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靄はアディル(アンリ)に取り憑くーーーーー。

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この世界で光魔法が手に入った事がラッキーでしかなかった。
本当ならアンリに都合の良い世界が崩れているの?

そうは言っても、ジークは相変わらずアディル(アンリ)を溺愛している。

アディル(アンリ)に笑いかけエスコートしている。

当たり前やん!本当ならそれが正解なんだから!

でもーーーーーたまにジークから優しさを受けるアンリ(アディル)ついこないだもそうだ。

一人で移動している時、数人の女生徒に絡まれた。

「ちょっと貴女、ーーーーー男爵令嬢の貴女よ!」

ちっ、私のことじゃん!

アンリは振り返って女生徒をみる。

『あーこれ、アディル(相変わらず)の腰巾着達だわ!』

この世界に入れ替わる前のアディルには腰巾着は居なかった。
上流の友達は勿論いたがこんな風にゲスに声を掛けるような友は居ない!きっとアディル(アンリ)が手下に選んだんだわ。

「ごきげんよう皆様、何か私にご用でしょうか?」一応挨拶をしておいた、今の私はコイツらより下っぱの、年下で下級貴族だからーーーーー。

「貴女、ジークフリード様にベタベタしすぎよ!」背の高い女が言い。

次にーーーーーメガネの女が
「ジークフリード様は、アディル=メルフェル公爵令嬢の婚約者なのだからーーーーー貴女は控えめにすべきよ!」

小太りの女がーーーーー
「下級貴族のくせに、光魔法があるかっらって、いい気にならないでちょうだい。アディル様に失礼よ。」

アンリ(アディル)は三人の女に囲まれた。

「さぁ、返事は。ジークフリード様に近づかないと約束なさい!」

三人の女は、返事をしないアンリにイラついていた。

「「さぁ、早く」」

ジリジリと追い詰める三人ーーーーー。

『返事なんてしないわ!私だってジークを愛しているんだからーーーーー』

「イライラする子ね。」

その時チラッと木の影でこちら様子を伺うアディルの姿を見つけた。

『やっぱり、アディル(アンリ)の仕業だ!』

油断したその時ーーーーー

背の高い女が、右手を振り上げたーーーーー。

わっ、殴られるーーーーー!

私は思わず目を伏せた。

その時ぐいっと、力強い何かに引き寄せられた。

何?ーーーーー何かが私を抱きしめている!

「何をしている!」不意に頭上から声がした。

この声ーーーーー、ジーク。

私は伏せていた瞳を、開け私を抱きしめている人物を見た。

あぁーーーーージークだわ、ジークが助けに来てくれた。

「イブレン令嬢、どうしてクランネル嬢を叩こうとした。」

「いいえ、殿下。私はーーーーー」モゴモゴと何か言いながらーーーーー。

「「「申し訳ありませんでしたーーーーー。」」」と叫んで三人の令嬢は去っていった。


「ありがとうございました、ジークフリード様。」

ジークは抱きしめている腕にさらに力を込め抱き寄せた。

「うん、アリー。無事で良かった。叩かれそうな君を見つけた時はドキリとしたよ。」

本当に良かったとジークが抱きしめる。

「アリーは、柔らかくて良い匂いがするね。ずっと抱きしめていたい。」

『私だってそうだよ、ジーク。ずっとこのまーーーーー』ダメやん、ずっとこの姿はまずい!中身はアディルでも、外見はアンリなのだからーーーーー

ジークは外見のアンリが好きなの?ーーーーー
それとも、中身のアディルに心が引かれいるの?ーーーーー。


私はやんわりとジークと離れた。

「ジークフリード様、危ない所助けて頂きありがとうございました。」ジークフリード様のおかげです、と微笑んだ。

「もっとアリーを抱きしめていたいーーーーー」ジークがボソッと呟いた。

「ジークフリード様ーーーーー。」今なんてーーーーー

ジークはそっとアンリの頬に触れ顎を持ち上、啄むようにアンリの唇に口づけたーーーーー。


影から見ていたアディル(アンリ)はーーーーー。


あああああぁぁーーーーー、

ジークフリード様どうして、せっかくアディル(アンリ)になったのに、愛を得れないの?どうしてよ!

アンリ(アディル)は抱きしめて、私(アンリ)から抱きしめた時は拒んだの?
ーーーーージークフリードの好きなアディルなのに。

その時アディル(アンリ)の漆黒の首飾りから黒い靄がアンリに巻き付いたのだーーーーー。




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