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プロローグ
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侍女のジゼルだけを連れ、セヴラン軍の陣を訪れたディアヌは緊張していた。
闇に紛れる色合いのマントのフードで顔を隠したまま、室内に集まっている人達の顔を見ることもできず、伏し目がちに室内に足を踏み入れる。
シュールリトン国王、ルディガー――ディアヌが会いたかった人は、そこにいた。彼は、厳しい顔をしてこちらを見つめている。
短く切りそろえた黒い髪、同じ色の瞳。周囲の男達より頭半分背が高く、肩幅も広い堂々たる体躯の持ち主だ。
さほど広くない部屋の中央にはテーブルが一つ。その周囲には椅子がいくつか置かれているが、ルディガーを含め、座っている者はいなかった。
室内には、ルディガーの他に五名ほどの男がいた。皆、こちらに鋭い目を向け、不審な動きがあればすぐにでも取り押さえるつもりでいるらしい。
「――お人払いを」
ディアヌはルディガーの前にまで進み出た。丁寧に一礼するが、フードはかぶったままだ。
「人払いはしない。それに、人に話を聞いてもらおうというのに、フードをかぶったままというのはあんまりじゃないか」
ルディガーの言葉に、ジゼルが一歩前に出ようとするのを、ディアヌは手で制した。できれば、人前で顔をさらしたくはなかったのだがしかたない。
「ええ、そうですね。私が間違っていました……できれば、あまり大人数の前には顔をさらしたくなかったのですが……国王陛下の前で、無礼でしたね」
言葉と共に頭にかぶっていたフードを背中に払い落とす。
フードから現れたのはプラチナブロンド。小さな卵型の顔に菫色の瞳。顔立ちは整っているのだが、表情が薄いために人形めいた印象を与える。
「……ディアヌ」
思えば、十年ぶりの再会だ。顔を見ただけで、気づいてもらえるとは思わなかった。
「ということは、後ろの赤毛はジゼルか」
「赤毛って――」
敵国の王の前であることを忘れたみたいに、ジゼルが声を上げかけるのを、もう一度手で制した。今は時間が惜しい。
「私の願いを聞いていただけますか、陛下?」
できるだけ、堂々として見えればいい。少しでも小柄な背を大きく見せようとわずかに背をそらす。
「聞くだけなら。何が望みだ?」
「わが父マクシムの死――そして、今のシュールリトン王家の滅亡を」
父と一族の滅亡を願うディアヌの言葉に、室内がわずかにざわついた。
「それは俺もなんとかしたいと思っているが、なかなか難しい。ノエルの話では、それを現実にする方法を持ってきてくれたとか?」
ノエルというのは、ここまでディアヌとジゼルを案内してくれた男の名前らしい。彼は、ディアヌとジゼルの剣を手にしたまま、部屋の隅に控えている。
「……それをお渡ししますので、人払いをお願いはできませんか?」
「それは無理だ。わが王と敵国の王女を二人きりにできるはずないだろう?」
馬鹿にした口調でノエルが口を開く。話を聞いてくれるところまでは、なんとかこぎつけたのだが――さすがに、二人きりというのは無理か。
誰に見つかっても困らないよう、隠してきたものをこの場で取り出すのはためらいがある。ディアヌは肩を揺らしたけれど、数度大きく呼吸して腹を決めた。
「……しかたありませんね」
「姫様!」
ジゼルの叱責する声も聞こえていないように、ディアヌは自分のマントに手をかけ、脱いだそれをジゼルに渡す。垂らしたままの髪を肩から前に垂らし、背中のボタンを外すようジゼルに命じた。
「色仕掛けのつもりか?」
と今度は誰かがからかう声を上げる。背中のボタンを外してくれるジゼルの指先が、怒りに震えているのもまたわかる。
けれど、ジゼルは何も言わなかった。指先を震わせながらも、ボタンを外し、コルセットの紐を解いてコルセットを外すのにも手を貸してくれる。
「どなたか、ナイフを貸してください」
周囲を見回すも、誰もナイフを貸してくれる気はなさそうだ。冷静に考えれば、それも当然だ。もう少し上手にことを運ぶことができればよかったのに。
「――では、どなたか、ナイフでここを切ってはいただけませんか」
身に着けていた下着を若い男性の目の前に晒すのはとてつもない羞恥だが、今はそんなことを言っている場合ではない。
服から零れそうな乳房を片手で覆い隠すようにしながら、テーブルの上にコルセットを置く。ここで、動揺している様子など見せるわけにはいかなかった。
「では、俺が」
言い出したノエルが、抱えていた剣を他の男の手に渡し、指示した場所を切り開く。彼らの目が、ノエルの手元に集中している間に、ずらした衣服を肩のところまで戻し、フードをかぶらないままマントも羽織った。
「――ありがとう。あとは、私が」
ノエルの手を離れたところで、切れ目の中に指を入れる。
そして、そこから引き出したのは、一枚の白い布だった。いや、白い布に黒いインクで描かれたシュールリトン城の見取り図だった。
「我が国の兵士の配置、そして――砦の守りがどうなっているのか。ジゼルの手を借りて調べました。これが、私のお渡ししたかったものです」
どこにどのくらい兵士がいるのか、攻めやすいのはどこか、守りが厚いのはどこか。
武器庫に食糧庫――そして、王族が身を潜めている場所まで。これだけの情報があれば、この膠着状態を打ち破ることができるはずだ。
「……それから、ここ。この門を私とジゼルの二人で開きます。ここは、守りが薄いのです。この門から入れば――比較的容易に父や兄達のいる場所まで向かうことができるのではないでしょうか」
細い指先で絵図の一点を押さえれば、ルディガーが、落ち着いたまなざしをこちらに向ける。
「先ほど、自分の親兄弟を殺す様にと俺に言ったが、これだけの情報を持ってきてくれたのならばそれも可能だな。それで、その対価としてお前は何を望むんだ?」
「――私との婚姻を」
「一族を売って自分一人生き残るつもりか!」
ノエルが憤怒の声を上げる。男達は口々にディアヌに向かって呪詛の言葉を吐き出した。
一族を売り、自分一人生き残りを図る。しかも一族の者を売って――などというのは、彼らからすれば信じられない行動だろう。
側にいるジゼルが、悔しそうに歯ぎしりするのもまたわかったけれど、今回は彼女も自分を抑えたようだ。
「ノエルと言いましたか。ルディガー陛下が国を平定するのにどのくらいかかるとあなたは予想しますか」
だが、ここでひるむわけにはいかないのだ。父や異母兄達を止める手段は、他にないのだから。
「――二年。それでも長いくらいだ」
二年――それだけあれば、なんとかなるというのか。ディアヌは息をついた。落ち着いた声音を心がけて、一息に吐き出す。
「わが国には女でも王位継承権があります。一族を滅ぼせば、王位を継承するのは私だけ。私とルディガー陛下が結婚すれば、陛下に王位の正式な継承権を譲ることができます。形式さえ整えてしまえば、国内の貴族達の反発はある程度抑えることができるでしょう。私が望むのは、その二年の間に完全に国内を平定していただくことです」
「それで、二年たったらどうするつもりなのだ」
ノエルとディアヌのやりとりを、黙って聞いていたルディガーが口を挟む。ディアヌはうっすらと微笑んだ。
「二年たったら、離縁していただきたく存じます。私は修道院に戻ります――ですので、陛下との婚姻は、白き婚姻ということになりますね」
ルディガーと人生を共に歩むつもりはない。彼にふさわしいのは、光の当たる道だから。
「それでは、お前――いや、あなたにとって何の利益もないではないか。国を売った悪女という汚名を背負うだけになってしまう」
家族を売り、自分一人生き残っただけではない。ルディガーと婚姻を結んでおきながら、二年ののちには修道院に戻る。
「父の血が絶たれるのであれば、私の評判など安いものだとは思いませんか?」
ルディガーに向けたのは、完璧な無表情。彼女の言葉に、室内は今度こそ完全に静まり返った。
「わかった。その話、受けよう」
「――陛下! ルフェーベル家の者を信じるなど……!」
「かまわん。ディアヌと俺は以前からの知り合いだ。この絵図が使えるかどうか、明日、いや今日の早朝には確認できるな?」
室内にいる男達は、皆不承不承といったようすだったけれど、ルディガーの言葉が全てだった。
「俺はディアヌを信じる――昼過ぎには門に向かえるだろう」
「お待ちしております――陛下」
信じてもらえた。それだけで十分だ。
来た時のようにフードをかぶり、ディアヌはジゼルに目配せする。それが、この部屋を立ち去る合図だった。
闇に紛れる色合いのマントのフードで顔を隠したまま、室内に集まっている人達の顔を見ることもできず、伏し目がちに室内に足を踏み入れる。
シュールリトン国王、ルディガー――ディアヌが会いたかった人は、そこにいた。彼は、厳しい顔をしてこちらを見つめている。
短く切りそろえた黒い髪、同じ色の瞳。周囲の男達より頭半分背が高く、肩幅も広い堂々たる体躯の持ち主だ。
さほど広くない部屋の中央にはテーブルが一つ。その周囲には椅子がいくつか置かれているが、ルディガーを含め、座っている者はいなかった。
室内には、ルディガーの他に五名ほどの男がいた。皆、こちらに鋭い目を向け、不審な動きがあればすぐにでも取り押さえるつもりでいるらしい。
「――お人払いを」
ディアヌはルディガーの前にまで進み出た。丁寧に一礼するが、フードはかぶったままだ。
「人払いはしない。それに、人に話を聞いてもらおうというのに、フードをかぶったままというのはあんまりじゃないか」
ルディガーの言葉に、ジゼルが一歩前に出ようとするのを、ディアヌは手で制した。できれば、人前で顔をさらしたくはなかったのだがしかたない。
「ええ、そうですね。私が間違っていました……できれば、あまり大人数の前には顔をさらしたくなかったのですが……国王陛下の前で、無礼でしたね」
言葉と共に頭にかぶっていたフードを背中に払い落とす。
フードから現れたのはプラチナブロンド。小さな卵型の顔に菫色の瞳。顔立ちは整っているのだが、表情が薄いために人形めいた印象を与える。
「……ディアヌ」
思えば、十年ぶりの再会だ。顔を見ただけで、気づいてもらえるとは思わなかった。
「ということは、後ろの赤毛はジゼルか」
「赤毛って――」
敵国の王の前であることを忘れたみたいに、ジゼルが声を上げかけるのを、もう一度手で制した。今は時間が惜しい。
「私の願いを聞いていただけますか、陛下?」
できるだけ、堂々として見えればいい。少しでも小柄な背を大きく見せようとわずかに背をそらす。
「聞くだけなら。何が望みだ?」
「わが父マクシムの死――そして、今のシュールリトン王家の滅亡を」
父と一族の滅亡を願うディアヌの言葉に、室内がわずかにざわついた。
「それは俺もなんとかしたいと思っているが、なかなか難しい。ノエルの話では、それを現実にする方法を持ってきてくれたとか?」
ノエルというのは、ここまでディアヌとジゼルを案内してくれた男の名前らしい。彼は、ディアヌとジゼルの剣を手にしたまま、部屋の隅に控えている。
「……それをお渡ししますので、人払いをお願いはできませんか?」
「それは無理だ。わが王と敵国の王女を二人きりにできるはずないだろう?」
馬鹿にした口調でノエルが口を開く。話を聞いてくれるところまでは、なんとかこぎつけたのだが――さすがに、二人きりというのは無理か。
誰に見つかっても困らないよう、隠してきたものをこの場で取り出すのはためらいがある。ディアヌは肩を揺らしたけれど、数度大きく呼吸して腹を決めた。
「……しかたありませんね」
「姫様!」
ジゼルの叱責する声も聞こえていないように、ディアヌは自分のマントに手をかけ、脱いだそれをジゼルに渡す。垂らしたままの髪を肩から前に垂らし、背中のボタンを外すようジゼルに命じた。
「色仕掛けのつもりか?」
と今度は誰かがからかう声を上げる。背中のボタンを外してくれるジゼルの指先が、怒りに震えているのもまたわかる。
けれど、ジゼルは何も言わなかった。指先を震わせながらも、ボタンを外し、コルセットの紐を解いてコルセットを外すのにも手を貸してくれる。
「どなたか、ナイフを貸してください」
周囲を見回すも、誰もナイフを貸してくれる気はなさそうだ。冷静に考えれば、それも当然だ。もう少し上手にことを運ぶことができればよかったのに。
「――では、どなたか、ナイフでここを切ってはいただけませんか」
身に着けていた下着を若い男性の目の前に晒すのはとてつもない羞恥だが、今はそんなことを言っている場合ではない。
服から零れそうな乳房を片手で覆い隠すようにしながら、テーブルの上にコルセットを置く。ここで、動揺している様子など見せるわけにはいかなかった。
「では、俺が」
言い出したノエルが、抱えていた剣を他の男の手に渡し、指示した場所を切り開く。彼らの目が、ノエルの手元に集中している間に、ずらした衣服を肩のところまで戻し、フードをかぶらないままマントも羽織った。
「――ありがとう。あとは、私が」
ノエルの手を離れたところで、切れ目の中に指を入れる。
そして、そこから引き出したのは、一枚の白い布だった。いや、白い布に黒いインクで描かれたシュールリトン城の見取り図だった。
「我が国の兵士の配置、そして――砦の守りがどうなっているのか。ジゼルの手を借りて調べました。これが、私のお渡ししたかったものです」
どこにどのくらい兵士がいるのか、攻めやすいのはどこか、守りが厚いのはどこか。
武器庫に食糧庫――そして、王族が身を潜めている場所まで。これだけの情報があれば、この膠着状態を打ち破ることができるはずだ。
「……それから、ここ。この門を私とジゼルの二人で開きます。ここは、守りが薄いのです。この門から入れば――比較的容易に父や兄達のいる場所まで向かうことができるのではないでしょうか」
細い指先で絵図の一点を押さえれば、ルディガーが、落ち着いたまなざしをこちらに向ける。
「先ほど、自分の親兄弟を殺す様にと俺に言ったが、これだけの情報を持ってきてくれたのならばそれも可能だな。それで、その対価としてお前は何を望むんだ?」
「――私との婚姻を」
「一族を売って自分一人生き残るつもりか!」
ノエルが憤怒の声を上げる。男達は口々にディアヌに向かって呪詛の言葉を吐き出した。
一族を売り、自分一人生き残りを図る。しかも一族の者を売って――などというのは、彼らからすれば信じられない行動だろう。
側にいるジゼルが、悔しそうに歯ぎしりするのもまたわかったけれど、今回は彼女も自分を抑えたようだ。
「ノエルと言いましたか。ルディガー陛下が国を平定するのにどのくらいかかるとあなたは予想しますか」
だが、ここでひるむわけにはいかないのだ。父や異母兄達を止める手段は、他にないのだから。
「――二年。それでも長いくらいだ」
二年――それだけあれば、なんとかなるというのか。ディアヌは息をついた。落ち着いた声音を心がけて、一息に吐き出す。
「わが国には女でも王位継承権があります。一族を滅ぼせば、王位を継承するのは私だけ。私とルディガー陛下が結婚すれば、陛下に王位の正式な継承権を譲ることができます。形式さえ整えてしまえば、国内の貴族達の反発はある程度抑えることができるでしょう。私が望むのは、その二年の間に完全に国内を平定していただくことです」
「それで、二年たったらどうするつもりなのだ」
ノエルとディアヌのやりとりを、黙って聞いていたルディガーが口を挟む。ディアヌはうっすらと微笑んだ。
「二年たったら、離縁していただきたく存じます。私は修道院に戻ります――ですので、陛下との婚姻は、白き婚姻ということになりますね」
ルディガーと人生を共に歩むつもりはない。彼にふさわしいのは、光の当たる道だから。
「それでは、お前――いや、あなたにとって何の利益もないではないか。国を売った悪女という汚名を背負うだけになってしまう」
家族を売り、自分一人生き残っただけではない。ルディガーと婚姻を結んでおきながら、二年ののちには修道院に戻る。
「父の血が絶たれるのであれば、私の評判など安いものだとは思いませんか?」
ルディガーに向けたのは、完璧な無表情。彼女の言葉に、室内は今度こそ完全に静まり返った。
「わかった。その話、受けよう」
「――陛下! ルフェーベル家の者を信じるなど……!」
「かまわん。ディアヌと俺は以前からの知り合いだ。この絵図が使えるかどうか、明日、いや今日の早朝には確認できるな?」
室内にいる男達は、皆不承不承といったようすだったけれど、ルディガーの言葉が全てだった。
「俺はディアヌを信じる――昼過ぎには門に向かえるだろう」
「お待ちしております――陛下」
信じてもらえた。それだけで十分だ。
来た時のようにフードをかぶり、ディアヌはジゼルに目配せする。それが、この部屋を立ち去る合図だった。
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