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トップ会談 3
しおりを挟むその後 “ 繋がり人 “ についての大体の方針と細かな規約が必要と思われる事柄に対してはその取り決めがなされていった。 “ 繋がり人 “ に最低限知ってもらう事も定められた。 伝える国によって偏りが無いように。
この間随分アーフォレ国が静かでスムーズに事が進むなと思っていたら話し合い時は彼らに聞こえはするがこちらに声は届かない仕様の魔法がかけられていた。 その魔法が解かれた、と思ったら
「なんと言う勝手な取り決めだ! 我がアーフォレ国を侮辱したに等しいぞ。サクラなんぞ無能と言って何が悪い、本当の事だ。 “ 繋がり人 “ から豊穣なんぞ齎されてなどいない、我らの力だ。それに馬車も魔道具も買ってやろうと言っておるのだ差し出すのが当たり前の事。」 と傲慢に言い放つ国王に対して低く地の底から這うような怒気の含まれた声がした
「黙れ! 痴れ者が・・・何が豊穣は無かっただ。 アーフォレの者たちがサクラ様を害するから力が削がれ魂まで削られてしまったのだ。 残ったお力をブランシーヌ嬢の為に “ 越後屋 “ を育てる事に注がれた。ご自分と同じ道を辿らずに済むように。 “ シラキュース商会 “ はその為の囮だったのだよ、愚か者たちよ。あそこまでブランシーヌ嬢を虐げなければアーフォレにもまだ道は多く残されていたが・・・そうでは無かった。 ブランシーヌ嬢の側で執事をしていたのは私の息子であるレオンだ。 知っておるのだブランシーヌ嬢への扱いを・・・成人の縛りがあって救い出せなかった。
すまない、いつも見守るしか出来ない我らで・・・」 と辛そうなライアン様
「そんな事はありません。今まで “ 越後屋 “ を守り育てて下さいました。 それに大切なご子息レオン様、彼のお陰で私は生き残れました。」と心からの礼をする
「ブランシーヌ嬢・・・」 美麗なライアン様のそんな哀しげなお顔は眼福だけれど辛い、シフォン様や皆様まで
「私は今、とても幸せです。愛するレオン様、それに沢山の家族・信頼出来る方々が出来ました。私は守られています。
アーフォレ国の皆様。 もうあなた達に縛られるのも振り回されるのも終わったのです。成人の縛りが解け、シラキュース家から除籍され婚約も解消された今、私は自由でありアーフォレ国とはなんの繋がりもありません。王家の “ しるし “ も確認した上で魔法契約書に署名しました。
あなた達は私を “ 繋ぐ “ 全てを自ら捨てた。 “ 繋がり人 “ である母と同じ力を持つ私を。」
「同じ力なんて! 無能じゃない!!出来損ないのくせに!!!」 か弱い設定は大丈夫?カーラ様
「そうだ! サクラ如きと同じ力を持つと言うだけで大きな顔をするな! 無能が 」
「シラキュースの名を汚すな。愚か者め。」
「愚か者で無能なのはアーフォレ国だ・・・
この会談の場で先程までの話を聞いていながらこの程度とはな。今回アーフォレ国を招いたのは認められたからでは無い。国の立場を知らせる為とここにおられる皆様にも意見を頂戴する為だ。会談中の態度如何で立ち位置をましなものにしても良いとブランシーヌ嬢は言ってくれていたのだが無用の気遣いであったな。
会談前にアーフォレ国以外で話しあったのだ。国は消しても良いと思っていたが国民の質も良くない為治めたがる者がおらん。よって国はそのままとし交流もそのまま据え置きで構わんが勝手な移住は出来ない、厳重な審査の元に許可する。それと “ 繋がり人 “ はアーフォレ国と関わる事は無いものとする。 “ 繋がり人 “ の大きな力でこの世界を滅ぼされては敵わんからな。
それと、ブランシーヌ嬢や “ 越後屋 “ への干渉も出来ないものとする。
“ 繋がり人 “ サクラ様の娘であり同じ国からの転生者であるブランシーヌ嬢は既に帝国とフリード王国、ここにおられる国々から名誉爵位を授けてあるがその他の国でも不干渉とする。力を貸して欲しい時はそれぞれお願いする、今までと同じようにな。
皆様、当初より落とした段階としたがよろしいか?」とのアルフォンス様からの問いに皆様が同意する。
「 決定は覆らない。」
皆からの凍てつく視線に固まるしか無くなったアーフォレ一同。一見なんの変わりも無いようだけれど確かに《《
何も、変わらない》》 逆鎖国とも言える処置でどんどん世界の進化からおいていかれる。最先端である魔道具を手に入れる術は潰えた。
本来なら何処よりも早くその恩恵に与れたものを、自らその機会を潰したのだ。 サクラの幼き娘の私を、死ぬ可能性もあった鞭打ちの刑に処すと脅してまで。幼き者が普通の罰どころか刑罰である鞭打ちになど耐えられないのだから。
シラキュース家での “ 教育 “ も大変だったけれど刑罰の鞭打ちとは比較にならない。
こうして真の意味で私は自由になった
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