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第二章『神皇篇』
第五十話『麗真魅琴』 序
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漆黒の水面に映る白銀の月明かりが、空と海を分かつ水平線を示している。
麗真魅琴は凄惨な暴行の現場から暫く歩き、海辺に佇んで遠くを見ていた。
拡げた両腕からは岬守航の返り血が滴り落ちている。
両腕だけでなく、彼女の身体は全身が血塗れだった。
見る者全てを魅了する艶やかな黒髪も、細やかな白肌も、麗らかな顔も、嫋やかな肉体も、全てが紅く染められている。
生臭い鉄の香りが彼女を抱き締める様に纏わり付いている。
魅琴は拡げた両腕を交差させ、自らの肩を抱き締めて天を仰いだ。
濡れた長い睫毛に月の光が零れ、細めた切れ長の目にヴェールを纏わせる。
酸鼻な姿に似合わず、彼女の表情は静かだった。
その佇まいは残酷な禽獣の様でもあり、怜悧な天女の様でもあった。
宛ら、浜辺に立つグロテスクな彫刻といったところだろうか。
風が吹き抜ける。
薄目を開いた眼が潤み、瞳に星空を映し出している。
薄紅に染まった瑞々しい唇が僅かに動き、声を発することなく返り血の主の名前を何度も呟いている。
血を洗い流そうと思えば難しくない。
すぐ側の海に入ればそれで済む。
今、魅琴は出来る限り長くこのままで居たかった。
最期の時が迫る中、一分一秒でも長く航と共に居たかった。
嗚呼、今更になってこの感情を抱く心。
そう、これこそが……――魅琴は両手を肩から滑らせ、胸の前で重ねた。
穏やかで色鮮やかな日々があまりに惜しく、手放すことが出来なかった。
決断を六年も渋ってしまった。
皇國に足を踏み入れて尚、再びあの日々に帰れると何処かで期待してしまっていた。
事此処に至る前に、もっと早く動き出すべきではなかったか。
そうすれば、失われずに済んだものが多くあったのではないか。
そんな後悔を抱いて尚、魅琴はこの一時に釘付けにされていた。
未練、未練、未練。
今思い返せば、寧ろ航よりも魅琴の方がその感情に強く支配されていたのではないか。
距離を置こうとしたり、名残惜しむ様に再び接近したり、その態度は偏に優柔不断そのものではないか。
その裏側にあったものが彼への愛着でなかったら何なのだろう。
改めて、魅琴は天に向かって両腕を拡げた。
まるで何かが堰を切って溢れ出した様に。
そう、溢れ出したのだ。
航と決別した今になって、もう取り繕う必要が無くなった今だからこそ、想いが、到底抑えられない勢いで溢れ出したのだ。
彼女が見上げる夜空には、その満天の煌星には、それ以上に彼が溢れ返っている。
麗真魅琴が見渡す四方八紘には、これまで過ごした十五年間の思い出が、その中で輝き続けた岬守航が隙間無く埋め尽くされている。
こんなにも、こんなにも、こんなにも愛おしさが狂い咲いている。
もっと、もっと、もっと、青春よ花開け。
ずっと、ずっと、ずっと、この夢より素敵な場所に留まっていたい。
だが、それはあまりにも虫の良い願望だ。
自らの手で可能性を壊しておいて、その彼が見ていた幻想を粉微塵に破砕しておいて、自分だけは夢幻の中に浸り込んでいようなどという甘えが赦される筈も無い。
故に、彼女はこの幻影に満たされた情景をも自ら壊さなければならない。
身に纏った、彼と交わった証も奇麗さっぱり洗い流さなければならない。
魅琴は目を閉じた。
そしてそっと、己を包み込んでいる者を確かめる様に、再び自らの肩を抱いた。
零れて落ちそうな愛しさをまだ抱き留めようと。
己の中にある思い出を見詰めようと。
今暫く、魅琴は自らの記憶に浸り込む。
長く、永く、遥く……。
時が彼女を急かすまで、只管に……。
⦿⦿⦿
……。
今思い返せば私――麗真魅琴の、六歳以前の日常はモノクロームだった。
あの頃の私は、一言で表せば一匹の邪悪な獣だったと思う。
御爺様の連れてきた人間を破壊して愉しんでいた。
そんな私を、御爺様は「暴力の神童」として喜び褒め称えてくれた。
私は御爺様のことが好きだった。
また、御父様や御母様のことも。
だからこそ、両親と祖父が対立しているのは気掛かりだった。
仲良くして欲しい、みんなで悪い人達を壊しす楽しみを分かち合いたい――そう思っていた。
或る時、御父様は私を連れて御爺様から逃げ出した。
御母様も御父様の味方だった。
御爺様は私を連れ戻す為、次々と刺客を送り込んできた。
私は刺客を容赦無く破壊し続けた――これも楽しかった。
本当に、よく人殺しにならなかったと思う。
御爺様が崇神會という組織の総帥で、私の前に敵として現れた者が悉く神為を使えたという、全くの幸運の賜物だった。
私は毎日、そんな暗い愉悦の中で生きていた。
御父様の表情は日に日に曇っていったが、今考えると当然のことだったろうと思う。
けれども私は、暫くすると気が付いてしまった。
御父様はどうやら、日に日に弱っているらしかった。
結局、御父様の逃亡劇は一年足らずで幕を下ろした。
私は暢気に「祖父と両親が仲直りした」と思い込んで喜んでいた。
しかし、一つ気に食わないことが増えた。
御父様と御母様が私を学校に行かせると言い出し、御爺様もそれを了承したのだ。
⦿⦿⦿
学校になど行きたくはなかった。
そんなことよりも、私は今まで通りに人間を壊して遊びたかった。
しかし家族の皆が勧めるので、渋々通うことにした。
私は初めて、同じ年頃の子供達に交じることになった。
先生に促され、編入するクラスのみんなの前で自己紹介。
何も言うことが無かった。
どうでも良かったから、名前だけを呟いた。
クラスのみんなが近寄って来た。
私と仲良くしたい様だったが、鬱陶しかった。
無視していると、声を掛けてくる子は一人、また一人と減っていった。
最後にたった一人、男の子が残った。
岬守航は、他の子達とは少し顔立ちの良さが違う男の子だった。
少しだけ「御伽噺の王子様みたい」なんて思ったりもした。
でも、それだけだ。
私は同年代の子には興味が無かった。
私にとって、興味の対象とは壊しても良い遊び相手だ。
少し顔の良い男の子、その程度の相手など、絡まれるだけ面倒なだけだ。
……まあ、ほんの少しくらいは言葉を交わしてみても良いかと思わないでもなかったけれど、しつこくてうんざりした。
だがこいつは、ただでさえ嫌気が差していたところに、あろうことかこの私の隙を突いて尻を触ってきやがった。
良い度胸だ。
そんなに構って欲しいなら少し相手になってやる。
……。
え、嘘?
弱……。
何、この軟弱な生き物は……?
泣いているし、おしっこまで漏らしている。
待って、冗談でしょう?
私、全然壊すつもり無かったんだけれど。
普通の男の子って、こんなに貧弱なの?
傷、全然治る様子が無い。
これが人間の自然な治癒力……。
もしかして、死んじゃう?
たったあれだけで……?
⦿⦿⦿
衝撃的な経験だった。
あの時、私は自分が優秀な神童ではなく異常な怪物なのだと思い知った。
私が航にしたことは、忽ちのうちに大好きな家族の耳に入った。
優しい御父様が柄にもなく激怒していた。
忙しい御母様が仕事を放り出して飛んできた。
そしていつも私を褒めてくれた御爺様までもが、私の所業を嘆いていた。
航は入院した。
御父様は私の躾を誤ったと、自責の念に駆られて塞ぎ込んでしまった。
御母様は航への謝罪に私を連れて行った。
御爺様は思う処あったようで、以後私に対して古い教科書を持ち出して道徳教育を行うようになった。
この変化は堪えた。
しかし救われたこともあった。
あんな目に遭わせた私のお見舞いを、航は嫌な顔一つせずに迎え入れてくれた。
あんな目に遭わされながら、航は私に自分の非礼を詫びてくれた。
病院に通うようになって、次第に御父様は元通りになっていった。
御母様は忙しさを増したようで、会うことが少なくなった。
御爺様は引き続き、日本について色々な話を聴かせてくれた。
航は本当に良い人だった。
退院した後も、私と根気良く交流を続けてくれた。
私は航と遊ぶのが楽しみになっていった。
その中で私は、自分の可能性が広がっていくのを感じた。
次第に私は、今まで知らなかった楽しいことを沢山知っていった。
モノクロームだった世界が色付いていく。
屹度、御父様はこの為に私を学校へ行かせたのだ。
航と交わる中で、私は汎ゆることで航を負かすようになった。
勉強で、スポーツで、芸術で、遊びで……。
その度に、航の端正な顔は悔しそうに歪んだ。
能力に決定的な差があると思い知らせる度、航の顔は劣等感に曇った。
嗚呼、なんて素敵な表情なのかしら!
彼の純粋な自尊心が傷付いていく!
ただ暴力で物理的に壊すより、何倍も面白い!
この男を、じっくりと時間を掛けて、ゆっくり丁寧に壊したい!
何年も掛けて心を壊して、これ以上無い程ボロボロになったところで改めて暴力で止めを刺そう。
嗚呼、なんて甘美な破壊遊戯なのかしら!
最後まで、素敵な表情を沢山見せてね!
ただ、その為には細心の注意を払わなければ。
何せ普通の人間はとても脆く壊れ易いのだから。
他の誰にも邪魔させるものか、横取りさせるものか。
このか弱い生き物を壊すのは私だ。
その時が来るまで、彼のことは私が守ってあげないと……。
麗真魅琴は凄惨な暴行の現場から暫く歩き、海辺に佇んで遠くを見ていた。
拡げた両腕からは岬守航の返り血が滴り落ちている。
両腕だけでなく、彼女の身体は全身が血塗れだった。
見る者全てを魅了する艶やかな黒髪も、細やかな白肌も、麗らかな顔も、嫋やかな肉体も、全てが紅く染められている。
生臭い鉄の香りが彼女を抱き締める様に纏わり付いている。
魅琴は拡げた両腕を交差させ、自らの肩を抱き締めて天を仰いだ。
濡れた長い睫毛に月の光が零れ、細めた切れ長の目にヴェールを纏わせる。
酸鼻な姿に似合わず、彼女の表情は静かだった。
その佇まいは残酷な禽獣の様でもあり、怜悧な天女の様でもあった。
宛ら、浜辺に立つグロテスクな彫刻といったところだろうか。
風が吹き抜ける。
薄目を開いた眼が潤み、瞳に星空を映し出している。
薄紅に染まった瑞々しい唇が僅かに動き、声を発することなく返り血の主の名前を何度も呟いている。
血を洗い流そうと思えば難しくない。
すぐ側の海に入ればそれで済む。
今、魅琴は出来る限り長くこのままで居たかった。
最期の時が迫る中、一分一秒でも長く航と共に居たかった。
嗚呼、今更になってこの感情を抱く心。
そう、これこそが……――魅琴は両手を肩から滑らせ、胸の前で重ねた。
穏やかで色鮮やかな日々があまりに惜しく、手放すことが出来なかった。
決断を六年も渋ってしまった。
皇國に足を踏み入れて尚、再びあの日々に帰れると何処かで期待してしまっていた。
事此処に至る前に、もっと早く動き出すべきではなかったか。
そうすれば、失われずに済んだものが多くあったのではないか。
そんな後悔を抱いて尚、魅琴はこの一時に釘付けにされていた。
未練、未練、未練。
今思い返せば、寧ろ航よりも魅琴の方がその感情に強く支配されていたのではないか。
距離を置こうとしたり、名残惜しむ様に再び接近したり、その態度は偏に優柔不断そのものではないか。
その裏側にあったものが彼への愛着でなかったら何なのだろう。
改めて、魅琴は天に向かって両腕を拡げた。
まるで何かが堰を切って溢れ出した様に。
そう、溢れ出したのだ。
航と決別した今になって、もう取り繕う必要が無くなった今だからこそ、想いが、到底抑えられない勢いで溢れ出したのだ。
彼女が見上げる夜空には、その満天の煌星には、それ以上に彼が溢れ返っている。
麗真魅琴が見渡す四方八紘には、これまで過ごした十五年間の思い出が、その中で輝き続けた岬守航が隙間無く埋め尽くされている。
こんなにも、こんなにも、こんなにも愛おしさが狂い咲いている。
もっと、もっと、もっと、青春よ花開け。
ずっと、ずっと、ずっと、この夢より素敵な場所に留まっていたい。
だが、それはあまりにも虫の良い願望だ。
自らの手で可能性を壊しておいて、その彼が見ていた幻想を粉微塵に破砕しておいて、自分だけは夢幻の中に浸り込んでいようなどという甘えが赦される筈も無い。
故に、彼女はこの幻影に満たされた情景をも自ら壊さなければならない。
身に纏った、彼と交わった証も奇麗さっぱり洗い流さなければならない。
魅琴は目を閉じた。
そしてそっと、己を包み込んでいる者を確かめる様に、再び自らの肩を抱いた。
零れて落ちそうな愛しさをまだ抱き留めようと。
己の中にある思い出を見詰めようと。
今暫く、魅琴は自らの記憶に浸り込む。
長く、永く、遥く……。
時が彼女を急かすまで、只管に……。
⦿⦿⦿
……。
今思い返せば私――麗真魅琴の、六歳以前の日常はモノクロームだった。
あの頃の私は、一言で表せば一匹の邪悪な獣だったと思う。
御爺様の連れてきた人間を破壊して愉しんでいた。
そんな私を、御爺様は「暴力の神童」として喜び褒め称えてくれた。
私は御爺様のことが好きだった。
また、御父様や御母様のことも。
だからこそ、両親と祖父が対立しているのは気掛かりだった。
仲良くして欲しい、みんなで悪い人達を壊しす楽しみを分かち合いたい――そう思っていた。
或る時、御父様は私を連れて御爺様から逃げ出した。
御母様も御父様の味方だった。
御爺様は私を連れ戻す為、次々と刺客を送り込んできた。
私は刺客を容赦無く破壊し続けた――これも楽しかった。
本当に、よく人殺しにならなかったと思う。
御爺様が崇神會という組織の総帥で、私の前に敵として現れた者が悉く神為を使えたという、全くの幸運の賜物だった。
私は毎日、そんな暗い愉悦の中で生きていた。
御父様の表情は日に日に曇っていったが、今考えると当然のことだったろうと思う。
けれども私は、暫くすると気が付いてしまった。
御父様はどうやら、日に日に弱っているらしかった。
結局、御父様の逃亡劇は一年足らずで幕を下ろした。
私は暢気に「祖父と両親が仲直りした」と思い込んで喜んでいた。
しかし、一つ気に食わないことが増えた。
御父様と御母様が私を学校に行かせると言い出し、御爺様もそれを了承したのだ。
⦿⦿⦿
学校になど行きたくはなかった。
そんなことよりも、私は今まで通りに人間を壊して遊びたかった。
しかし家族の皆が勧めるので、渋々通うことにした。
私は初めて、同じ年頃の子供達に交じることになった。
先生に促され、編入するクラスのみんなの前で自己紹介。
何も言うことが無かった。
どうでも良かったから、名前だけを呟いた。
クラスのみんなが近寄って来た。
私と仲良くしたい様だったが、鬱陶しかった。
無視していると、声を掛けてくる子は一人、また一人と減っていった。
最後にたった一人、男の子が残った。
岬守航は、他の子達とは少し顔立ちの良さが違う男の子だった。
少しだけ「御伽噺の王子様みたい」なんて思ったりもした。
でも、それだけだ。
私は同年代の子には興味が無かった。
私にとって、興味の対象とは壊しても良い遊び相手だ。
少し顔の良い男の子、その程度の相手など、絡まれるだけ面倒なだけだ。
……まあ、ほんの少しくらいは言葉を交わしてみても良いかと思わないでもなかったけれど、しつこくてうんざりした。
だがこいつは、ただでさえ嫌気が差していたところに、あろうことかこの私の隙を突いて尻を触ってきやがった。
良い度胸だ。
そんなに構って欲しいなら少し相手になってやる。
……。
え、嘘?
弱……。
何、この軟弱な生き物は……?
泣いているし、おしっこまで漏らしている。
待って、冗談でしょう?
私、全然壊すつもり無かったんだけれど。
普通の男の子って、こんなに貧弱なの?
傷、全然治る様子が無い。
これが人間の自然な治癒力……。
もしかして、死んじゃう?
たったあれだけで……?
⦿⦿⦿
衝撃的な経験だった。
あの時、私は自分が優秀な神童ではなく異常な怪物なのだと思い知った。
私が航にしたことは、忽ちのうちに大好きな家族の耳に入った。
優しい御父様が柄にもなく激怒していた。
忙しい御母様が仕事を放り出して飛んできた。
そしていつも私を褒めてくれた御爺様までもが、私の所業を嘆いていた。
航は入院した。
御父様は私の躾を誤ったと、自責の念に駆られて塞ぎ込んでしまった。
御母様は航への謝罪に私を連れて行った。
御爺様は思う処あったようで、以後私に対して古い教科書を持ち出して道徳教育を行うようになった。
この変化は堪えた。
しかし救われたこともあった。
あんな目に遭わせた私のお見舞いを、航は嫌な顔一つせずに迎え入れてくれた。
あんな目に遭わされながら、航は私に自分の非礼を詫びてくれた。
病院に通うようになって、次第に御父様は元通りになっていった。
御母様は忙しさを増したようで、会うことが少なくなった。
御爺様は引き続き、日本について色々な話を聴かせてくれた。
航は本当に良い人だった。
退院した後も、私と根気良く交流を続けてくれた。
私は航と遊ぶのが楽しみになっていった。
その中で私は、自分の可能性が広がっていくのを感じた。
次第に私は、今まで知らなかった楽しいことを沢山知っていった。
モノクロームだった世界が色付いていく。
屹度、御父様はこの為に私を学校へ行かせたのだ。
航と交わる中で、私は汎ゆることで航を負かすようになった。
勉強で、スポーツで、芸術で、遊びで……。
その度に、航の端正な顔は悔しそうに歪んだ。
能力に決定的な差があると思い知らせる度、航の顔は劣等感に曇った。
嗚呼、なんて素敵な表情なのかしら!
彼の純粋な自尊心が傷付いていく!
ただ暴力で物理的に壊すより、何倍も面白い!
この男を、じっくりと時間を掛けて、ゆっくり丁寧に壊したい!
何年も掛けて心を壊して、これ以上無い程ボロボロになったところで改めて暴力で止めを刺そう。
嗚呼、なんて甘美な破壊遊戯なのかしら!
最後まで、素敵な表情を沢山見せてね!
ただ、その為には細心の注意を払わなければ。
何せ普通の人間はとても脆く壊れ易いのだから。
他の誰にも邪魔させるものか、横取りさせるものか。
このか弱い生き物を壊すのは私だ。
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