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第一章 異世界のような現実
第十三話 三人の手の内
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週末。土曜日は昼過ぎまで眠っていた。
三人の腕の中で余程安心した寝息をたてていたのか、起きるころには全員に眺められていて少し焦った。
「まだ寝ていていいよ」
スヲンが頭を撫でながらそう言ってくれるが、せっかくの週末にベッドで過ごすのは勿体ない。
「まだ顔色が悪い」
「ただの貧血だし、これくらい大丈夫」
「いいから寝てろ」
ランディにキスで黙らせられる。一緒に横になってくれるのか、肩肘をついて横になったランディはゆるく微笑んで、タオルケットをお腹にかけてくれた。
「ねぇ、どうしてここまでしてくれるの?」
アヤは、じっとスヲンとランディを見つめてみる。それには、ギシッとベッドの上を移動しながら上に体を重ねてきたロイが答えてくれた。
「アヤが大事だからだよ」
体重はかけないようにしてくれているから重くはない。
血がドバっと出た気がするのは、体勢を変えたことに加えて、ロイの発言に子宮が反応したせいだろう。
「私ね、怖いの」
「なにが?」
「このままじゃ、何も出来なくなっちゃうんじゃないかって」
「それでいいんだよ。そうなってほしいと思って、ボクたちがそうしてるんだから」
「でも、そしたら私、みんながいないと生きていけなくなる」
「いやなの?」
「怖いの……だって、私、そこまでしてもらえるもの。何も持ってな、ンッ」
「次、言ったら本気で怒るよ」
「……ロイ」
「なんかじゃない。アヤだから好きになったんだ」
「そうだよ、アヤ。俺もアヤだから譲れなくて、こういう道を選んだ」
「アヤは誰にもない魅力を持ってる」
「ランディにとってアヤは見た目ドストライクだしね。理想の具現化って感じで、たまんないんでしょ」
「お前だって人のこと言えないだろうが」
「ボクとアヤは運命の相手だからね。それよりスヲンだよ。たかがキスとか言ってたくせに、今じゃ怖いくらいの執着見せてるし」
「相性がいいのは奇跡なんだよ」
「特殊性癖持ちはよくわかんない。ねぇ、アヤ」
「お前も人のこと言えないだろ」
同じツッコミがランディとスヲンから入ったロイがおかしくて笑ってしまう。三人が仲良くしているのを見るのは大好きで、そんな三人と一緒にいるのはもっと大好きだと思える。
「やっと笑った」
「……え?」
「そうやって笑っとけ。アヤの笑顔はなんでも出来る気分にさせてくれる」
ロイの言葉を受け継いだランディに、頬についた髪を指で払われる。
幸せだと思える空間にうもれている今を取り戻せてよかったと、アヤはまた笑みをこぼした。
「ッ……えっ?」
ピクリと身体が反応したのは、突然ロイが寝間着の上から乳首を引っ掻いてきたせい。
「なっ…ぅ…ふぇ?」
何をするつもりかと、押し退けようとしてもビクともしない。体重をかけられてもいないのに、逃げられない焦りがイヤでも意識をそこに集中させてしまう。
「アヤの乳首可愛い。すぐにたっちゃったね」
両方の乳首を指で擦りながら覗いてくる顔が意地悪く煌めいている。
「………ロイ」
「わかってるよ、アヤ。生理だから最後までしない。だけどお仕置きはしなきゃだから、ココを今日はいじめてあげる」
「…ッ…あの…ァッ…」
「服の上からこうやって優しくさすられるの好きなの?」
「……ううん…ヒァ、ッ…」
「嘘はダメだよ。身体は正直だし、敏感になっていても気持ちよくなかったら普通はそんな顔しないんだよ。アヤ」
そんな顔とは、どんな顔をいうのだろう。ロイを押し退けることを諦めた手が、熱を帯びた顔を覆う。
「顔を隠すな」
「…らん…でぃ…」
左手に指を絡ませてはぎとられ、そのまま指先にキスをされて見つめられる。野性的な眼差しが突き刺さって、知らずと喉がなった。
「…ッア…ろぃ…」
服をたくしあげられて、大きくも小さくもない胸がさらけだされる。
まだ朝を迎えたばかりの明るい部屋で、それも三人に囲まれたベッドのなかで、快楽に尖った胸をじっと見られるのは恥ずかしい。
「~~~やだ…ッ…みないで」
髪を撫でるスヲンが額にキスを落としてあやしてくれるが、そんなことで羞恥はおさまらない。
ロイが楽しそうに揉み寄せる胸は、色気魔神たちに比べれば色気の欠片もないに違いなかった。
「本当、ピアスが似合いそうで可愛い」
「…っ、ひゃ…」
「アヤはプラチナとゴールド、どっちが好き?」
スヲンが婚約指輪を送るような甘い口調で問いかけてくるが、ロイの指間から突き出る乳首を見つめる眼差しが真剣そうで恐ろしくなる。
そんなにじっと見ていたのだろうか。スヲンはアヤの視線に気付いて目を合わせると、にこりと優しく笑ってから再度額にキスをくれた。
「アヤはどっちでも映えると思うけど、ボクはあけるの勿体ないからヤダな」
「…ッ…ぁ…」
「チェーンタイプなんてどうだ、アヤ。悪さする子猫には似合いの品だ。つけたあとは、そこの柵にでもくくりつけて置こうか」
「…ヤッ…やだ…」
「ロイもスヲンもあまり虐めてやるな。アヤは何をつけても似合う」
フォローになっていないランディの言葉が一番怖い。三人は面白そうに笑ったあとで「ジョーク」だと言ったが、目が冗談を言っているようには見えなかった。
浮気するつもりは毛頭ないが、これは本当、真剣に気を付けないといけないかもしれない。
「ん…ッ…」
会話中も止まなかった乳首への刺激に、身体がじれったさを覚えていく。痛いくらいに腫れた先端が、ロイの唇に含まれて柔らかく吸い上げられると、アヤは身体を捻るようにそれを感じた。
「何されても感じちゃうね」
「…ンッ…ぁ…」
「アヤ、顔こっちむけろ」
「……っん…」
「アヤ。気持ちいい?」
ロイの愛撫に悶え、ランディのキスに応える合間にスヲンから確認の言葉を囁かれる。素直にうんうんとうなずけば、乳首と唇とこめかみに、それぞれ熱いキスを送ってくれた。
「……ぅ…」
愛撫が長引けば長引くほど、彼らのものが欲しくなってくる。ランディにからめとられたままの左手は動かせなくても、自由に動く右手がロイの髪やスヲンの胸板を交互に触って、アヤの劣情を訴える。
「ぁ…ッ…んー…はぁ…っ…」
十分に舐めて濡れた胸を隠すように、ロイが服を直してくれる。ぴんっと張った生地の下から乳首が勃起して、まるで足りないと言う風に主張していた。
「ヤッぁ…ァッ…~~んっ」
ランディとスヲンがここぞとばかりにいじってくる。直接触られるのよりも、じんじんとどうしようもない快感。ぞくぞくする感覚に戸惑っていると、上を陣取っていたロイが移動して、おへそのした辺りを服の上からグルグル触り始めた。
「な…ッに…ぁ」
トントンと何かを確認するようにロイが服の上から肌を叩いたり、撫でたり、押したり、こねたりする。
「……~っ、ンッ」
何をされているのかわからずに、じっとロイを眺める視界には、ランディとスヲンが服の上から乳首をつまみ、擦ったりしごいたりするのも映っている。
何かおかしい。何か変だと思っているうちに、アヤは身体の中心から駆け上がってきた何かが胸の尖端から突き出ていくのを感じていた。
「ンッ…っ…やッ何、アぁ…~~~~くっ」
腰を深めて上半身をせりあげて、アヤは胸を数回ゆすったあと、脱力したようにベッドに横たわる。
はぁはぁと、混乱のまま息は切れているが、何が起こったのかはすぐに理解できなかった。
「アヤ」
「…っ、ん…」
スヲンに口付けを求められて静かに応える。左手にまたランディの口付けを感じて、最後にロイが服の上からおへその下にキスをした。
「今まで、アヤと付き合った男たちはバカだね。こんなに可愛い子を手放すなんて」
「……スヲン?」
「アヤを知るたび、愛しさがこみ上げてきてたまらなくなるよ」
そんな風に言われると嬉しくなる。
ずっと傍にいたくなる。アヤは改めて三人を順番に見つめて「引っ越してきてもいい?」と照れたように聞いた。
もちろん彼らが否定するはずもなく、明日の日曜日に必要なものを取りに行くことにして、今日はゆっくりすることにした。三人の体温に包まれていると、うとうとと眠気が襲ってくる。
そういえば、最近まともに眠っていなかったと、アヤは休日の二度寝を楽しむことにした。
「アヤ、寝た?」
「ああ、眠ったみたいだ」
「しばらくそっとしておこうか」
「そうだね。にしても、乳首だけでいっちゃうとか可愛すぎて、もう少しで襲いそうだった」
アヤが眠る寝室を後にして、リビングへ移動した三人は、興奮を押さえるようにそれぞれ深い息を吐き出す。
さすがに十代の盛りを終えて、三十歳目前とはいえ、蛇の生殺し状態はつらいものがある。
「あーもー。絶対あの顔、わかってなかったよね。何したのって顔してた」
「あの顔はたしかにそそられる」
「ランディもヤバそうだったもんね。あ。スヲン、めちゃくちゃ悪い顔してるけど。ダメだから。本性は小出しにするように」
「これでも我慢してるだろ?」
「してないよ。口から願望駄々漏れてたよ。なに、ピアスって。ちゃっかりゴールドかプラチナか聞いちゃってさ」
「チェーンリングは可愛い」
「ランディ。そんなこというとスヲンが調子にのるから」
文句を言っているがロイもそう大差ない。自分たちの色に染めたくて、染まっていく過程を素直に受け入れてくれるアヤが可愛くてたまらない。
数日前の彼らを見た人物であれば、この雰囲気の変貌ぶりに一体何があったのかと驚くだろう。
「拉致して監禁しなくて、本当よかった」
これはアイスコーヒーを飲みながら微笑むロイの言葉。
「寸前まで計画してたやつがよく言う」
「ランディだって乗り気だったくせに」
「他に渡す気はないからな。スヲンも飲むか?」
「俺はコーヒーでいいよ」
ランディはミキサーにフルーツを投入しながら笑っている。スヲンにも手製のジュースを勧めてみたが、ロイと同じものでいいらしい。
すでにロイと同じ黒い液体を入れて席に着こうとしている。
「にしても、アヤは想像以上の鈍さだな」
「結局、ボクたちの尾行にも全然気付いてなかったってことだよね。あんなに周囲を警戒しながら店にいたくせに、アヤは何を見てるんだか」
二人そろってアイスコーヒーを飲みながら談笑する会話に、作り終えたらしいジュースを手にしたランディも加わる。
「ランディがセイラと同じ部署でよかった。でも片っ端からアヤに声をかけようとしてる奴を殴りそうなランディは見ててちょっと面白かった」
「あんな格好して、あんな場所だぜ。さすがに、な」
「やばい連中も多い店だ。アヤは二度と行かないだろうが、釘を刺しておく必要はある」
「だねー。昔入り浸ってた顔がここにきて効果があるとは」
そこからは普段見られないアヤの可愛さについて多少議論したあと、彼らは持ち前の穏やかさを取り戻してそれぞれ席を外した。
三人の腕の中で余程安心した寝息をたてていたのか、起きるころには全員に眺められていて少し焦った。
「まだ寝ていていいよ」
スヲンが頭を撫でながらそう言ってくれるが、せっかくの週末にベッドで過ごすのは勿体ない。
「まだ顔色が悪い」
「ただの貧血だし、これくらい大丈夫」
「いいから寝てろ」
ランディにキスで黙らせられる。一緒に横になってくれるのか、肩肘をついて横になったランディはゆるく微笑んで、タオルケットをお腹にかけてくれた。
「ねぇ、どうしてここまでしてくれるの?」
アヤは、じっとスヲンとランディを見つめてみる。それには、ギシッとベッドの上を移動しながら上に体を重ねてきたロイが答えてくれた。
「アヤが大事だからだよ」
体重はかけないようにしてくれているから重くはない。
血がドバっと出た気がするのは、体勢を変えたことに加えて、ロイの発言に子宮が反応したせいだろう。
「私ね、怖いの」
「なにが?」
「このままじゃ、何も出来なくなっちゃうんじゃないかって」
「それでいいんだよ。そうなってほしいと思って、ボクたちがそうしてるんだから」
「でも、そしたら私、みんながいないと生きていけなくなる」
「いやなの?」
「怖いの……だって、私、そこまでしてもらえるもの。何も持ってな、ンッ」
「次、言ったら本気で怒るよ」
「……ロイ」
「なんかじゃない。アヤだから好きになったんだ」
「そうだよ、アヤ。俺もアヤだから譲れなくて、こういう道を選んだ」
「アヤは誰にもない魅力を持ってる」
「ランディにとってアヤは見た目ドストライクだしね。理想の具現化って感じで、たまんないんでしょ」
「お前だって人のこと言えないだろうが」
「ボクとアヤは運命の相手だからね。それよりスヲンだよ。たかがキスとか言ってたくせに、今じゃ怖いくらいの執着見せてるし」
「相性がいいのは奇跡なんだよ」
「特殊性癖持ちはよくわかんない。ねぇ、アヤ」
「お前も人のこと言えないだろ」
同じツッコミがランディとスヲンから入ったロイがおかしくて笑ってしまう。三人が仲良くしているのを見るのは大好きで、そんな三人と一緒にいるのはもっと大好きだと思える。
「やっと笑った」
「……え?」
「そうやって笑っとけ。アヤの笑顔はなんでも出来る気分にさせてくれる」
ロイの言葉を受け継いだランディに、頬についた髪を指で払われる。
幸せだと思える空間にうもれている今を取り戻せてよかったと、アヤはまた笑みをこぼした。
「ッ……えっ?」
ピクリと身体が反応したのは、突然ロイが寝間着の上から乳首を引っ掻いてきたせい。
「なっ…ぅ…ふぇ?」
何をするつもりかと、押し退けようとしてもビクともしない。体重をかけられてもいないのに、逃げられない焦りがイヤでも意識をそこに集中させてしまう。
「アヤの乳首可愛い。すぐにたっちゃったね」
両方の乳首を指で擦りながら覗いてくる顔が意地悪く煌めいている。
「………ロイ」
「わかってるよ、アヤ。生理だから最後までしない。だけどお仕置きはしなきゃだから、ココを今日はいじめてあげる」
「…ッ…あの…ァッ…」
「服の上からこうやって優しくさすられるの好きなの?」
「……ううん…ヒァ、ッ…」
「嘘はダメだよ。身体は正直だし、敏感になっていても気持ちよくなかったら普通はそんな顔しないんだよ。アヤ」
そんな顔とは、どんな顔をいうのだろう。ロイを押し退けることを諦めた手が、熱を帯びた顔を覆う。
「顔を隠すな」
「…らん…でぃ…」
左手に指を絡ませてはぎとられ、そのまま指先にキスをされて見つめられる。野性的な眼差しが突き刺さって、知らずと喉がなった。
「…ッア…ろぃ…」
服をたくしあげられて、大きくも小さくもない胸がさらけだされる。
まだ朝を迎えたばかりの明るい部屋で、それも三人に囲まれたベッドのなかで、快楽に尖った胸をじっと見られるのは恥ずかしい。
「~~~やだ…ッ…みないで」
髪を撫でるスヲンが額にキスを落としてあやしてくれるが、そんなことで羞恥はおさまらない。
ロイが楽しそうに揉み寄せる胸は、色気魔神たちに比べれば色気の欠片もないに違いなかった。
「本当、ピアスが似合いそうで可愛い」
「…っ、ひゃ…」
「アヤはプラチナとゴールド、どっちが好き?」
スヲンが婚約指輪を送るような甘い口調で問いかけてくるが、ロイの指間から突き出る乳首を見つめる眼差しが真剣そうで恐ろしくなる。
そんなにじっと見ていたのだろうか。スヲンはアヤの視線に気付いて目を合わせると、にこりと優しく笑ってから再度額にキスをくれた。
「アヤはどっちでも映えると思うけど、ボクはあけるの勿体ないからヤダな」
「…ッ…ぁ…」
「チェーンタイプなんてどうだ、アヤ。悪さする子猫には似合いの品だ。つけたあとは、そこの柵にでもくくりつけて置こうか」
「…ヤッ…やだ…」
「ロイもスヲンもあまり虐めてやるな。アヤは何をつけても似合う」
フォローになっていないランディの言葉が一番怖い。三人は面白そうに笑ったあとで「ジョーク」だと言ったが、目が冗談を言っているようには見えなかった。
浮気するつもりは毛頭ないが、これは本当、真剣に気を付けないといけないかもしれない。
「ん…ッ…」
会話中も止まなかった乳首への刺激に、身体がじれったさを覚えていく。痛いくらいに腫れた先端が、ロイの唇に含まれて柔らかく吸い上げられると、アヤは身体を捻るようにそれを感じた。
「何されても感じちゃうね」
「…ンッ…ぁ…」
「アヤ、顔こっちむけろ」
「……っん…」
「アヤ。気持ちいい?」
ロイの愛撫に悶え、ランディのキスに応える合間にスヲンから確認の言葉を囁かれる。素直にうんうんとうなずけば、乳首と唇とこめかみに、それぞれ熱いキスを送ってくれた。
「……ぅ…」
愛撫が長引けば長引くほど、彼らのものが欲しくなってくる。ランディにからめとられたままの左手は動かせなくても、自由に動く右手がロイの髪やスヲンの胸板を交互に触って、アヤの劣情を訴える。
「ぁ…ッ…んー…はぁ…っ…」
十分に舐めて濡れた胸を隠すように、ロイが服を直してくれる。ぴんっと張った生地の下から乳首が勃起して、まるで足りないと言う風に主張していた。
「ヤッぁ…ァッ…~~んっ」
ランディとスヲンがここぞとばかりにいじってくる。直接触られるのよりも、じんじんとどうしようもない快感。ぞくぞくする感覚に戸惑っていると、上を陣取っていたロイが移動して、おへそのした辺りを服の上からグルグル触り始めた。
「な…ッに…ぁ」
トントンと何かを確認するようにロイが服の上から肌を叩いたり、撫でたり、押したり、こねたりする。
「……~っ、ンッ」
何をされているのかわからずに、じっとロイを眺める視界には、ランディとスヲンが服の上から乳首をつまみ、擦ったりしごいたりするのも映っている。
何かおかしい。何か変だと思っているうちに、アヤは身体の中心から駆け上がってきた何かが胸の尖端から突き出ていくのを感じていた。
「ンッ…っ…やッ何、アぁ…~~~~くっ」
腰を深めて上半身をせりあげて、アヤは胸を数回ゆすったあと、脱力したようにベッドに横たわる。
はぁはぁと、混乱のまま息は切れているが、何が起こったのかはすぐに理解できなかった。
「アヤ」
「…っ、ん…」
スヲンに口付けを求められて静かに応える。左手にまたランディの口付けを感じて、最後にロイが服の上からおへその下にキスをした。
「今まで、アヤと付き合った男たちはバカだね。こんなに可愛い子を手放すなんて」
「……スヲン?」
「アヤを知るたび、愛しさがこみ上げてきてたまらなくなるよ」
そんな風に言われると嬉しくなる。
ずっと傍にいたくなる。アヤは改めて三人を順番に見つめて「引っ越してきてもいい?」と照れたように聞いた。
もちろん彼らが否定するはずもなく、明日の日曜日に必要なものを取りに行くことにして、今日はゆっくりすることにした。三人の体温に包まれていると、うとうとと眠気が襲ってくる。
そういえば、最近まともに眠っていなかったと、アヤは休日の二度寝を楽しむことにした。
「アヤ、寝た?」
「ああ、眠ったみたいだ」
「しばらくそっとしておこうか」
「そうだね。にしても、乳首だけでいっちゃうとか可愛すぎて、もう少しで襲いそうだった」
アヤが眠る寝室を後にして、リビングへ移動した三人は、興奮を押さえるようにそれぞれ深い息を吐き出す。
さすがに十代の盛りを終えて、三十歳目前とはいえ、蛇の生殺し状態はつらいものがある。
「あーもー。絶対あの顔、わかってなかったよね。何したのって顔してた」
「あの顔はたしかにそそられる」
「ランディもヤバそうだったもんね。あ。スヲン、めちゃくちゃ悪い顔してるけど。ダメだから。本性は小出しにするように」
「これでも我慢してるだろ?」
「してないよ。口から願望駄々漏れてたよ。なに、ピアスって。ちゃっかりゴールドかプラチナか聞いちゃってさ」
「チェーンリングは可愛い」
「ランディ。そんなこというとスヲンが調子にのるから」
文句を言っているがロイもそう大差ない。自分たちの色に染めたくて、染まっていく過程を素直に受け入れてくれるアヤが可愛くてたまらない。
数日前の彼らを見た人物であれば、この雰囲気の変貌ぶりに一体何があったのかと驚くだろう。
「拉致して監禁しなくて、本当よかった」
これはアイスコーヒーを飲みながら微笑むロイの言葉。
「寸前まで計画してたやつがよく言う」
「ランディだって乗り気だったくせに」
「他に渡す気はないからな。スヲンも飲むか?」
「俺はコーヒーでいいよ」
ランディはミキサーにフルーツを投入しながら笑っている。スヲンにも手製のジュースを勧めてみたが、ロイと同じものでいいらしい。
すでにロイと同じ黒い液体を入れて席に着こうとしている。
「にしても、アヤは想像以上の鈍さだな」
「結局、ボクたちの尾行にも全然気付いてなかったってことだよね。あんなに周囲を警戒しながら店にいたくせに、アヤは何を見てるんだか」
二人そろってアイスコーヒーを飲みながら談笑する会話に、作り終えたらしいジュースを手にしたランディも加わる。
「ランディがセイラと同じ部署でよかった。でも片っ端からアヤに声をかけようとしてる奴を殴りそうなランディは見ててちょっと面白かった」
「あんな格好して、あんな場所だぜ。さすがに、な」
「やばい連中も多い店だ。アヤは二度と行かないだろうが、釘を刺しておく必要はある」
「だねー。昔入り浸ってた顔がここにきて効果があるとは」
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