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《第2章》偏愛の獣たち
第1話:つがい
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《第2章》偏愛の獣たち
第1話:つがい
律動の波はいつも息が出来ない程苦しいのに、永遠に続いてほしいほど心地いい。
このまま一緒に溶けてしまうんじゃないかと錯覚するほどの愛しさが体内から溢れていくのを止められない。
「っ・・ぁ・・ッア・・ゼオ、ら」
深く曲がった足の付け根に自身の腰を重ね合わせるゼオラをリズの甘い声が呼ぶ。それは彼らでなければ聞こえないほど小さく、か細い声かもしれないが、彼らからしてみれば心臓をえぐるほど近くで囁かれているのと同じ声量に匹敵する。加えて、高鳴る心臓の音、早く流れる脈拍の振動、荒く吐き出される呼吸が輪をかけてリズの心境を伝えてくるのだからたまらない。
「愛している」と全身から告げられる感覚を愛しいと思わずにどうしろというのか。滴る愛蜜は肌を濡らし、ベッドを濡らし、彼らの毛に絡みついて離さない。
「・・・っ、リズ」
片手で簡単につぶせそうな頭に触れる力加減を間違えそうになる。脳まで溶かしそうな甘い声で名前を呼ばれて優しいだけで済ませることが出来るわけがないと、ゼオラの腰が物語っていた。
「・・・ゼオ・・ラ、ぎゅーってし・・て」
腕を伸ばしたはずなのに、なぜか全身を抱きしめられる。
「ヒッぁ・・なっアッぁ・・ッく」
ただ一緒に溶けていく感覚を味わいたかっただけなのに、ゼオラの行為が激しくなった理由がわからない。ずっと止まらない快楽に終焉を打とうとしているのか、密着した全身を連れていかれる勢いでゼオラの腰が揺れ動く。
「ァッ・・ぁ・・・いくっぁあぁ」
「リズ、一緒にいって」
「んっ、ぁ・・ぅん・・いっしょ」
一緒だと約束した以上、今にも果てそうになる絶頂を我慢しなければならない。ゼオラが満足するまで受け流すために抱き着いた背中は、その背骨沿いに長く編み込まれた群青の髪を揺らしていた。
振り落とされないようにギュッと掴む。腰に巻き付かせた足の先に触れる尻尾の感覚でさえキモチイイ。
「ゼオら・・ぁ・・もっ、ぁア・・っく、イクッぁ・・ぁ・・~~~ッ」
強く最奥を突かれると同時に閃光が全身を駆け抜けた気がした。しがみついていなければ気を失ってしまいそうになる。ゼオラの鼓動がいつもより早鐘を打って、交尾終了の合図ともとれる白濁の液体が痙攣する内部に広がっていく。
「あー、もうマジ。リズが可愛すぎて止まんなかった」
「っ、ァ。ゼオラ・・っまだ動いちゃ・・だ、め」
「なに、リズ。まだなかキモチイイの?」
「・・・んっ・・・ぁ」
頭を撫でて顔中にキスを落としてくるゼオラが動くたび、敏感になった膣内が反応する。熱に擦れて溶けた内部がゼオラが抜けていくのと同時にゴポッと歪な低音を響かせていた。
「いっぱ・・ぃ」
数秒おきに痙攣するからだがゼオラの液体を吐き出していく。透明と白が混ざった液体がリズの足を伝ってシーツに波紋を描いていく。
「ゼオラのご褒美になった?」
真横に寝転がるゼオラの顔をリズも横になって覗き込む。
黄金色の瞳は穏やかに煌めいて「じゅうぶん」と笑った。
「ゼオラばっかりズルいよ?」
「ルオラ?」
「そもそもリズ様はゼオラに何のご褒美あげてたの?」
白い耳がリズの視界に映る。その顔はどこか不貞腐れたように膨らんで、可愛く首をかしげている。
「なにの、ご褒美?」
そう言えば何のご褒美だったかと、リズは助けを求めるようにゼオラに視線を送る。ゼオラは「ん?」と優しいまなざしのまま微笑んで「今夜の見回り当番を頑張れるように」と答えを教えてくれた。
「そう、それだ」
笑顔で疑問を解決したリズとは裏腹に「は?」と不機嫌に響いた声がふたつ。
「待って、今夜のってことはまだ果たしてもいない仕事に対してご褒美をあげたってこと?」
「だってゼオラがやる気でないからって」
「嘘でしょ。リズ様、ゼオラに甘すぎない?」
馬乗りになって言われても、すでに終えてしまったものは仕方がない。ルオラの言い分を困ったように聞いていたリズは、一体どうしたものかと助けを求めるように今度はシシオラの姿を探していた。
「私、ゼオラに甘すぎるの?」
ゼオラとすぐ反対側。いつの間に服を脱いだのか、ゼオラと同じ群青の毛をなびかせたシシオラがそこにいた。
「シシオラ?」
見つめてばかりで一向に言葉を発しないシシオラの瞳にリズの顔が疑問に傾く。そこで初めて声が届いたのだろう。にこりと端整な顔が微笑んだ。
「はい、リズ様。いかがなさいましたか?」
「話、聞いて・・・っ・・んッ」
手袋を外した彼らの手の表面はすこしざらついている。紙やすりに近い感覚だが、優しく肌の表面を撫でられるとぞわぞわと言い様のない感覚が全身を駆け抜ける。
「ゼオラとの行為の影響でしょうか、まだ可愛らしい声が出ますね」
「ちがっ・・ッ」
「リズ様はこの手で全身を愛撫されるのがお好きだという話でしたっけ?」
「ンッ・・・ヤッぁ・・っ」
「ほら、暴れると危ないですよ。先ほど手袋を外しましたし、爪でケガをさせてしまってはいけませんから」
だったらもう一度手袋をすればいいと口にしたい。でもそれが叶うよりも早く、肌の弱い部分をシシオラの手が滑っていくのだから意識がひとつに集中できない。
「ッぁ!?」
先ほど液体が注ぎ込まれたばかりの割れ目の中心を撫でられて腰が浮く。無意識にシシオラの指にすり寄った陰核がそのざらついた指に悦んだのか、鋭利な感覚が下半身から脳を突き抜けてリズの体を震わせる。
「ふッぁ・・はぁ・・・はぁ・・ンッ」
「リズ様、なにかお忘れではございませんか?」
「な、にを?」
「褒美でしたら番う者には均等に与えてくださらないと」
そこでようやくリズはシシオラが怒っていることに気づいた。痛い思いをしたくなければ動くべからず。愛撫を強制的に受け入れる態勢で、リズはゼオラとシシオラの中心で固まっていく。いや、先ほどまでゼオラだったその場所はルオラに代わっている。
この事態を招いた張本人ともいえるゼオラは、ひとり燕尾服を来て仕事に戻ろうとしているのだから開いた口がふさがらない。
「ゼオラ・・待っぁヤッ」
「リズ様、動いてはなりませんよ」
「ヒッ・・・シシオ、ラそこばっか、り・・ァヤッ」
「可愛い声を自分にも聞かせてください。褒美がなんでも良いというのなら、満足するまで鳴いてくださればそれだけで十分ですので」
「ヤッそれ、イクッ・・・シシオラ、いっちゃうから・・ダメぁ」
爪を折った右手の薬指一本。その指の腹だけが往復する割れ目では突起物がわかりやすく固く主張し、ざらつく愛撫に連動するように愛蜜を溢れさせていく。動いてはイケナイ。縛られているわけでもないのに言葉の呪縛にはまったリズは、込み上げてくる快楽を飲み込むように唇をかみしめる。
「鳴いてくださいとお願いしたはずですよ?」
「~っ、アッ・・ぁ・・んっッ」
もう片方の手で額の髪を流され優しく頭を固定される。そのまま覗き込まれた顔にキスをされて緩んだ口からは、再び潤んだ声が漏れはじめていた。
「シシオラばっかりずるい。ねぇ、リズ様。僕にもご褒美、いいでしょう?」
「ぁ・・ルオら・・ッ・・ぁ」
動かないようにベッドのシーツを握りしめていた手が解かれ、絡みついた指先がルオラの唇に消えていく。そして牙をたてられた指先に、リズの眉が少しだけ歪みをみせた。
「がんばったぶんだけ、僕の跡を残させて?」
こういうとき綺麗に整えられた彼らの顔は得だと思う。リズが断らないとわかっていて「そういう顔」をしてくるのだから性格が悪い。絶やすことなく鳴き続けることを褒美に欲しがるシシオラと、自分の跡を残したがるルオラ。動けない人形の状態でどう考えたところで、彼らに褒美を与えない答えにはたどり着かない。
なにより前例を与えてしまった。
「じゃあな、リズ。今夜は傍に入れなくて悪いな」
本当に悪いと思っているところがゼオラの悪いところだろう。
甲高い絶頂の声で鳴くリズの挟んで嬉しそうに瞳を輝かせた兄弟たちが、リズの代わりにゼオラに手を振っている。
「先に褒美をもらったんですから、しっかり働いてきてください」
「はいはい」
シシオラの言葉にゼオラも手を振って消えていく。
パタンと閉じた寝室の扉に絶望を感じながらリズは残された二人の愛撫に溺れていく。
「さっきのはどう考えたってリズ様が悪いよ?」
「そうですね。ゼオラが羨ましい限りです」
もう、何を言い訳にしてもシシオラとルオラが止まることはないだろう。
「好きにしていい、でしたね」
「ゼオラにあげたものは、僕たちにもくれるんだから当然だよね」
柔らかくほほ笑む綺麗な顔と可愛い顔からは逃げられない。異常だと思える愛情行為も群青兎として人間とは別の生態系を築く彼らにとっては当然で正常。たった一人を番として愛し、そのたった一人を複数で共有する。その愛され方を受け入れてしまった以上、いまさらイヤだと拒絶することもできない。
したいと思わないのだから、きっとその時点で毒されているのだろう。
「ッ、ぁ・・・シシオラ・・・ルオラ」
リズは甘えるようにそれぞれの腕で二人の名を同時に呼び寄せる。
呼べば当たり前に応えてくれる彼らのキスに見守られながら快楽を貪る今を手放すほうが無理な話。明日の朝には真新しい傷が複数ついた赤い肌に彼らは謝罪を述べ、過保護に甘やかしてくるに違いない。
そんな未来をどこか懐かしく、そして愛しく思いながら、リズは何度目になるかわからない悦楽に果てた。
第1話:つがい
律動の波はいつも息が出来ない程苦しいのに、永遠に続いてほしいほど心地いい。
このまま一緒に溶けてしまうんじゃないかと錯覚するほどの愛しさが体内から溢れていくのを止められない。
「っ・・ぁ・・ッア・・ゼオ、ら」
深く曲がった足の付け根に自身の腰を重ね合わせるゼオラをリズの甘い声が呼ぶ。それは彼らでなければ聞こえないほど小さく、か細い声かもしれないが、彼らからしてみれば心臓をえぐるほど近くで囁かれているのと同じ声量に匹敵する。加えて、高鳴る心臓の音、早く流れる脈拍の振動、荒く吐き出される呼吸が輪をかけてリズの心境を伝えてくるのだからたまらない。
「愛している」と全身から告げられる感覚を愛しいと思わずにどうしろというのか。滴る愛蜜は肌を濡らし、ベッドを濡らし、彼らの毛に絡みついて離さない。
「・・・っ、リズ」
片手で簡単につぶせそうな頭に触れる力加減を間違えそうになる。脳まで溶かしそうな甘い声で名前を呼ばれて優しいだけで済ませることが出来るわけがないと、ゼオラの腰が物語っていた。
「・・・ゼオ・・ラ、ぎゅーってし・・て」
腕を伸ばしたはずなのに、なぜか全身を抱きしめられる。
「ヒッぁ・・なっアッぁ・・ッく」
ただ一緒に溶けていく感覚を味わいたかっただけなのに、ゼオラの行為が激しくなった理由がわからない。ずっと止まらない快楽に終焉を打とうとしているのか、密着した全身を連れていかれる勢いでゼオラの腰が揺れ動く。
「ァッ・・ぁ・・・いくっぁあぁ」
「リズ、一緒にいって」
「んっ、ぁ・・ぅん・・いっしょ」
一緒だと約束した以上、今にも果てそうになる絶頂を我慢しなければならない。ゼオラが満足するまで受け流すために抱き着いた背中は、その背骨沿いに長く編み込まれた群青の髪を揺らしていた。
振り落とされないようにギュッと掴む。腰に巻き付かせた足の先に触れる尻尾の感覚でさえキモチイイ。
「ゼオら・・ぁ・・もっ、ぁア・・っく、イクッぁ・・ぁ・・~~~ッ」
強く最奥を突かれると同時に閃光が全身を駆け抜けた気がした。しがみついていなければ気を失ってしまいそうになる。ゼオラの鼓動がいつもより早鐘を打って、交尾終了の合図ともとれる白濁の液体が痙攣する内部に広がっていく。
「あー、もうマジ。リズが可愛すぎて止まんなかった」
「っ、ァ。ゼオラ・・っまだ動いちゃ・・だ、め」
「なに、リズ。まだなかキモチイイの?」
「・・・んっ・・・ぁ」
頭を撫でて顔中にキスを落としてくるゼオラが動くたび、敏感になった膣内が反応する。熱に擦れて溶けた内部がゼオラが抜けていくのと同時にゴポッと歪な低音を響かせていた。
「いっぱ・・ぃ」
数秒おきに痙攣するからだがゼオラの液体を吐き出していく。透明と白が混ざった液体がリズの足を伝ってシーツに波紋を描いていく。
「ゼオラのご褒美になった?」
真横に寝転がるゼオラの顔をリズも横になって覗き込む。
黄金色の瞳は穏やかに煌めいて「じゅうぶん」と笑った。
「ゼオラばっかりズルいよ?」
「ルオラ?」
「そもそもリズ様はゼオラに何のご褒美あげてたの?」
白い耳がリズの視界に映る。その顔はどこか不貞腐れたように膨らんで、可愛く首をかしげている。
「なにの、ご褒美?」
そう言えば何のご褒美だったかと、リズは助けを求めるようにゼオラに視線を送る。ゼオラは「ん?」と優しいまなざしのまま微笑んで「今夜の見回り当番を頑張れるように」と答えを教えてくれた。
「そう、それだ」
笑顔で疑問を解決したリズとは裏腹に「は?」と不機嫌に響いた声がふたつ。
「待って、今夜のってことはまだ果たしてもいない仕事に対してご褒美をあげたってこと?」
「だってゼオラがやる気でないからって」
「嘘でしょ。リズ様、ゼオラに甘すぎない?」
馬乗りになって言われても、すでに終えてしまったものは仕方がない。ルオラの言い分を困ったように聞いていたリズは、一体どうしたものかと助けを求めるように今度はシシオラの姿を探していた。
「私、ゼオラに甘すぎるの?」
ゼオラとすぐ反対側。いつの間に服を脱いだのか、ゼオラと同じ群青の毛をなびかせたシシオラがそこにいた。
「シシオラ?」
見つめてばかりで一向に言葉を発しないシシオラの瞳にリズの顔が疑問に傾く。そこで初めて声が届いたのだろう。にこりと端整な顔が微笑んだ。
「はい、リズ様。いかがなさいましたか?」
「話、聞いて・・・っ・・んッ」
手袋を外した彼らの手の表面はすこしざらついている。紙やすりに近い感覚だが、優しく肌の表面を撫でられるとぞわぞわと言い様のない感覚が全身を駆け抜ける。
「ゼオラとの行為の影響でしょうか、まだ可愛らしい声が出ますね」
「ちがっ・・ッ」
「リズ様はこの手で全身を愛撫されるのがお好きだという話でしたっけ?」
「ンッ・・・ヤッぁ・・っ」
「ほら、暴れると危ないですよ。先ほど手袋を外しましたし、爪でケガをさせてしまってはいけませんから」
だったらもう一度手袋をすればいいと口にしたい。でもそれが叶うよりも早く、肌の弱い部分をシシオラの手が滑っていくのだから意識がひとつに集中できない。
「ッぁ!?」
先ほど液体が注ぎ込まれたばかりの割れ目の中心を撫でられて腰が浮く。無意識にシシオラの指にすり寄った陰核がそのざらついた指に悦んだのか、鋭利な感覚が下半身から脳を突き抜けてリズの体を震わせる。
「ふッぁ・・はぁ・・・はぁ・・ンッ」
「リズ様、なにかお忘れではございませんか?」
「な、にを?」
「褒美でしたら番う者には均等に与えてくださらないと」
そこでようやくリズはシシオラが怒っていることに気づいた。痛い思いをしたくなければ動くべからず。愛撫を強制的に受け入れる態勢で、リズはゼオラとシシオラの中心で固まっていく。いや、先ほどまでゼオラだったその場所はルオラに代わっている。
この事態を招いた張本人ともいえるゼオラは、ひとり燕尾服を来て仕事に戻ろうとしているのだから開いた口がふさがらない。
「ゼオラ・・待っぁヤッ」
「リズ様、動いてはなりませんよ」
「ヒッ・・・シシオ、ラそこばっか、り・・ァヤッ」
「可愛い声を自分にも聞かせてください。褒美がなんでも良いというのなら、満足するまで鳴いてくださればそれだけで十分ですので」
「ヤッそれ、イクッ・・・シシオラ、いっちゃうから・・ダメぁ」
爪を折った右手の薬指一本。その指の腹だけが往復する割れ目では突起物がわかりやすく固く主張し、ざらつく愛撫に連動するように愛蜜を溢れさせていく。動いてはイケナイ。縛られているわけでもないのに言葉の呪縛にはまったリズは、込み上げてくる快楽を飲み込むように唇をかみしめる。
「鳴いてくださいとお願いしたはずですよ?」
「~っ、アッ・・ぁ・・んっッ」
もう片方の手で額の髪を流され優しく頭を固定される。そのまま覗き込まれた顔にキスをされて緩んだ口からは、再び潤んだ声が漏れはじめていた。
「シシオラばっかりずるい。ねぇ、リズ様。僕にもご褒美、いいでしょう?」
「ぁ・・ルオら・・ッ・・ぁ」
動かないようにベッドのシーツを握りしめていた手が解かれ、絡みついた指先がルオラの唇に消えていく。そして牙をたてられた指先に、リズの眉が少しだけ歪みをみせた。
「がんばったぶんだけ、僕の跡を残させて?」
こういうとき綺麗に整えられた彼らの顔は得だと思う。リズが断らないとわかっていて「そういう顔」をしてくるのだから性格が悪い。絶やすことなく鳴き続けることを褒美に欲しがるシシオラと、自分の跡を残したがるルオラ。動けない人形の状態でどう考えたところで、彼らに褒美を与えない答えにはたどり着かない。
なにより前例を与えてしまった。
「じゃあな、リズ。今夜は傍に入れなくて悪いな」
本当に悪いと思っているところがゼオラの悪いところだろう。
甲高い絶頂の声で鳴くリズの挟んで嬉しそうに瞳を輝かせた兄弟たちが、リズの代わりにゼオラに手を振っている。
「先に褒美をもらったんですから、しっかり働いてきてください」
「はいはい」
シシオラの言葉にゼオラも手を振って消えていく。
パタンと閉じた寝室の扉に絶望を感じながらリズは残された二人の愛撫に溺れていく。
「さっきのはどう考えたってリズ様が悪いよ?」
「そうですね。ゼオラが羨ましい限りです」
もう、何を言い訳にしてもシシオラとルオラが止まることはないだろう。
「好きにしていい、でしたね」
「ゼオラにあげたものは、僕たちにもくれるんだから当然だよね」
柔らかくほほ笑む綺麗な顔と可愛い顔からは逃げられない。異常だと思える愛情行為も群青兎として人間とは別の生態系を築く彼らにとっては当然で正常。たった一人を番として愛し、そのたった一人を複数で共有する。その愛され方を受け入れてしまった以上、いまさらイヤだと拒絶することもできない。
したいと思わないのだから、きっとその時点で毒されているのだろう。
「ッ、ぁ・・・シシオラ・・・ルオラ」
リズは甘えるようにそれぞれの腕で二人の名を同時に呼び寄せる。
呼べば当たり前に応えてくれる彼らのキスに見守られながら快楽を貪る今を手放すほうが無理な話。明日の朝には真新しい傷が複数ついた赤い肌に彼らは謝罪を述べ、過保護に甘やかしてくるに違いない。
そんな未来をどこか懐かしく、そして愛しく思いながら、リズは何度目になるかわからない悦楽に果てた。
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