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第四章 埋まりゆく外堀
第五十八話 食べ物の違い
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約二時間ほど前。この部屋で開始されたランチタイムは穏やかに始まったはずで「リーダーとして頑張ってる偉いアヤのために用意したんだ」と微笑むロイの顔にも悪魔は宿っていなかった。
カードキーを差し込んで、見慣れた部屋に足を踏み入れ、用意された食事を前にソファーに腰かける。
「本当は夜まで我慢しなくちゃいけないんだろうけど、ごめんね。お昼から誘っちゃって」
「え、私はみんなとランチ出来るの嬉しいよ」
「可愛い。アヤ、先に食べ~~~ッ、ランディ」
「ロイは放っておけ」
「ああ、ロイは無視するのが正解だ。アヤ。まとめ役になってくれてありがとう。俺はアヤがリーダーで助かったよ。おかげで時間もとれた」
「うん、スヲンが喜んでくれて嬉しい。でも、リーダーはたまたまなの。自分で挙手したわけじゃないんだけど、そうなっちゃって。あ、安心してね。みんな協力してくれてるからパーティーの準備はバッチリだよ」
「そういうところがアヤらしい」
「少しは疑え」
「疑う?」
首を傾げてみてもスヲンやランディが答えをくれる訳じゃない。
ローテーブルを囲むように座るソファー。アヤの左隣にはスヲン、その向こうにランディ。数日前はここで写真大会をしたなと思い出がよみがえってくる。
「そういえば最近、携帯触ってない気がする」
「アヤは何から食べる?」
「え、えっと、あ。グラタン」
「おっけー」
いつの間にランディの拳から復活したのか。アヤの独り言は、右隣に腰かけたロイの手で操作されたスプーンに遮られて消えた。
サラダとサンドイッチとグラタンとスープ。洋風メニューばかりだが、日本で食べるものは何でも美味しい。味付けが胃に優しい気がするのは、この国の美点かもしれない。
「せっかくのランチタイムなんだから仕事のことは忘れて楽しくすごそう。アヤもそれでいいよね?」
「うん」
うなずく流れで、唇に触れたスプーンを口内に招き込む。ふわりと滑らかな舌触りと温かな風味が口の中で広がって、思わずもう一口をせがんでしまった。
「アヤ、残さず食べてね」
「はーい。あ、スヲン。そっちのサンドイッチ食べたい」
「これ?」
「うん、それそ……ンッ」
「アヤは美味しそうに食べるから見ていて飽きないな」
「ふぉ……う?」
言いながらスヲンが一口サイズのサンドイッチを口まで運んでくれる。ランディはまたドリンク担当にでもなるつもりか、ストロー付きのコップを持つ姿はスタンダードで定着しつつある。
「ランディ、スープがいい」
「はいはい」
わがままを素直に口に出せるようになった。
三人からお姫様扱いされるのに慣れてきたのかもしれない。
ランディがどことなく嬉しそうに笑って、ドリンクの代わりに持ち替えたスープを渡してくれる。熱いから気を付けて食べろということなのだろう。
「ふーふーして」
そう言えば、当たり前のように冷ましてくれることに優越感を覚え始めたのはいつからか。
三人そろっての食事が久しぶりすぎて、多分じゃなくても浮かれていたに違いない。昼夜問わずに世話焼きな彼氏たちに笑いが込み上げてきて、あまりの幸せぶりに視野が狭くなっていく。
「ボクたちの子猫ちゃんは、珍しく甘えん坊だね」
「……いや?」
「ううん。可愛い」
ロイによしよしと頭を撫でられるのが心地いい。
代わる代わる甲斐甲斐しく世話をやかれると、柄にもなく気分があがって、心がうわつき始める。何でも一人で出来ると思っていたし、そういう性格だと信じていた自分はここ二ヶ月ほどですべて過去になってしまったのだから、人生、どこでどうなるかわからないものだと感心すらしていた。
「どうした?」
スープを冷ましてくれたランディが不思議な顔でそれを渡してくれる。
「ううん。幸せを噛み締めてただけ」
受け取ったお皿とスプーンをかかえてアヤは無防備に笑う。無防備すぎたのか、傾いて中身をぶちまけそうになっていたお皿はスヲンが寸で受け止めてくれた。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫だ。危ないからランディに食べさせてもらえ」
「……自分で食べられるのに。そんなに甘やかしてばかりだと、何も出来ない子になるよ?」
「何も出来なくなれば本望だよ」
「スヲンがいうと冗談に聞こえない」
「俺は真剣に、俺たちがいないと息の仕方も忘れるようになればいいと思ってる」
今、口に何も入っていなくてよかったと思う。
そうでなければ確実にむせるか、喉に異物を詰まらせていた。
人も殺さないアイドル並みの極上スマイルで煌めきを発しながら告げる台詞ではないと、声を大にして教えてあげたい。
「わ、私も自分で食べるから、みんなもちゃんと食べて」
あまりに現実離れした現実も一周すれば、客観的な思考回路は戻ってくる。アヤは今頃込み上げてきた恥ずかしさに顔を赤く染めながら、さっきから一人で胃袋を満たしていた現実に気が付いた。
「いいんだよ。アヤを甘やかすのがボクたちの癒しなんだから」
「癒しって……お腹は膨れないでしょ?」
「正しくはそうだな」
「俺たちも腹は減っているから、後で無理をさせないように、少しでも食べておこうとは思ってる」
「後で、無理、どういう意味?」
食べるという意味が自分の体を示唆していることをアヤが知ったのは、それからしばらくたってのこと。彼らが甲斐甲斐しく餌付けしてくれるのは日常的な延長線上にある行為だと、素直に受け入れていた副産物とでもいうべきか。
満腹中枢がアヤの顔に『大満足』の判を押してからが本番。それを先に知っておきたかったのは今さらの話。
すっかり警戒心を失くした彼女を前に、腹をすかせた狼たちは一分も無駄にせず次の段階に進んでいた。
「そういえば、スヲンの食べたいものって?」
食欲が満たされてようやく思考が回ってきたのか、アヤはスヲンに向き直る。その時の笑みが、今の笑みに繋がるのだとアヤは静かに喉をならした。
―――――ホシイ
「もう、いいのか?」の問いに素直に答えたのは性欲。
濡れた穴の先端を指で押し広げながら尋ねるスヲンの質問を拒めるわけがない。
むしろその逆。
欲望は、欠けたものを満たしたがる。
「……いれて」
下準備は十分すぎるほどの愛撫をもらった。スヲンが確認するまでもなく、無抵抗にその塊を奥まで受け入れるだろう。ところが、アヤはてっきり服を脱ぎ始めると思っていた彼氏たちが、まるで違う行為に移ろうとしていることに息をのんだ。
「にゃっ……ぅ」
口のなかを遊んでいたランディの指が、三本に増えて気道を塞いでくる。
これでは文句を言えない。
それどころか、否定も拒絶もくぐもる空気の音でしか発せられない。
「ンんッん……っ……んンッ」
慌ててランディの手首を掴もうとした手はロイに抑えられた。それに視線を流して数秒、アヤは自分の下半身に近づいてくる機械音に身体を震わせる。
明るい室内に隠れようもない蛍光色の異物。
首を横に振って拒むことも、腕を伸ばして阻止することもできずに、全員が眺める視界のその先で、アヤの下半身は卑猥な雄の玩具を飲み込んだ。
単純に表現するなら、スヲンに極太バイブを突っ込まれた。
「そんな細いのじゃアヤは満足できないんじゃない?」
これはアヤの腕を押さえつけ、足の片方を持ち上げたロイの問いかけ。
自分達のモノに自信があるのかもしれないが、ここはそういう問題じゃないとアヤはランディの指を噛む。
「ヒぅっ!?」
変な振動音と同時に体内に電流が巡るのに合わせ、ランディに頭を掴まれた。
「歯」
「ごめ……にゃさ……ぅ」
たった一言。綺麗な黄緑の目に怒られて、アヤは噛むのを止め、ランディの指を必死に舐める。自分が歯を当てた部分に傷などついていないくせに、「ランディの指噛んだの?」「悪い猫だ」「お仕置きが必要だな」なんて物騒な会話が聞こえてくるのだから必死にもなる。
自分は何も悪くないと、助けを求めるためにスヲンを見た瞬間、アヤはそれが容易に吹き出す部分を突いたのがわかった。
「本当に、アヤは何でも喜んで食べてくれるから嬉しいよ」
「ァッア……ッん……ぁ」
違うという訴えは聞き入れてもらえない。
信憑性がないせいかもしれない。
事実、感度が増した膣壁はスヲンが容赦なく出し入れする玩具に悦び、唾液を溢して悦んでいる。
細い。ロイはそう言ったが、実際に体験しているアヤはそう思わない。充分な質感と圧力はアヤの内部で躍起になって自己を主張し、人外の振動で神経を侵してくる。
「日本の玩具は不良品がなくていい」
「わかる。適当に買っても当たりを引けるってスゴいよね。まあ、当たりが出るまで色々試すっていうのも、博打性があって楽しいけど」
「アヤはどっちでもいいよな?」
スヲンの感想から始まり、ロイが共感して、ランディが話題を振ってくる。
会話に入れるはずもない。無意識に現状打破をはかる身体を押さえ込まれて、快楽の海に沈められるこの状況で、呑気に言葉を交わせない。
出来ることは、ただひとつ。
胸を上下させて嗚咽混じりの呼吸を繰り返すだけ。
「~~~ッ」
絶頂の感覚と吹き出す潮は、必ずしも連動しているわけではないらしい。
ランディの指に奉仕することを義務付けられ、ロイに波打つ肢体を封じられた代わりに、アヤは爪先まで弛緩させて涙をこぼしていた。
力が入らない。
それなのに、身体は彼らの愛撫に応えて踊っている。
「アヤの癒し効果ほんとヤバい。可愛い」
攻め具に犯され、快楽に泣く彼女をみての感想とはイカれてる。
なんでも「可愛い」で片付けるロイを睨んで収まるのであればそれでいいが、スヲンもランディも行為に荷担するだけじゃなく、各々に願望を行使してくるのだから逃げようもない。
日本の玩具が気に入ったらしいスヲンも、必死で舐める姿が気に入ったらしいランディも、手を休めることなく動かし続けている。
「アヤってば、まだお腹空いてたんだね。満腹になるまでいっぱいあげなきゃ」
瞳に滲む涙が、頬に一筋のあとを残し、ロイの指先に触れて溶ける。
その仕草にゾッと悪寒が走ったのは本能。
「これは日本製じゃなくて、イーサン製だからアヤの口に合うかわからないけど」
「食わず嫌いはよくないからな」
「ランディのサイズを考えたらこの大きさじゃないと無理だし、苦しいかもしれないけど耐えてね」
ランディに後頭部を固定されて、ついでに挿入されていた指で口をこじ開けられる。何をするつもりか疑問符を浮かべるまでもなく、アヤはロイに口枷を取り付けられていた。
カードキーを差し込んで、見慣れた部屋に足を踏み入れ、用意された食事を前にソファーに腰かける。
「本当は夜まで我慢しなくちゃいけないんだろうけど、ごめんね。お昼から誘っちゃって」
「え、私はみんなとランチ出来るの嬉しいよ」
「可愛い。アヤ、先に食べ~~~ッ、ランディ」
「ロイは放っておけ」
「ああ、ロイは無視するのが正解だ。アヤ。まとめ役になってくれてありがとう。俺はアヤがリーダーで助かったよ。おかげで時間もとれた」
「うん、スヲンが喜んでくれて嬉しい。でも、リーダーはたまたまなの。自分で挙手したわけじゃないんだけど、そうなっちゃって。あ、安心してね。みんな協力してくれてるからパーティーの準備はバッチリだよ」
「そういうところがアヤらしい」
「少しは疑え」
「疑う?」
首を傾げてみてもスヲンやランディが答えをくれる訳じゃない。
ローテーブルを囲むように座るソファー。アヤの左隣にはスヲン、その向こうにランディ。数日前はここで写真大会をしたなと思い出がよみがえってくる。
「そういえば最近、携帯触ってない気がする」
「アヤは何から食べる?」
「え、えっと、あ。グラタン」
「おっけー」
いつの間にランディの拳から復活したのか。アヤの独り言は、右隣に腰かけたロイの手で操作されたスプーンに遮られて消えた。
サラダとサンドイッチとグラタンとスープ。洋風メニューばかりだが、日本で食べるものは何でも美味しい。味付けが胃に優しい気がするのは、この国の美点かもしれない。
「せっかくのランチタイムなんだから仕事のことは忘れて楽しくすごそう。アヤもそれでいいよね?」
「うん」
うなずく流れで、唇に触れたスプーンを口内に招き込む。ふわりと滑らかな舌触りと温かな風味が口の中で広がって、思わずもう一口をせがんでしまった。
「アヤ、残さず食べてね」
「はーい。あ、スヲン。そっちのサンドイッチ食べたい」
「これ?」
「うん、それそ……ンッ」
「アヤは美味しそうに食べるから見ていて飽きないな」
「ふぉ……う?」
言いながらスヲンが一口サイズのサンドイッチを口まで運んでくれる。ランディはまたドリンク担当にでもなるつもりか、ストロー付きのコップを持つ姿はスタンダードで定着しつつある。
「ランディ、スープがいい」
「はいはい」
わがままを素直に口に出せるようになった。
三人からお姫様扱いされるのに慣れてきたのかもしれない。
ランディがどことなく嬉しそうに笑って、ドリンクの代わりに持ち替えたスープを渡してくれる。熱いから気を付けて食べろということなのだろう。
「ふーふーして」
そう言えば、当たり前のように冷ましてくれることに優越感を覚え始めたのはいつからか。
三人そろっての食事が久しぶりすぎて、多分じゃなくても浮かれていたに違いない。昼夜問わずに世話焼きな彼氏たちに笑いが込み上げてきて、あまりの幸せぶりに視野が狭くなっていく。
「ボクたちの子猫ちゃんは、珍しく甘えん坊だね」
「……いや?」
「ううん。可愛い」
ロイによしよしと頭を撫でられるのが心地いい。
代わる代わる甲斐甲斐しく世話をやかれると、柄にもなく気分があがって、心がうわつき始める。何でも一人で出来ると思っていたし、そういう性格だと信じていた自分はここ二ヶ月ほどですべて過去になってしまったのだから、人生、どこでどうなるかわからないものだと感心すらしていた。
「どうした?」
スープを冷ましてくれたランディが不思議な顔でそれを渡してくれる。
「ううん。幸せを噛み締めてただけ」
受け取ったお皿とスプーンをかかえてアヤは無防備に笑う。無防備すぎたのか、傾いて中身をぶちまけそうになっていたお皿はスヲンが寸で受け止めてくれた。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫だ。危ないからランディに食べさせてもらえ」
「……自分で食べられるのに。そんなに甘やかしてばかりだと、何も出来ない子になるよ?」
「何も出来なくなれば本望だよ」
「スヲンがいうと冗談に聞こえない」
「俺は真剣に、俺たちがいないと息の仕方も忘れるようになればいいと思ってる」
今、口に何も入っていなくてよかったと思う。
そうでなければ確実にむせるか、喉に異物を詰まらせていた。
人も殺さないアイドル並みの極上スマイルで煌めきを発しながら告げる台詞ではないと、声を大にして教えてあげたい。
「わ、私も自分で食べるから、みんなもちゃんと食べて」
あまりに現実離れした現実も一周すれば、客観的な思考回路は戻ってくる。アヤは今頃込み上げてきた恥ずかしさに顔を赤く染めながら、さっきから一人で胃袋を満たしていた現実に気が付いた。
「いいんだよ。アヤを甘やかすのがボクたちの癒しなんだから」
「癒しって……お腹は膨れないでしょ?」
「正しくはそうだな」
「俺たちも腹は減っているから、後で無理をさせないように、少しでも食べておこうとは思ってる」
「後で、無理、どういう意味?」
食べるという意味が自分の体を示唆していることをアヤが知ったのは、それからしばらくたってのこと。彼らが甲斐甲斐しく餌付けしてくれるのは日常的な延長線上にある行為だと、素直に受け入れていた副産物とでもいうべきか。
満腹中枢がアヤの顔に『大満足』の判を押してからが本番。それを先に知っておきたかったのは今さらの話。
すっかり警戒心を失くした彼女を前に、腹をすかせた狼たちは一分も無駄にせず次の段階に進んでいた。
「そういえば、スヲンの食べたいものって?」
食欲が満たされてようやく思考が回ってきたのか、アヤはスヲンに向き直る。その時の笑みが、今の笑みに繋がるのだとアヤは静かに喉をならした。
―――――ホシイ
「もう、いいのか?」の問いに素直に答えたのは性欲。
濡れた穴の先端を指で押し広げながら尋ねるスヲンの質問を拒めるわけがない。
むしろその逆。
欲望は、欠けたものを満たしたがる。
「……いれて」
下準備は十分すぎるほどの愛撫をもらった。スヲンが確認するまでもなく、無抵抗にその塊を奥まで受け入れるだろう。ところが、アヤはてっきり服を脱ぎ始めると思っていた彼氏たちが、まるで違う行為に移ろうとしていることに息をのんだ。
「にゃっ……ぅ」
口のなかを遊んでいたランディの指が、三本に増えて気道を塞いでくる。
これでは文句を言えない。
それどころか、否定も拒絶もくぐもる空気の音でしか発せられない。
「ンんッん……っ……んンッ」
慌ててランディの手首を掴もうとした手はロイに抑えられた。それに視線を流して数秒、アヤは自分の下半身に近づいてくる機械音に身体を震わせる。
明るい室内に隠れようもない蛍光色の異物。
首を横に振って拒むことも、腕を伸ばして阻止することもできずに、全員が眺める視界のその先で、アヤの下半身は卑猥な雄の玩具を飲み込んだ。
単純に表現するなら、スヲンに極太バイブを突っ込まれた。
「そんな細いのじゃアヤは満足できないんじゃない?」
これはアヤの腕を押さえつけ、足の片方を持ち上げたロイの問いかけ。
自分達のモノに自信があるのかもしれないが、ここはそういう問題じゃないとアヤはランディの指を噛む。
「ヒぅっ!?」
変な振動音と同時に体内に電流が巡るのに合わせ、ランディに頭を掴まれた。
「歯」
「ごめ……にゃさ……ぅ」
たった一言。綺麗な黄緑の目に怒られて、アヤは噛むのを止め、ランディの指を必死に舐める。自分が歯を当てた部分に傷などついていないくせに、「ランディの指噛んだの?」「悪い猫だ」「お仕置きが必要だな」なんて物騒な会話が聞こえてくるのだから必死にもなる。
自分は何も悪くないと、助けを求めるためにスヲンを見た瞬間、アヤはそれが容易に吹き出す部分を突いたのがわかった。
「本当に、アヤは何でも喜んで食べてくれるから嬉しいよ」
「ァッア……ッん……ぁ」
違うという訴えは聞き入れてもらえない。
信憑性がないせいかもしれない。
事実、感度が増した膣壁はスヲンが容赦なく出し入れする玩具に悦び、唾液を溢して悦んでいる。
細い。ロイはそう言ったが、実際に体験しているアヤはそう思わない。充分な質感と圧力はアヤの内部で躍起になって自己を主張し、人外の振動で神経を侵してくる。
「日本の玩具は不良品がなくていい」
「わかる。適当に買っても当たりを引けるってスゴいよね。まあ、当たりが出るまで色々試すっていうのも、博打性があって楽しいけど」
「アヤはどっちでもいいよな?」
スヲンの感想から始まり、ロイが共感して、ランディが話題を振ってくる。
会話に入れるはずもない。無意識に現状打破をはかる身体を押さえ込まれて、快楽の海に沈められるこの状況で、呑気に言葉を交わせない。
出来ることは、ただひとつ。
胸を上下させて嗚咽混じりの呼吸を繰り返すだけ。
「~~~ッ」
絶頂の感覚と吹き出す潮は、必ずしも連動しているわけではないらしい。
ランディの指に奉仕することを義務付けられ、ロイに波打つ肢体を封じられた代わりに、アヤは爪先まで弛緩させて涙をこぼしていた。
力が入らない。
それなのに、身体は彼らの愛撫に応えて踊っている。
「アヤの癒し効果ほんとヤバい。可愛い」
攻め具に犯され、快楽に泣く彼女をみての感想とはイカれてる。
なんでも「可愛い」で片付けるロイを睨んで収まるのであればそれでいいが、スヲンもランディも行為に荷担するだけじゃなく、各々に願望を行使してくるのだから逃げようもない。
日本の玩具が気に入ったらしいスヲンも、必死で舐める姿が気に入ったらしいランディも、手を休めることなく動かし続けている。
「アヤってば、まだお腹空いてたんだね。満腹になるまでいっぱいあげなきゃ」
瞳に滲む涙が、頬に一筋のあとを残し、ロイの指先に触れて溶ける。
その仕草にゾッと悪寒が走ったのは本能。
「これは日本製じゃなくて、イーサン製だからアヤの口に合うかわからないけど」
「食わず嫌いはよくないからな」
「ランディのサイズを考えたらこの大きさじゃないと無理だし、苦しいかもしれないけど耐えてね」
ランディに後頭部を固定されて、ついでに挿入されていた指で口をこじ開けられる。何をするつもりか疑問符を浮かべるまでもなく、アヤはロイに口枷を取り付けられていた。
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