上 下
86 / 123
第五章 動き出す人々

第七十一話 言葉以上の刺激

しおりを挟む
絶妙にイケなくて、始終キモチイイ場所。
力なく広がった足の膝頭をランディが押さえてきて、ロイが膣に埋める手とは逆の手で、微睡む腰を上から押さえつける。
こうなれば、あとはずっと溶かされていくだけ。


「~~~ッや、それ……ヤダぁ……ッく、ぁ……ァッ」


あともう少しずれた場所を刺激してほしい。そうすれば、呆気なく高みに飛び込めるのに、不自由な下半身はロイの指に身をゆだねることしか出来ない。


「ヤッ……やぁ…ッ…イ、ぅ……ンッ」


スヲンと唇が触れる顔の近さで首を振る。
うんうんと、何に対しての慰めなのか。喘ぐ顔を至近距離で眺められるのは、恥ずかしい。


「アヤ、唇を噛むと怪我する」

「……んっ……ヤッ」

「声が掠れてきたな。水を飲もう」

「~~~~ッケホ……ぅ……ァッ」


口移しで飲まされた水が、唇の端からこぼれて、顎に伝うのをスヲンの指がすくいとる。柔らかく笑いながらその指を舐めるスヲンと目があって、下半身がまたひとつ疼いた。


「アヤはイヤイヤばかりだな」

「~~ッ……ちが…ぅ……アァ」

「違わないだろ。イクのも嫌。イケないのも嫌なら、どうしてほしいか言わないとわからない」


キスと共に諭すスヲンの声が瞼に落ちる。
その間もランディとロイは刺激を持続させてくるから、神経が馬鹿になって、泣けてくる。もうどうしてほしいのかわからなくなってくる。
ぐちゃぐちゃにされた。
だけど、本当に欲しいのは別のもの。
でも、これ以上は受け入れられない。だけど、ほしい。でも、無理だと思う。だけど、でも、だけど、を思考は繰り返す。


「……わか…な、イッ」


わからない。素直にそう言ったのに、その答えは受け付けていなかったらしい。
他にどう言えばいいのか。
気力も体力も限界で、泣きつかれて、まともな考えも浮かばない。言葉にならない感情を宿したまま、甘えた瞳を向けるアヤに全員が嬉しそうに笑っていた。


「世話が妬けるね。うちの子猫ちゃんは」

「他の奴らには、到底面倒なんて見られないさ」

「そこが可愛くてたまらないんじゃん。めちゃくちゃワガママで、甘えん坊で、泣き虫な子猫ちゃんは、ボクたちがいないと生きていけないんだから」

「本人は、いまだに無自覚か?」

「そういうところも俺は愛してる」

「ねぇ、アヤの中、火傷しちゃいそうなくらい熱い。いれたらヤバそう」


引き抜いた指を舐めて微笑むロイが、ランディが広げたままの足の間で体を起こして、自身をそっとあてがってくる。
言動と行動が伴っていない。矛盾した事態に混乱しながらも、アヤはようやく与えられる本懐に目を輝かせて喉を鳴らした。


「アヤ、ストップ」


なぜ、ここでおあずけなのか。
少し力を加えるだけで、呆気なく最深部まで到達させられるくせに、ここで止めたロイが恨めしい。
アヤは命令通り停止して、泣いて赤くなった瞳でロイを睨む。


「んー、最高」


なにが最高なのか、本当に、謎すぎる。
四六時中ご機嫌なロイが何かを噛み締めて、陣取った足の間で腰を掴んでくる。ようやく入れてくれる気になったのか。
期待を込めた目で見上げたロイは、手がギリギリ届かない場所から「アヤ」と名前を呼んだ。


「な、に?」

「可愛いね。アヤは本当に最高だよ」

「……そう思ってるなら、早くほしい」

「嘘だと思ってる?」


ランディとスヲンが体を離して、ロイの上半身が重る道を譲る。額が触れるほど顔を近づけた青い瞳が優しく笑って、キスをひとつくれた。
重なるだけのキス。
頬を両手で包み込まれて、無言の愛を吹き込まれた気がした。


「会場でアヤがずっとボクたちのことを見てたの知ってるよ。すぐに帰ってこられなくてごめんね」

「………ぅん」

「寂しかったよね」

「…ッ…うん」

「他人に嫉妬するくらい、そんなにボクたちのことが好き?」

「うん……好き…っ…離れちゃヤダ」


密着した肌の温もりを感じたくて、これ以上ないほど引っ付いているのに、全然足りない。
早くいれてほしい。許されるなら、腰を動かして迎え入れたいほど。熱がこもって仕方がない。


「離れるなんてありえないよ。アヤが思う以上に、他人が恐れるほど、ボクたちはアヤのことを愛してる」


愛の言葉以上に、刺激がほしい。
態度で示されるだけじゃ足りない。
こういうときのロイは意地悪だ。
わかっていて時間をかける。どれだけ首筋に回した腕に力をこめても、びくともしない。


「愛してるよ、アヤ」


もう、わかったから。と、痺れを切らした感覚が先走ってアヤはロイの名前を呼ぶ。いや、実際には呼ぼうとした。
それが叶わなかったのは、覗き込んでくるロイの瞳に力が宿ったせい。


「だから、許してくれる?」

「……な、にを?」

「ここに入れるのは許されたものだけ。アヤはボクを許してくれる?」


許すもなにも、決まっている。
触れてほしいのも、触れたいのも、そばにいたいのも、いてほしいのも、全部。ロイとスヲンとランディがいい。
彼ら以外はイヤ。
だから早く感じさせてほしい。どこまでも深く、愛されているのだと。


「ボクのが入っていくのをじっくり感じて」


「うん」と言葉の代わりに小さくうなずいて、ロイの首筋にアヤはしがみつく。ところが、アヤを引っ付けたまま、なぜか、ロイは器用にゆるく動かした腰を一気に突いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】愛欲の施設-Love Shelter-

皐月うしこ
恋愛
(完結)世界トップの玩具メーカーを経営する魅壷家。噂の絶えない美麗な人々に隠された切ない思いと真実は、狂愛となって、ひとりの少女を包んでいく。

【R18】双璧の愛交花 -Twin Glory-

皐月うしこ
恋愛
夜叉伝説の残る「八束市(やつかし)」で製薬会社を営む棋風院(きふういん)家の孫娘は、六年前から赤と青の瞳を持つ美麗な双子と三人で暮らしている。 (※この作品はフィクションです。実際の団体や人物とは一切関係ありません) イラスト:Suico(すいこ)様

【R18】ふしだらな月下香

皐月うしこ
恋愛
花の蜜から麻薬を生成する研究をしている二階堂 芙美(にかいどう ふみ)は、女性から抱いてほしいと志願される美男子「進藤 政宗(しんどう まさむね)」と、女性なら一度は抱かれたいとファンクラブを形成させる優男「牧瀬 真斗(まきせ まなと)」の二人と一緒に毎日研究に明け暮れていた。今夜は研究過程観察のため、残業になる予感。 今のうちに仮眠室で休もうと思っていたのに、芙美はまさかの展開に遭遇する。

【R18】鬼上司は今日も私に甘くない

白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。 逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー 法人営業部メンバー 鈴木梨沙:28歳 高濱暁人:35歳、法人営業部部長 相良くん:25歳、唯一の年下くん 久野さん:29歳、一個上の優しい先輩 藍沢さん:31歳、チーフ 武田さん:36歳、課長 加藤さん:30歳、法人営業部事務

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【R18】コンバラリア(ドルチェシリーズ掲載作品)

皐月うしこ
恋愛
愛峰鈴珠、築島圭斗、間戸部利津の三人は、いつも一緒だった。二十五歳最後の五月五日。世間がゴールデンウィークだというその日、今まで、二人の間で無邪気に笑っていられた自分が憎いと思えるほど、鈴珠は緊張していた。ロウソクに火を灯すとき、一年ぶりに再会した三人の離れていた時間が動き出す。 ※2022年アンソロジー「十二月恋奇譚」寄稿作品 ※無防備な子ほどイトシイをコンセプトにしたドルチェシリーズにも掲載 》》https://fancyfield.net/main/dolce/

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18G】姦淫病棟(パンドラシリーズ掲載作品)

皐月うしこ
恋愛
人類存続計画として母体と選ばれたのが運の尽き。強制的に快楽を仕込まれ、永遠に冷めない凌辱の世界に堕とされる。そんなお話です。この作品は過激なため、クッションページを挟んでいます。 「可哀想な女の子ほど可愛い」という歪んだ思考の元、世の中の善悪を何も考えずに、衝動のまま書き上げた狂った物語たちの巣窟パンドラシリーズ掲載作品。 》》パンドラシリーズ詳細は、こちら https://fancyfield.net/main/pandora/

処理中です...