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自由になって
しおりを挟むシラキュース侯爵家を後にして、自由を得た私達。 今まで私に隠す事で守って来てくれた執事を筆頭とした9人の家族達。私にさえ知られる事なく支え続けてくれたその無償の献身に報いたい。 これだと上から目線な感じになるかしら・・・恩返しがしたい。
元婚約者のカーシス様、よっぽど【 越後屋 】が欲しかったみたいね、他の面々も目がギラついていたもの。
私もお母様が亡くなる前に聞かされるまでは【 シラキュース 】商会しか知らなかった。
でも、表には【 シラキュース 】を出しながら必要な時がくればいつでも【 越後屋 】を前面に出せる様に根回しと準備をしていったお母様と協力者様達。お母様亡き後も守り進めて下さっていた。まだ私はその守って下さっていたお方にはお会いしていない。
これからお会いする事に緊張している。 レオンは大丈夫と言ってくれるが、不安なものは不安だ。
それはさておき本当の家族と言える彼らのご両親御兄弟、姉妹や妻、夫子供達はどうされているのか今まで知る機会が無く、母亡き後は会話も出来なかったから聞けていない。私が関わると彼ら彼女らが責められるから避けていた。
これからどうしたいか聞いてみると、皆可能ならば一緒に居たいと言ってくれた。私の方ではどうとでも出来る事を伝える。【越後屋】で勤めてくれても良いし、必要なら邸を構えてそこに居てくれても良い。流動的な位置でも良いし色々やりながら決めても良いと伝えた。
今までの分で長期休暇とボーナスを出すから当分ゆっくりとしてやりたい事をして欲しいと伝えた。独立しても良いし支店と言う手もあるんだもの。幸せになって欲しいから。迎えに行きたい家族が居るなら協力者様にお会いした後一緒に行っても良い。其々行っても良い、兎に角自由なのだから。
馬車をクリエイトで改造したゆったりリビングでお茶しながら話していく。家族なんだから一緒に楽しんで貰いながら。
前世仕様のソファやラグ、クッションにテーブル床に座るのも有りなそのスタイルに初めは戸惑った様だが受け入れてくれて、足も伸ばしてゆっくりしやすい事に喜んでくれた。 女子はお行儀悪いけれど寛ぎだから良いのだ。ちゃんとブランケットは使って貰っている。
甘いカフェオレやココア、香り高い紅茶。 炭酸の入った刺激のある飲み物に驚きながらも喜んでくれた。
お菓子は、女子にはやはりチョコレート。ベルギーのめっちゃ美味しいチョコ・・・夢の世界に連れて行ってくれる。女子は皆夢のような美味しさのチョコにホエっとしてた。 あと、マカロンとうまうまの羊羹など ‘’ 和 ‘’ の甘味も人気だった。濃い緑茶にしたけどうまー
男子は柿ピーが人気。意外と羊羹とお煎餅とのコラボも・・・
「ブランシーヌ様、ここここのチョコは!素晴らしいものです。お口がとっても幸せで、とろけそうです!」
とまさしく蕩けそうな顔の、侍女だったマリー。キャメルのふわふわの髪、可愛い茶の瞳。彼女は貧乏子爵家の5女、平たく言えばシラキュース侯爵家に8歳の頃侍女として売られたのだ。解雇されても『お前が帰る場所は無い、しっかり奉公しろ。』と。
元々冷遇されており本人も8歳ながらに理解していた。親から縁を切られたのだと、酷い言い方をすれば捨てられたと。そんな彼女は私の2歳上の18歳。彼女にお母様は教育、マナーと学ばせた。ちゃんと嫁入りできる様に、‘’その時は後ろ盾になるからちゃんと幸せになりなさい‘’ と言ってくれたのだと泣きながら教えてくれた。だからって痕が残る程‘’躾‘’されてまで残らなくても他に勤め先はあった、それでも残ってくれた。
そんな彼女の蕩ける笑顔は切なくも可愛い。 沢山食べたらええ
と私まで幸せを分けてくれる笑顔にニマニマしていたら・・・馭者のダレンが頬を赤くしながらマリーに見惚れている。うんうん分かるよ、すごく可愛いもんね!
彼は、執事見習いだったが私寄りだからと馭者へ配置換えとなった子爵家の4男だ。貴族でも3男以降は中々大変だ。次男まではスペアとしてまた、高位貴族なら渡せる爵位がある場合もある、が 子爵家ではそれも少ない。
彼も4男で自分で頑張るしかない。
ただ、彼は優秀な上に優しかった・・・しかも、オリーブブロンドに優しげな深めのエメラルドに時折黄色が煌めく瞳が美しい美丈夫だった。他の執事や侍従の嫉妬と、私の事を何度も守ろうとした事が重なり昨年より配置換えとなっていた。申し訳ない
「「美味しいね。」」と優しく見つめ合う2人
こ、これはマリー18歳、ダレン19歳・・・うふふ
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