フランクリン・ヘイズの人生

nekome

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子供時代

No.1 六歳の誕生日

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「「誕生日おめでとう」」

お父さんとお母さんが今日、僕の誕生日を祝ってくれた。
6歳になった。
今日の食卓にはこんがり焼かれた鶏肉、鮮やかで生き生きとしているトマト、そしてふわふわで、トロトロの蜂蜜が乗ったケーキ、どれも僕が好きな物で、どれもとても美味しくって口がとろけそうだった。

「食べすぎないようにね、明日動けなくなっちゃうわ」

そう笑いながら言うお母さん。

「まあ、今日だけならいいんじゃないか?」

そう笑いながら言うお父さん。

とっても楽しいお誕生日はすぐにすぎて行った。

「さあさあ、そろそろお誕生日会は終わりにしようね」

そう言ってお母さんは食べ終わった後の食器を片付けて水汲み場まで行く準備をし始めた。
僕の口の中にはまだ甘くて美味しかったケーキの味が残っている。

「お母さん!」

そう僕が呼ぶと、お母さんはすぐ振り向いてくれた。

「どうしたの?フランクリン」

「あのねあのね!次の誕生日もあのふわふわのケーキ作って欲しい!」

そう言うとお母さんは一瞬驚いた顔をして。

「えぇ、勿論よ、必ず作るから楽しみにしててねフランクリン」

そう顔を綻ばせて約束をしてくれた。嬉しい、だって次の誕生日にもあのケーキが食べれるのだから。
明日起きたら誕生日になってて欲しい。
速く、時間が経てばいいのに。僕はお母さんに駆け寄った。

「ありがとう!」

「おやすみ、お母さん!」

~~

「フランクリン、何か忘れてることがあるんじゃないか?」

僕がベットに潜り込むと、ニヤニヤした顔でお父さんは聞いて来た。

「忘れてること?歯は磨いたし、ちゃんとお薬も塗ったし、寝巻きにも着替えたよ?今日はお母さんにおやすみのチューだってしたんだ!」

「そうか!それは偉いな。だけど、フランクリンが忘れてることはもっと大事なことだよ」

もっと大事なこと?なんだろう、僕はお父さんが正解を教えてくれるのを気持ちがドキドキするのを感じながら待った。

「プレゼント」

小さな声で、お父さんは答えを言った。

「え? 」

僕がそんな反応をして、聞こえなかったと思ったのか今度は少し声を大きくして正解を教えてくれた。

「プレゼントだよ、まだ渡してないだろう?今日は誕生日なんだから、もちろんプレゼントを用意しているんだ」

「ほんと!?」

正解を聞いて、僕は思わずベットから飛び起きてしまった。

「ああ、本当だよ、今お父さんの手元にあるのが今年のプレゼントだ」

寝転がっていてよく見えていなかったけれど、確かにお父さんの手に少し小さめの箱が見える。

「ここで1つ問題だ」

問題なんていいのに……!速く箱の中身が見たい。
お父さんはそんなそわそわしている僕を見て声を上げて笑っている。

そんなに笑わなくたっていいのに……!!僕はほっぺを膨らませた。

「すまないフランクリン、つい面白くて笑ってしまったんだ。許してくれ」

それでもお父さんは笑っている。
僕がジト目で少しだけ睨んだことにさえきずかない程に笑っている。

「お父さん!プレゼントの中身教えて!」

「すまない、すっかり忘れていたよ。問題を出すのはやめておこうか」

そう言いお父さんは箱の蓋を開けた。

「さぁ、どうぞ、これがプレゼントだよ」

中に入ってたのは、薄いガラスが付いている、お父さんがつけているのと、同じ物だった。

「これ!お父さんとお揃いの物?」

「そうだよ、形はね」

僕は嬉しい気持ちでいっぱいになった。お父さんとお揃いなのはとても嬉しい。

「それに、もう一つ、フランクリンが喜んでくれそうなことがあるんだ。」

……なんだろう?これより嬉しいことをお父さんは教えてくれるんだろうか。

「明日、お父さんと一緒に外に出よう!」

その言葉を聞いて、僕は昂っていた気持ちがさらに昂ってまるで夢の中にいるような、幸せな気分になった。

「本当!?どうしたの?前まで、外に出ちゃダメだよって言ってたよね」

「……ああ、でも、このプレゼント、”サングラス“って言ってな。これをつければフランクリンも外に出れるんだよ!どうだ?喜んでくれたか?」

「嬉しい!お父さん!僕とっても嬉しいよ!今までの中で一番嬉しい!」

「……そうか!それは良かった。明日、起きて直ぐに、外に出よう」

明日、僕は外に出れるんだ!お父さんが言っていた動物達って、どんな姿をしてるんだろう?お花は?色んなお店は?村の人達ってどんな人なんだろう?
考えれば考える程、明日が楽しみになってくる。

「お父さん、僕、早く明日になって欲しい!」

「ああ、そうだな、お父さんも楽しみだよ。」

「ねぇねぇ、明日、お父さんが言っていた所ぜーんぶ見せてね!僕、ちゃんと見るから!」

「何も明日だけじゃないよ、明後日も、明々後日も見せてあげよう。」

僕は嬉しさのあまり思わず笑ってしまった。

「お父さん!早く寝よう!明日が早く来るように、もうおやすみしよう!」

そう僕が急いで言うと父さんは僕を優しく抱きしめてくれた。

「フランクリン、おやすみ、きっと良い夢が見られる」

そう言い僕を離し、部屋の蝋燭を消してくれた。今日も安心して眠れそうだ。明日ある幸せを考えながら僕は目をとじた。
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