桜が舞い散る日に-----美しい桜と共に気付きたく無かったよ。記憶には桜だけ留めておこう・・・サヨウナラ、愛する人

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アンコック伯爵家を追い出されてから約2ヶ月が過ぎた。その間皆様や、‘’‘家‘’‘の皆んなに恩返し出来る様に頑張ったり、旅の準備を整えたり、思い付く範囲になるけれど楽しみながらトライして来た。そして昨日出発まで後2週間程と聞いてあらかたやる事も終わり、出発までに私だけ時間があると気付いた。

これは、憧れの冒険者となる為の時間か？冒険者になっても低ランクの内は危険度はかなり低い。眉を八の字にして心配してくれるマーサ様の事を何とか説得した私はとうとう今日冒険者ギルドで登録することになった。


緊張しながら王都の冒険者ギルドへ。ギルド内は、大理石に重厚なインテリア、整然とした雰囲気で、日本の大企業の受付嬢、秘書の様な雰囲気の綺麗ないかにも仕事出来る系女子や男性達が並んでいた商業ギルド程ではないが、王都のギルドだからなのか？こちらもどっしりとした印象の重厚な木のカウンターとインテリア。そこに凛とした感じの綺麗系女子と可愛いが仕事できそうな女子、それに元冒険者なのか？細みながらマッチョな感じのイケオジが数人居た。

お約束な展開があるのか？ドキドキしたけど普通に1番優しそうなお姉さんに登録して貰った。こちらでも本名は拙いかと思い同じくユウリ優凛にした。10センチ大の水晶の様な物に手を翳したら淡いブルーに光ってお姉さんからOKが出た。案外あっさりと登録出来た。因みにランクは　SS・S・A・B・C・D・E・F・G・H の10ランクある。

初心者はGランクスタート 、私も晴れて冒険者となった。　登録した後、定番の薬草採取のクエストを受ける事にし、生まれて初めて王都の外に出た・・・

王都を出て暫くは聞いていたとおり、まだまだ馬車も人も多く行き交っている。 暫く浮かれながら歩いて行った、一応薬草がある場所として地図を貰って来た。私は昔から極度の方向音痴だ。100人中99人が迷わない場所も私は迷う、いつだって残りの1%だ。どれだけの時間を迷う事に費やしたか。無駄の多い人生だったな。

それはさておき、地図によると大通りと言える1本道から少し入った獣道。最初は警戒していたけれど案外順調に薬草があり夢中になって採取していた。・・・そう言えば採取やみかん狩り、潮干狩り・・・いずれも夢中になって暗くなるまで、潮がザブリンコと満ちてくるまで採取してしまう性質だった。あー、そんな事まで引き摺らなくて良かったのに・・・そして浅はかなところまで変わっていない。あ、と思った時には何となく森が深まっている感じがした。

内心大泣きしながら、半泣き状態で辺りを見回す。先ずは落ち着こうとのど乾いたしなんて思いながら水筒を出し水をガブガブ飲む。最悪ルームで休めるし食べ物の心配も無い。でも、皆んなに何て言えば・・・木の切り株に座り込みボーーーとしていたら。　

ガサッ、ガサガサ・・・な、何、怖い、忘れてたけどここは獣や下手したら魔物なんかもいる森の中だった。結界を強くし、少しずつ移動する。　走って逃げるには障害が多い、獣の方が早いに決まってる。それに刺激しない方が良いだろうと思い冷や汗をかいていると

さらにガサガサ音がした後出て来たのはボロを纏った恐らく同年代？の少年と、少年に手を引かれた小さな女の子だった。今、耳、犬っぽい耳あった？尻尾もある様な？　とすごい見てしまった、失礼だったと思いつつ目が離せずお互い固まる私達。　警戒心も顕にこちらを伺う2人、キョロキョロと周りを見渡す姿は何かに怯えている様だ。

「どうしたの？大丈夫？」と問いかけると。　掠れた声で「大丈夫。君も早く逃げた方が良い。」と言い辺りを警戒しながら先に進むも女の子が転んでしまい足を挫いた様だ。必死に走ろうとするものの痛みで歩くのも辛そうだ。少年がおんぶして先に進み始めた時何やらガサガサとさっきよりも大人数で荒々しい感じの男性達の声が聞こえてきた。その音と声にますます焦りと怯えを見せる女の子、少年もかなり焦っている様だ。

ひょっとして異世界あるあるの人攫い？でも既にボロボロの服を着て痩せこけている2人は奴隷？それとも・・・音をたてるのは憚られ、答えのでない事を考えているとどんどん近付いて来る物音と声。これは私も不味いのでは？と不安になって来た。なんだかチラリと見えたが男性何て穏やかな感じでは無い。あれは悪漢だきっと、遠目にも人相が悪そうだ。もう逃げられる距離じゃない。


2人を見ると絶望した暗い瞳になっている。助けたい、強くそう思った。2ヶ月前の自分と重なったのだ。気付いたら2人の側に寄り手を引き一緒にルームに隠れていた。