【完結】どうしてｰｰｰｰｰこうなった？悪役令嬢は王子に溺愛され困惑する。

ジークフリード王子

アディルが学園で何者かに嫌がらせを受けていると、アディルに付けている護衛騎士から報告があった。

首謀者はアンリ=クランネル男爵令嬢。

俺の回りをうろちょろとしているだけでなく、アディルをも困らせていた。

何なんだあの桃色頭は、四六時中俺に付きまとい、勝手に手を握ったり、強引に腕を回してきたりと不快極りない。

挙げ句に皆のまで「ジーク様」と声をあげたのには、俺もアディルもびっくりしたものだ！

愛称呼びはアディルしか許していないのにｰｰｰｰｰあの女にはほとほと困らせられた。

俺は、アディル以外誰も愛さないし、好きになるわけが無い！

俺は『アディルを心から愛している。』
コロコロ変わる表情に、人を心和ます事のできる優しさ。美しい声を、可愛く笑う表情、陶磁器のようにすべすべな肌、整端な顔に優雅な仕草。困った時にこてっと小首を曲げる仕草も、ホント胸にきゅんとくる。

そんなアディルをに嫌がらせ！

ふざけるな！

アンリによる嫌がらせの数々も魔道具「観察記録機」で記録出来た、首尾も整い黒い噂のクランネル男爵家も一網打尽にするつもりだ。
後は神官グランとクランネル男爵との神子偽装の契約書類を見つけかれば、直ぐにでも拘束できる。

クランネルは抜かりの無い腹黒い男だ、神官グランが裏切ら無いように何らかの書類を作っているはずだ。

それまでの辛抱だアディル！




神官グランはすぐに自白した、だが肝心の書類は破棄したようだ！

くそっ！

やはり、男爵家へ乗り込むしか手がないか！
乗り込むにしても、言い訳が必要だが、ｰｰｰｰｰそう考えていた時に、クランネル嬢の事件が起きたのだ。

グッドタイミングだな。

「ルーベン、クランネル男爵家へ乗り込むぞ、用意周到にしておけ、その際に屋敷内をくまなく捜索だ！見つけるものは只一つ、神官グランとクランネル男爵との契約書だ、いいな！」

「御意！」



案の定抜かりの無いクランネル男爵は、神子偽装の時に神官グランに支払った金の書類とアンリを神子にする念書を書かせていた。

「ジークフリード殿下、神官グランとの念書を見つけました。」

「よし、良くやった。クランネル男爵を引っ捕らえろ。」

「なぜ私が、このような扱いを受けなければならないのです！」

「ルーベン、あの書類をｰｰｰｰｰ」

「そ、ｰｰｰｰｰそれを、どうして。」

「クランネル男爵、アンリ嬢を神子とし偽装した件、この書類にて明らかになった。サルバドール王家を謀ったからには、それなに罪を償わないとな。それに、貴方の娘のアンリ=クランネル嬢が私の婚約者に濡れ衣をきせ、死に追いやる嫌がらせも多数受けていたのだｰｰｰｰｰもう分かっただろう。」

クランネル男爵は、青ざめワナワナと震え項垂れていた。

「連れていけ」

「御意！」

これで、アディルも心落ち着くだろうｰｰｰｰｰ。

やっと、これでアディルとの時間が取れると内心ニヤけるジークフリードだった。