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白狼と黒狼

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レオンが金貨25枚を出し白狼獣人を買った、首輪等の設定等既定の手続きを終え黒狼も連れて行ける事に。

「ああ、この奴隷達は直ぐに反抗しますからな強めの拘束の首輪にしてあります。外さない事をお勧めしますよ、フッ。」と蔑んだ目を狼獣人に向ける商人。

「大丈夫だ。」と強い視線を向けるレオン

「まぁ、もう其方の言う事をしっかりと聞くようにと設定してありますが、外しでもして寝首をかかれない様になさる事ですな。ああ、それとフリード王国では奴隷の首輪は大っぴらになされぬ様気を付けて下さいませ。あの国は、獣人贔屓ですからね、王族からしてそうですから。」

と鼻に皺を寄せ吐き捨てる男に嫌悪感が増すが、彼は “ 越後屋 “  がフリード王国と深い繋がりがあると知っていて言っているのだろうか・・・? ここの商会には今までも何かと邪魔をされて来たから要観察してはいたのだ。警戒度を上げよう、奴隷商としてもだ。


何だかまだ酷く後ろ髪を引かれていそうな2人を連れ、出ようとした時に

「ああ、私どもはこれから次の国に行くのですが獣人は売れないので獣人奴隷はして行くつもりです。居るだけで金がかかりますからね。今売れ残って居るのは特に何の使い道も無い役立たず、其方の狼たちの連れもいましたかねぇ・・・クックック。」

と此方を見やる、本当にイラつく奴だ。狼獣人の2人を見ると歯をギリリと食い縛り、怒りに狼耳と周りの毛を逆立てながら奴隷商を睨んでいる。その目は充血し見ている方が辛い、きっと彼らに嫌がらせの為に言ったのだろう


「その奴隷達は何処に?この部屋には居ない様ですが?」と私が聞くと

「ああ、奴らはもう性奴隷にもサンドバッグにもならないし・・・今頃森の中、奥の方で自由にして居ると思います。フフフ、ハーハッハ。獣が混じっておるのです、森の中で自由の身を満喫出来る事でしょう。なぁに、数人居りますからちょうど良く楽しんでおる事でしょうな。」

間も無く陽も暮れるだろう・・・何が自由だ。

「そうですか、・・・では、私達はこれで失礼します。」

「この度はありがとうございました、またのお越しをお待ちしております。お手の足らない時は是非とも当商会をご贔屓に。」と薄ら笑いを浮かべて見ている。気持ち悪い



憤りを感じながらもどうする事も出来ずテントを後にした私達。黒狼獣人の方は白狼獣人が背負って連れ出した。そして少し離れた時に影に隠れてルーム内に入って貰った。確かに通常は馬車から入る事が多いが私は何処に居ても扉があっても無くても入れる。ルーム内には扉を付けて出入り口を分かり易くしてある。いずれは、色々な場所から扉でルームに繋げルームを通して直ぐに何処にでも行ける様にしたい。今は、まだそこまでは出来ないけれどもう直ぐ出来そうな感じがするのだ。

まあ、それはさておき衰弱している黒狼獣人の事をお母様達に任せて、私達は白狼獣人と一緒に森の奥の方に居るであろう奴隷達を探しに行こう。


「貴方は、動けるかしら?これから森の中にになった人たちを探しに行きたいと思うの。仲間だった貴方が居てくれた方がきっと彼らも安心出来るでしょ?」

「・・・それであなた達は彼らをどうすると言うんだ?何かメリットがあるとでも?」

と訝しげに聞いてくる白狼獣人。奴隷商で出会った私達の事を信じられない事は分かる。私達と一緒に来たとて何をされるかも分からないのだから。

「直ぐに俺たちを信じるのは難しいだろう。だが、臭いで分かるだろう?俺も狼獣人だ、フリード王国のな。同胞を助けたい気持ちは同じだ。頼む、もう日が暮れる。俺だけでも良いが戦えて動ける者は多い方が良い、一緒に来て欲しい。」

とレオンの真剣な目に、暫し逡巡した後白狼獣人も頷いた。黒狼獣人が手厚く世話されているのを見て信じたのもあるだろう。

「後、戦闘はしないが彼女も連れて行く。」

それを聞いて眉根を寄せた彼に

「大丈夫だ。戦う事は出来ないが結界を張る事が出来る。それにさっき見ただろう?彼女は “ 繋がり人 “  と同等の力を持っている。助けた者達をこの部屋に直ぐに連れてくる事が出来るんだ。」

そうレオンが話すと “ 繋がり人 “ の所で大きく目を見張り頷いた

「分かった、信じよう。此方こそ頼む、どうか助けて欲しい。」

と心配げに瞳を揺らしながら頼んで来た。大切な人もいるのだろうか・・・一刻も早く辿り着かなければ。その前に少し食べて水分を摂って貰う。黒狼獣人程では無いにしても頬のこけた彼が十分な食事___水分も摂っていない様に見える。十分な力を発揮して貰う為にも必要だ



こうして準備して貰っている間に戦える者を3人程募った所5人が名乗り出てくれた。その様子を見ながら黒狼獣人さんも泣きそうな顔で助けて欲しいと言って来た。その切実な表情からも彼らの大切な人たちを絶対に見つけて助ける。


皆がその思いを胸に森の中へ探しに出たのだった


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