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不思議なお話NO19
今は亡き友人からのメッセージ2
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先週末、僕はノロウイルスに感染してしまい、如何ともしがたい気色の悪い苦痛を味わいました。あれは二度とご免だと思わせるほどの苦痛です。とにかく、食欲が全くなくなるという僕の人生でも希に見る体験で、二日間何も喉に通らなかったのですから。三日目、昼食に菓子パンを一個、夕食に焼きそばを少々頂いたのがせいぜいで、僕の唯一の楽しみである剣道もやむを得ずお休みしました。
今日、週半ばにしてようやく体調も戻ってまいりまして、久しぶりに筆をとる気になったという次第です。前回、別の記事を間に入れるかもしれないと書きましたが、先延ばししているとか、出し惜しみしているとか思われるのも厭なので、今回早々に、友人Kの第二のメッセージをお伝えすることにいたします。
さて、非常におこがましい言い方ですが、僕は真理の探究者を自負しておりますので、親しい人の葬儀の際には必ず遺影に向かって一つのお願いをするのを常としてきました。それは、もし死後の世界を体験したのなら、そのことを示す何かしらの合図なりメッセージなりを送って欲しいというお願いです。僕は人一倍恐がりなのですが、親しい人からであれば何とか耐えられると判断していました。
しかしながら、これまでそのような不思議な現象は起きませんでした。いや、一つだけ、もしかしたら、と思わせる出来事がありました。あれは僕の叔父の葬式の時のことです。
その日、僕は焼香しながらいつものお願いをして席に戻りました。読経の響くなか、僕は黙想し叔父の冥福を祈っていたのですが、ふとブーンという羽音に気付き視線を向けると、馬鹿でかい銀蠅が僕の頬のすぐ脇でホバリング中です。
厭な予感がしたその瞬間、そいつは僕の頬に止まったのです。厳粛な雰囲気のなか、「ぎゃー」などと悲鳴を上げるわけにもいかず、顔を左右に振ってもそいつは顔にへばりついたままで、悪寒が僕の体中を駆けめぐりました。
僕はそおっと手を頬に近づけ、中指を親指に引っかけて狙い澄まします。そして一気に中指をはじいたのです。狙いは的中し、パシっという音と共に銀蠅は床に落ちました
にんまりして、その死骸を見ていた僕は、突然、先ほど叔父にお願いしたことを思い出しました。
「いけねー」と思ったところで、既にことは起きた後で、取り返しがつきません。もしかしたら、銀蝿は叔父の化身?でも、何で特大の、しかも季節はずれの銀蠅なのか? いや、単なる偶然に過ぎない、これはメッセージでもなんでもない。二つの思いが交錯する中、僕はじっとその銀蠅の遺骸を見詰め続けたのです。
この時の現象は未だに謎のままです。とにかくこの叔父は変わった人でしたから、奇妙な現象を起こして僕をからかったのではないかと考えてみたり、いやいやあれは単なる偶然にすぎないなどと思ったりするわけです。
あれから十数年が経ちましたが、僕の心の内で未だに結論が出ないことを思えば、友人Kがひき起こした現象は、まさにきっぱりとしていて、微塵の曖昧さもなかったのです。
その日は、朝から期限の切られた仕事に掛かりきりでした。食事も適当に済ませ、昼休みも返上して没頭していました。ようやく一区切りついたのは午後3時過ぎ頃だったと思います。一息つこうと喫煙所に向かったのです。
喫煙所はビルの非常階段の踊り場です。廊下に流れる煙が臭いというので鉄の扉は閉めきられています。誰が貼ったのか、喫煙時開放厳禁の張り紙まであります。まったく住みずらい世の中になったものだと思いながら煙草に火をつけました。
しばらくして鉄の扉を「コンコン」と叩く音がしました。喫煙者であるいつものメンバーはノックなどしません。出先の人かなと思い、ドアが開くのを待ちましたが、誰も入ってこないのです。
次に「コンコン」と音がしたときは、誰かが僕をからかっているのかと思い、ドアノブに手をかけ一気に開いたのです。でも、やはり誰もいません。ドアから中廊下へ続く通路は3メートルほどあり、ノックの音がしてドアをが開くまでの間に隠れるとすれば相当必死に走らなければならず、よほどの暇人でなければそこまでしないでしょう。
三度目の音がしたときはまだ冷静で、様々な原因を考えていたのです。風?いや微風さえない、誰かがドアに物を投げた? であれば音は「コン」の一つで終わりだ。では、何がその現象をひきおこしたのか、とまあそんな風にあれこれ考え込んでいたのです。
四度目の時は、念のためと思い、もう一度ドアを開けてみました。誰もいないのは言うまでもありません。そして、五度目のノックの音がして、ようやく誰かが来ているのだと僕の体が感じたのです。そう、脳という思考回路だけでなく、体全体で不可思議を感じて、覚悟を決めたのです。でも、不思議なことに肌が粟立つとか、戦慄が走るということはありませんでした。
不思議な感覚が僕を包んでいました。まるで雲の上を歩くようにしてデスクに辿り着き、どっかりと椅子に腰掛けると、背筋を伸ばし気持ちを切り替えました。仕事は時間が切られていますので、すぐに仕事に取りかからなければなりません。
コンピュータ画面は、時間切れでパスワード入力を要求していますので、それを打ち込みますと、エクセルの表が画面一杯に表示されます。と同時に、検索の小さなウインドウが、次に何を検索するのかと問うメッセージとともに現れました。喫煙タイムにはいる前、管理するマンションの検索をしていたのです。
その時、その検索画面の検索項目に文字が書かれていました。当然、そこには先ほど検索したマンション名があるはず、と思って見たのですが、どうやら人の名前のようです。視線を凝らし焦点をあわせました。
その文字を見て、僕は思わず息を飲みました。そこにあったのは他ならぬ友人Kのフルネームだったのです。
僕の胸にこみ上げてきたのは、二度と会えないと思っていた友人とたまたま再会した時に味わうであろう懐かしさと歓喜でした。涙が頬を伝います。じっとその名前を見続けていました。そして、この時ようやく思い出したのです。3ヶ月前に参列した友人Kの葬儀の時にも、いつものお願いをしたことを。
その日は一日、夢現(ゆめうつつ)のなかにいたような気がします。何故なら最初に感じた「懐かしさと歓喜」の感情は覚えているのですが、それ以外の記憶がないのです。
でも、それはそうですよね。亡くなった友人がわざわざ僕を訪ねてくれて、僕が数十年のもの間、ずっと待ち続けた死後の世界が存在するというメッセージを届けてくれたのですから。
その日の晩、僕は「不思議なお話No18」で触れましたプライベートの小説を開いて友人Kの思い出に浸り、今日の感動を噛みしめていたのです。でも、その日、これまで何気なく読み飛ばしていた一つの言葉がどうも気になって辞書で調べる気になったのです。
「天網恢々疎にして漏らさず」を辞書で引いて、僕は思わず友人Kに声をだして謝りました。ちょっと涙声だったかもしれません。
「ご免、ご免、これじゃあ、会長(友人Kの愛称)がまるで悪事を働いたみたいだったね」(詳細は「不思議なお話NO18 亡き友からのメッセージ1」に書きました)
この時、会長(以後会長を使用)が側にいるような気がしたのです。昔のようににこにこしながら僕にほほえみかけている。そんな気がしたのです。友人K、僕らの友人の誰もがその本名ではなく、「会長」と言う愛称で呼んだ懐かしい友人が、確かにそこにいたのです。
さて、僕は思うのですが、会長はやはり凄い人だったんじゃないのかなって・・・ね。何故なら、物質である体を失っても、鉄の扉を5回も叩くという芸当が出来たのですから。霊格があるとすれば、相当に地位の人なのだと思うわけです。
あの愛らしいひっつめ髪の女優、デミ・ムーア主演の「ゴースト/ニューヨークの幻」という映画の中でも、幽霊が物質世界に働きかけるのがどれほど大変かが描かれていましたが、会長はいとも簡単にそれをやってのけたのですから。
霊格の根拠が映画? と馬鹿にされそうですが、何となくそんな気がするのですからしかたありません。
皆様が、僕のこの話を信じるか否かは自由です。でも、僕自身に関して言えば自信満々でこう主張することが出来るのです。
『死は決して終わりではなく、懐かしい人々との再会の始まりなのだ』と。
そして、僕は密かに会長に伝えておきました。『会いたいのはやまやまだけど、そんなに早くお迎えに来なくてもいいからね』と。
今日、週半ばにしてようやく体調も戻ってまいりまして、久しぶりに筆をとる気になったという次第です。前回、別の記事を間に入れるかもしれないと書きましたが、先延ばししているとか、出し惜しみしているとか思われるのも厭なので、今回早々に、友人Kの第二のメッセージをお伝えすることにいたします。
さて、非常におこがましい言い方ですが、僕は真理の探究者を自負しておりますので、親しい人の葬儀の際には必ず遺影に向かって一つのお願いをするのを常としてきました。それは、もし死後の世界を体験したのなら、そのことを示す何かしらの合図なりメッセージなりを送って欲しいというお願いです。僕は人一倍恐がりなのですが、親しい人からであれば何とか耐えられると判断していました。
しかしながら、これまでそのような不思議な現象は起きませんでした。いや、一つだけ、もしかしたら、と思わせる出来事がありました。あれは僕の叔父の葬式の時のことです。
その日、僕は焼香しながらいつものお願いをして席に戻りました。読経の響くなか、僕は黙想し叔父の冥福を祈っていたのですが、ふとブーンという羽音に気付き視線を向けると、馬鹿でかい銀蠅が僕の頬のすぐ脇でホバリング中です。
厭な予感がしたその瞬間、そいつは僕の頬に止まったのです。厳粛な雰囲気のなか、「ぎゃー」などと悲鳴を上げるわけにもいかず、顔を左右に振ってもそいつは顔にへばりついたままで、悪寒が僕の体中を駆けめぐりました。
僕はそおっと手を頬に近づけ、中指を親指に引っかけて狙い澄まします。そして一気に中指をはじいたのです。狙いは的中し、パシっという音と共に銀蠅は床に落ちました
にんまりして、その死骸を見ていた僕は、突然、先ほど叔父にお願いしたことを思い出しました。
「いけねー」と思ったところで、既にことは起きた後で、取り返しがつきません。もしかしたら、銀蝿は叔父の化身?でも、何で特大の、しかも季節はずれの銀蠅なのか? いや、単なる偶然に過ぎない、これはメッセージでもなんでもない。二つの思いが交錯する中、僕はじっとその銀蠅の遺骸を見詰め続けたのです。
この時の現象は未だに謎のままです。とにかくこの叔父は変わった人でしたから、奇妙な現象を起こして僕をからかったのではないかと考えてみたり、いやいやあれは単なる偶然にすぎないなどと思ったりするわけです。
あれから十数年が経ちましたが、僕の心の内で未だに結論が出ないことを思えば、友人Kがひき起こした現象は、まさにきっぱりとしていて、微塵の曖昧さもなかったのです。
その日は、朝から期限の切られた仕事に掛かりきりでした。食事も適当に済ませ、昼休みも返上して没頭していました。ようやく一区切りついたのは午後3時過ぎ頃だったと思います。一息つこうと喫煙所に向かったのです。
喫煙所はビルの非常階段の踊り場です。廊下に流れる煙が臭いというので鉄の扉は閉めきられています。誰が貼ったのか、喫煙時開放厳禁の張り紙まであります。まったく住みずらい世の中になったものだと思いながら煙草に火をつけました。
しばらくして鉄の扉を「コンコン」と叩く音がしました。喫煙者であるいつものメンバーはノックなどしません。出先の人かなと思い、ドアが開くのを待ちましたが、誰も入ってこないのです。
次に「コンコン」と音がしたときは、誰かが僕をからかっているのかと思い、ドアノブに手をかけ一気に開いたのです。でも、やはり誰もいません。ドアから中廊下へ続く通路は3メートルほどあり、ノックの音がしてドアをが開くまでの間に隠れるとすれば相当必死に走らなければならず、よほどの暇人でなければそこまでしないでしょう。
三度目の音がしたときはまだ冷静で、様々な原因を考えていたのです。風?いや微風さえない、誰かがドアに物を投げた? であれば音は「コン」の一つで終わりだ。では、何がその現象をひきおこしたのか、とまあそんな風にあれこれ考え込んでいたのです。
四度目の時は、念のためと思い、もう一度ドアを開けてみました。誰もいないのは言うまでもありません。そして、五度目のノックの音がして、ようやく誰かが来ているのだと僕の体が感じたのです。そう、脳という思考回路だけでなく、体全体で不可思議を感じて、覚悟を決めたのです。でも、不思議なことに肌が粟立つとか、戦慄が走るということはありませんでした。
不思議な感覚が僕を包んでいました。まるで雲の上を歩くようにしてデスクに辿り着き、どっかりと椅子に腰掛けると、背筋を伸ばし気持ちを切り替えました。仕事は時間が切られていますので、すぐに仕事に取りかからなければなりません。
コンピュータ画面は、時間切れでパスワード入力を要求していますので、それを打ち込みますと、エクセルの表が画面一杯に表示されます。と同時に、検索の小さなウインドウが、次に何を検索するのかと問うメッセージとともに現れました。喫煙タイムにはいる前、管理するマンションの検索をしていたのです。
その時、その検索画面の検索項目に文字が書かれていました。当然、そこには先ほど検索したマンション名があるはず、と思って見たのですが、どうやら人の名前のようです。視線を凝らし焦点をあわせました。
その文字を見て、僕は思わず息を飲みました。そこにあったのは他ならぬ友人Kのフルネームだったのです。
僕の胸にこみ上げてきたのは、二度と会えないと思っていた友人とたまたま再会した時に味わうであろう懐かしさと歓喜でした。涙が頬を伝います。じっとその名前を見続けていました。そして、この時ようやく思い出したのです。3ヶ月前に参列した友人Kの葬儀の時にも、いつものお願いをしたことを。
その日は一日、夢現(ゆめうつつ)のなかにいたような気がします。何故なら最初に感じた「懐かしさと歓喜」の感情は覚えているのですが、それ以外の記憶がないのです。
でも、それはそうですよね。亡くなった友人がわざわざ僕を訪ねてくれて、僕が数十年のもの間、ずっと待ち続けた死後の世界が存在するというメッセージを届けてくれたのですから。
その日の晩、僕は「不思議なお話No18」で触れましたプライベートの小説を開いて友人Kの思い出に浸り、今日の感動を噛みしめていたのです。でも、その日、これまで何気なく読み飛ばしていた一つの言葉がどうも気になって辞書で調べる気になったのです。
「天網恢々疎にして漏らさず」を辞書で引いて、僕は思わず友人Kに声をだして謝りました。ちょっと涙声だったかもしれません。
「ご免、ご免、これじゃあ、会長(友人Kの愛称)がまるで悪事を働いたみたいだったね」(詳細は「不思議なお話NO18 亡き友からのメッセージ1」に書きました)
この時、会長(以後会長を使用)が側にいるような気がしたのです。昔のようににこにこしながら僕にほほえみかけている。そんな気がしたのです。友人K、僕らの友人の誰もがその本名ではなく、「会長」と言う愛称で呼んだ懐かしい友人が、確かにそこにいたのです。
さて、僕は思うのですが、会長はやはり凄い人だったんじゃないのかなって・・・ね。何故なら、物質である体を失っても、鉄の扉を5回も叩くという芸当が出来たのですから。霊格があるとすれば、相当に地位の人なのだと思うわけです。
あの愛らしいひっつめ髪の女優、デミ・ムーア主演の「ゴースト/ニューヨークの幻」という映画の中でも、幽霊が物質世界に働きかけるのがどれほど大変かが描かれていましたが、会長はいとも簡単にそれをやってのけたのですから。
霊格の根拠が映画? と馬鹿にされそうですが、何となくそんな気がするのですからしかたありません。
皆様が、僕のこの話を信じるか否かは自由です。でも、僕自身に関して言えば自信満々でこう主張することが出来るのです。
『死は決して終わりではなく、懐かしい人々との再会の始まりなのだ』と。
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