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第四部 楽園崩壊
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咲子は有頂天だった。学園は思い通りになった。もともと誰もが自分に気を遣っていたが、それは形だけのこと。でも今は違う。心からの崇拝を感じる。
自分と同じぐらい美しい姿を持つ多紀子の体に触れられる。また自分に反抗的だった須世子に団扇を扇がせる。最も手元に置きたかった2人の肉体も魂も自由だ。
「とてもお機嫌がよろしいこと。何が良い事がありましたの?」
「ええ。知りたいの?」
「よろしければ、ぜひ」
「私のことを心から信じる人が増えたからよ」
「まあそれはすばらしいこと」
「それもそうだし」
咲子は多紀子の美しい肌に触れ、匂いを嗅いだ。
「多紀子様も私の思想にご賛同されたようだし。ねえ?」
いやしい肌触りに多紀子は嫌悪を感じていることを相手に悟られないようにした。
「年頃の乙女同士で触れ合うことが恥ずかしいのかしら?」
「きっとご寵愛にされていることが信じされないのでしょう。ねえ?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「謙遜など私たち三名の間では不要ですわ?」
「ねえ咲子様」
「なあに?」
「お仲間も増えたということでしたら、会合を開きませんか? 咲子様のご思想をお示しになる時ですわ」
「そうね。ね、夏帆。そろそろかしらね? 準備も出来たの?」
「咲子様が王座と就くべく生贄は見つかりましてございます。あとは御決起に遊ばしくださいませ。細かいことは私にお任せください」
「そう」
咲子は具体的なことを練らなかった。すべては僕たちがやってくれる。王は土地と民を所有する。咲子はすでに学園の女王であった。王はあらゆる欲望の限りを尽くすことに勢力を捧げることが仕事なのだ。
場所が変わって夜。
「よく見るといいわ! 私の姿を! さあひれ伏すといいわ!」
咲子はとうとう願望を観衆に晒した。常識や規則と言った権威で塗り固めた世界や人々を驚かせるのだ。いよいよ自分はお飾りではなく、本物の存在になる。咲子は踊り出し、大衆たちを誘惑する。自分に魅了されぬものなどいな
い。
「服を羽織り下さい。年頃の娘のなさることではございませんわ」
咲子の願望などよそに学長は静かに咲子の振る舞いを諭す。
「無礼な。私を誰と心得ているのかしら? 仮にも王となり、世界を束ねる」
「服を羽織りください。妃殿下は聖女陛下の聖位後継者のご筆頭であらせられます。多くの者があなた様の行動に注目しております。よく考えをお改めください」
話の途中で遮られ、咲子は気分を害した。
「何を言っておりますの! あなたは聖族に従い学園を運営する者。私に楯突くなど許されませんわ!」
甲高い言葉を恐れず学長は静かに手にした勅旨を読み上げた。
「恐れながら申し上げます。陛下の勅命でございます。公女は今の不埒乱交は断じて許されることではなく、聖族宮廷にて処分が出るまで謹慎とすること。勅命は直ちに執行させること」
「何を言っているの?」
「これ以降は御心を安んじ処分をお受けくださいませ。本日は出立のご用意を使用人たちに仰せつかっております。殿下もご用意を直ちに」
「ふざけないで! どこにそんなことを言える者が」
「陛下御自らの御直言でございます。どうかご従いになられるよう謹んで申し上げます」
「いやよ! 一体どうするつもりなの! 私を幽閉なんてして! 私はこの中つ国を束ねる王となる存在!」
学長は静かに去っていく。咲子は使用人に勧められ自室に連れ戻された。
今日の宴を気に学園に対し反旗を翻す予定だった。王位を継ぎ、あまねく意向を知らしめてひいては中つ国の王となるはずが。あっさりと露見した。
誰だ? 裏切り者がいるに違いない。
憎しみのこもった目で集まった群衆を見渡したが、咲子は引っ立てられた。
自分と同じぐらい美しい姿を持つ多紀子の体に触れられる。また自分に反抗的だった須世子に団扇を扇がせる。最も手元に置きたかった2人の肉体も魂も自由だ。
「とてもお機嫌がよろしいこと。何が良い事がありましたの?」
「ええ。知りたいの?」
「よろしければ、ぜひ」
「私のことを心から信じる人が増えたからよ」
「まあそれはすばらしいこと」
「それもそうだし」
咲子は多紀子の美しい肌に触れ、匂いを嗅いだ。
「多紀子様も私の思想にご賛同されたようだし。ねえ?」
いやしい肌触りに多紀子は嫌悪を感じていることを相手に悟られないようにした。
「年頃の乙女同士で触れ合うことが恥ずかしいのかしら?」
「きっとご寵愛にされていることが信じされないのでしょう。ねえ?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「謙遜など私たち三名の間では不要ですわ?」
「ねえ咲子様」
「なあに?」
「お仲間も増えたということでしたら、会合を開きませんか? 咲子様のご思想をお示しになる時ですわ」
「そうね。ね、夏帆。そろそろかしらね? 準備も出来たの?」
「咲子様が王座と就くべく生贄は見つかりましてございます。あとは御決起に遊ばしくださいませ。細かいことは私にお任せください」
「そう」
咲子は具体的なことを練らなかった。すべては僕たちがやってくれる。王は土地と民を所有する。咲子はすでに学園の女王であった。王はあらゆる欲望の限りを尽くすことに勢力を捧げることが仕事なのだ。
場所が変わって夜。
「よく見るといいわ! 私の姿を! さあひれ伏すといいわ!」
咲子はとうとう願望を観衆に晒した。常識や規則と言った権威で塗り固めた世界や人々を驚かせるのだ。いよいよ自分はお飾りではなく、本物の存在になる。咲子は踊り出し、大衆たちを誘惑する。自分に魅了されぬものなどいな
い。
「服を羽織り下さい。年頃の娘のなさることではございませんわ」
咲子の願望などよそに学長は静かに咲子の振る舞いを諭す。
「無礼な。私を誰と心得ているのかしら? 仮にも王となり、世界を束ねる」
「服を羽織りください。妃殿下は聖女陛下の聖位後継者のご筆頭であらせられます。多くの者があなた様の行動に注目しております。よく考えをお改めください」
話の途中で遮られ、咲子は気分を害した。
「何を言っておりますの! あなたは聖族に従い学園を運営する者。私に楯突くなど許されませんわ!」
甲高い言葉を恐れず学長は静かに手にした勅旨を読み上げた。
「恐れながら申し上げます。陛下の勅命でございます。公女は今の不埒乱交は断じて許されることではなく、聖族宮廷にて処分が出るまで謹慎とすること。勅命は直ちに執行させること」
「何を言っているの?」
「これ以降は御心を安んじ処分をお受けくださいませ。本日は出立のご用意を使用人たちに仰せつかっております。殿下もご用意を直ちに」
「ふざけないで! どこにそんなことを言える者が」
「陛下御自らの御直言でございます。どうかご従いになられるよう謹んで申し上げます」
「いやよ! 一体どうするつもりなの! 私を幽閉なんてして! 私はこの中つ国を束ねる王となる存在!」
学長は静かに去っていく。咲子は使用人に勧められ自室に連れ戻された。
今日の宴を気に学園に対し反旗を翻す予定だった。王位を継ぎ、あまねく意向を知らしめてひいては中つ国の王となるはずが。あっさりと露見した。
誰だ? 裏切り者がいるに違いない。
憎しみのこもった目で集まった群衆を見渡したが、咲子は引っ立てられた。
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