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伍書:新たな神獣
04:赤と黒の三
しおりを挟む「アベニ」
「説教ならやめろよ。アザミをもらい受けたいってのは全員同じだ。自分だけが愛しているなんて妄言を吐くつもりか?」
普段は恥じらって嫌がるような素振りをみせるアザミが愛らしくねだってくるのを複雑な気分で眺めるコウラに、アベニは口角をあげてアザミの陰核から顔をあげる。
「アザミが待ってるぜ。こんなに可愛いアザミを放置するなんて言わないよな」
その挑戦的な顔に、コウラは「はぁ」と息を吐いて、自分の前髪をかきあげていた。
「初めては俺が奪いたかった葛藤と戦っていただけだ」
「どれだけ嫉妬深いんだよ。よくそんな性格でジンに忠誠誓ってるよな」
アベニはくつくつと笑って、それからアザミの横に添い寝する形で仰向けになる。
ひざを抱えておねだりをしていたアザミは、首をかしげてアベニの方へ視線を向けた。
「アザミ、来いよ」
「ンッ……ぅ?」
「上にまたがって、そうそう自分でいれて、ん、上手」
来いと言われれば従う以外に選択肢はない。
ワガママを先に口にしたのはアザミのほう。
頭の中はすでに色事でいっぱいで、欲望が満たされるならなんでもいい。息を荒くしてアベニにまたがったアザミは、そうすることが当然として、自分でアベニを膣へ埋めていった。
「コウラが入るからな、力抜いて身体預けてろ」
「……っ……ぁ」
アベニを迎え入れるなり、上半身を抱きしめられてお尻を突き上げる体勢に整えられる。
先ほどアベニの指がほぐした場所に圧迫感が生じたのは、コウラが陰茎をそこに押し当てたせいだろう。
「ひ、ぅ……く」
自然と力が入ってしまうのは、どうしようもない。
人体の構造がそうできているのだから、抵抗してしまうのは仕方がない。そうでなくてもアベニを埋めている。押し上げられた内臓がコウラの侵入に潰されて、圧迫感で息が止まりそうになる。
「息をしろ、アザミ」
「っ、あ……ァッ……く」
「上手だな。コウラが一気に埋めてくれるから頑張ろうな」
「ま……ッぁ、待って……だ、め…コウラ、~~~~~ッ、ぁ」
腰を逃がそうとしたアザミは、二人がかりで押さえつけられて、無事に密着した余韻に震えていた。
一気に挿入されて砕けなかったことを褒めてほしい。
上下が埋まる圧迫感で苦しいのと同時に、満たされる多幸感にひたる神経を受け入れるのは慣れそうにない。
「アザミ、抜くか?」
「無理だったらすぐに言えよ」
「……っぅ…だいじょ……ぶ」
じっと動かず、馴染ませようとしてくれる気配があるうちにアザミは息を整える。それなのにコウラとアベニの二人は、身動きのとれない腰を押さえつけて、無防備な肌に触れてくる。
アベニは胸を下から押し上げるように揉んでくるし、コウラは耳をかじって背中に痕を残そうとしてくる。
「ぁ…ッ……ぅ」
どこで大丈夫だと判断されたのか。
前後に揺れ始めた視界が、赤と黒で染まっていく。
どちらかといえばアベニが支える側に回って、コウラが輸送を始めていた。
「ヒッぅ、ァッ……ぁ」
甲高い声が勝手に口から出ていく。
抜けていく際に引っかかれた内壁がぞくぞくと神経を犯して、また埋まってくる。徐々にキレイとも可愛いとも言えない濁音交じりの声になって、そのうち自分でも理解できない言葉を吐く羽目になるのだろう。
「アザミは尻の方は声我慢できないからなぁ」
「あ゛ッ…ぁ……ひ、ぐ……ぅ…ァァ、アッ」
無様に喘ぐ顔をアベニに笑われて、アザミは舌を突き出す。
その行為が嫉妬を買ったのか。アザミ越しにアベニが笑みで喧嘩を売ったのかは知らないが、途端、コウラの突き上げが強くなったのはいうまでもない。
「ァッ、ぁ…だ…ッめ……だめぇ」
「その顔と声で説得力があると思うか?」
「だっ…で……ァッあ゛……変な声で、りゅ……ぅ」
「だってよ、コウラ。どう思う?」
「愛らしい声しか聞こえない」
腰に乗せられた重力が、ひどく重たい。
思わず目を見開いて、アベニに爪を立ててしまったが、そんな無駄な抵抗では止めてもらえない。
「だ…め……ぇ、ひっぐ……ぃ゛……ぁ」
久しぶりに受け止めるにしても、弾き飛ばされるほどの勢いに腰は砕け、敏感になった神経は簡単に快楽を感じていく。
弱々しく、呂律の回らない舌で訴えれば訴えるほど、波は激しくなるとわかっているのに、彼らの好きな鳴き声しかあげられない。
「ぃ、く…ッぅ゛……ィ゛……く、ぃっちゃ、ぅ」
アベニが乳首を下に向けて引っ張ってくる。舌を絡ませあっているのに、いっさい動かない余裕の笑みが赤い瞳に泣き顔を映してくる。
「あ゛ァッ…ぁ…ぃ、きゅ……ぅ゛ッ」
腰が前後に波打つのをコウラに止められたせいで、中が勝手に強く締まっていた。
注がれる経験の少ない腸がコウラの射精を受け止めて、お腹が火傷するみたいに熱くなっていく。熱さがじわじわと広がっていく。
はぁはぁと混ざる呼吸に、コウラが腰を抜いていくのがわかった。
「……ッ、ぅ……ぁ……」
ごろんと上下が入れ替わって、アザミの上にアベニが来た。
「足、ちゃんと自分で持ってろ」
最初におねだりをしたのと同じ格好を指示されて、実際に手をそうするように誘導されて、アザミは半分にじんだ視界で唇をかみしめる。
「ぃ……ァッ……や…ッ…ふぅ…ぅ゛」
「アザミ」
「ンッ、ぅ……んん゛ンッ」
先ほどはアベニと口づけを交わしながら果てたのだから、今度は自分と口づけをしろとコウラが横から唇を塞いでくる。ようやく息ができると思ったのに、これでは余計に苦しさが増すばかりだと、アザミはこじ開けられた口で色香に溺れた声を吐き出していた。
「アザミ、そろそろイクぞ」
同時にイクことを強要されて、アザミは気分を高めていく。コウラの黒い瞳の中に、アベニに連れていかれる喜びが記憶されていく。
「……………ッ…ぃ……ぁ」
自分で足を抱えているはずなのに、身体が逃げ出そうともがき始める。
止められない。でも止まっているのは、アベニとコウラが押さえつけているせいに違いない。
「~~~~~っ、く……ンぅ゛ぅ」
体内だけが異常に踊っている。
そんなことあるのだろうか。実際にあったとしても説明のしようがない。埋まるアベニだけがそれを共有しているといわんばかりに、腹に手を置いてくる。
「おーい、終わったか?」
「まだだ」「もうちょい」
「終わったな」
コウラとアベニは否定したが、見れば一目瞭然だとイルハはアザミを抱き上げて湯桶に向かう。
アベニの下から引き出す際、ぐちゃりと卑猥な音が聞こえたが、甘い余韻に浸るアザミを横目にコウラもアベニもどこか満足そうな息をこぼしていた。
「イりゅ、は」
「湯に入れるだけだ、黙ってろ」
一ヶ月の同居生活で決まった役割はなくても、各々、状況に応じて分担している。大抵はアベニが率先しているが、イルハもよく手伝っている。湯に入れてくれるというイルハの宣言通り、コウラは食事の状態を見にいき、アベニは寝具を整えていた。
「熱かったら言えよ」
湯の温度を気にしながら湯桶に浸してくれるイルハに、アザミは安心して身を委ねる。
「………気持ちいい」
「そうか」
単語だけの会話をして、あとは掛け湯の音だけが響く。
アベニと違って、イルハは自分で出来ることをさせてくれる。イルハが髪を洗ってくれるならと、アザミは石鹸で身体を磨きながら、色々と汚れた部分を洗うことにした。
「イルハは手際いいね」
「あー、姉貴がうるせぇから」
「そういえば、お姉さんたちは元気?」
「滅茶苦茶、元気。また服を送るってさ」
「それは楽しみ」
髪を扱う手が優しい。
乱暴に見えて、器用に髪を梳かしてくれるイルハに頭を預けながら身体を洗っていると、横から伸びてきた手にそれを奪われる。
「貸せ」
「……ん……に」
コウラの嫉妬は日毎に深まっていく気がしないでもない。自分以外の触れた場所は気にくわないと言わんばかりに、集中してこすってくる。
まずは顔からだと、濡れた布が鼻と口を塞いでくる。
「コウラ、それじゃアザミの息が止まるぞ」
「アザミもコウラに好きなようにさせんなよ」
アベニが注意をしてくれて、なんとか息をすることができた。
イルハはアザミの髪を洗うことに専念しているが、アベニとコウラも一緒に湯桶に浸れるのは、封花殿の大きさを物語る。
「ねぇ、いつまで湯に浸ってるのさ。ご飯食べるよ」
途中、ヒスイがのぼせそうになるのを助けてくれた。
そこからは特段変わりなく、いつもの日常だった。髪を乾かし、服を着て、みんなでご飯を食べて、水の音を聞きながら談笑をする。
「ジンさま……まだかな」
ジンだけが不在で、それを寂しいと感じるのは止めようがない。待つのには慣れている。そう割り切っていたのが遠い昔のようだと、アザミは窓の外に咲く花を見つめていた。
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