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すれ違いの愛

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アデイルを抱き上げた私は翡翠宮の庭園を散策していた。

「ラリエット。」背後からアルフレッド様が声を掛けた。

振り返った私に嬉しそうに微笑んでいるアルフレッド様がいた。

「如何なさいましたかそんなに慌てて。」

「部屋にいなかったから、君を探した。」

「それはすみませんでした。アルフレッド様はまだ執務中だと思っていたので」

「アルだ。」

あっそうでした。

「アルーーーー、ごめんなさい慣れなくて。」

「いいんだ、ラリエットにはそう呼ばれたいのだ。」

「でもーーーーユリアさんは貴方の愛妾でしょ。私に構わずどうぞあちらに。」

「連れないな、そんなに私を嫌わないで欲しいな。ユリアは大罪人が入る北の塔の地下牢に幽閉した。あいつはもうダメだ、罪を犯しすぎた。私が愛していたユリアはいない、あそこに居るのは王太子妃であるラリエットを死に陥れようとした、。グランダラス王国のサラザンディア公爵令嬢であり王太子妃ラリエット・ラ・グランダラスをそれだけで死罪だろう。」

「私が愛していたユリア、妻である私よりユリアさんを愛していたって事ですよね。今のわたくしは貴方との記憶がありません。わたくしは気にしません。わたくしは王太子妃で無くても問題はないのです。勿論サラザンディア公爵令嬢でもなくてもーーーー。わたくしは『浮気』した事が許せないのです。どうぞ愛しているユリアさんと幸せにお暮らして下さい。」

失礼します。そう言ってわたくしはアルフレッド様を置いて足早に去った。



アルフレッドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ラリエットが私を拒んだ。いつも、何があっても私を『愛している』と言っていたではないか。」そう以前のラリエットはアルフレッドに嫌われないように虐げられてもずっとアルフレッドに愛を囁き傍に居ようしていた。

「本当に記憶が無いんだな。」

アルフレッドはゾッとしたラリエットはずっと私を『愛している』のだと思っていた。

ラリエットのあの言葉ーーーーーーーー

『今のわたくしは貴方との記憶がありません。わたくしは気にしません。わたくしは王太子妃で無くても問題ありません』

「問題ないか、問題だらけだよ。傲慢悪女のラリエットから逃れるために愛らし女を選んだのが間違いだった。」
幼少の頃のラリエットは妖精か天使のごとく可愛らしく優しい少女だった。
私の婚約者に選ばれ、王太子妃教育が始まって厳しく辛い王太子妃教育も泣きながら頑張っていた。

「ラリエットは可愛かった、私も王太子教育が厳しくラリエットに会えない辛さをあの女、ユリアに求めてしまった。」

そして従順で可愛いユリアを愛妾にしたのだ。

「私はなんて愚かだったのだ。ラリエットが私の傍に居なくなるなんて、恐ろし過ぎる。」

『愛しているユリアさんと幸せに暮らして下さい』

「ラリエットのあの言葉が堪える。私はずっとラリエットが大好きだった。ずっとーーーーーーーー。」


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