弾き飛ばされた夕美は、地にへばりついた。
「はー。しぶといし、厄介だねえ。おい、もういいよ、とどめの一撃を食らわせて」
火の鞭は動きを止め、天高く鞭を付き上げ狙いを一転に絞った。
夕美はやっとのことで起き上がる。こんなところで力を使いたくなかったが、仕方がない。多少の本気を出すことにした。彼女はもう機能しない左腕を犠牲にした。王は、自らの肉体の一部を王の宝に巣食う悪霊に差し出すことでより強い力を引き出せる。
いつか肉体も、魂も、食われる身だ。ここで左腕を失っても後悔はない。
火炎に彩られた鞭が夕美を捉える。鞭は、彼女の体を木っ端微塵に吹き飛ばす、つもりだった。しかし逆に鞭が弾き飛ばされた。夕美の左手から青い巨大な腕が伸びて、一瞬のうちに火の鞭を捕まえる。
彼は怯える間もなく、謎の腕にひねりつぶされた。後には白煙が立ち込め、あとにガラクタだけが残った。火の鞭の遺骸はどこにもない。こいつは鬼ではなく幻術だ。
「ああ、苦心して作ったのに」
「相変わらず下らないものを作るわね。鬼と戦ったけど、あんたが作ったただの木偶。ちっともたいしたことがない」
「ひどい言い草だね」
「どいて」
面倒なので夕美は、聡士を問答無用に吹っ飛ばした。彼はどことなく消えた。逃げ足だけ早い。
あとは追わなければ。先に行ったせっかちで、後先考えず突っ走る白馬の騎士を探さないといけない。恐らく追われている最中だろう。仮に宮殿にたどり着けても、門には魔法がかけられていて、中には入れず困っているはずだ。
流星
老人の指し示さした道を駆け抜けた。入り組んだ裏道から裏道へ。行けども、行けども真っ赤に染まった建物と間に伸びる道。やがて道は終わり、目の前に巨大な煉瓦の塀に覆われた邸宅が広がった。
火炉宮。ついにたどり着いた。流星は悪の元凶とは何なのかを理解した。切り立った崖のように立つ宮殿。赤く塗り染められた屋根は人を威圧する。
ここだ……
すべてはここを起点に始まっている。正門の番人は、黒い甲冑に身を鎮め直立不動でいる。
暑さを体が感じている。汗が吹き出し、蒸発した。
もう時間がない。先ほど受けた火の洗礼の効果が切れかかっている。今ここで、どうやって宮殿の中に侵入するか考えている時間はほとんどない。
前のみを歩め。立ち止まっている場合ではない。
番人は、近づいてくる怪しげな者に不信感を見出し、手にした槍を突き出す。
「とまれ」
流星は止まった。番人たちが近づいてくるのを待った。弱点を見つけようと思っていた。そこを一瞬にして突き、まずは一人を倒す。
「何者だ?」
敵は近衛兵だろうか。訓練された者さながら、隙を見せない。二人はじりじりと詰め寄ってくる。
カランカランと、缶が転がるような音がした。番兵の注意が逸れた。
今だ!
何かが味方をしてくれた。流星はシュッと剣を抜き放った。
「であっ!」
目を一瞬でも背けたら命とりだ。門番は絶命した。
「貴様!」
もう一人がすかさず反撃に転じ、剣と槍が交差した。
「ええい!」
数度烈しい打ち合いが続いた。
負けるわけにはいかない。
両者必死に打ち合い烈しい火花が散らされる。やがて相手に懐に入った流星が次第に相手を追い詰めた。距離を詰
めれば、槍は不利だ。
彼は相手の槍を切り捨てる。番兵は武器を失い、地べたに手を付く。
「お助けあれ……」
わが身は、王に指示あって守る者、決して邪心ありませんと言う。
いまさら何をいうかと流星は思う。
「無念の内に祖国を焼かれ灰にされた父母、朋輩、大勢の命の仇だ」
そう言い放ち、男を一刀両断した。首筋からドクドクと血が吹きこぼれ、彼の体はぴくぴくと痙攣するが、そのう
ち動かなくなった。流星は事が済み、付着した血を拭うと剣をパチンとしまう。
番兵なら門を開く鍵を持っているはずだ。流星は、ごそごそと絶命した番兵の腰回りを探った。しかし何も出てこ
ない。
馬鹿な。鍵を持っていないのか。どうやって中に入る?
仕方がない。正門の近くまで行って、開け方を考えよう。
門は奇妙だ。本来ならあるはずの取手もなく、ただ分厚い一枚の壁があるだけのようだ。どのように開け、内部に
入ればいい?
そっと掌を門に当てる。とたんにジュウと焦げたような臭いがした。すかさず彼は手を放す。見ると赤くただれ、
鈍い痛みを伴う。
くそ、そういうことか。
魔法がかけられている。灼熱の扉を開くには、多分火の洗礼を受けた者でないと開けられない仕組みになっている。
「そこまでよ」
しまった。まだ敵が……
背後を振り返る。
「やっぱり困っていたわね?」
「殿下……」
弐ノ国王夕美がいた。
「馬鹿ねえ。あなた私が来なかったら、まごまごしているうちに敵に囲まれて犬死にだったわよ?」
「そのような野良犬と一緒にされては困る」
「あら、帰る当てもなくほっつき歩いていた人生でしょう。なら野良犬と大して変わらないじゃない?」
「何を!」
「うるさい男ね。些細なことで切れているようじゃ、烈王と大して変わらない。いい加減単身突っ込もうとするの
は、やめなさい」夕美はぴしゃりと言った。
「では、どうせよと?」
「自分の頭で考えることね」
夕美は冷たく言い切る。彼女を見た流星はある異変に気付いた。
「殿下、腕は? 左腕はどうされたのです?」
「大した傷じゃないわ。腕の一本ぐらい。別になくしたわけじゃないし」
彼女は平然言う。
「何? そんなことを心配して。腕なら、ほら」
とたんに片腕を失いダランと垂れていた袖に、腕が現れる。しかし変だ。何だか影が薄い。そこに確かに左腕はあ
る。しかしあるだけで、実際に腕を使って何かをつかみ取ったり、離したりすることはできない。
「でもこの手で、何かすることはできないわ」
「先ほどの門外で、傷を?」
「いいわよ。とにかく中に入りたいでしょ?」
「ええ、ですが火の呪いがかけられていて」
「あらそう」
夕美は残っていた片手を門の扉に当てた。
「火の呪い――」
どうするというのだ。流星は、都に潜入してから彼女に頼りっきりだ。できれば自身の力で、と思うが、無力にも
自分だけは門の向こう側に行けないのだ。
ここまで来て……なんということだ。
「少し待って」
夕美は、掌を暑さで離すどころか逆に押し当てた。
「殿下?」
彼女は目を閉じていた。何をやろうというのだろう。王の力はつぶさに見せつけられていたがあまりにも絶大だ。
西王にしろ、弐ノ国王にしろ、そう。彼らは力を持たざる者を『ただ人』と言った。まさしくその通りだった。
自分は、無力で、儚い、ただ人だ。なのに、単身で仇を討とうとしたのか。この日の国の覇者を一人で。愚か
しいにも程がある。
「ねえ、なにしているの?」
「はい?」
「入れるわよ」
流星の目には、目前の門に何も変わっている印象はない。
「どうやったのです?」
「見なかった?」
「え?」
「火の街道を登っている時見たでしょう。私が大量の水を魔法で集めて、火の魔物を蹴散らしたのを。火には水をっ
て話」
確かに、水をかければ火は自ずと消えてなくなる。
「私の王の宝は、あらゆるところで水を召喚できる。かの王とはつくづく相性がいいの」
夕美は笑い、門を蹴り飛ばして壊した。門は無残に壊れて原型をとどめてない。
「さあ行きましょう。あなたの姫は、きっと聖なる腕輪が指し示してくれる」
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