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参書:四季を冠る香妃
04:嫉妬で濡らす花
しおりを挟む「ひゃっ」
指をかじっていた唇に前触れなく乳首を吸われる。
それも一度だけ強く右胸の先端を吸われただけなのに、間抜けなほど身体が反応して、じわりと全身に熱が昇っていく。
「ここは好きなようだな」
いたずらに微笑むジンに、アザミは「ぅぅ」と言葉を無くして胸の谷間にある顔を覗き見た。ジンの両手は、いつの間にか乳首の先端に添えられて、左右から指先で潰そうと待機している。
「陛下、待っ……ヒッ……ぅ」
「この短時間でわたしの名を忘れたか?」
「ァッ……ぁ……ジンさま、ぁ……ヤッ、ぅ」
一気に潰されるのかと思っていたら、触れるか触れないかの優しい力加減ですりつぶされる。指の腹で撫でられて、じっと反応を観察されるのに耐えていれば、徐々に強さが増していく。
「これは強すぎたか。では、これではどうだ?」
「そ、れ……ッぁ……好きぃ」
胸をせり出して、自分から好きな力加減や場所を教えていくのが新鮮で、それを的確に再現してくれるジンの行為が嬉しいと思う。指で、舌で、ジンと秘密を共有するみたいに、ひとつずつ答え合わせしていく時間がじっくりと過ぎていく。
「ジンさま…っ……ジンさ、まァッ……触って、くださ……ぃ」
全身を愛撫されている気分になっているのに、足りない刺激を本能で求めてしまう。
ジンに対して自分から足を広げるなど永遠にないと思っていた。
それでも今は、自分から足を広げてジンに触ってほしいとねだっている。
「このままではよくわからんな」
ぼそりと呟いたジンが、開いたアザミの足ではなく、アザミの腰を持ち上げて、自身の身体を差し込んだ。その流れで、アザミの腰はふわりと浮くと同時に、アザミの足までも宙に浮かせ、半分折り曲げる形で頭まで振り落ちていた。
「……っ、な……ぁ……」
性器とジンの顔が直線上にある。
自分の足に挟まれて動かせない顔が、性器を覗き込むジンの様子を視界に訴えてくる。
割れ目を両手で開かれてしまえば隠せるものは何もない。
濡れた蜜も、尖った陰核も、柔らかに包むひだも、ジンの目と鼻の先で触れられるのを待っている。
「ァ……ぁ……ジンぅ……ッ」
べろりと舐め上げられただけで、背骨が震えて息が止まりそうになる。
ここも、好きな場所をひとつずつ教えていくことになるのだろうか。乳首のときと同じで、ジンの指が少しずつ強くなるのを感じながら、どうされるのが一番いいのか答えることになるのだろうか。
「わたしの童貞を奪った悪い膣はここか?」
「にゃッ…ふ……ァッ……ぁ」
垂直で膣にねじこまれていくジンの中指がよく見える。
長くて綺麗な指、男らしい大きな手。事務仕事をする筆まめがあって、陰禍を払うのに各地へ赴くために鍛えられているのか、関節がごつごつしている。想像よりもざらついた指が、膣の内壁を削りながら埋まっていく。根元まであと少し。そう思った矢先、何かに気づいたジンが指を少し引き戻して、ざらついた指の腹でアザミの膣壁の一部をすりすりと撫でた。
「アァぁ゛ッ……そ、ゃ……しゅお……ぅ」
「蜜が増す場所があると思えば、ここが正解か?」
「だ、め……そこ……でちゃッ…ぅ……ヤッぁ」
「なるほど、教え込まれた場所か。それとも、アザミがわたし以外に教えた場所、か」
「ヒッ……ぃ……ぁ……あ゛……ァ」
指の腹に力を入れて刺激を強めてくるジンの技巧に、アザミの膣から愛液があふれて卑猥な音が響き始める。くちゅくちゅとした愛らしい音だが、逆に言えば、それ以上にも以下にもならずに一定の速度を保ったまま、ジンの指先だけが動いている。
「ジンさ…まぁ……もっと強……くッ……してくださ、ァッ」
腰を振ってお願いするみじめさも気にならない。変わらない快楽だけを延々と与えられ続ける苦行を思えば、一気に果てる恍惚な刺激が欲しい。
それをくれるのなら、自尊心など多少壊れても構わないとばかりにアザミはジンに懇願する。
「それは断る」
「……ァッ、や……なんでぇ……ぃきた、ぃ……いきたいぃ」
まさに一刀両断。これまで優しく答えてくれていたはずのジンに断られて、混乱したアザミの瞳に涙がたまっていた。
「ここだけが好きな場所ではなかろう。全部教えるまではそなたの言い分を保留にしよう」
「そ……な……ッひ、ぅ……ンっ」
今度こそ根元まで埋もれた指がぐにぐにと色んな場所を探求し始める。すぐそこにあった快楽が遠のいていくのに、溜まった熱だけが溶かされていくみたいにもどかしくて、アザミはジンの指をぎゅうぎゅうと締め付けながら息を震わせていた。
「ひゃっ……ァッ」
ジンの顔が陰核に吸い付いている。
膣に埋まる指とは違う、もう片方の手が器用に剥きだしてくるのをやめてほしい。
「ィッ、く……そりぇ、ィッ……やだぁ」
せっかくいけそうだったのに、ジンの唇が吸い付くのをやめて、ちろちろと可愛らしく舌で舐める行為に変わっていく。また絶頂が遠のいて、じんじんとした痺れだけが取り残される。
「ァッ、ジンさま……キモチイぃ、ッぐ……イッ……いやぁ」
何度も何度も、イク寸前で止められて、そのたびに吸い付き方、舐め方、指の速度、触れる場所を変えられて、絶頂を逃がされる。
はぁはぁと浅い呼吸を繰り返す息。ごくりとノドが鳴って、次こそはと期待して、絶望に落とされる。どこを触られても気持ちよくて、頭がおかしくなりそうなほど、絶頂のことしか考えられなくなってくる。
「アザミ」
アザミの顔の真正面に指の埋まる性器がくるように圧力をかけたジンが、空いた手の指先で放置されていたアザミの乳首をそっと撫でる。
「いま、誰の指を感じている?」
「……ッ、ぁ……ジンさ、ま……ジンさまぁ」
「そうだな。では、そなたは誰のものだ?」
「ぁ……だ……れぇ…ァッあ゛……ぅ」
指で乳首と膣を撫でられて、舌が陰核を舐めている。ずっと、ずっと微弱な快楽だけに浸されて、全身が溶けたみたいにジンの言葉を繰り返す。
「そなたはわたしのものだ。他の誰でもなく、わたしのアザミだ」
「ジンさまの……ジンさ、ま……ッ」
「忘れるでないぞ」
突然強くなった刺激に星が散る。
自分で教えた。絶頂に一番到達しやすい方法が不意に実行される。
「じ…ッぁ…ァッあ゛あぁ……ッぃぐ……ぉ……イ、ぅゥッ」
「本当にわかっているのか?」
「わか……ぁ……そ……~~~~っ」
声にならない悲鳴をあげてのけぞる身体は、固定された状態でのけぞることができない代わりに、困った顔のジンを眺め続ける。膣がうねり、ジンを求めてもがく両手が敷物を強く握りしめ、涙目の顔が歯を食いしばっているのだから、いくらジンでもアザミが深い絶頂に犯されていることは理解しているだろう。
他の誰でもなく。
ジンの指がそこを犯して、満足そうにアザミを眺めている。
「わたしをそなたの目に、しかと焼き付けよ」
呪縛の口づけを施すとでも言わんばかりに、ジンは愛蜜を散らせるアザミの性器に唇を落とし、前後に揺れて震える快楽を助力しようと、陰核に舌を添える。
「ヒッ、ぃ……いま、イッてりゅ……ジンしゃ……ま」
制止の声は届かない。いや、届いているはずで聞き入れてもらえない。
端正で綺麗な顔が自分の性器に鼻を埋めて吸い付いている。卑猥な音をたてて舐めている。それだけでも信じられないのに、ジンの指は一本から二本、三本と本数を増して、ぐっちゃぐっちゃと輸送を繰り返していた。
「く、ィッ……ぁ…ジンさま…っ……ジンさ…まぁ」
ばらばらと動く指。不自由な体勢を強いられる肉体。
快楽を逃がせる場所はどこにもなく、与えられるすべてを受け入れるしかない。
胸も形を変え、突起物たちは取れる心配をしてしまうほど硬くなっている。
単純にキモチイイ。けれど、待ち望んでいた快楽を喜んだのもつかの間、全然終わる気配のない行為の持続に涙していく。
「待っで、止まっでくだしゃ……ぃ…ま、たイクッぅ……いっちゃ、ぅ……出ちゃ…ぅ、やだぁ……ッ…ジンさまァぁ、あアァッぁ゛ぁァッ」
全身が硬直して、腰がピンっと停止した後、アザミの膣から噴き出した大量の愛液が寝具や布を濡らしていく。もちろん、ジンの顔や腕、足まで濡れて、あたり一面水浸しに変わっていた。
「はぁ…はぁ……ッ、ぅ……ぁ」
足をおろされて、まともに呼吸ができると思ったのに、今度はそこに当たるものに神経が跳ねる。
「だ……め……ジンさま、いま……いまァッ、ぅ」
開脚した足の間。ひざを折り曲げられ、割れ目にあてがわれたジンのオスがゆっくりと膣内に埋まってくる。正確には埋まる寸で止まっている。
いったい、どうしたのかとアザミはジンの顔を見上げ、そして後悔した。
「駄目なのであろう?」
挿入まで合図が必要なのかと文句の一つでも言いたい。
「いきたい」と言っても断ったくせにと言いたい。
言いたいのに、言えなかったのは、余裕を無くしたジンのせい。そんなに熱を帯びたオスの顔で見つめられると、文句など言っている場合じゃないと本能が叫んでしまう。
「……だめ、じゃ……な、ぃ」
「いいのか。意思を尊重してやる余裕はもうないぞ?」
「うん……いいの……ジンさま、いれ、て……いれてくださッ」
腰に両手を添えるジンの首に腕を回してしがみつく。
どちらともなく唇を重ねて、初めからそうなることが当然のように下半身を密着させていく。
「アザミ……っ……そなたは温かいな」
「ジンさまこそ……熱い……ッ、おっき、ぃ」
「動いても問題ないか?」
意思を尊重する余裕がないといったくせに、ひとつずつ確認してくれる丁寧さをここでも発揮するジンに、アザミは微笑む。「大丈夫でありんす」と気丈に振る舞ってみたものの、埋まる質量に理性は削られて、快楽を引きずりだされるのは時間の問題だった。
「っ、ぁ……ジンさま……ジンさ……ま」
遠慮がちに引き抜かれた腰が、また遠慮がちに入ってくる。
指と同じ、舌と同じ。アザミが反応を返す場所を探して、角度や速度を変えて確認してくる行為が愛しくて、待ち遠しい。
「そ……ッぁ……そこ、キモチいぃ」
「その、ようだ……っ…わたしも気持ちいい、アザミ」
腰の動きだけを置いて、両手で抱きしめてくるジンの言葉に体が喜ぶ。
長い髪が肌に振り落ちてきて、汗ばんだ吐息で告げられる声に触発されて、苦しそうに顔を歪めるジンを求める腕が落ち着かない。
ずっと抱きついていたい。
この腕の中で揺れる時間がずっと続けばいいのにと思ってしまう。けれど、そうではないことを知っている。動く腰の打ち付けが強くなって、早くなって、むさぼられる唇の隙間から何度も「アザミ」とかすれた声で呼ばれる。
「ジンさま、一緒に…ッ……一緒に、いきた…ぃ」
そう言ってすがりついたアザミに、ジンは今まで以上に優しい顔で微笑んで、それから全身で強く抱きしめてきた。
「ァッあ゛、ぅ……ィッ、そこ……イッぐ、ぁ、また出ちゃ……ぅ……ジンさま、ジンさまぁ゛ッ」
「アザミ……ッ…いく、ぞ」
「うん、うん……ジンさッま、イクッぃくぃ、くぅ……~~~っ」
寝具に沈んでいくように、二人そろって高く果てる。
密着した肌が離れないのは、お互いの余韻に浸っているせいかもしれない。
アザミが膣を何度も伸縮させるのに合わせて、ジンも奥まで放出させる勢いに衰えがない。ずっしりと重い精液が体内に広がっていくのを感じながら、アザミは目の前に広がる黄金色の髪に触れていた。
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