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第五章 動き出す人々
第七十二話 すがりつく揺り籠
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じっくり。
一瞬、単語を聞き間違えたかと思った。星がチカチカと眼前を散って、声にならない悲鳴を飲み込んだアヤをロイが抱き締める。
「またいっちゃったね」
「~~~ッぅ、ふっ……ァッ」
「泣かないで、アヤ。今度はちゃんとじっくり。ゆっくり、ね。わかる?」
「ひッ…ぅ…イッぁ、んッ~~」
一度強く叩きつけられたせいで、嫌でも意識がそこに集中してしまう。
今度は本当に、ゆっくり時間をかけて抜き差しするロイの動きに、もどかしさと、悔しさと、情けなさが混ぜられて、わけがわからなくなっていく。
「アヤってば熱すぎ」
耳元で笑われても、どう答えればいいのだろう。
出来ることは、しがみつくこと。
ロイの首筋にすり寄って、その肌に涙をこすりつけること。卑猥な蜜が下半身で擦れあっているのだから、上半身がそうでも問題ないはずだと、アヤはロイに強く巻き付く。
「……ッあ、ァッ…ぅ、ンッ…」
「気持ちいい?」
「ぅん…っ…~~っミャ…にゃ」
「本物の子猫が泣いてるみたい」
よしよしと抱き締め返してくれるロイの腰だけが不確かに揺れている。
そんなもので満足はしない。
もっと、暴虐に振る舞ってほしくて腰を動かしたいのに、圧力のかけ方を調整されているのか。不自由な感覚に欲情が募る。
「……ロイ…ッ…~ん、ロイ…」
「だーめ」
耳に吹きかかる息が楽しそうに笑っている。本当に楽しそう。
意地悪をするときのロイは、水を得た魚のように生き生きとしているから性格が悪い。
「ロイ……おねが……ッみゃ、ァッ」
足を持ち上げられて、圧迫された肺が腕の力を緩ませようとしてくる。
突然の苦しさに顔を歪めながらロイに意識を向ければ、軽いキスで誤魔化された。
「ヤッ……~~~~っ、イッ…はっ……ァッ」
「じっくり、ゆっくり、アヤにボクを覚えてもらわなくちゃ」
「……ひィっ……ぁ…やだぁ……ッ」
「大丈夫、大丈夫。アヤの体は嬉しいって喜んでるし、期待もしちゃって、可愛い。ね、いつもしてあげてることでしょ?」
ロイが二回「大丈夫」を繰り返すときは、大抵大丈夫ではない。むしろ死刑宣告に等しい、無限の快楽地獄が待っている。
どこが喜んでいるのか、何を期待しているのか。
これから何時間かけるつもりで、ロイの形は挿入を繰り返すのだろう。
「アヤ、可愛い顔見せて」
「~~~~ッや、ァッ…イ、く…そ……っれダ、メ」
「すごい、ボクのを溶かす勢いで食べられちゃってる。アヤはここ、大好きだし、ゆっくり突かれるの気持ちいいんだよね。知ってるよ」
「違……ぅ、ァッ…やめ……イッてる、イッ……ぁ、も、ストップ……おねがッ」
「なに、アヤ。よく聞き取れない」
わざとらしい。
徐々にすがりつく腕の力が抜けていく。ロイの望むようになりたくないのに、雄を飲み込む子宮が深く反応して、どうしようもない。
喘ぐ声も出てこない。
ただひたすらにロイを感じるだけ。締め付けて、うねり狂っても、一定の速度と圧力をかけられる。
「スヲンとランディに見せてあげなよ。めちゃくちゃ可愛い顔してる」
イヤの言葉が、聞き入れられるわけがなかった。
泣き腫らした顔がロイから引き剥がされて、スヲンとランディの視界に横たわる。次いで、腰を起点に足を深く折り曲げられて、密着した秘部が眼前に躍り出た。
視界の暴力。
血脈をたぎらせたロイの雄は、蜜壷に深く刺さり、また這い出て、混ぜる。差し込まれるたびにイッているのか、聞くに耐えない卑猥な音が、シーツを濡らすほど溢れていく。
「たまんねぇな」
「俺たちのほうが些細なことに嫉妬するくらい惚れてるって、アヤにはそんなに難しいことなのか?」
「アヤ……って、また聞こえてないか」
「可愛いとか愛しい以上に言葉がないのがもどかしいな」
「まったくだ」
「この状態のアヤは意識飛んじゃってるからね。ボクも飛びそうだけど」
「ロイ、いい加減代われ」
「ヤダよ。さっき入れたばっかじゃん、アヤが死ぬまでボクは抜きたくない」
スヲンとランディの息が不満を吐き出す。正しくは不服だろうか。ロイのワガママに付き合うにしても、同じようにアヤを抱きたいのだから無理もない。
潰すのも、壊すのも、自分がいい。
物言わぬ目の圧力を汲み取って、けれど、先程から恍惚な顔で喘ぐアヤの声に意識が触れる。
「ずっとここに住みたい」
ポツリとこぼしたロイの言葉は、本音。
実際叶うならそうするのだろうが、そこに住みたいのは一人じゃない。
「………仕方ないなぁ。アヤの彼氏は三人なんだから、ちゃんと分け合わないとね」
誰に対しての言い分でもなく、おそらく一番はロイ自身に対しての言葉。貪欲に溺れそうになる本能に理性が言い聞かせたのだろう。
ロイの動きに変化が訪れる。
「ごめんね、アヤ。ずっと気持ちいいままでいさせてあげたいけど、ちょっとボクに付き合って」
「……ぅ…あ?」
「こうしないと。舌、噛んじゃうでしょ?」
半開きの口内に侵入してきた親指が舌を押さえつけて、何事かと首をかしげる。そしてロイの微笑みをみた瞬間。アヤはロイの物語る世界へと投げ出されていた。
一瞬、単語を聞き間違えたかと思った。星がチカチカと眼前を散って、声にならない悲鳴を飲み込んだアヤをロイが抱き締める。
「またいっちゃったね」
「~~~ッぅ、ふっ……ァッ」
「泣かないで、アヤ。今度はちゃんとじっくり。ゆっくり、ね。わかる?」
「ひッ…ぅ…イッぁ、んッ~~」
一度強く叩きつけられたせいで、嫌でも意識がそこに集中してしまう。
今度は本当に、ゆっくり時間をかけて抜き差しするロイの動きに、もどかしさと、悔しさと、情けなさが混ぜられて、わけがわからなくなっていく。
「アヤってば熱すぎ」
耳元で笑われても、どう答えればいいのだろう。
出来ることは、しがみつくこと。
ロイの首筋にすり寄って、その肌に涙をこすりつけること。卑猥な蜜が下半身で擦れあっているのだから、上半身がそうでも問題ないはずだと、アヤはロイに強く巻き付く。
「……ッあ、ァッ…ぅ、ンッ…」
「気持ちいい?」
「ぅん…っ…~~っミャ…にゃ」
「本物の子猫が泣いてるみたい」
よしよしと抱き締め返してくれるロイの腰だけが不確かに揺れている。
そんなもので満足はしない。
もっと、暴虐に振る舞ってほしくて腰を動かしたいのに、圧力のかけ方を調整されているのか。不自由な感覚に欲情が募る。
「……ロイ…ッ…~ん、ロイ…」
「だーめ」
耳に吹きかかる息が楽しそうに笑っている。本当に楽しそう。
意地悪をするときのロイは、水を得た魚のように生き生きとしているから性格が悪い。
「ロイ……おねが……ッみゃ、ァッ」
足を持ち上げられて、圧迫された肺が腕の力を緩ませようとしてくる。
突然の苦しさに顔を歪めながらロイに意識を向ければ、軽いキスで誤魔化された。
「ヤッ……~~~~っ、イッ…はっ……ァッ」
「じっくり、ゆっくり、アヤにボクを覚えてもらわなくちゃ」
「……ひィっ……ぁ…やだぁ……ッ」
「大丈夫、大丈夫。アヤの体は嬉しいって喜んでるし、期待もしちゃって、可愛い。ね、いつもしてあげてることでしょ?」
ロイが二回「大丈夫」を繰り返すときは、大抵大丈夫ではない。むしろ死刑宣告に等しい、無限の快楽地獄が待っている。
どこが喜んでいるのか、何を期待しているのか。
これから何時間かけるつもりで、ロイの形は挿入を繰り返すのだろう。
「アヤ、可愛い顔見せて」
「~~~~ッや、ァッ…イ、く…そ……っれダ、メ」
「すごい、ボクのを溶かす勢いで食べられちゃってる。アヤはここ、大好きだし、ゆっくり突かれるの気持ちいいんだよね。知ってるよ」
「違……ぅ、ァッ…やめ……イッてる、イッ……ぁ、も、ストップ……おねがッ」
「なに、アヤ。よく聞き取れない」
わざとらしい。
徐々にすがりつく腕の力が抜けていく。ロイの望むようになりたくないのに、雄を飲み込む子宮が深く反応して、どうしようもない。
喘ぐ声も出てこない。
ただひたすらにロイを感じるだけ。締め付けて、うねり狂っても、一定の速度と圧力をかけられる。
「スヲンとランディに見せてあげなよ。めちゃくちゃ可愛い顔してる」
イヤの言葉が、聞き入れられるわけがなかった。
泣き腫らした顔がロイから引き剥がされて、スヲンとランディの視界に横たわる。次いで、腰を起点に足を深く折り曲げられて、密着した秘部が眼前に躍り出た。
視界の暴力。
血脈をたぎらせたロイの雄は、蜜壷に深く刺さり、また這い出て、混ぜる。差し込まれるたびにイッているのか、聞くに耐えない卑猥な音が、シーツを濡らすほど溢れていく。
「たまんねぇな」
「俺たちのほうが些細なことに嫉妬するくらい惚れてるって、アヤにはそんなに難しいことなのか?」
「アヤ……って、また聞こえてないか」
「可愛いとか愛しい以上に言葉がないのがもどかしいな」
「まったくだ」
「この状態のアヤは意識飛んじゃってるからね。ボクも飛びそうだけど」
「ロイ、いい加減代われ」
「ヤダよ。さっき入れたばっかじゃん、アヤが死ぬまでボクは抜きたくない」
スヲンとランディの息が不満を吐き出す。正しくは不服だろうか。ロイのワガママに付き合うにしても、同じようにアヤを抱きたいのだから無理もない。
潰すのも、壊すのも、自分がいい。
物言わぬ目の圧力を汲み取って、けれど、先程から恍惚な顔で喘ぐアヤの声に意識が触れる。
「ずっとここに住みたい」
ポツリとこぼしたロイの言葉は、本音。
実際叶うならそうするのだろうが、そこに住みたいのは一人じゃない。
「………仕方ないなぁ。アヤの彼氏は三人なんだから、ちゃんと分け合わないとね」
誰に対しての言い分でもなく、おそらく一番はロイ自身に対しての言葉。貪欲に溺れそうになる本能に理性が言い聞かせたのだろう。
ロイの動きに変化が訪れる。
「ごめんね、アヤ。ずっと気持ちいいままでいさせてあげたいけど、ちょっとボクに付き合って」
「……ぅ…あ?」
「こうしないと。舌、噛んじゃうでしょ?」
半開きの口内に侵入してきた親指が舌を押さえつけて、何事かと首をかしげる。そしてロイの微笑みをみた瞬間。アヤはロイの物語る世界へと投げ出されていた。
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