【完結】どうしてｰｰｰｰｰこうなった？悪役令嬢は王子に溺愛され困惑する。

やっぱりｰｰｰｰｰ神子！いいえ毒花ヒロインです。

ジークは無意識なのか歩くスピードが早くなっている。
そう言う時は彼にとって不愉快な事があったからだ！

「ジーク、あのｰｰｰ。ジーク」やっぱりジークの耳に私の声は聞こえていない！

「ジーク」アディルはジークの腕に力を入れて引っ張った。
「ジーク、どうかしたかのですか？」

ジークは、ハッとするように我に返った。

「すまない、アディル」

「あの方はどなたですか？」

「あの方ｰｰｰｰ？」

ああっとジークは答える。

「あの方？桃色頭の事か？」

ジークは、ふぅっと息つく。

「覚えて無いんだな、あいつはアンリ=クランネル男爵令嬢だ。」

ジークはつらつらと説明し出した。

アンリ=クランネル男爵令嬢は神殿の神官の一人グランが神からお告げを受けたと主張した、そのお陰で王宮は大騒ぎになり直ぐ様クランネル男爵と令嬢アンリが呼び出されたのだ。

胡散臭いと主張する神官もいた！

大神官ではなく只の神官がお告げを受けた事ｰｰｰｰｰ。

クランネル男爵が元は豪商上がりで、お金で男爵の爵位を手入れたとの噂がｰｰｰｰｰ。

闇の取引をしているｰｰｰｰｰとかｰｰｰｰｰ
さまざまな黒い噂が広まっていた。

クランネル男爵がグラン神官に多額の金を渡して、アンリを神子であると捏造し、ｰｰｰｰｰゆくゆくは王子妃に仕立て上げようとしている。

「そんな噂があるが、俺はアディルだけだからな！」と強く言われた。

私は、ジークを安心させるようににっこりと微笑んで
「信じています、ジーク。」
エスコートされている腕にきゅっと、力を込めた。

なんだか乙女ゲームとは思えない深刻な事態になっているわ！

恋人達の甘いプラトニックラブだけじゃない。
ここは乙女ゲームに類似した世界なだけで、実際はもっと複雑で人間のドロドロが溢れている、前世の人間模様のようにｰｰｰｰｰ！

ここに転生した弥生は乙女ゲーム『プラトニックラバーズ』２次元の悪役令嬢じゃない！
奥行きのある、現実をちゃんと生きてる３次元の世界なのだ！

ヒロインのアンリの姿も本当は小動物のように可愛い訳じゃないく、もしかしたら平気で嘘もつける女の子かも知れないｰｰｰｰｰ。

アディルを憎い敵のように睨んできたのが本当のアンリなのだろう。

アンリがジークを本気て愛していてもｰｰｰｰｰ
私は、絶対にジークを譲る事は出来ない。アディルも又ジークを愛しているからｰｰｰｰｰ。

悪役なヒロインアンリに、心のままに行動されたら、いけずの出来ないへなちょこ悪役令嬢アディルは、アンリに一撃でノックアウトだろう。

ｰｰｰｰｰアディルは暫くアンリの様子を伺う事にしたのだ。