上 下
72 / 74
綴章:八束岳の麓で

05:仕置きに惑う

しおりを挟む
秒速でなくなった芋けんぴをもう一度作るまでのあいだ、暇だからという意味不明な理由で、胡涅は朱禅と炉伯に自室に放り込まれ、服を着たままソファーの上に足をあげ、背もたれを手でつかむように命じられた。


「待っ……ぁ」


白のニットワンピースがめくりあげられ、カラータイツの上からお尻が叩かれる。


「胡涅、言うことはないか?」


お尻を叩いたのは炉伯だが、左側に腰かけ、背もたれにひじをつくような体勢で顔を覗き込んでくるのは朱禅。


「ごめ……な…ッ、しゃヒッ……ごめんなさ、い…ッぁ…ごめ、な……さ」


炉伯の大きな手は、叩かれると前に吹き飛びそうになる。
一定の速度でリズムよく叩かれると、ソファーの反動で自分からお尻を高くあげているような錯覚さえ与えてくる。
気持ちよくないのに。
痛みを感じるようで感じない絶妙な刺激に、変な気持ちが浮上してくる。


「っ…ぁ……あ……ヤッ」


しがみついて耐えている意味は何なのか。
なぜ、無意識に「ごめんなさい」を繰り返しているのだろう。


「胡涅は何に謝ってるんだ?」

「さあ、我にはわからん」


炉伯と朱禅のからかいの笑みに、羞恥がかきたてられて、胡涅は唇を噛み締める。
そんな声で囁かないでほしい。優しく叩かないでほしい。感じてはいけない部分が刺激されて、足をこすり合わせたくなる。


「胡涅、そのような顔をするな。まるで我らが悪いみたいだろう?」

「そうだぞ、胡涅。俺たちが好んで叩いていると思うか?」

「………ッぅ…ヤァ」


叩かれる衝撃に耐え、じんと痺れる痛みに泣きそうになっていると、突然するりと炉伯の手がお尻全体を包むように掴んだ。


「胡涅。尻を叩かれて喜んでる場合じゃねえだろ?」


左側の朱禅だけでなく、右側にドサッと座ってきた炉伯にも顔を覗かれる。
思わず視線から逃げるみたいに顔をうつむかせてしまったが、顔にかかった髪を耳にかけてくれる朱禅の指が「で?」と無言で続きを促しているのだから誤魔化しはきかない。


「しゅ、朱禅と炉伯…以外と、喋って……ごめんなさ…ぃ」

「それから?」

「毘貴姫におっ…おっぱい…揉まれちゃ…て、ごめ…ッ…なさ」

「うん、それで?」

「いっ狗墨に口あけ、開けて」

「ああ、そうだったな」


思い出したと、朱禅がめくれたニットワンピースの中に手を差し込んできて胸を揉み始める。


「しゅぜっ…ンッ…ァ…乳首…ヤぁ」

「いやがる声ではないな。色香に誘う声だぞ、胡涅」

「ヒッ…ぃ…ぅう」


片手で簡単に包まれる胸の大きさがいけないに違いない。毘貴姫くらいの大きさがあれば、朱禅の片手ごときに翻弄されないのにと胡涅は唇を噛む。


「謝りながら、気持ちよくなっているのか?」

「……ッち、ちが、ァッ」


炉伯のうながしに注意散漫になって答えられなかったのは、胸を揉む朱禅だけでなく、お尻を好きに揉んでいる炉伯のせいでもあると言いたい。けれど、それが通じる相手であれば、こうはなっていないと思い至る。


「胡涅、仕置きはキライだろ?」

「ヤッ…やだっ、ごめんなさ…ぃ…怒っちゃヤッ」

「じゃあ、手を離さずじっとしてろ」


炉伯に耳で宣戦布告された以上、朱禅からの愛撫に無言で耐えるしかない。
いったい何をしようというのか。
ソファーから立ち上がってどこかに行った炉伯が、すぐ背後でがさごそと袋を漁る音が聞こえてくる。


「なっ…なに、炉伯、ねぇ、なんの…おと!?」

「さあ、なんだろうな」


カチというスイッチの入る音のあとに、ブーンという低音が空気を振動させている。何度かスイッチを切ったり、つけたりする音のせいで恐怖ばかりが募ってくる。


「炉伯、なに…ッ…朱禅、なに?」

「さあ、我にはわからん」


先ほど炉伯に答えたのとまったく同じ台詞を吐いた朱禅の顔が、とても楽しそうに歪んでいる。


「ャっ……ねぇ、ちょっ」


朱禅が乳首を引っ張る手を下に引いて、上半身を軽く乗せてくる。おかげで背中に圧力がかかって身動きがとれない。


「怒らせたくなかったら、ちゃんと前みてろ」


炉伯の声がカラータイツごとショーツを下げて、低音で振動するらしい無音のそれを割れ目にあてがう。


「見ろ、朱禅。尻を叩かれて蜜があふれてやがる」

「まったく愛らしい。我らの番は、どこまでも楽しませてくれる」

「ひっ……ぅ゛」


ゆるゆると割れ目を往復して、慣れていない膣にねじ込むように、それはゆっくりと入ってくる。
少しは温情があるのか、丁寧で優しい手付きが余計に悪い。ドクドクと心臓は変な拍子を刻んでいるし、冷や汗がソファーの背もたれを握る手のひらに滲んでくる。


「ぁ゛……ァ……はぁ……んっ」


姿かたちが見えない異物は、炉伯の手に握られた部分以外をすべて膣内に埋めてしまった。
どうなるのかわからない。
朱禅が体を起こして、背中の圧力がなくなったのに、動けない。動きたくない。動いてはいけない。そんな気がして、かたかたと歯の音が聞こえてくるのをどこか他人事のように感じてしまう。
初体験の恐怖と緊張に、人知れずゴクリと喉が鳴った。


「………ッ、ひ」


息をのんだ、それが最初。


「ャ…っ、ヤダ…ダめぁぁ…それ…ャっ」


いやいやと首を振って、ソファーを掴む手に力を込める。
声が続かない。続けられない。どれだけ力を入れてみても、炉伯の手が玩具を握って、押し出すことを許してくれない。


「強い゛っ…づょァッ…ぃ゛ぁ」

「まだ、スイッチを入れただけだろ?」

「すいっぢァッ……い、ヒィ」


内部で動く微細動が直接子宮に響いて落ち着かない。
強い以外に何と言えば伝わるのか、わからないから、吐ける単語が限られてくる。


「胡涅、手ぇ放すなよ。放したら仕置きだからな」

「だ、メッ…炉伯…ろは、くっ…そ、こらめぇ」

「おい」


言葉の代わりに伝えられる手段を探して、本能的にソファーを掴んでいた右手を離してしまったのがいけなかったのだろう。
胡涅の右手は炉伯の手首をつかむ前に、再びソファーを掴む羽目になる。


「俺は何て言った?」

「ァッあ゛…ごめんなしゃ…ごめ゛なァッあァッ」


振動する玩具が、イヤだと拒絶した場所を突き上げてくる。
朱禅でも炉伯でもないオスが、機械の音を荒げて、ガツガツと膣を何度も擦り上げてくる。


「せっかく仕置きじゃなくしてやってたのになぁ?」

「ヒッぃ゛…ぁ、あ゛ァッ」

「しっかり気張れよ」


穴を開けるつもりだといわれても納得するほど、炉伯の手がそこばかりを掘っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】愛欲の施設-Love Shelter-

皐月うしこ
恋愛
(完結)世界トップの玩具メーカーを経営する魅壷家。噂の絶えない美麗な人々に隠された切ない思いと真実は、狂愛となって、ひとりの少女を包んでいく。

異世界の学園で愛され姫として王子たちから(性的に)溺愛されました

空廻ロジカ
恋愛
「あぁ、イケメンたちに愛されて、蕩けるようなエッチがしたいよぉ……っ!」 ――櫟《いちい》亜莉紗《ありさ》・18歳。TL《ティーンズラブ》コミックを愛好する彼女が好むのは、逆ハーレムと言われるジャンル。 今夜もTLコミックを読んではひとりエッチに励んでいた亜莉紗がイッた、その瞬間。窓の外で流星群が降り注ぎ、視界が真っ白に染まって…… 気が付いたらイケメン王子と裸で同衾してるって、どういうこと? さらに三人のタイプの違うイケメンが現れて、亜莉紗を「姫」と呼び、愛を捧げてきて……!?

【R18】狂存トライアングル

皐月うしこ
恋愛
【オチ無し逆ハーレム】×【常時複数プレイ】 転職した会社で上司から言い渡されたのは海外研修。ろくに英語も喋れないどころか、パスポートも持っていなかったのに、見知らぬ土地でひとり。なんとかひたむきに日々を過ごしていたら、彼氏が三人も出来ました。 (直接表現あり/エロだけもあればエロ無しもある/ハッピーエンド予定) ※ムーンライトノベルズも同時連載中

【R18】コンバラリア(ドルチェシリーズ掲載作品)

皐月うしこ
恋愛
愛峰鈴珠、築島圭斗、間戸部利津の三人は、いつも一緒だった。二十五歳最後の五月五日。世間がゴールデンウィークだというその日、今まで、二人の間で無邪気に笑っていられた自分が憎いと思えるほど、鈴珠は緊張していた。ロウソクに火を灯すとき、一年ぶりに再会した三人の離れていた時間が動き出す。 ※2022年アンソロジー「十二月恋奇譚」寄稿作品 ※無防備な子ほどイトシイをコンセプトにしたドルチェシリーズにも掲載 》》https://fancyfield.net/main/dolce/

【R18】転生聖女は四人の賢者に熱い魔力を注がれる【完結】

阿佐夜つ希
恋愛
『貴女には、これから我々四人の賢者とセックスしていただきます』――。  三十路のフリーター・篠永雛莉(しのながひなり)は自宅で酒を呷って倒れた直後、真っ裸の美女の姿でイケメン四人に囲まれていた。  雛莉を聖女と呼ぶ男たちいわく、世界を救うためには聖女の体に魔力を注がなければならないらしい。その方法が【儀式】と名を冠せられたセックスなのだという。  今まさに魔獸の被害に苦しむ人々を救うため――。人命が懸かっているなら四の五の言っていられない。雛莉が四人の賢者との【儀式】を了承する一方で、賢者の一部は聖女を抱くことに抵抗を抱いている様子で――?  ◇◇◆◇◇ イケメン四人に溺愛される異世界逆ハーレムです。 タイプの違う四人に愛される様を、どうぞお楽しみください。(毎日更新) ※性描写がある話にはサブタイトルに【☆】を、残酷な表現がある話には【■】を付けてあります。 それぞれの該当話の冒頭にも注意書きをさせて頂いております。 ※ムーンライトノベルズ、Nolaノベルにも投稿しています。

【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました

indi子/金色魚々子
恋愛
――優しげな王子と強引な王子、世継ぎを残すために、今宵も二人の王子に淫らに愛されます。 逢坂美咲(おうさか みさき)は、恋愛経験が一切ないもてない女=喪女。 一人で過ごす事が決定しているクリスマスの夜、バイト先の本屋で万引き犯を追いかけている時に階段で足を滑らせて落ちていってしまう。 しかし、気が付いた時……美咲がいたのは、なんと異世界の魔王城!? そこで、魔王の息子である二人の王子の『花嫁』として召喚されたと告げられて……? 元の世界に帰るためには、その二人の王子、ミハイルとアレクセイどちらかの子どもを産むことが交換条件に! もてない女ミサキの、甘くとろける淫らな魔王城ライフ、無事?開幕! 

【R18G】姦淫病棟(パンドラシリーズ掲載作品)

皐月うしこ
恋愛
人類存続計画として母体と選ばれたのが運の尽き。強制的に快楽を仕込まれ、永遠に冷めない凌辱の世界に堕とされる。そんなお話です。この作品は過激なため、クッションページを挟んでいます。 「可哀想な女の子ほど可愛い」という歪んだ思考の元、世の中の善悪を何も考えずに、衝動のまま書き上げた狂った物語たちの巣窟パンドラシリーズ掲載作品。 》》パンドラシリーズ詳細は、こちら https://fancyfield.net/main/pandora/

5人の旦那様と365日の蜜日【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
気が付いたら、前と後に入ってる! そんな夢を見た日、それが現実になってしまった、メリッサ。 ゲーデル国の田舎町の商人の娘として育てられたメリッサは12歳になった。しかし、ゲーデル国の軍人により、メリッサは夢を見た日連れ去られてしまった。連れて来られて入った部屋には、自分そっくりな少女の肖像画。そして、その肖像画の大人になった女性は、ゲーデル国の女王、メリベルその人だった。 対面して初めて気付くメリッサ。「この人は母だ」と………。 ※♡が付く話はHシーンです

処理中です...