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第七話
国王陛下の義理の母1
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常春の国ヴィンセント。
新しい年を迎え、王城の膝下の街にも活気が満ち溢れていた。
正午を回って一時間ほどが過ぎ、人出はますます増えてくる。
大通りに面した焼き菓子屋の店先には、お茶の時間に備えて次々と焼き立てのものが並び始めた。
ほかほかと湯気を立てるそのうちの一つを、頬を上気させた小さな女の子が指差す。
若い母親はにっこりと微笑み、娘が欲しがった焼き菓子を買い求めるのだった。
「――それで? 俺達はなぜ、こんなところでコソコソしている?」
「なぜって、隠密行動中だからに決まってるじゃないですか」
賑わう大通りと交差する路地の陰。
件の母娘からすぐ隣の相手に視線を移して胡乱な顔をするのは、何を隠そう、このヴィンセント王国の国王ウルである。
対して、まばたきの時間すら惜しんで母娘を凝視しているのは、ウルの幼馴染ロッツ。
前者の黒髪はともかく、後者のブロンドの髪はわずかな陽光でもキラキラと主張が激しい。
物陰でもこれなのだから、焼き菓子屋の店先で真昼間の太陽を惜しげもなく受けている、ロッツと同じ色彩を纏った幼子は言わずもがな。
亜麻色の髪をした母親が、さも愛おしげにその髪を撫でた。
母娘は、ロッツの愛する妻子――アシェラとマイリ。
ウルは肩を竦めて、おい、と幼馴染の横っ腹を小突いた。
「絶対に外せない重要な視察が入ったと言うから何事かと思ったが……もしかしてもしかしなくても、これのことか?」
「そうですけど? むしろ、他に何があると言うんです?」
この日は午後から、ヴィンセント王妃マイリが母アシェラと二人で城下街に繰り出していた。
ウルは前々からその予定を把握していたし、なんなら今マイリが首から下げているガマ口の財布に小銭をしこたま詰め込んでやったのも彼だ。
なぜ小銭なのかというと、紙幣はペラペラで風に飛ばされてしまいそう、などと四歳児が宣うからである。
ちなみにその財布も、ワンピースやタイツ、靴から髪飾りに至るまで、衣装一式を用意したのはお馴染み王妃専属のお針子ソマリであるが、一見すると普段よりも質素な印象を受ける。
アシェラの方も、今日は次期フェルデン公爵の妻というよりは、初々しい町娘といった装いをしていた。
「はぁああん、混ざりたいー! 僕も、あの絵の中に混ざりたいいい!!」
「混ざればいいじゃないか。むしろ、コソコソする意味がわからない」
「だって! アシェラが! マイリちゃんと二人っきりでお出かけしたいって言うんですもん! 女の子同士のデートだから、野郎はお呼びじゃないんですのよ、ってお断りされたんですもんっ!!」
「あいつ、相変わらず辛辣だな……お前も、お呼びじゃないのに結局来たのかよ」
呆れたように言うウルを、ロッツはギンッと睨みつけて叫んだ。
「陛下は! ウルは! 心配じゃないんですか!? あんなに可愛い女の子二人組を放っておけるほど、世の野郎どもが枯れているわけないでしょっ!!」
「いや、しかし……四歳児と人妻だぞ?」
「だからなんだって言うんです! ぼくがモブ男だったら、絶対に声をかけている! 絶対に! 絶対に、だ!」
「わかったわかった」
男性陣が路地の陰でそんなやりとりをしている間に、女性陣は焼き菓子屋から二軒手前の雑貨屋に移動してきたようだ。
おかげで、彼女達の会話も動向も確認しやすくなった。
とはいえ、どこの国の王侯貴族も大抵は御用商人を抱えている。ヴィンセント王家もフェルデン公爵家も、当然隣国ヒンメルの超名門ダールグレン公爵家だって例外ではない。
身分を隠して諸外国を渡り歩いていたウルやロッツとは違い、アシェラは街で商品を吟味して買い物をした経験などほとんどないだろう。
しかも、いくら町娘の格好をしようと彼女の美しさや気品は際立っており、見る者が見れば市井の人間でないのは一目瞭然。
件の雑貨屋の店主もそれであったようで、母娘をお忍びで来た貴族の婦女子と見てか、早速揉み手をしながら寄ってきた。
まるまると太った、いかにも強欲そうな初老の男である。
対してアシェラは、一見深窓の令嬢といった儚げな雰囲気。
店主はおそらく彼女を世間知らずな箱入り娘と舐めているのだろうが……あいにく、相手は国をも手玉に取るあのダールグレン公爵の娘だ。
おべっかを並べ立てる店主を見据えるアシェラの眼差しがすっと冷たくなる。
あの店主、殺されるぞ。精神的に――、とウルとロッツが身構えた時だ。
ふいに、アシェラの前にぴょこんと飛び出してきた者があった。
我らがヴィンセント王妃、マイリである。
「これ、店主よ。おぬしを目利きと見こんで頼みがある」
「……はい?」
マイリは、店主のでっぷりとしたお腹をちっちゃな手でぽよんぽよんと叩いて言う。
幼子らしからぬ話しっぷりに驚いたのか、はたまたその無邪気さに毒気を抜かれたのか、店主の顔からは卑しい愛想笑いが消え去り、代わりにただ純粋な戸惑いだけが広がった。
それでも彼は、何やら懸命に訴える四歳児に合わせて、自然とその場に腰を落とす。
どうやら悪いやつではなさそうだ、とウルもロッツもこのまま傍観することにした。
一方、マイリは大真面目な顔をして続ける。
「わらわの母は、これこのとおり、美しかろう? この母に見合う品を選ぶのを手伝ってもらいたいんじゃ」
「は、はあ……お母様に見合うお品物、でございますか?」
「予算はこれじゃ。ウルがたくさん持たせてくれたのでな、惜しみなく使うがよいぞ」
「小銭……」
マイリが首から下げていた財布のガマ口を開いて見せると、店主はとたんに肩透かしをくらったような顔になった。
カモだと思って擦り寄った御貴族様の手持ちが、思いっきり小銭だったのだから当然と言えば当然だろう。
それでもこの時、店主は賢明だった。
どうにかこうにか、その顔面に愛想笑いを張り付けたのだ。
もしもマイリを邪険にしてでもいたら、その背後で密かに言葉のナイフを研いでいたアシェラの餌食になっていたことだろう。ヒンメル王立学校きっての秀才と名高かった彼女に、口喧嘩で勝てた人間をウルもロッツもいまだ見たことがない。
そうとは知らず命拾いした店主は、お母様への贈り物ということですかな? と穏やかな声で問う。
マイリはそれに、うむ、と頷くと……
「あのな、わらわ、今日は母と初めてのおでかけなんじゃ。わらわはとてもうれしいから、母にも記念になるものをおくりたい」
「な、なんと……」
「マイリちゃん……」
四歳児のいじらしい言葉を耳にして、店主もアシェラもたちまち感動に打ち震える。
そしてまた、ウルの隣でも両手で顔を覆って天を仰ぐ者があった。
ロッツだ。
ただし、その口からまろび出た言葉の雲行きはどうにも怪しい。
「マイリちゃん……とうとい……あんな親孝行な子を母親から引き離すなんて、陛下はとんだクソ野郎ですね」
「急にこっちに矛先が向いたな。俺にだって、のっぴきならない事情があったんだよ」
ウルがマイリを王妃としたのは、このヴィンセント王国がある土地の主だという彼女の要求に従ってのことだ。
家主との契約を反故にしたヒンメル王国の綱渡りな現状を見ると、己の初手に間違いはなかったとウルは確信している。
けれども、そんな事情を知らないロッツは――わずか三歳で娘を取り上げられてしまった父親は、両手で顔を覆ったまま矢継ぎ早に問うた。
「いったい、どんな事情があるって言うんですか? 本当に、マイリちゃんじゃないとダメだったんですか? ウルは――マイリちゃんを王妃にして後悔したことはないんですか?」
ぴりりとした緊張がその場に走った。
マイリの中身はヴィンセント建国以前より生きる人外だの、お前達の本当の娘は生まれる前に亡くなっただの、言えるはずがない。
王妃の座を望んだのはマイリ自身で、それはウルの血を啜る便宜上であり、彼女の要求を飲むか否かには国家の存亡がかかっていた、なんて言っても信じてもらえるわけがないのは分かりきっていた。
だから、今のウルが答えられるとしたら、最後の質問だけだ。
――マイリちゃんを王妃にして後悔したことはないんですか?
「ない」
「……あっそ。じゃあ、いいです」
ウルの答えを聞いたロッツは、妙にあっさりと矛を収めたのだった。
新しい年を迎え、王城の膝下の街にも活気が満ち溢れていた。
正午を回って一時間ほどが過ぎ、人出はますます増えてくる。
大通りに面した焼き菓子屋の店先には、お茶の時間に備えて次々と焼き立てのものが並び始めた。
ほかほかと湯気を立てるそのうちの一つを、頬を上気させた小さな女の子が指差す。
若い母親はにっこりと微笑み、娘が欲しがった焼き菓子を買い求めるのだった。
「――それで? 俺達はなぜ、こんなところでコソコソしている?」
「なぜって、隠密行動中だからに決まってるじゃないですか」
賑わう大通りと交差する路地の陰。
件の母娘からすぐ隣の相手に視線を移して胡乱な顔をするのは、何を隠そう、このヴィンセント王国の国王ウルである。
対して、まばたきの時間すら惜しんで母娘を凝視しているのは、ウルの幼馴染ロッツ。
前者の黒髪はともかく、後者のブロンドの髪はわずかな陽光でもキラキラと主張が激しい。
物陰でもこれなのだから、焼き菓子屋の店先で真昼間の太陽を惜しげもなく受けている、ロッツと同じ色彩を纏った幼子は言わずもがな。
亜麻色の髪をした母親が、さも愛おしげにその髪を撫でた。
母娘は、ロッツの愛する妻子――アシェラとマイリ。
ウルは肩を竦めて、おい、と幼馴染の横っ腹を小突いた。
「絶対に外せない重要な視察が入ったと言うから何事かと思ったが……もしかしてもしかしなくても、これのことか?」
「そうですけど? むしろ、他に何があると言うんです?」
この日は午後から、ヴィンセント王妃マイリが母アシェラと二人で城下街に繰り出していた。
ウルは前々からその予定を把握していたし、なんなら今マイリが首から下げているガマ口の財布に小銭をしこたま詰め込んでやったのも彼だ。
なぜ小銭なのかというと、紙幣はペラペラで風に飛ばされてしまいそう、などと四歳児が宣うからである。
ちなみにその財布も、ワンピースやタイツ、靴から髪飾りに至るまで、衣装一式を用意したのはお馴染み王妃専属のお針子ソマリであるが、一見すると普段よりも質素な印象を受ける。
アシェラの方も、今日は次期フェルデン公爵の妻というよりは、初々しい町娘といった装いをしていた。
「はぁああん、混ざりたいー! 僕も、あの絵の中に混ざりたいいい!!」
「混ざればいいじゃないか。むしろ、コソコソする意味がわからない」
「だって! アシェラが! マイリちゃんと二人っきりでお出かけしたいって言うんですもん! 女の子同士のデートだから、野郎はお呼びじゃないんですのよ、ってお断りされたんですもんっ!!」
「あいつ、相変わらず辛辣だな……お前も、お呼びじゃないのに結局来たのかよ」
呆れたように言うウルを、ロッツはギンッと睨みつけて叫んだ。
「陛下は! ウルは! 心配じゃないんですか!? あんなに可愛い女の子二人組を放っておけるほど、世の野郎どもが枯れているわけないでしょっ!!」
「いや、しかし……四歳児と人妻だぞ?」
「だからなんだって言うんです! ぼくがモブ男だったら、絶対に声をかけている! 絶対に! 絶対に、だ!」
「わかったわかった」
男性陣が路地の陰でそんなやりとりをしている間に、女性陣は焼き菓子屋から二軒手前の雑貨屋に移動してきたようだ。
おかげで、彼女達の会話も動向も確認しやすくなった。
とはいえ、どこの国の王侯貴族も大抵は御用商人を抱えている。ヴィンセント王家もフェルデン公爵家も、当然隣国ヒンメルの超名門ダールグレン公爵家だって例外ではない。
身分を隠して諸外国を渡り歩いていたウルやロッツとは違い、アシェラは街で商品を吟味して買い物をした経験などほとんどないだろう。
しかも、いくら町娘の格好をしようと彼女の美しさや気品は際立っており、見る者が見れば市井の人間でないのは一目瞭然。
件の雑貨屋の店主もそれであったようで、母娘をお忍びで来た貴族の婦女子と見てか、早速揉み手をしながら寄ってきた。
まるまると太った、いかにも強欲そうな初老の男である。
対してアシェラは、一見深窓の令嬢といった儚げな雰囲気。
店主はおそらく彼女を世間知らずな箱入り娘と舐めているのだろうが……あいにく、相手は国をも手玉に取るあのダールグレン公爵の娘だ。
おべっかを並べ立てる店主を見据えるアシェラの眼差しがすっと冷たくなる。
あの店主、殺されるぞ。精神的に――、とウルとロッツが身構えた時だ。
ふいに、アシェラの前にぴょこんと飛び出してきた者があった。
我らがヴィンセント王妃、マイリである。
「これ、店主よ。おぬしを目利きと見こんで頼みがある」
「……はい?」
マイリは、店主のでっぷりとしたお腹をちっちゃな手でぽよんぽよんと叩いて言う。
幼子らしからぬ話しっぷりに驚いたのか、はたまたその無邪気さに毒気を抜かれたのか、店主の顔からは卑しい愛想笑いが消え去り、代わりにただ純粋な戸惑いだけが広がった。
それでも彼は、何やら懸命に訴える四歳児に合わせて、自然とその場に腰を落とす。
どうやら悪いやつではなさそうだ、とウルもロッツもこのまま傍観することにした。
一方、マイリは大真面目な顔をして続ける。
「わらわの母は、これこのとおり、美しかろう? この母に見合う品を選ぶのを手伝ってもらいたいんじゃ」
「は、はあ……お母様に見合うお品物、でございますか?」
「予算はこれじゃ。ウルがたくさん持たせてくれたのでな、惜しみなく使うがよいぞ」
「小銭……」
マイリが首から下げていた財布のガマ口を開いて見せると、店主はとたんに肩透かしをくらったような顔になった。
カモだと思って擦り寄った御貴族様の手持ちが、思いっきり小銭だったのだから当然と言えば当然だろう。
それでもこの時、店主は賢明だった。
どうにかこうにか、その顔面に愛想笑いを張り付けたのだ。
もしもマイリを邪険にしてでもいたら、その背後で密かに言葉のナイフを研いでいたアシェラの餌食になっていたことだろう。ヒンメル王立学校きっての秀才と名高かった彼女に、口喧嘩で勝てた人間をウルもロッツもいまだ見たことがない。
そうとは知らず命拾いした店主は、お母様への贈り物ということですかな? と穏やかな声で問う。
マイリはそれに、うむ、と頷くと……
「あのな、わらわ、今日は母と初めてのおでかけなんじゃ。わらわはとてもうれしいから、母にも記念になるものをおくりたい」
「な、なんと……」
「マイリちゃん……」
四歳児のいじらしい言葉を耳にして、店主もアシェラもたちまち感動に打ち震える。
そしてまた、ウルの隣でも両手で顔を覆って天を仰ぐ者があった。
ロッツだ。
ただし、その口からまろび出た言葉の雲行きはどうにも怪しい。
「マイリちゃん……とうとい……あんな親孝行な子を母親から引き離すなんて、陛下はとんだクソ野郎ですね」
「急にこっちに矛先が向いたな。俺にだって、のっぴきならない事情があったんだよ」
ウルがマイリを王妃としたのは、このヴィンセント王国がある土地の主だという彼女の要求に従ってのことだ。
家主との契約を反故にしたヒンメル王国の綱渡りな現状を見ると、己の初手に間違いはなかったとウルは確信している。
けれども、そんな事情を知らないロッツは――わずか三歳で娘を取り上げられてしまった父親は、両手で顔を覆ったまま矢継ぎ早に問うた。
「いったい、どんな事情があるって言うんですか? 本当に、マイリちゃんじゃないとダメだったんですか? ウルは――マイリちゃんを王妃にして後悔したことはないんですか?」
ぴりりとした緊張がその場に走った。
マイリの中身はヴィンセント建国以前より生きる人外だの、お前達の本当の娘は生まれる前に亡くなっただの、言えるはずがない。
王妃の座を望んだのはマイリ自身で、それはウルの血を啜る便宜上であり、彼女の要求を飲むか否かには国家の存亡がかかっていた、なんて言っても信じてもらえるわけがないのは分かりきっていた。
だから、今のウルが答えられるとしたら、最後の質問だけだ。
――マイリちゃんを王妃にして後悔したことはないんですか?
「ない」
「……あっそ。じゃあ、いいです」
ウルの答えを聞いたロッツは、妙にあっさりと矛を収めたのだった。
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