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第六章 華麗なる暗躍者

第九十二話 白濁の証明

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腰を振り、身体をくねらせ、絶頂の余韻を全身で吐き出していく。


「……ャ゛ぁ……ンッぅ」


今度は後ろから伸びてきたランディの手に無理矢理顔を掴まれて、頬が歪むキスを受ける。スヲンの唇が胸の先端に移動して、咥えると同時に、ロイの指が根元まで埋まってきた。


「ィッ…く…にゃ、ァッあ……ゥァあ」


ぐちゃぐちゃと溶けた水の音が、尿意とは違う感覚で溢れていく。
ロイの指が神経を叩いて、浅瀬の内壁を悪戯にかきむしるせいで、チカチカと星が舞っていく。


「待っ……ァッう、ンニャぅッ」


彼らはいつも、器用に、最低限の動きで必要な部分だけ服を脱ぐ。この場合も、全裸のアヤとは対照的に、中途半端に着崩したスヲンが自身のオスを見せつけていた。
認識するまでもない。
下半身を担ぎ上げられ、そのままグッと前振りなくそれを差し込まれる。


「………最高」


感慨深いスヲンの呟きに、文字通り身体が浮いたアヤは反応する。
上半身をランディが支えて、腰をスヲンが支える。先ほどまでスヲンが入る部分に指をいれて遊んでいたロイは、髪をかきあげ、まるでスヲンとランディを繋ぐ橋のように浮いたアヤをゆっくりと見下ろしていた。


「可愛い、アヤ」


色気魔神は、全身ずぶ濡れの重たい衣装から覗く肌を惜しみ無く見せつけて、しかも自身の首筋に残るキスマークを愛しそうに撫でながら、つけた恋人に口づけを落とす。


「……ッ…ろ……」


ロイ。名前を呼ぶ声はロイによって封じられて、刹那、アヤはその身体にしがみついた。


「っく…ぃ…ァッ……ぁ」

「うん、そうだね。スヲンの好きにさせてあげな」

「ひ、ぁ…ァア゛ぁ……ッん」


見れば、スヲンと目が合う。
ロイとランディが支えながら場所を譲って、スヲンがアヤにキスするのを見届けているが、獣の気配を隠そうともしないオスの部分に触発されて、くすりと笑ったのは気のせいではない。


「そんなに気持ちいいの?」


ガツガツと突き上げられて、声にならない悲鳴で悶えるアヤをなだめながら、ロイはスヲンに問いかける。
スヲンはのけぞるアヤの胸に顔を埋め、止まらない腰を無遠慮に振り続けていた。


「アヤ、イッてばかりいないで、ちゃんと見てごらん。余裕のないスヲンなんて滅多に見られないよ?」


ロイに促されて、アヤはそこに目をやる。


「………ッ…ぅ」


かっこよすぎて、気持ちよすぎて、なぜか涙が溢れてきた。
外側が鋭敏に感じる分、膣の中が想像以上に気持ちいい。感覚が細部まで行き渡って、奥まで輸送されるスヲンの刺激がたまらなく感じてしまう。


「アヤ」


かすれたスヲンの声が、女を掘り起こしてくる。濡れた黒髪、飢えた黒い瞳、清楚な和装を崩して、首筋から覗くのはロイにつけたのと同じキスマーク。


「………スヲ、ン」


自分のものだと。所有欲が拍車をかける。
彼らは誰にも渡さない。渡したくない。自分だけをずっと愛してほしいし、愛している。
そんな気持ちが溢れて、そんな気持ちに支配されていくのがわかる。


「スヲン…っぃ…ちょう、だ」

「………アヤ」

「スヲンが欲しい」


素直に求めれば、当然のように応えてもらえる。押し寄せる波に似て、激しいスヲンの行為も腰ごと深く掴まれて、アヤは浮いた身体を自然に任せていた。


「ァッ……ァア……っん」


ロイとランディに支えられて、スヲンとの結合部分を眺め続ける。
ぽろぽろとこぼれた涙を舐めとるのはロイか、ランディか、それともスヲンか。わからないほど揺られる世界の果てに、アヤはその思いを受け取った。


「……ッあ、ァア……らん…でぃ……」


ふらつく身体を下ろされて、浴室の床に足がつくと同時に、ランディに腰を引かれて前方に打ち込まれる。
待って欲しいと息も絶え絶えに掴んだ先はスヲンの肩で、見上げたアヤは、満足そうに微笑むスヲンに声を奪われた。


「ん゛ンッぅ…ぁ……ヒッ…ぃ」


乱暴される音が浴室に響く。
臀部と恥骨がぶつかり合う音が断続的に聞こえて、さらに清潔とは正反対の水飛沫が太ももを流れていく。


「アヤ…ッ」


スヲンもランディも、我先にと求めて来る腕が止まらなくて、休ませてくれない。


「二人ともがっつきすぎだよ。ね、アヤ。ほら手はこっち」

「ぁ…って、にゃ…ァッ……ぅ」

「待ってたらボクの順番が来ないでしょ。ちゃんと口開けて」


スヲンとキスをしている間に、ひとり先に全裸になったらしいロイに腕を引かれる。浴槽に腰かけたロイのものは大きく脈打ち、そそりたっているが、スヲンと唾液で繋がる唇をこじ開けてきたロイはそれをしゃぶれと安易に告げていた。


「ンッぅ」


たまらず、ロイの腰に抱きつく。
そうでもしないとランディの突き上げに意識が途切れてしまいそうだった。


「……ん、ぐ…ぅ…ッォ」


のどの奥でえずく。ロイが後頭部をぬいぐるみみたいに抱きしめ、自身の竿に押さえつけているせいだが、引くに引けない体勢のままランディに激しく挿入されると、耐えられるものも耐えられない。


「ああ、すっごい」


感動と感嘆の両方をこめた熱のあるロイの声が振り落ちてくる。
絶頂に痙攣するのどの粘膜が気持ちいいのだろう。アヤとしては酸素不足で記憶が途切れかけているが、ロイに熱のこもった声を出されて復活したらしい。


「ァッ……あぁイクッ…ランディ…ャッあ……ロ、ぃ、ンッぅッ」


ロイの手から逃れて、二酸化炭素と喘ぎ声を叫んだアヤは、再度口内にそれを送り込まれる。


「イッてるねぇ、アヤ」

「出すぞ」

「うん。いいよ」


なぜロイが承諾するのか。
アヤの声を封印させている張本人だからかもしれないが、スヲンに続いてランディもアヤの中に白濁を射精する。


「…………ぅ゛、にゃ」


ぐしゃりと溶けたアヤの身体は、ロイに顔だけを埋めて、ひくひくと痙攣していた。
意識が少し飛んでいるのだろう。だらりと垂れ下がった指先がぴくり、ぴくりと神経だけで反応している。


「アヤ」


耳たぶを揉み、髪を撫で、両頬から後頭部までを両手で掴んで、ロイはアヤの頭を持ち上げる。


「無意識でもちゃんと吸い上げて偉いね」


歯をたてないしつけは、おそらくきっと、開口器の賜物だろう。開発されたのどの奥で、アヤはロイを悦ばせている。


「よいしょっと。アヤ、おいで」

「ぅ……む、ッ……んァッ……」

「わぁ、ぬるぬる」


アヤの脇から手を入れて、引き上げたついでに足を割ったロイが笑う。


「足あげて」


指示された通りに従うアヤを上に乗せて、ロイは浴槽のふちでその瞼に唇を押しあてた。そして気付いたらしい。


「あれ、スヲン。ランディは?」

「先に出た」

「仕事熱心だね」


どこか呆れた声でロイが「ね、アヤ」と同意を求めて来るが、アヤにとってはそれどころではない。
真上以上に反り返ったロイの上に腰かけたせいで、お腹の奥が苦しい。
抜けた腰を支えられて、力の入らない指先をロイの肩にかけて、ゆっくりと動き始めた視界に後方から滑ってきたスヲンの手が泡まみれで胸を揉み始めている。


「……っ…ん」


なぜか、ずっと気持ちいい。
触ってほしくて、抱いてほしくて、たまらない気持ちを我慢したまま一日を過ごしていたせいかもしれない。空腹は最大の調味料とは、誰が言い始めたのだろう。
たかがセックス。されど、セックス。
欲しかった快楽を得られて、次はいつになるかわからない学びが、貪欲に、彼らから与えられる全てを吸収しようとしているのかもしれない。


「にゃ……ぅ…ァッ……に」


胸を楽しんでいたスヲンの両手の内、右手が背中に回って、ロイとの結合部分まで滑り落ちてくる。


「ンッぅ…ッぁ…あ、ぁぅ」


簡単にスヲンの指を飲み込んだお尻が、一本、二本と増やされるごとに腰を振り、膣に埋まるロイごと締め付けて、アヤはだらしなく舌を出していた。


「……っく、ぃクッ…っぁ…ぃ」


泡まみれでロイに抱きつく。
スヲンに苛められているせいにして、泣いて甘えるアヤをロイは「うんうん」とキスをする口実に楽しむ。


「スヲン、お尻でいかせる前に先に出していい?」

「ああ」


アヤへの愛撫が加速する前にと、ロイはスヲンに断りを入れて、アヤの太ももの下から両手を差し込んでお尻を掴む。


「……ッア」


持ち上げられて、揺さぶられるついでに、スヲンの方へ倒れた身体が中途半端な角度で止まる。
そのままロイに叩きつけられたアヤは、わかりやすく足を伸ばして、絶頂を受け入れた。


「ィっく、ぉ……くっ、奥が…ァッ…らめ」

「アヤは本当にここが好きだね」

「ァアァッ……ろ、ぃ…ダメぇ…ャッあぁッ」

「ダメじゃないでしょ。ほら、スヲンにもその顔を見せてあげな」

「ヒッゃ、見な…ッ…で…ックぃく…ぅ」


ロイとスヲンに挟まれ、仰け反る身体で悶え続ける。逃げられない。逃がしてもらえない。パンパンッと定期的で徐々に重たく激しくなっていく刺激をどう受け流せばいいのか。


「……ッ…出すよ」


その言葉を聞くと同時に、スヲンとランディのものがすっかり混ざりあったその場所に、ロイの熱い精液が追加されていった。


「アヤ、おーい、アヤ?」


くてっと全身を弛緩させたアヤに、どこかすっきりしたロイが声をかける。
頬を叩いても無反応なくせに、そっと引き抜けば名残惜しそうに震えるアヤに、ロイだけでなくスヲンも困ったような息を吐いた。


「とりあえず流すだけ流して、出よっか」

「そうだな。どうせぐちゃぐちゃになる」

「ランディにアヤを先に受け取ってもらう?」

「剃ってからでいいか?」

「まじで、スヲン。そういうとこ好き」


真剣にカミソリを持って提案してきたスヲンに、ロイも思わず笑って応えた。
アヤの全身の手入れに抜かりがないといえばそれまでだが、三人分の精液で汚されたアヤの性器は、年齢とは逆走した姿に磨かれていく。


「また気絶させてんのか?」

「あ、ランディ」


ちょうどよかったと、スヲンがアヤの手入れを終えると同時にランディが姿を見せた。
ランディは意識がなさそうなアヤを囲んで、ロイが押さえつける場所にいるスヲンを見つけて苦笑している。


「準備は?」

「いつでもいいぜ」


カミソリを置いて、泡を流して、アヤの仕上がりに満足したスヲンの合図で、ロイはアヤをランディの腕に送っていく。
柔らかなタオルでくるまれたアヤは、迷惑そうに眉を歪めたが、別にこれが初めてではない流れに、安心した眠りを続けていた。
愛する人は三人でひとつ。
誰の腕の中にいても、訪れる未来に違いはない。
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