36 / 36
第36話★悪役令嬢には、まだ早い
しおりを挟む
自然と頬を染めてしまうような眉目秀麗なご尊顔で何を告げるかと思いきや。アーノルド王子は、エリーに『自分以外の人間と仲良くするな』と釘を刺した。
わかりやすくエリーに好意を寄せる面々は、王子の独占欲の強さに顔をひきつらせ、そこまでエリーを欲する原因は何かと思案する。
エリーは、たしかに見目麗しく、家柄も申し分ない。しかし、王子ほどではない。アーノルド王子であれば、選り取り見取りのはずで、なにもこんなワガママ三昧の性悪女を選ぶことはない。それに、今までの認識が間違っていなければ、アーノルド王子は「苦手」かつ「あえて避けていた」令嬢の一人にエリーを挙げていたはず。
それを嫉妬混じりの牽制を込めて乗り込んでくるだけでなく、周囲を無視して、エリー本人を言いくるめる手段に転じている。これはいったい何事か。
もちろん、そこまで相手の心情を察することが出来ないエリーは、素直に王子の言葉を受け取った。
「イヤですわ」
震える声で小さな手を握りしめ、愛らしい唇を頑張って動かす姿に、王子のなかの何かがくすぐられたに違いない。
「エリーたん、そこで泣いたら王子が喜ぶだけだよ」
そう囁くヒューゴの言葉の意味を理解したのかは定かではないが、エリーは瞳にたまった涙をぎゅっと引っ込めた。
「いいですね」
「何がだよ」
アーノルド王子の愉悦な笑みをロタリオがぶったぎる。
「エリーといると、胸がこう高鳴ります。以前は気位が高く、柔軟性に欠けると思っていましたが、月夜会で話したエリーは魅力的でした。次はどんな表情を見せてくれるのか、色々試したくなります」
「本当、お前が綺麗なのはその面だけだな」
「エリー様、気をつけて」
「貴方は、ディーノでしたね。エリーの専属騎士だとか。ですが、エリーがわたしの妻になれば、王族専用の騎士が付きますので、新たな主人を手配しましょう」
「そういう圧政を強いるのはよくないと思う。職権乱用反対」
「ハイド、貴方には言われたくありませんね」
眉を寄せて、困った顔も様になる。エリーはそんな王子を見て、憧れと現実の狭間でひとり揺れていた。
「イヤですわ」
その先の言葉をエリーは絞り出す。
「アーノルド様、私、イヤですわ」
「何がイヤなのですか?」
「私、お父さまが好きですわ。お母さまも、カールお兄さまも、リックお兄さまも、セバスやレリアだって好きなのです」
「それで?」
「ディーノは、ずっと死ぬまで私の専属騎士です。ロタリオは、ずっと私と一緒にいるのです。ハイドお兄さまとも離れたくありません。私、大好きな人と会えなくなるなら、婚約は、婚約、は、こん、や、く、ぅっ」
いじめているわけではないのに、いじめている気分になるのは何故だろう。それはエリーの生まれもった魔性と言えばいいのか、けれど、それは相手が相手でなかった場合。この場合、アーノルド王子は、もっといじめたいと思っていたし、ディーノは守らないとと決意を固めたし、ロタリオはほっとけないと認めたし、ハイドは改めて、誰にも渡さないと誓っていた。
「こんやく、しても、エリス様のような魔女が現れたら、アーノルド様は、離れていってしまうのでしょう?」
「そんなことはありません」
「婚約破棄したほうがいい」
「ディーノの言うとおりだぜ、エリー。エリーみたいなワガママ女は、俺みたいなやつじゃないと手に負えねぇって」
「可愛いエリー。心配しなくても、エリーの傍にずっといるよ」
エリーを囲むように四人の攻略対象が顔を揃える。いや、ひとり場違いなヒューゴは、未だにエリーに抱きついていて、離れる気配は微塵もない。
「エリーは、婚約を破棄したいのですか?」
王子の質問に、エリーの顔が葛藤に歪む。それを見て、また確信を得たのだろう、優しい声で王子はエリーに問いかけた。
「わたしを好きですよね?」
「……はい、好きですわ」
「それであれば、こうしましょう」
何が「それであれば」なのか。周囲のイヤな予感は、見事に的中したと言わざるを得ない。
「エリスの再来と呼ばれる魔女が現れるのかどうか、それはわかりませんが、仮に現れるという六年後。わたしがその魔女に夢中になり、王子にあるまじき醜態をさらすのかご判断ください。そのとき、エリーが婚約を破棄したいと思うなら、そう告げていただければ、応じましょう。ですが、告げないなら問答無用で妻にします」
爽やかな笑顔で不発弾を渡してきた王子に、周囲が口を出すよりも早く、ぱっと顔を輝かしたエリーの声が軽やかに響き渡る。
「わかりましたわ」
不都合なく聞こえる誘惑の罠に、馬鹿な令嬢は、あっさりと引っ掛かった。
あまりに即答だったので、抱きついていたヒューゴですら、ぽかんと口を開けて固まっている。
「ダメだ。許さん。今すぐ破棄だ、破棄」
「お義父様、もう婚約自体は成立しているのですよ。王家の印が押され、国中が知る婚約関係が、そう簡単に撤廃出来るとお思いですか?」
「二次創作で山ほど見た鬼畜王子に、お義父様と呼ばれるのは、イヤだ。なんか、イヤだ」
「まあ、そう仰らずに。ねぇ、エリー」
「は、はい」
「真っ赤で可愛い。アーノンと呼んでいいですよ」
「ひぇっ」
およそ、エリーから聞いたことの無い悲鳴が聞こえてくる。これから、ますます騒がしくなるのだろう。
一件落着と言わんばかりに、胸を撫で下ろした母のリリアンは、セバスとレリアにお茶の用意を命じ、カールとリックも互いに顔を見合わせて、妹の将来をひとまず受け入れる。
アーノルドはエリーをからかうのに忙しいし、ディーノはヒューゴ並みにエリーから離れない。ロタリオはそんな二人をエリーから引き剥がすのに奮闘し、ハイドはそんな三人からエリーを奪い返すことに専念している。
決められた乙女ゲームのルートは、ヒューゴが生きている時点で、まったく別の世界を描いているというのに、彼らはそれに気付かない。気付かないからこそ、試行錯誤しながら、無理難題に思える未来を共にあるいていくのかもしれない。
ともあれ、その選択肢が例えどんな未来を辿ったとしても、エリー・マトラコフを悪役令嬢と呼ぶには、まだ早い。(完)
わかりやすくエリーに好意を寄せる面々は、王子の独占欲の強さに顔をひきつらせ、そこまでエリーを欲する原因は何かと思案する。
エリーは、たしかに見目麗しく、家柄も申し分ない。しかし、王子ほどではない。アーノルド王子であれば、選り取り見取りのはずで、なにもこんなワガママ三昧の性悪女を選ぶことはない。それに、今までの認識が間違っていなければ、アーノルド王子は「苦手」かつ「あえて避けていた」令嬢の一人にエリーを挙げていたはず。
それを嫉妬混じりの牽制を込めて乗り込んでくるだけでなく、周囲を無視して、エリー本人を言いくるめる手段に転じている。これはいったい何事か。
もちろん、そこまで相手の心情を察することが出来ないエリーは、素直に王子の言葉を受け取った。
「イヤですわ」
震える声で小さな手を握りしめ、愛らしい唇を頑張って動かす姿に、王子のなかの何かがくすぐられたに違いない。
「エリーたん、そこで泣いたら王子が喜ぶだけだよ」
そう囁くヒューゴの言葉の意味を理解したのかは定かではないが、エリーは瞳にたまった涙をぎゅっと引っ込めた。
「いいですね」
「何がだよ」
アーノルド王子の愉悦な笑みをロタリオがぶったぎる。
「エリーといると、胸がこう高鳴ります。以前は気位が高く、柔軟性に欠けると思っていましたが、月夜会で話したエリーは魅力的でした。次はどんな表情を見せてくれるのか、色々試したくなります」
「本当、お前が綺麗なのはその面だけだな」
「エリー様、気をつけて」
「貴方は、ディーノでしたね。エリーの専属騎士だとか。ですが、エリーがわたしの妻になれば、王族専用の騎士が付きますので、新たな主人を手配しましょう」
「そういう圧政を強いるのはよくないと思う。職権乱用反対」
「ハイド、貴方には言われたくありませんね」
眉を寄せて、困った顔も様になる。エリーはそんな王子を見て、憧れと現実の狭間でひとり揺れていた。
「イヤですわ」
その先の言葉をエリーは絞り出す。
「アーノルド様、私、イヤですわ」
「何がイヤなのですか?」
「私、お父さまが好きですわ。お母さまも、カールお兄さまも、リックお兄さまも、セバスやレリアだって好きなのです」
「それで?」
「ディーノは、ずっと死ぬまで私の専属騎士です。ロタリオは、ずっと私と一緒にいるのです。ハイドお兄さまとも離れたくありません。私、大好きな人と会えなくなるなら、婚約は、婚約、は、こん、や、く、ぅっ」
いじめているわけではないのに、いじめている気分になるのは何故だろう。それはエリーの生まれもった魔性と言えばいいのか、けれど、それは相手が相手でなかった場合。この場合、アーノルド王子は、もっといじめたいと思っていたし、ディーノは守らないとと決意を固めたし、ロタリオはほっとけないと認めたし、ハイドは改めて、誰にも渡さないと誓っていた。
「こんやく、しても、エリス様のような魔女が現れたら、アーノルド様は、離れていってしまうのでしょう?」
「そんなことはありません」
「婚約破棄したほうがいい」
「ディーノの言うとおりだぜ、エリー。エリーみたいなワガママ女は、俺みたいなやつじゃないと手に負えねぇって」
「可愛いエリー。心配しなくても、エリーの傍にずっといるよ」
エリーを囲むように四人の攻略対象が顔を揃える。いや、ひとり場違いなヒューゴは、未だにエリーに抱きついていて、離れる気配は微塵もない。
「エリーは、婚約を破棄したいのですか?」
王子の質問に、エリーの顔が葛藤に歪む。それを見て、また確信を得たのだろう、優しい声で王子はエリーに問いかけた。
「わたしを好きですよね?」
「……はい、好きですわ」
「それであれば、こうしましょう」
何が「それであれば」なのか。周囲のイヤな予感は、見事に的中したと言わざるを得ない。
「エリスの再来と呼ばれる魔女が現れるのかどうか、それはわかりませんが、仮に現れるという六年後。わたしがその魔女に夢中になり、王子にあるまじき醜態をさらすのかご判断ください。そのとき、エリーが婚約を破棄したいと思うなら、そう告げていただければ、応じましょう。ですが、告げないなら問答無用で妻にします」
爽やかな笑顔で不発弾を渡してきた王子に、周囲が口を出すよりも早く、ぱっと顔を輝かしたエリーの声が軽やかに響き渡る。
「わかりましたわ」
不都合なく聞こえる誘惑の罠に、馬鹿な令嬢は、あっさりと引っ掛かった。
あまりに即答だったので、抱きついていたヒューゴですら、ぽかんと口を開けて固まっている。
「ダメだ。許さん。今すぐ破棄だ、破棄」
「お義父様、もう婚約自体は成立しているのですよ。王家の印が押され、国中が知る婚約関係が、そう簡単に撤廃出来るとお思いですか?」
「二次創作で山ほど見た鬼畜王子に、お義父様と呼ばれるのは、イヤだ。なんか、イヤだ」
「まあ、そう仰らずに。ねぇ、エリー」
「は、はい」
「真っ赤で可愛い。アーノンと呼んでいいですよ」
「ひぇっ」
およそ、エリーから聞いたことの無い悲鳴が聞こえてくる。これから、ますます騒がしくなるのだろう。
一件落着と言わんばかりに、胸を撫で下ろした母のリリアンは、セバスとレリアにお茶の用意を命じ、カールとリックも互いに顔を見合わせて、妹の将来をひとまず受け入れる。
アーノルドはエリーをからかうのに忙しいし、ディーノはヒューゴ並みにエリーから離れない。ロタリオはそんな二人をエリーから引き剥がすのに奮闘し、ハイドはそんな三人からエリーを奪い返すことに専念している。
決められた乙女ゲームのルートは、ヒューゴが生きている時点で、まったく別の世界を描いているというのに、彼らはそれに気付かない。気付かないからこそ、試行錯誤しながら、無理難題に思える未来を共にあるいていくのかもしれない。
ともあれ、その選択肢が例えどんな未来を辿ったとしても、エリー・マトラコフを悪役令嬢と呼ぶには、まだ早い。(完)
10
お気に入りに追加
91
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》
新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。
趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝!
……って、あれ?
楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。
想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ!
でも実はリュシアンは訳ありらしく……

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?
だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。
七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。
え?何これ?私?!
どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!?
しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの?
しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高!
ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!?
悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる