ビジョンゲーム

戸笠耕一

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メモリー1 事故

1

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 これは私の記憶。

 三月二十六日。

 もう半年以上たつのかと時間の経過に驚いた。ここから始まり今に至るまでどれだけJBに振り回されただろう。

 ダウンジャケットが必要なぐらい寒い。母の雪絵はブルッと体を震わせて太ももと両手をゴシゴシとこすり合わせていた。車内は暖房が効いてあるのに、白いダウンジャケットや毛皮の手袋を付けたままだ。

 母は相変わらず寒がりだ。

「寒がり過ぎじゃないか?」

「私が寒がりなのは知っているでしょう? 最近おかしいのよ。急に暑くなったと思えば、寒くなるし」

「春だから仕方ないだろう。三寒四温ってわけさ」

 寒がる母を横目に父の義行は寒暖の日が続くのが春だといった。その言い方に母はむっつり顔になる。面長な顔立ちに少しばかりしわを浮ぶ。些細な表情の変化を義行は面白がっている。

 おしどり夫婦というのが似合っている。後部座席からのやり取りを見て認識していた。今ではもう戻れない生活だ。

「何か言うとすぐいじける癖。まるで子どもだからやめたほうがいいよ」

「いいじゃない。何かご不満でもございますの? 献身的な奥様を演じないといけないわけ? 窮屈な男はこれだから……」

「娘も後ろに乗っているし、子どもみたいな振る舞いは教育に悪いだろ?」

 雪絵はプイっと外の景色を向く。黒髪の狭間からみえる白いうなじが雪のような色合いをしていた。

 二人が出会ったのはもう十五年前になるらしい。香西家は世界的にも名の知れた総合商社の一角に連なっている。末っ子の義行にかかる期待は兄たちと違い圧倒的に緩かった。  

 自由を謳歌していた青春しかないのだろう。のほほんとした父のお坊ちゃん顔を見るにそう察する。

 学生時代はコンパばかりやっていて、二次会でちょうど程よい加減になったときにこう話した。

「雪絵はね、空から舞い降りてきたのさ」

「なにそれ?」

「嘘だと思う? 今、笑ったな」

 ここは面白く笑ってあげる。大げさだなと男女の出会いなんて思いがけないことから始まると認識した。

 場の空気に合わせるのに疲れてテラスに出たとき、父は雪絵の後姿は誰よりも美しかったと、母がいないときに語りだす。父は母を心の底から愛していた。

 これが愛のカタチらしい。

 夢みたいな話から恋が始まり、大学卒業後、二人は結婚した。運命の歯車が動き出したといえばその通りだと娘の立場としては認識している。父が仕事に余裕ができたころに私は誕生した。

 満を持して子だ。一心に両親の愛を受けていた。

「春が好き? 暖かい日と寒い日が交互に来るからいいだろ」

「季節の変わり目だし悪くはないけど。ママには寒がりだからしんどいかもね」

 父譲りでうまく相手に合わせた答えをする。愉快な話し方は義行に伝授してもらった。

「でもなあ、今日はなんか寒いかな。来週から四月なのに。もう桜も咲き始めたから散っちゃうかもね」

「ほら今日は寒いの!」

 失礼しちゃうと雪絵はへそを曲げていた。

「昔の出張先はベルリンだったから、寒さ慣れしているのかもしれないね」

「ママは寒がり過ぎだよね」

「沙良ったら! もうどっちの味方なのよ」

 何事もない日常が今日も続いていた。香西夫妻が乗ったセダンのプリウスが、ゆっくりと東銀座の三原橋を左折して弧を描くように晴海通りに入ったのを覚えていて、ほかにも自宅に帰る道があった。運命のいたずらというべきだろうか。

 自分に迫る危機について今となっては笑うしかない。

 私たちは家族写真を撮る予定でいた。撮影スタジオでは赤いドレスを着ていた。もっと薄いオレンジ色のドレスがよかった。

「原色のドレスはきついから薄い色はだめ?」

 赤ずきんちゃんみたいな恰好をすることは嫌だと言いたかった。

「いいじゃない。とてもすごく可愛いよ!」

 雪絵は娘の気持ちなどお構いなし。ペアルックとかしたがるし、曖昧な気持ちのまま両親の意向に応じていた。

 すべては予定通り。写真撮影もそうだし、このあとの人生もそうだ。狂いはない。全部が決められた道に沿って今日も進んでいく。

 こんな格好をさせられて高校三年生にもなるのに恥ずかしい。それでもシャッターが降りるときは最高の笑顔を見せる。

「自分の行動はいつも誰かが見ているって忘れないでね。沙良もママみたいな素敵なレディになってね。ママ以上にね。君ならできるよね?」

 父は私に何度も言い聞かせていた。本人への期待も含めた忠告。普段冗談を飛ばしあうが意外と教育には熱心だ。特にマナーなどの立ち振る舞いや言葉遣いは上品なレディとしての教育が徹底されていた。

 箸の持ち方などが変だとすぐに直される。

「ほらそれじゃお魚をきれいに食べられないよ」

「できなくてすみません。もう一度教えてください」

 家に帰り携帯をいじっていると、すぐに取り上げられて勉強机に向かうことになる。

「だめじゃないか。勉強しなきゃ。家にいるときだって気をぬいちゃいけないよ」

「家でもきちんと勉強します」

 国語のテストが八十五点で以前より下がるとお小遣いが下がった。

「テストの点数ぐらいで結果出せないやつが、将来人に結果を求めさせることができると思うかい?」

「何が悪かったか反省して勉強します」

 行動は指摘を受け直される。注意されたときはいつも敬語だ。義行は粗削りな考えは求めず、美しい部分だけを残そうとした。

 香西家に相応しい娘。こうして香西沙良が出来上がっていく。

 きちんとした大人の対応できる十七歳ができ上がっていった。

 私は手提げ鞄を両手で持ってお嬢さまらしい学校に通っていた。いつだって感覚は縛りを受けていた。周りが素敵だと思うことのみを発した。相手との共感性を意識した回答。

 でも誰もが八方美人なお嬢様を祝福したわけではない。同性の嫉妬心はすごかった。どこかで冷たいまなざしでみる連中がいたが、気にも留めなかった。

 家に帰れば両親の愛が待っていた。

「やっぱり沙良は頬が餅みたい可愛いのよねー」

 雪絵は自分の娘の写真をスマホで撮っていた。子どものように可愛いと連呼していた。バカみたいだと心底思った。

 撮影は待ち時間も挟み二時間ほどで終わる。スマホに映った我が子を雪絵は義行に見せつける。二人は幸せそうだ。相思相愛の夫婦。そこに生まれた待望の女の子。完璧な図式。  

 自分はしっかりと組み込まれている。

「餅ね。そんなに寒いなら、夕飯は鍋にしようか」

「いいわ。最高ね」

 二人はよくわらう。幸福の絶頂にいる。そこにいる自分はわかっているのか。ミラーに映る自分を見てみた。

 レールの上を走っているトロッコと同じ。

 決められた道を進む。幸せな三人家族がいて、お金もあって両親は優しく、期待を裏切らないよう娘を演じる。でも必死にやっていると相手に気取られていけない。

 自然とやってのける。見せつけてはいけない。

 真の教養と知性は日ごろの鍛錬によって身につけられる。そうしてレディになれる。こうして車に乗っているときも意識をしなければならない。

 教養に裏打ちされた品性を保つ。これが当時の私のあり様。 これは私の記憶。

 三月二十六日。

 もう半年以上たつのかと時間の経過に驚いた。ここから始まり今に至るまでどれだけJBに振り回されただろう。

 ダウンジャケットが必要なぐらい寒い。母の雪絵はブルッと体を震わせて太ももと両手をゴシゴシとこすり合わせていた。車内は暖房が効いてあるのに、白いダウンジャケットや毛皮の手袋を付けたままだ。

 母は相変わらず寒がりだ。

「寒がり過ぎじゃないか?」

「私が寒がりなのは知っているでしょう? 最近おかしいのよ。急に暑くなったと思えば、寒くなるし」

「春だから仕方ないだろう。三寒四温ってわけさ」

 寒がる母を横目に父の義行は寒暖の日が続くのが春だといった。その言い方に母はむっつり顔になる。面長な顔立ちに少しばかりしわを浮ぶ。些細な表情の変化を義行は面白がっている。

 おしどり夫婦というのが似合っている。後部座席からのやり取りを見て認識していた。今ではもう戻れない生活だ。

「何か言うとすぐいじける癖。まるで子どもだからやめたほうがいいよ」

「いいじゃない。何かご不満でもございますの? 献身的な奥様を演じないといけないわけ? 窮屈な男はこれだから……」

「娘も後ろに乗っているし、子どもみたいな振る舞いは教育に悪いだろ?」

 雪絵はプイっと外の景色を向く。黒髪の狭間からみえる白いうなじが雪のような色合いをしていた。

 二人が出会ったのはもう十五年前になるらしい。香西家は世界的にも名の知れた総合商社の一角に連なっている。末っ子の義行にかかる期待は兄たちと違い圧倒的に緩かった。  

 自由を謳歌していた青春しかないのだろう。のほほんとした父のお坊ちゃん顔を見るにそう察する。

 学生時代はコンパばかりやっていて、二次会でちょうど程よい加減になったときにこう話した。

「雪絵はね、空から舞い降りてきたのさ」

「なにそれ?」

「嘘だと思う? 今、笑ったな」

 ここは面白く笑ってあげる。大げさだなと男女の出会いなんて思いがけないことから始まると認識した。

 場の空気に合わせるのに疲れてテラスに出たとき、父は雪絵の後姿は誰よりも美しかったと、母がいないときに語りだす。父は母を心の底から愛していた。

 これが愛のカタチらしい。

 夢みたいな話から恋が始まり、大学卒業後、二人は結婚した。運命の歯車が動き出したといえばその通りだと娘の立場としては認識している。父が仕事に余裕ができたころに私は誕生した。

 満を持して子だ。一心に両親の愛を受けていた。

「春が好き? 暖かい日と寒い日が交互に来るからいいだろ」

「季節の変わり目だし悪くはないけど。ママには寒がりだからしんどいかもね」

 父譲りでうまく相手に合わせた答えをする。愉快な話し方は義行に伝授してもらった。

「でもなあ、今日はなんか寒いかな。来週から四月なのに。もう桜も咲き始めたから散っちゃうかもね」

「ほら今日は寒いの!」

 失礼しちゃうと雪絵はへそを曲げていた。

「昔の出張先はベルリンだったから、寒さ慣れしているのかもしれないね」

「ママは寒がり過ぎだよね」

「沙良ったら! もうどっちの味方なのよ」

 何事もない日常が今日も続いていた。香西夫妻が乗ったセダンのプリウスが、ゆっくりと東銀座の三原橋を左折して弧を描くように晴海通りに入ったのを覚えていて、ほかにも自宅に帰る道があった。運命のいたずらというべきだろうか。

 自分に迫る危機について今となっては笑うしかない。

 私たちは家族写真を撮る予定でいた。撮影スタジオでは赤いドレスを着ていた。もっと薄いオレンジ色のドレスがよかった。

「原色のドレスはきついから薄い色はだめ?」

 赤ずきんちゃんみたいな恰好をすることは嫌だと言いたかった。

「いいじゃない。とてもすごく可愛いよ!」

 雪絵は娘の気持ちなどお構いなし。ペアルックとかしたがるし、曖昧な気持ちのまま両親の意向に応じていた。

 すべては予定通り。写真撮影もそうだし、このあとの人生もそうだ。狂いはない。全部が決められた道に沿って今日も進んでいく。

 こんな格好をさせられて高校三年生にもなるのに恥ずかしい。それでもシャッターが降りるときは最高の笑顔を見せる。

「自分の行動はいつも誰かが見ているって忘れないでね。沙良もママみたいな素敵なレディになってね。ママ以上にね。君ならできるよね?」

 父は私に何度も言い聞かせていた。本人への期待も含めた忠告。普段冗談を飛ばしあうが意外と教育には熱心だ。特にマナーなどの立ち振る舞いや言葉遣いは上品なレディとしての教育が徹底されていた。

 箸の持ち方などが変だとすぐに直される。

「ほらそれじゃお魚をきれいに食べられないよ」

「できなくてすみません。もう一度教えてください」

 家に帰り携帯をいじっていると、すぐに取り上げられて勉強机に向かうことになる。

「だめじゃないか。勉強しなきゃ。家にいるときだって気をぬいちゃいけないよ」

「家でもきちんと勉強します」

 国語のテストが八十五点で以前より下がるとお小遣いが下がった。

「テストの点数ぐらいで結果出せないやつが、将来人に結果を求めさせることができると思うかい?」

「何が悪かったか反省して勉強します」

 行動は指摘を受け直される。注意されたときはいつも敬語だ。義行は粗削りな考えは求めず、美しい部分だけを残そうとした。

 香西家に相応しい娘。こうして香西沙良が出来上がっていく。

 きちんとした大人の対応できる十七歳ができ上がっていった。

 私は手提げ鞄を両手で持ってお嬢さまらしい学校に通っていた。いつだって感覚は縛りを受けていた。周りが素敵だと思うことのみを発した。相手との共感性を意識した回答。

 でも誰もが八方美人なお嬢様を祝福したわけではない。同性の嫉妬心はすごかった。どこかで冷たいまなざしでみる連中がいたが、気にも留めなかった。

 家に帰れば両親の愛が待っていた。

「やっぱり沙良は頬が餅みたい可愛いのよねー」

 雪絵は自分の娘の写真をスマホで撮っていた。子どものように可愛いと連呼していた。バカみたいだと心底思った。

 撮影は待ち時間も挟み二時間ほどで終わる。スマホに映った我が子を雪絵は義行に見せつける。二人は幸せそうだ。相思相愛の夫婦。そこに生まれた待望の女の子。完璧な図式。  

 自分はしっかりと組み込まれている。

「餅ね。そんなに寒いなら、夕飯は鍋にしようか」

「いいわ。最高ね」

 二人はよくわらう。幸福の絶頂にいる。そこにいる自分はわかっているのか。ミラーに映る自分を見てみた。

 レールの上を走っているトロッコと同じ。

 決められた道を進む。幸せな三人家族がいて、お金もあって両親は優しく、期待を裏切らないよう娘を演じる。でも必死にやっていると相手に気取られていけない。

 自然とやってのける。見せつけてはいけない。

 真の教養と知性は日ごろの鍛錬によって身につけられる。そうしてレディになれる。こうして車に乗っているときも意識をしなければならない。

 教養に裏打ちされた品性を保つ。これが当時の私のあり様。
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