62 / 123
第四章 埋まりゆく外堀
第五十一話 変形する肉芽
しおりを挟む「……っ…ぅー」
下腹部の刺激がそろそろ不快に感じるのか、アヤの顔がわかりやすく動き始める。
それを三人そろってじっと眺めていると、やがて「ぅにゃっ!?」と目を見開いてアヤが飛び起きた。
「…ふ…ァッ…にゃ」
無意識に動いた両手がクリトリスを強制的に吸い上げ続ける機械に向かって伸びる。当然、スヲンに押さえつけられて、アヤは不可解な顔で涙を浮かべながら視線を泳がせていた。
「アヤ、おはよう。俺がシャワー入ってる間に寝ちゃってたな」
「~~~…ッあ…ぅ」
「のぼせたんだって?」
「な…にッ…ァッ、あ」
「アヤ、腰が動いてる。いきそうになって起きた?」
スヲンが指先で弾く空洞の玩具が左右に揺れるたびに痛覚に似た刺激が全身を駆け抜ける。神経が刺激を逃がそうと腰を浮かせ、スヲンに押さえつけられた身体をひねろうとするが、ランディに頭を撫でられ、ロイまで加勢した状態ではそれもかなわない。
「……ッ…とって」
「なにを?」
「~~ァッ、それ…変なの…ぅ…」
「これ?」
「ヤッ…引っ張ったらダメ~~~~ッ…ヤァァぁ…あ」
きゅぽんと可愛い空気の音がしてアヤの淫核は解放される。スヲンが無理矢理引っ張ったせいで、本当に身体から抜けそうな錯覚を味わったのか、アヤは確認するようにその部分を凝視していた。
「ひ…ぅ…ッ!?」
ランディの撫でる大きな手を額に当てながら顔を起こしたアヤの視界にそれは映る。
「あのリングをはめるには少し大きくしすぎたか?」
「飛び出してて可愛い。アヤのクリトリス、真っ赤な苺みたい」
「うまそうだな」
全員総意で同じものが見えているらしい。
つまり夢ではなく現実。
皮がめくれ、赤く勃起したクリトリスが割れ目から飛び出し、見たことのない大きさで足の間に鎮座している。小さな男性器に似た不気味な形状。
じんじんとした違和感の正体はこれかと、自分のなかで身体と意識が結び付いた瞬間、アヤはそれがスヲンの指でつままれるのを見た。
「ヒぁッ!?」
敏感の象徴であるその場所に触れられるのは、いくら優しくされても拒絶したいものがある。
「スヲン…ッや、ァッ…イクッぃ、ァッ…」
いつの間に濡れていたのか、愛蜜を指ですくって塗り付けてくるスヲンの奇行に泣き声が叫んでいた。
「だめ…ダメ…やっぁ、イクううっぅ」
はぁはぁと息を切らせて雫をまき散らせ、戸惑いと困惑に狼狽えるアヤを無視して空気は進んでいく。
「や、スヲン…そ…アァッ」
「アヤ、足は閉じない」
「なに…これ…ッ…アァ、ど…し、てスヲン…怖い…ッぁ」
「こうすれば怖くないだろ?」
「ランディ…手、ぁ」
額から撫で落ちるようにして視界を奪ってきたランディの手に五感のひとつを消される。温かな暗闇。まぶたの裏には可哀想な自分の性器が残っているのに、なぜか安心して身を委ねてしまう。
大丈夫だと与えられる刺激に微睡んだ心が甘い声をあげて悦びを口にする。
「ァッ…いく…イクッぁ…ぅ…いくイクッ」
三人が見下ろす視線の中心で悶える声が止まない。絶頂への刺激で目覚めた体は、快楽を貪ることを止めないのだから仕方ない。
クリトリスだけでは足りないのと感じるのは、もはや調教の賜物と言ってもいいだろう。
「も……ぁ…いれ、て…」
「風呂場でロイと二回しただろ?」
「でも…ッ…ヤッ…ほし…~ッい」
ランディが悪戯に尋ねてきたところで、ねだればくれることを知っている。
スヲンが足をあげて埋まってくるのを期待した腰が宙に浮くころ、ロイが笑って「ご飯の用意しとくね」とベッドから降りていった。
「ぅ…ロイ…?」
「アヤ、俺に抱かれて別の男を呼ぶつもりか?」
「ひ…ぁ…スヲン…ッ!?」
「ん?」
「ァッ…ごめんなさ、いッ、ぅアッ」
容赦なく一気に最奥まで突き上げてきた刺激が強い。
欲しかった快楽。
日常に戻ったロイを呼び止めるより、非日常をくれるスヲンにアヤはしがみつく。
「アヤ、明日仕事だぞ?」
呆れた声で囁くランディの言わんとしていることはわかる。
月曜日。酷使した身体なんて世間は気遣ってくれない。いつもであればアヤもお風呂やご飯を終えて寝るだけになった時間。
それでも欲しいものは欲しい。
我慢は身体に毒だと先人も言っていた。
「…い…の…いいの」
スヲンに突かれながらうわ言のように繰り返す。
持ち上げられた腰が全身の力を抜いて受け入れているが、ランディに塞がれた視界のままではグルグル世界が回るだけ。
「アヤの声、かすれてるな」
「水飲ますか」
スヲンのうえに座るように持ち上げられ、突き刺さったまま反転した身体はランディと向き合って少し止まる。
まるで足を開いてスヲンの椅子に腰かけた状態。
「…んっ…ぅ…んっ…」
ランディの口から飲まされる水が美味しい。ポタポタと唇の端からこぼれた水滴はスヲンが触れる胸の曲線に沿って流れていく。
「おいしい?」
「……ッぁ…おいし…水…ぁ」
背後から揺さぶるスヲンの問いかけに応え、ランディから水をもらう。
乳首ごと胸をもみ、首筋に埋もれてくる黒髪を感じながら目の前のランディを眺めていると、途端に頭の位置を下げたランディが視界から消える。
「ひゃあっ!?」
電気が走る音がして星が瞬く。
魚みたいに身体が跳ねて、浮かべた涙と共に爪先までピンと伸びた自分の足が映った。
何が起こったのか理解は難しい。
「……アヤ、しめすぎ」
切なげなスヲンの声がどこか遠くから聞こえてくる。同時に、じゅっと強くすするランディの唇がどこにあるか気付いて、アヤは反射的に身体を丸めていた。
「ヤッ…ぁ…あ…ァアァ」
どくどくと溢れていく蜜が止まらない。
スヲンに突き刺された秘部に吸い付くランディの顔がどいてくれないせいで、勝手に吹いた潮が周囲を濡らしていく。
「…っぐ…ィク…ッぁ…いってる…ィッ、ぁぁあぁァッ」
力が入らなさすぎて、されるがまま快楽に犯されていく。
それを一緒に体感してくれているスヲンの吐く息を思えば、ランディもなかなかの性格をしているに違いない。
「ぁ…あ゛…ぅ…ッ…イ、ぁ」
ぷちぷちと頭の回路が切れる音が聞こえてくる。
尿意でも生理現象でもない水が下半身を伝ってスヲンまで濡らし、ランディの喉を潤しているが、それがなんだというのだろう。射精できない勃起物が熱く、根元まで敏感に反応して沸騰している。
このままなぶられ続けたら溶けて死んでしまうと、アヤは唇を噛み締めて涙を飲み込んでいた。
「…ふっ…ぁ…ぅ…アァッ…ぁ…」
「ランディ」
「あー、悪い。普段よりしゃぶりがいがあった」
スヲンの声に我に返ったのか。
少しだけ、ほんの少しだけ悪びれた様子のランディが唇を舐めながら顔を上げてくるが、その顔はやはりどこか愉しそうに笑っている。
「アヤの上半身、支えろよ?」
「わかった」
「このままじゃ食いちぎられる」とぼやいたスヲンの呻きを聞いたアヤの身体は前方に傾いてランディの肩に両手を置く。
中途半端な体勢で不自然に浮いた身体が斜め下から暴虐されるのは、耐え難いものがあった。
「アヤ…っ…この体勢でも締め付けんのかよ」
「スヲ…ッぁ…ンッ…ィッあ」
「なに?」
「一緒に…ッイク…ぁ」
「ああ、一緒にいってやるよ」
「…っ…きて…スヲン…きて、きて」
「まじ、その声最高だな」
「~~~~~ッア…ぁ」
ランディの肩に爪を立てて、のけぞった身体でスヲンと共に高みに果てる。互いに溶け合った息が空気に霧散して、はぁはぁと声にならない音だけがそこにあった。
「ふっ…ッア…いァッあぁ!?」
半分放り投げられるようにベッドに転げ落ちたアヤは、お尻を突き上げる体勢で引き寄せたランディに息を呑む。直後、問答無用で侵入してきた異物にアヤの腰は奇声を叫んでいた。
「~~~っ、ぅ……ァッ」
本能が危険を感じてシーツを握りしめても無意味。押しては返す荒波に埋もれていくのは、非力な女の身体だけ。
「あれ、まだヤってたの?」
「ランディが楽しんでる」
「そういうスヲンの顔も相当楽しそうだよ?」
「アヤが可愛すぎた」
「それはアヤが悪い」
食事の支度を終えたらしいロイが姿を見せて、スヲンと静かな笑い声を交わしている。その視線の先、獣のように犯される彼女の姿を映して、可愛いと声をそろえる異常者に救いはない。
結局、ランディに最奥まで好きなように暴れられて、アヤは四つん這いで絶頂に鳴いていた。
「……にゃ…ぅ、にゃ」
イきすぎて指先に力が入らない。
ぼやけた瞳はまばたきも忘れて勝手に涙を流している。人間は快楽が許容範囲を超えると涙を流すものらしい。震える唇からよだれがこぼれて、涙と一緒にシーツに吸い込まれていくのをどこか他人事のように眺めていた。
「アヤ、生きてる?」
能天気なロイに文句のひとつでも言い返したいのに、言葉が人間のそれを紡いでくれない。
八つ当たりに拳を振り上げようにも、指の先まで溶かされて小刻みに痙攣しながら息をするだけで精一杯だった。
「せっかくお風呂入ったのにぐちゃぐちゃにされちゃって、ご飯はどうする?」
「…にゃ…ん……ぅにゃ」
「ごめんね、アヤ。すっごく可愛いけど、ボクは猫語がわからないんだ」
正しく泣きたくなるとはこういう心境なのだろう。
「もう信じられない、今日はまだ月曜日なんだよ?」と伝えることが出来たのは、ロイにご飯を食べさせてもらい、ランディにお風呂にいれてもらい、スヲンに手入れをされた後の事だった。
「………ぅ」
「どうかした?」
「なんか…まだ…ムズムズする」
「寝て起きたら元に戻ってるからそんなに心配しなくてもいい」
「……ほんと?」
「ああ」
微睡む意識が頭を撫でてくれたスヲンの言葉を信じて眠りにつく。
まだ月曜日。一日が濃厚に流れていくせいでとても長く感じるのに、過ぎてみればあっという間すぎて振り返る時間もない。
そういえば昼間に見たスヲンはどこか元気がなかったと、問いかけようとした意識に気付きながらもアヤは夢の中に落ちていった。
0
お気に入りに追加
811
あなたにおすすめの小説
【R18】愛欲の施設-Love Shelter-
皐月うしこ
恋愛
(完結)世界トップの玩具メーカーを経営する魅壷家。噂の絶えない美麗な人々に隠された切ない思いと真実は、狂愛となって、ひとりの少女を包んでいく。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
【R18】愛欲の施設- First Wedge -
皐月うしこ
恋愛
白銀に輝く美しい狼。穢れなき乙女の性を喰らって生き永らえるイヌガミ様は、愚かな人間に絶望し、その命の灯を失おうとしていた。そんな中、月が最も美しく輝く夜、古い「姫巫女」の因習にとらわれた村にやってきた一人の少女、優羽(ユウ)。彼女はイヌガミたちに「エサ」として己の体を提供することを誓ってしまった。(セカンドシーズン/愛欲の施設シリーズ第2作品目)
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜
当麻月菜
恋愛
「さっそくだけれど、ここに座ってスカートをめくりあげて」
「はい!?」
諸般の事情で寄る辺の無い身の上になったファルナは、街で見かけた求人広告を頼りに面接を受け、とある医師のメイドになった。
ただこの医者──グリジットは、顔は良いけれど夜のお薬を開発するいかがわしい医者だった。しかも元国王陛下だった。
ファルナに与えられたお仕事は、昼はメイド(でもお仕事はほとんどナシ)で夜は治験(こっちがメイン)。
治験と言う名の大義名分の下、淫らなアレコレをしちゃう元国王陛下とメイドの、すれ違ったり、じれじれしたりする一線を越えるか超えないか微妙な夜のおはなし。
※ 2021/04/08 タイトル変更しました。
※ ただただ私(作者)がえっちい話を書きたかっただけなので、設定はふわっふわです。お許しください。
※ R18シーンには☆があります。ご注意ください。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる