上 下
13 / 30
不思議なお話NO17

僕が不思議な体験をする理由

しおりを挟む
 「生まれ変わりの思想が、今の子供達の自殺を助長している。ゲームのスイッチを切るように、子供たちは生のスイッチを簡単に切ってしまう」
 これは、ある女性評論家の言葉です。彼女のこの社会評論が大新聞に掲載されて以降、あのふくよかな霊界のメッセンジャー・江原啓之氏がテレビ画面から消えました。本当に子供達の自殺は生まれ変わりの思想が原因でしょうか?
 「一回こっきりの人生で、どれだけ美味い物を食ったか、どれだけいい女を抱いたか、どれだけ贅沢が出来たか、生きるってことの醍醐味はこれに尽きる」
 これは僕の元上司の言葉です。でも、日本人の伝統的な考え方は、生まれ変わりの思想です。故人に対する「ご冥福を祈る」という言葉は、あの世での幸せを祈るという意味ですから。今の世の中は僕の元上司のような身勝手な人間ばかり。悪いことに、欲望が強いだけに、こうした人々こそ組織で出世します。従って世は親子も子もストレス社会で生きざるを得ない。子供たちの自殺の原因は、こんな世に絶望したからではないでしょうか。
 
 さて、今日は、不思議なお話No13で、「何故、僕がそうした偶然に出合う体質になったのか、思い当たる節があり、いずれそれについても書くつもりです」と述べましたので、その説明をしたいと思います。

 前章、不思議なお話No16の「僕の考えた不思議の原理」で、エドガー・ケーシーとエマニエル・スエデンボルグについて何度も触れていますが、僕はこの二人に関する書物にずいぶんと影響されています。ですから「僕の考えた不思議の原理」ではなく、「僕がパクった不思議の原理」とすべきかもしれません。

 ケーシーは、未来予言や営利目的では、期待される成果を発揮できませんでしたが、フィジカルリーディングと呼ばれるケーシーが語る処方箋は、多くの病人を癒し、快方へと導きました。また、霊界の原理について語る内容は論理的で極めて信頼が置けると、僕は感じています。
 ケーシー自身は目覚めたとき、自分が何を語ったか覚えていないのですから、これらの言葉は、彼の口を借りて話す、霊界(集合的無意識)から降りてきた霊達の言葉だと考えています。

 次に、スエデンボルグですが、彼はこの世の人間は天界とも繋がっているが、同時に地獄界とも繋がっていると言い、我々人間は隣り合わせに存在する霊界の霊達の思いに晒されていますが、人間には自由意志があり、両者を選択する能力を有する、としています。
 僕は疑い深い方ですから(?)、スエデンボルグが語ったこと全てを信じているわけではありませんが、刑罰的色彩の少ない、同じ波長の人々が集まる地獄界という発想は府に落ちるのです。「日本列島壊滅の日(神の舞う空)」はこの地獄界の霊が教祖を導くという設定でストーリーを展開しています。

 世の中には、ケーシーのように霊界との交信が生まれつき容易な人々がいます。この先天的に霊的体質の方は、特に女性に多いようですが、後天的にこの資質を獲得する人々もいます。スエデンボルグがその代表格ですが、こうした人々がどのような状況下で、その能力を得たのかが、今日の僕の話題と結びついてくるわけです。

 以前に読んだ本に書いてあったのですが、超能力者と呼ばれる人々は、不幸な生い立ちの方が多いというのです。世の辛酸を嘗め、孤独と絶望の前半生を送り、その結果として後半生に不思議な力を得るのですが、そのため精神的に不安定であったり、性格的に歪んだ人が多いのだそうです。これが、一部、僕にも当てはまります。

 僕の生い立ちは、どちらかと言えば幸福な部類に入ると思います。両親に愛され育てられましたから、順調にゆけば素直な、おおらかな人間に育ったはずです。でも、ある日、その両親に顔向けのできない、不道徳を、目をそむけたくなるような背徳行為を行ってしまったと思い込んでしまいました。

 不思議なお話を最初から読んでくださっている方は、もう、お気づきだと思います。不思議なお話No4(読んでいない方はご一読下さい)の出来事、小学1年生にもかかわらず、お○○こをやってしまった、と勘違いして苦しんだ話ですが、そんな大袈裟なと思う人は、子供心というものを理解出来ない方だと思います。 
 どれほど悩み苦しんだことか。悩みすぎてパニックに陥入り、呼吸困難に陥ることもあったくらいです。と、まあ、悩んだ話は脇に置くとして、その時、僕がどうしたと思います?これが、今回の話の鍵となります。

 実は、悪ガキ達の苛めに会った日、寝息を立てている両親の隣で、僕は布団をかぶり、泣きながら神様に救いを求めたのです。良い子でいますから、どうか助けてください!両親に、あのことがバレませんように。いじめっ子と道で会いませんように、と!

 可哀そうだとお思いになりませんか?小学生低学年という幼い日々に、布団をかぶって何度も何度も神様にお祈りしなけれなならなかったのです。いじめっ子は通学路がいっしょでしたから出会うことも多く、顔を合わせればいたぶられ、それが1年以上続いたのですから。
 つまり、後天的に不思議な能力を得た人々も、僕と同じように神様に祈ったのではないかと思うのです。僕と違うのは、人生のもっと奥深い苦しみからほとばしる、呻(うめ)くような祈りの声だったに違いないのです。僕の子供じみた悩みとは桁違いの苦悶の叫びです。

 でも、僕のようなそんな子供のたわいない悩みであっても、その祈りは幾何(いくばく)かの変化を僕にもたらせたことは確かだと思います。たとえそれが、気休めであったとしても心の平安を得られたであろうし、或いはもっと違う何かが僕の身に生じたとしても、誰もこれを否定できないでしょう。

 今でもそうなのですが、何か悩み事があったり、心の整理がつかなかったりすると、駅からバスに乗らず家まで歩いて帰ります。そして、夜空に向かって語りかけるのです。そうすると、家に帰り着く頃にはある程度心が落ち着いていて、悩み事に対する考え方、対処法の方向性も決まることが多いのです。
 あの世の霊が僕に降りてきたとは言いませんが、最近、幼少の頃を思い出し、その祈りによって、向こう側と通じる何かが僕の体の中に芽生えたのかもしれないと思うようになりました。

 幸いにも超能力のような不可思議な力(未来を見たり、人の心を読む力)は与えられませんでしたが、不思議を体験させて頂いておりますので、世界を別な見方で眺められるようになり、つくづく人の世って面白いと思えるのです。
 そして、何故、不可思議な力が与えられなかったことが、幸いかと言いますと、僕の人生にとって一番大切なことは、少し歪んでいる心を矯正することであり、もしそんな力が備わっていたとしたら、僕は不幸のどん底に陥ったと思うからです。
 何故なら、僕の「少し歪んでいる心」とは性格的な傲慢さであり、その不可思議な力を得ていたら、その傲慢さに歯止めがきかなくなった可能性が高いのです。そして後悔の日々を送ることになったでしょう。これは由々しき事態です。傲慢さはそれ自体が罪なのですから、大変な罰を受けたに違いありません。本当に危ないところでした。   
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

刑事ブルース

ちくりんかいちょう
エッセイ・ノンフィクション
竹林会長作詞

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

「カクヨム」「エブリスタ」「小説家になろう」「アルファポリス」「ハーメルン」の比較と考察(サイト比較エッセイシリーズ③連載)

源公子
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム・エブリスタ・小説家になろう・アルファポリス・ハーメルン。五つのサイトに全ての(一部載せられなかった作品あり)作品を掲載して比較した。各サイトは、私のホームズさんをどう評価したのか?そして各サイトの光と闇。これから新しいサイトを開拓したい方向け。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

新人賞の傾向と各レーベルのカラー

紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
大衆文芸、ライトノベル、ライト文芸……。多様化する新人賞の詳細と歴代の受賞作品から傾向をまとめてみました。 自身が応募する新人賞を選ぶにあたって、カテゴリーエラーを少しでも減らすために、研究したものを文章にまとめたものです。 あくまで1個人の考察ですが参考になれば幸いです。

QUEENファンのひとりごと

安明(あんめい)
エッセイ・ノンフィクション
特にテーマを決めずに、QUEENについて書いてみたいと思いました。防備録的なものでもあるので、お読みいただく価値があるか甚だ心許ないところですが、もしかしたら「私ならもっといいものが書ける」という方が出てこられる、呼び水くらいにはなりかもしれません。お暇なときにでも覗いてやってください。 「HOTランキング用ジャンル選択」はどっちかを選ばないといけないので「女性向け」としましたが、もちろん性別問わずお読みいただけると嬉しいです。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

処理中です...