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第一章『脱出篇』
第十三話『最高の譚詩曲を贈ろう』 急
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瓦礫や土木が落下してきた影響で、格納庫内の者達はそれぞれの陣営に拠らず離れ離れになっている。
折野が付け狙ったのは、そんな状況下で孤立していた青年――首領Дの息子・道成寺陰斗だった。
理由の一つは近くに居たこと、一つは敵の中で最も小柄であったことだ。
折野菱は卑劣な犯罪者であり、弱き者を襲うに躊躇いが無い。
そして狼ノ牙と違い、それを取り繕うつもりも無い。
「陰斗!」
そんな折野と陰斗の間に割って入ったのは、航達の仲間である筈の椿陽子だった。
得意の武術で折野の攻撃を捌き、両手首を掴んで動きを封じた。
硬直状態にされた折野だったが、彼は自体に得心の笑みを浮かべる。
「成程な。最初から怪しいとは思ってたぜ、椿。俺達にやたらと薬を飲ませたがってた辺りからな」
「私ももう少し貴方達とお仲間ごっこをしていたかったんだけどね。流石に弟を狙われたんじゃ出ざるを得ない。連れて来て会わせろと親父に言ったのは失敗だったよ」
折野は回し蹴りで椿の脇を狙ったが、彼女はこれを脛で器用にガードした。
そして素早く折野の腕から手を放し、逆に彼の胸へ掌底を見舞った。
「うぐっ!」
「陰斗、近くて術識が使えない! 離れて!」
姉・陽子の言葉に弟・陰斗は無言で足早に離れた。
「これだけ距離があれば!」
追撃の雷光が折野を貫いた。
「ぐああああっっ!!」
折野は全身焼け焦げて倒れ込み、煤と煙を纏って小刻みに痙攣している。
同時に、距離を取っていた陰斗も頭を押さえて蹲った。
陽子は慌てて彼に駆け寄る。
「陰斗! ごめん、出力が強過ぎた。立てる?」
「姉さん、すまない」
「良いから」
陽子は陰斗を背負い、父親の首領Дへ顔を向けた。
「親父! 陰斗を待避させる!」
娘の訴えを父親は聴いていなかった。
超級為動機神体・ミロクサーヌ改の暴走、その甚大な被害を前に、我が子を気に掛けている余裕など無いといった様子だった。
陽子は父親の応答を待たず、格納庫の入り口から陰斗を連れて出て行った。
その際、繭月を背負う双葉と目が合ったが、ばつが悪そうにわざとらしく背を向けていた。
「陽子さん……」
双葉はただ顔を伏せた。
一方、返り討ちに遭って起き上がれない折野に、虎駕が新兒を背負ったまま歩み寄った。
「折野、大丈夫なのか?」
「大丈夫に見えるか? 神為の回復が今一つ利いてねえ。参ったなこりゃ……」
悪態を吐く折野だったが、その表情は力無くも笑っていた。
結果的に、内通者の炙り出しに成功した事は思い掛けない成果である。
「げほっ!」
「折野!」
折野が吐血した。
繭月に懇願され、双葉も彼の許へ歩み寄った。
そして、破壊活動を終えた航のミロクサーヌ改も彼らの目の前に帰還した。
『みんな、いきなりすまなかった。そっちはどうなった?』
「岬守、椿の奴はどうやら敵だったらしい! 後、折野がやられてしまい危険な状態なのだよ! あの女、平然と裏切りやがった!」
「そんな言い方しないで!」
虎駕に食ってかかった双葉だったが、その様子はいつもの苛立ちよりもやり切れない悲しみが濃く見える。
そんな彼女に、虎駕も普段の様には応じられない。
「久住、悪いが今はそれどころではないのだよ」
「でも……だって……」
今回ばかりは口論にならなかった。
そんな仲間達に、航は改めて呼びかける。
『みんな、ロボットの掌に乗ってくれ。背中から中へ入れる。機体に乗り込んだら、このまま脱出するぞ』
ミロクサーヌ改が床に膝を突いた。
だが、それを黙って見過ごす狼ノ牙ではない。
特にこの男は怒り心頭に発している。
「莫迦共が! これ以上好きにさせて堪るか!」
屋渡が両腕に素早く肉の槍を形成し、航の仲間達に襲い掛かろうとする。
だがその瞬間、屋渡の目の前にミロクサーヌ改の左拳が振り下ろされた。
巨大な腕に足場を崩された屋渡はその場で尻餅を搗いた。
「糞がぁっ!!」
最後まで喚くことしか出来なかった屋渡の目の前で、航の仲間達は全員ミロクサーヌ改の首の後ろから機内へ乗り込んだ。
⦿
航は操縦室「直靈彌玉」の中に仲間達五人を迎え入れた。
副操縦席「和魂座」には重傷の折野を坐らせ、二席の両脇に二人ずつが所狭しと位置取る。
「ぐ、なんだこれは……? 体が椅子に吸い付く……!」
「折野、悪いけど耐えてくれ。なるべく緩やかに操縦するが、慣れていないと加速のGが結構きついと思う」
「ふん、気にすんな。俺の自業自得だよ。だが、敵さんの間諜ははっきりさせといたぜ」
折野は不敵に笑って航に言葉を返すが、強がりを隠せていない。
「みんなも、なるべく席に体を寄せてくれ。それで折野と同じように固定される」
双葉と新兒が航に、虎駕と繭月が折野に寄り掛かり、出発の準備は整った。
「岬守、俺はお前が出来る奴だって、ずっと信じてたぜ!」
新兒が心底嬉しそうに航を称え、親指を立てた。
航もそれに無言で応え、微笑んで拳を突き合せた。
そして再び脇の璧を掴むと、ミロクサーヌ改を浮上させる。
「うわっ! マジできついなこれ!」
「すまんみんな、心配を掛けた。虻球磨、ここからはあまり喋らない方が良いぞ。舌噛むから」
航は今までの訓練に思いを馳せながら遥か地上の格納庫を見下ろした。
立ち上がって地団駄を踏む屋渡、ただ呆然と見上げている首領Д、そしてそんな彼らに気取られぬ様に朗らかな笑みで見送ろうとしている早辺子。
航はそんな、世話になった彼女にもう一つ贈り物をしたいと思った。
「最後だ!」
一発の射撃――威力は極小に抑えたが、早辺子に捧げるべく放った心からの捧げ物である。
一筋の光が公転館を跡形も無く消し飛ばした。
憎き監獄の最期に、喋るなと忠告を受けていた仲間達からも歓声が上がった。
(さようなら、早辺子さん。どうかお元気で)
航は早辺子の涙混じりの笑顔を確認し、機体を南へと飛ばした。
確かに受け取りました――そう無言の内に謝意を述べられたような気がした。
二〇二六年七月一日、一三:三五、岬守航以下六名は武装戦隊・狼ノ牙より超級為動機神体・ミロクサーヌ改を奪取し、霜北半島に位置する碧森支部を脱出した。
⦿⦿⦿
無残にも崩壊した格納庫の跡地には三名だけが取り残されていた。
「おのれ! おのれええええっっ!!」
屋渡は半狂乱になって喚き散らしている。
だがそんな彼に、首領Дの厳しい視線が向いた。
「屋渡君、彼に為動機神体を預けたのは誰の采配だったかな?」
屋渡は一瞬にして硬直し、強張った表情を首領Дへと向けた。
「扇……扇です……!」
「屋渡様、先程も申し上げましたが、私は貴方より拝命申し上げました職務に基づき、彼に私の仕事を任せたまでで御座います。しかも、その範囲は屋渡様に逐一お伺いを立てさせていただきました。勿論、為動機神体の整備についても貴方は御承知置きされていらっしゃった筈で御座いますよ」
早辺子は言葉の端々に胸の空く気持ちを隠しきれなくなっていた。
それを読み取ったのか、首領Дは一つ大きく咳払いをした。
「まあ扇君の言葉遣いは兎も角、全ての責任は屋渡君にあるということだね」
首領Дの纏めに、屋渡は目を伏せて閉口する他無かった。
「済んだことはどうにもならん。今は被害をこれ以上広げない事を考え給え。その為にやるべき事は二つだ」
顔を上げた屋渡に、首領Дは人差し指を立てて突き出した。
「一つ目、ミロクサーヌ改を回収すること。これは『直靈彌玉』さえ残っておれば良い。それさえ手元に戻れば、機体は再生出来るからね」
首領Дの人差し指の隣に中指が立つ。
「二つ目、彼らに落とし前を付けさせること。何れにせよ、彼らを捕えねば何も始まらん」
「し、しかしどうすれば……?」
その時、麓の湖から勢い良く水飛沫が上がった。
大量の湖水を巻き上げたのはもう一つの超級為動機神体だった。
「ふむ、同志土生はどうやら逃げた訳ではなかったようだね。性能比べと持って来たあれが、四方や活躍の場を得るとは」
超級為動機神体「ガルバケーヌ改」――ミロクサーヌと並び、皇國の超級為動機神体の二大機として名高いガルバケーヌを鹵獲し、独自改造した機体である。
普段は本部のある巫璽山麓にて厳重に保管されている。
その機体が、航の駆るミロクサーヌ改を追い掛けるように南へと飛んで行った。
「やはり追ったか、同志土生。では君達、我輩は娘息子と共に本部へ戻る。屋渡君は同志土生と協力してこの件を我輩の納得のいく形で収め給え。然もなくば、今ある地位からの降格も考えなくてはならん」
首領Дはそう屋渡に宣告すると、怒りを取り繕った様子で足早にその場を後にした。
屋渡と早辺子は二人だけ瓦礫の中に取り残された。
苦難の末、武装戦隊・狼ノ牙の許から脱出した航達一行だったが、ここからは彼らを追う者達との必死の攻防が始まるのである。
折野が付け狙ったのは、そんな状況下で孤立していた青年――首領Дの息子・道成寺陰斗だった。
理由の一つは近くに居たこと、一つは敵の中で最も小柄であったことだ。
折野菱は卑劣な犯罪者であり、弱き者を襲うに躊躇いが無い。
そして狼ノ牙と違い、それを取り繕うつもりも無い。
「陰斗!」
そんな折野と陰斗の間に割って入ったのは、航達の仲間である筈の椿陽子だった。
得意の武術で折野の攻撃を捌き、両手首を掴んで動きを封じた。
硬直状態にされた折野だったが、彼は自体に得心の笑みを浮かべる。
「成程な。最初から怪しいとは思ってたぜ、椿。俺達にやたらと薬を飲ませたがってた辺りからな」
「私ももう少し貴方達とお仲間ごっこをしていたかったんだけどね。流石に弟を狙われたんじゃ出ざるを得ない。連れて来て会わせろと親父に言ったのは失敗だったよ」
折野は回し蹴りで椿の脇を狙ったが、彼女はこれを脛で器用にガードした。
そして素早く折野の腕から手を放し、逆に彼の胸へ掌底を見舞った。
「うぐっ!」
「陰斗、近くて術識が使えない! 離れて!」
姉・陽子の言葉に弟・陰斗は無言で足早に離れた。
「これだけ距離があれば!」
追撃の雷光が折野を貫いた。
「ぐああああっっ!!」
折野は全身焼け焦げて倒れ込み、煤と煙を纏って小刻みに痙攣している。
同時に、距離を取っていた陰斗も頭を押さえて蹲った。
陽子は慌てて彼に駆け寄る。
「陰斗! ごめん、出力が強過ぎた。立てる?」
「姉さん、すまない」
「良いから」
陽子は陰斗を背負い、父親の首領Дへ顔を向けた。
「親父! 陰斗を待避させる!」
娘の訴えを父親は聴いていなかった。
超級為動機神体・ミロクサーヌ改の暴走、その甚大な被害を前に、我が子を気に掛けている余裕など無いといった様子だった。
陽子は父親の応答を待たず、格納庫の入り口から陰斗を連れて出て行った。
その際、繭月を背負う双葉と目が合ったが、ばつが悪そうにわざとらしく背を向けていた。
「陽子さん……」
双葉はただ顔を伏せた。
一方、返り討ちに遭って起き上がれない折野に、虎駕が新兒を背負ったまま歩み寄った。
「折野、大丈夫なのか?」
「大丈夫に見えるか? 神為の回復が今一つ利いてねえ。参ったなこりゃ……」
悪態を吐く折野だったが、その表情は力無くも笑っていた。
結果的に、内通者の炙り出しに成功した事は思い掛けない成果である。
「げほっ!」
「折野!」
折野が吐血した。
繭月に懇願され、双葉も彼の許へ歩み寄った。
そして、破壊活動を終えた航のミロクサーヌ改も彼らの目の前に帰還した。
『みんな、いきなりすまなかった。そっちはどうなった?』
「岬守、椿の奴はどうやら敵だったらしい! 後、折野がやられてしまい危険な状態なのだよ! あの女、平然と裏切りやがった!」
「そんな言い方しないで!」
虎駕に食ってかかった双葉だったが、その様子はいつもの苛立ちよりもやり切れない悲しみが濃く見える。
そんな彼女に、虎駕も普段の様には応じられない。
「久住、悪いが今はそれどころではないのだよ」
「でも……だって……」
今回ばかりは口論にならなかった。
そんな仲間達に、航は改めて呼びかける。
『みんな、ロボットの掌に乗ってくれ。背中から中へ入れる。機体に乗り込んだら、このまま脱出するぞ』
ミロクサーヌ改が床に膝を突いた。
だが、それを黙って見過ごす狼ノ牙ではない。
特にこの男は怒り心頭に発している。
「莫迦共が! これ以上好きにさせて堪るか!」
屋渡が両腕に素早く肉の槍を形成し、航の仲間達に襲い掛かろうとする。
だがその瞬間、屋渡の目の前にミロクサーヌ改の左拳が振り下ろされた。
巨大な腕に足場を崩された屋渡はその場で尻餅を搗いた。
「糞がぁっ!!」
最後まで喚くことしか出来なかった屋渡の目の前で、航の仲間達は全員ミロクサーヌ改の首の後ろから機内へ乗り込んだ。
⦿
航は操縦室「直靈彌玉」の中に仲間達五人を迎え入れた。
副操縦席「和魂座」には重傷の折野を坐らせ、二席の両脇に二人ずつが所狭しと位置取る。
「ぐ、なんだこれは……? 体が椅子に吸い付く……!」
「折野、悪いけど耐えてくれ。なるべく緩やかに操縦するが、慣れていないと加速のGが結構きついと思う」
「ふん、気にすんな。俺の自業自得だよ。だが、敵さんの間諜ははっきりさせといたぜ」
折野は不敵に笑って航に言葉を返すが、強がりを隠せていない。
「みんなも、なるべく席に体を寄せてくれ。それで折野と同じように固定される」
双葉と新兒が航に、虎駕と繭月が折野に寄り掛かり、出発の準備は整った。
「岬守、俺はお前が出来る奴だって、ずっと信じてたぜ!」
新兒が心底嬉しそうに航を称え、親指を立てた。
航もそれに無言で応え、微笑んで拳を突き合せた。
そして再び脇の璧を掴むと、ミロクサーヌ改を浮上させる。
「うわっ! マジできついなこれ!」
「すまんみんな、心配を掛けた。虻球磨、ここからはあまり喋らない方が良いぞ。舌噛むから」
航は今までの訓練に思いを馳せながら遥か地上の格納庫を見下ろした。
立ち上がって地団駄を踏む屋渡、ただ呆然と見上げている首領Д、そしてそんな彼らに気取られぬ様に朗らかな笑みで見送ろうとしている早辺子。
航はそんな、世話になった彼女にもう一つ贈り物をしたいと思った。
「最後だ!」
一発の射撃――威力は極小に抑えたが、早辺子に捧げるべく放った心からの捧げ物である。
一筋の光が公転館を跡形も無く消し飛ばした。
憎き監獄の最期に、喋るなと忠告を受けていた仲間達からも歓声が上がった。
(さようなら、早辺子さん。どうかお元気で)
航は早辺子の涙混じりの笑顔を確認し、機体を南へと飛ばした。
確かに受け取りました――そう無言の内に謝意を述べられたような気がした。
二〇二六年七月一日、一三:三五、岬守航以下六名は武装戦隊・狼ノ牙より超級為動機神体・ミロクサーヌ改を奪取し、霜北半島に位置する碧森支部を脱出した。
⦿⦿⦿
無残にも崩壊した格納庫の跡地には三名だけが取り残されていた。
「おのれ! おのれええええっっ!!」
屋渡は半狂乱になって喚き散らしている。
だがそんな彼に、首領Дの厳しい視線が向いた。
「屋渡君、彼に為動機神体を預けたのは誰の采配だったかな?」
屋渡は一瞬にして硬直し、強張った表情を首領Дへと向けた。
「扇……扇です……!」
「屋渡様、先程も申し上げましたが、私は貴方より拝命申し上げました職務に基づき、彼に私の仕事を任せたまでで御座います。しかも、その範囲は屋渡様に逐一お伺いを立てさせていただきました。勿論、為動機神体の整備についても貴方は御承知置きされていらっしゃった筈で御座いますよ」
早辺子は言葉の端々に胸の空く気持ちを隠しきれなくなっていた。
それを読み取ったのか、首領Дは一つ大きく咳払いをした。
「まあ扇君の言葉遣いは兎も角、全ての責任は屋渡君にあるということだね」
首領Дの纏めに、屋渡は目を伏せて閉口する他無かった。
「済んだことはどうにもならん。今は被害をこれ以上広げない事を考え給え。その為にやるべき事は二つだ」
顔を上げた屋渡に、首領Дは人差し指を立てて突き出した。
「一つ目、ミロクサーヌ改を回収すること。これは『直靈彌玉』さえ残っておれば良い。それさえ手元に戻れば、機体は再生出来るからね」
首領Дの人差し指の隣に中指が立つ。
「二つ目、彼らに落とし前を付けさせること。何れにせよ、彼らを捕えねば何も始まらん」
「し、しかしどうすれば……?」
その時、麓の湖から勢い良く水飛沫が上がった。
大量の湖水を巻き上げたのはもう一つの超級為動機神体だった。
「ふむ、同志土生はどうやら逃げた訳ではなかったようだね。性能比べと持って来たあれが、四方や活躍の場を得るとは」
超級為動機神体「ガルバケーヌ改」――ミロクサーヌと並び、皇國の超級為動機神体の二大機として名高いガルバケーヌを鹵獲し、独自改造した機体である。
普段は本部のある巫璽山麓にて厳重に保管されている。
その機体が、航の駆るミロクサーヌ改を追い掛けるように南へと飛んで行った。
「やはり追ったか、同志土生。では君達、我輩は娘息子と共に本部へ戻る。屋渡君は同志土生と協力してこの件を我輩の納得のいく形で収め給え。然もなくば、今ある地位からの降格も考えなくてはならん」
首領Дはそう屋渡に宣告すると、怒りを取り繕った様子で足早にその場を後にした。
屋渡と早辺子は二人だけ瓦礫の中に取り残された。
苦難の末、武装戦隊・狼ノ牙の許から脱出した航達一行だったが、ここからは彼らを追う者達との必死の攻防が始まるのである。
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